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異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~  作者: 黒蓬


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第124話 ミックルと宝の地図

朝露に濡れた草が、陽光を受けてきらきらと輝く牧場の朝。

悠真は庭のテラスから、牧場の奥でロカたちがスターチェイサーで遊んでいる様子を眺めていた。ロカが、空中に浮かぶ小さな光の星を追いかけて飛び跳ね、ヒエンも赤い羽を広げて星を追いかけていた。そんな二人を応援するようにフレアが「コン!コーン!」と声援を送っていた。


「みんな楽しそうだな」


悠真が微笑みながら眺めていると、背後から「コトコト」と音が聞こえてきた。振り返ると、ミックルが体を揺らしながら近づいてきていた。


「おはよう、ミックル。……ん?何か用か?」


側までやってきたミックルに悠真がそう尋ねると、ミックルは少しもったいぶるように間を開けてから、「パカッ」と蓋を開いた。何だ?と思いながら悠真が覗き込むと、そこには一枚の紙があった。


「これは……地図か?」


よく見てみると、それはこの周辺の地図のようで、牧場や周辺の森、小川までが割と正確に描かれていた。


「立派な地図だな。どこで見つけたんだ?」


悠真がそう聞くと、ミックルは蓋を閉じて、何かを力を溜めるように体を震わせてから、再び蓋を開けた。すると今度はそこに白い紙があった。


「へぇ、自分で作ったってことか?」


ミックルの意外な能力に悠真が感心しながらそう聞くと、ミックルは不満げに「パカパカ」と箱を開け閉めして音を立てた。


「ん?そうじゃない?」


もう一度よく見てみると、二枚目の紙には小さな点が一つだけ描かれていた。悠真が首をかしげていると、ミックルは最初の紙の方に近づき、「パカパカ」と音を立てた。


関係があるのかと思い、悠真は二枚の紙を見比べてみた。すると、一枚目の地図にも同じ場所に小さな印があることに気がついた。それは牧場から少し離れた森の中のポイントを示しているようだった。


「ん……?これは……」


少し考え込んだ悠真は、ふと思いついた。


「もしかして、宝探しってやつか?」


その言葉を聞いたミックルは、「カチンカチン」と嬉しそうに蓋を開け閉めして飛び跳ねた。その様子に悠真は思わず笑みがこぼれた。


「なるほど、そういうことか。せっかくの誘いだし、乗ってみるか」


悠真が紙をよく見ながら考えていると、二人のやり取りに気づいたのか、リオンが近寄ってきた。その後ろをアオイが青い体をぷるぷると揺らしながらついてくる。空からは何かを嗅ぎ付けたかのようにトレジャーも「カァー」と鳴きながら舞い降りてきた。


「悠真さん、何をしているんですか?」


リオンが興味津々で尋ねる。


「ミックルが宝の地図を持ってきたみたいでな。宝探しをしようと思ってる」


「宝探し!?僕も行きます!」


リオンが即座に反応して、緑がかった髪を揺らしながら飛び跳ねる。


「アオイも一緒に行くか?」


悠真がスライムに尋ねると、アオイは体を揺らしてプルプルと喜んでいるように震えた。そこに自分も、と主張するかのようにトレジャーが「カァー」と鳴いた。


「よし、決まりだな。それじゃあ、宝探しに出発するとするか」


――――――


森の中、木々の間から差し込む陽光が地面に斑模様を描き出す中、悠真たちは地図を頼りに進んでいた。ミックルは興奮したように先頭を歩き、時折「カチンカチン」と音を立てて周囲を確認している。


「この辺りかな?」


悠真が地図を見ながら周囲を見回すと、リオンが少し先の方を指さした。


「あそこに何かあります!」


視線の先には、苔むした岩があった。岩の周りには小さな花が咲いていて、なんとなく場違いな感じがする。悠真たちが岩に近づくと、ミックルが「カチンカチンカチン」と興奮した様子で音を立てた。


