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異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~  作者: 黒蓬


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第69話 四度目のレベルアップ、牧場の新たな変化

 秋の気配が漂い始めた朝、白石悠真は牧場の柵に寄りかかり、深呼吸をした。空気は少しずつ冷たさを帯び始め、木々の葉も色づき始めていた。風に乗って、牧場に住む動物たちの鳴き声が聞こえてくる。


「今日も平和だな」


 悠真がつぶやくと、肩に乗っていたラクルが「クルルー」と鳴き、翼をパタパタと動かした。


 朝の作業を始めようと納屋に向かう途中、ふいに悠真の頭の中に青い文字が浮かび上がった。


【牧場経営スキルがLv5に上昇しました】

【新機能「牧場面積の拡大」が解放されました】

【新機能「外敵からの防衛機能」が解放されました】


「え……?」


 思いがけないメッセージに、悠真は立ち止まった。周囲を見回すと、不思議なことに牧場の柵が以前よりも広がっているように見える。納屋も少し大きくなっていた気がする。


 驚いていると、家から出てきたリーフィアが悠真に気づき、手を振った。


「悠真さん、おはようございます。今日は爽やかな……あれ?」


 リーフィアも牧場の変化に気づいたようだ。銀色の髪を風になびかせながら、彼女は悠真に近づいてきた。


「何か変わりましたね?牧場が……広くなってる?」


「ああ、今スキルがレベルアップしたみたいだ。牧場が拡大したらしい」


 リーフィアの碧い瞳が驚きに見開かれた。


「何度見ても不思議ですね。一瞬でこんな変化が訪れるなんて」


 二人が話していると、リオンが走ってきた。エルフの少年の緑がかった髪が朝の光に輝いている。


「悠真さん!リーフィア姉さん!牧場が変わってますよ!納屋の中も広くなってるし、柵の向こうまで牧場の範囲が広がってます!」


 興奮した様子で報告するリオンに、悠真は微笑んだ。


「ああ、スキルがレベルアップしたらしいんだ。それに外敵からの防衛機能も増えたみたいだ」


「防衛機能ですか?」


 リオンが首を傾げる。悠真は周囲を見回しながら考えた。


「以前、ドミニクさんから魔道具を買って対策はしていたけど、もっと強化されたってことかな。詳しく見てみよう」


――――――


 三人で牧場の周囲を歩き回ると、確かに柵の外側に薄い魔力の膜のようなものが張られているのが感じられた。さらに柵や施設も以前より丈夫になっているようだ。


「これなら魔獣が来ても、簡単には入ってこれないですね」


 リーフィアが安心したように言った。リオンも頷いている。


「前に村が襲われたこともあったし、これは本当に心強いです」


 悠真も同意した。牧場に住む動物たちも、この変化に気づいたのか、いつもより活発に動き回っている。特にテラは、新しく広がった土地を嬉しそうに走り回っていた。


「みんな喜んでるみたいだな」


 柵の近くでは、アズールとレインが一緒に遊んでいる。小さなドラゴンの子供と空を泳ぐイルカが、互いの能力を使って楽しそうにじゃれ合っていた。アズールが小さな氷の玉を吐き出すと、レインがそれを光で照らし、キラキラと輝かせる。


「キュイ!」「キュルル!」


 二人の鳴き声が朝の牧場に響く。向こうの岩場では、ストーンが時折首を動かして周囲の変化を観察していた。


「牧場が広がったってことは、もっと多くの子たちを迎えられるってことかな」


 悠真がそう言うと、肩のラクルが「クルルー!」と元気よく鳴いた。まるで賛成しているようだ。


――――――


 昼食の時間、三人はリビングのテーブルに集まった。リーフィアの作ったハーブティーの香りが部屋に広がっている。


「牧場が広がったわけですし、どう活用するか考えませんか?」


 リーフィアが提案した。リオンは目を輝かせて答える。


「新しい動物の子たちのためのスペースを作るのはどうですか?また新しい動物が来ることもありそうですし」


 悠真は窓の外を見やりながら考えた。外では、ルナーホップの親子が新しく広がった草地でぴょんぴょんと跳ねていた。


「確かにそうだな。でも、それだけじゃなくて畑や果樹園を増やすのも良いかもな。最近少し手狭になってきていた感じもするし」


「そうですね。最近は畜産物だけじゃなくて農作物も好評みたいですし、ミリアムさんもきっと喜ぶでしょうね」


 リオンも賛成の意を示した。


「僕も植物の手入れは好きなので賛成です」


 三人で話し合ううちに、牧場の新しい姿が徐々に形になっていった。北側の拡張部分を畑にし、東側は自然のままに残して動物たちの遊び場に。西側には小さな果樹園を作ることにした。


 午後になると、悠真はスキルを使って地形を少し変えてみることにした。地形カスタマイズにより、思った通りに土地が変化していく。


 すると、そこへテラが「ミュウ」と鳴きながら近づいてきた。その姿を見て、悠真はふと思いついた。


「テラ、ちょっと手伝ってくれるか?」


 テラは赤い額の石を光らせ、大きな耳を動かして返事をした。悠真が指差した場所に移動すると、テラはその場所を掘り始めた。緑色の体が土の中に半分埋まるほど一生懸命だ。


 しばらくすると、そこには小さな池ができていた。悠真がスキルを使うと、池の周りに清らかな水が湧き出してきた。


「これで水場も増えるから、さらに過ごしやすくなるだろう」


 その光景を見ていたアクアが、「チチチ」と鳴きながら近づいてきた。水晶リスは尻尾を使って水を操り、池の形を整えていく。


 夕方には、牧場は見違えるように変わっていた。新しい池、整地された畑の区画、そして動物たちがくつろげる広々とした草原。


「本当に便利ですね。人力なら数日は掛かりそうな作業ですのに……」


「これなら、もっと多くの子たちが安心して暮らせますね」


 リーフィアが感嘆の声を上げた。リオンも嬉しそうに頷いている。


 牧場の動物たちも喜んでいるようだった。フレアは赤い体を輝かせながら、ウィンドと一緒に上空を飛び回っている。サクラとベルは新しい草地で草を食んでいた。


「明日はミリアムに連絡して、薬草の種や苗をもらおうか」


「そうですね。新しい薬草の栽培をしてみるのも楽しそうです」


 夕日が牧場の上に沈み始め、辺りは柔らかな黄金色に染まっていく。悠真は納屋の前に立ち、満足げにため息をついた。


「思いがけない変化だったけど、良い方向に進んでるみたいだな」


 そう呟くと、牧場の動物たちが思い思いの場所で寛いでいる光景が目に入った。肩のラクルは「クルルー」と鳴き、小さな翼で悠真の頬をなでるように触れる。悠真は夕焼けの空を見上げ、心地よい満足感に包まれていた。

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