「ここが地図のポイントみたいだな」


悠真が岩をよく見てみると、表面に小さな矢印のような模様が彫られているのが分かった。矢印は岩の下を指している。


「何かが岩の下にあるのかな?」


リオンが言うと、トレジャーが「カァー」と鳴いて岩の周りを飛び回り始めた。アオイもぷるぷると体を揺らしながら岩に近づいていく。


「みんな、少し下がってくれ。この岩を動かしてみるよ」


悠真が言って岩に手をかけたが、予想以上に重くてびくともしない。


「うーん、これは重いな。……リオンと二人ならいけるか?」


悠真が頭を掻きながら考えていると、アオイが岩の側面に体を押し当てた。青いスライムの体が岩と地面の隙間に入り込み、少しずつ岩を持ち上げ始める。


「おぉ!?アオイ、すごい!」


リオンが感嘆の声を上げる。アオイの体が岩の下に入り込むにつれて、岩がわずかに傾いていく。そして、ついに岩の下から何かが見えた。


「これは……箱だ!」


岩の下には小さな木の箱が埋まっていた。悠真が慎重に取り出すと、ミックルが「カチンカチンカチン」と興奮した様子で音を立てた。


「中には何が入ってるんだろう?」


リオンが好奇心に目を輝かせて言う。


悠真が箱を開けると、中には小さな羊皮紙が入っていた。羊皮紙を広げると、そこには別の場所を示す地図が描かれていた。


「次のポイントへの地図か……」


「これもミックルが用意したの?」


リオンがそう尋ねると、ミックルは「カチン」と肯定するように音を立てた。


「そうなんだ。ミックルって意外と器用なんだね」


リオンが感心した様子でそう言うと、ミックルは得意げに体を揺らした。悠真は微笑みながらミックルの蓋を優しく撫でた。


「ありがとうな、ミックル。それじゃあ、次の場所に行ってみようか」


新しい地図によると、次の場所は小さな滝のそばらしい。悠真たちはミックルに導かれながら森の奥へと進んでいった。


道中、アオイが時々立ち止まっては、落ちている葉っぱや小枝を体に取り込んでいく。トレジャーは木々の間を飛び回りながら、時折輝く小石を見つけては「カァー」と鳴いて知らせてくる。


「トレジャーはやっぱり宝物には目がないんだな」


悠真が笑いながら言うと、リオンもくすくすと笑った。


やがて、彼らは小さな滝に到着した。滝の水しぶきが虹を作り、周囲の木々は深い緑に包まれていた。


「きれいな場所だね」


リオンが感嘆の声を上げる。ミックルは「カチンカチン」と音を立てながら、滝の横の岩場に向かって行く。


「そこか?」


悠真がミックルの後を追うと、岩場の隙間に何かが光っているのが見えた。手を伸ばして取り出してみると、それは小さな水晶のかけらだった。


「これが次のヒント?」


悠真が水晶を光に透かしてみると、中には小さな矢印のようなものが見える。矢印は上の方を指していた。


「滝の上……ってこと?」


リオンが不安そうに言う。滝はそれほど大きくないが、それでも水量はかなりある。そして、両側の壁は切り立っており登るのはかなり大変そうに見えた。


「さて、どうしようか……」


悠真が考えていると、「カァ!カァ!」と主張するようにトレジャーが鳴き、滝の上へ飛んでいった。


「トレジャー、大丈夫かな?」


リオンが心配そうに見ていると、しばらくしてトレジャーが戻ってきた。足には小さな箱を掴んでいるように見える。


「見つけてきてくれたのか?ありがとう」


悠真が言うと、トレジャーは掴んでいた小さな箱を渡してくれた。箱を開けると、中には次の地図と共に小さな鍵が入っていた。


「なるほど……」


悠真が地図を見ると、最後のポイントは牧場に戻った場所を示していた。


「最後は牧場に戻るみたいだな」


ミックルは「カチン」と音を立てて肯定した。


――――――


牧場に戻ると、リーフィアが庭で植物の手入れをしていた。悠真たちを見つけると、彼女は優しく微笑んだ。


「お帰りなさい。みなさん、どこへ行っていたのですか?」


「ミックルが企画した宝探しだよ。今、最後のポイントを探してるところなんだ」


悠真が説明すると、リーフィアは興味深そうに地図を覗き込んだ。


「この場所は……温泉の近くではないでしょうか?」


言われてみれば、地図の示す場所は牧場内の温泉エリアのようだ。一行は温泉へと向かった。


温泉の周りには岩が積み重なっていて、蒸気が立ち上っている。ミックルは「カチンカチン」と音を立てながら、特定の岩の方へ向かっていく。


「あそこかな?」


悠真がミックルの後を追って岩に近づくと、岩の間に小さな隙間があり、そこに小さな宝箱が置かれているのが見えた。鍵穴があるので、先ほど手に入れた鍵を差し込んでみると、ぴたりと合った。


「開けてみていいかな、ミックル?」


悠真が尋ねると、ミックルは「カチン」と肯定の音を立てた。箱を開けると、中には古ぼけた地図と、キラキラと輝く小さな宝石が入っていた。


「これは……」


悠真が地図を広げると、それは牧場の全体図のようなものだった。しかし、現在の牧場とは少し配置が異なっている。地図の端には「財宝の眠る場所」という文字と共に、大きな「X」印がついていた。


「本物の宝の地図……?」


リオンが目を見開いて言う。ミックルは「カチンカチン」と興奮した様子で音を立てた。


「みんな、見てください!」


リーフィアが突然声を上げた。宝石を手にとって光に透かしてみると、その中に不思議な模様が浮かび上がっている。それを地図に重ねてみると、「X」印の場所が明確になった。


「牧場の東の端……ちょうどあの大きな木の下だな」


悠真がつぶやくと、一行は急いでその場所へと向かった。


大きな古木の下にたどり着くと、ミックルは「カチンカチン」と嬉しそうな様子で音を立てた。


「よし、ここを掘ってみるか」


悠真とリオンで周囲の土を掘り始めると、途中から近寄ってきたテラも掘るのを手伝ってくれた。そうしてしばらくすると、古びた大きな宝箱が現れた。


「おっ?これみたいだな」


「本当に宝箱だ!」


リオンが驚きの声を上げる。しかし、宝箱には鍵穴があったが、鍵はない。悠真が困っていると、トレジャーが「カァー」と鳴いて飛んできて、くちばしに何かを咥えていた。それは古ぼけた鍵だった。


「まさか、これの鍵か?どこで見つけてきたんだ、トレジャー?」


悠真が感心しながら鍵を受け取るとトレジャーは誇らしげに「カァー!」と鳴いた。その鍵を宝箱に差し込むと鍵が回り、「カチリ」と音がして宝箱の蓋が少し開いた。


「開いた……」


全員が息を飲む中、悠真はゆっくりと宝箱の蓋を開けた。すると中からは、まばゆい光が溢れ出した。


「わぁ……」


箱の中には、古代の魔法の書物や、きらめく宝石、そして不思議な光を放つ小さな球体が入っていた。


「これは一体……」


悠真が球体を手に取ると、それは優しく脈打つように光った。するとミックルが「パカッ」と蓋を開け、中から一枚の紙を出した。そこには「古代の魔法師の遺品」と書かれていた。


「ミックル、これを知っていたの?」


リオンが驚いて尋ねると、ミックルは「カチン」と音を立てた。どうやらミックルはこの宝の存在を何らかの形で知っていて、皆に発見してもらいたかったようだ。


「ありがとう、ミックル!」


リオンが感嘆の声を上げると、ミックルは嬉しそうに体を揺らした。


――――――


夕暮れ時、牧場の家の居間では、今日の冒険について皆で話し合っていた。


「まさか本当の宝物が見つかるとは思わなかったな」


悠真が魔法の球体を手に取りながら言う。球体は手の中で柔らかく光を放っていた。


「ミックルって、本当はすごく物知りなんだね」


リオンがミックルを見つめながら言った。ミックルは少し照れたように「カチン」と静かに音を立てた。


「アオイとトレジャーも活躍してくれたしな。二人が居なかったら見つけられなかったよ」


そういって悠真が二人を褒めると、トレジャーは「カァー」と誇らしげに鳴き、アオイも嬉しそうにプルプルと震えた。


「みんなで見つけた宝物だからな。牧場のみんなのために使おう」


悠真の言葉に、一同が笑顔で頷いた。


窓の外では、夕日が牧場を優しく照らし、動物たちが思い思いに過ごしている様子が見える。ミックルは窓辺に座り、満足そうに外を眺めていた。悠真はそっとミックルの側に座った。


「今日は楽しかったよ。ありがとうな、ミックル」


悠真が言うと、ミックルは「カチンカチン」と嬉しそうに応えた。牧場の動物たちとの日々は、まだまだ驚きと発見に満ちている。今日見つけた宝物も、それを証明しているようだった。


窓から差し込む夕日の光が、居間を温かなオレンジ色に染めていく。それは牧場の新たな思い出を優しく包み込んでいた。


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