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第26話 情報屋のシシ爺?

それから少しすると霜月はこう皆に伝えた。



「ちょっと情報屋に寄らせてね。」



しばらく歩き続けた。昼をとってまた2-3時間ほど歩いた。瞬は立ち止まる。



「あれっ?」

「瞬、どうしたの?」



霜月は振り返ると瞬に聞いた。

瞬は気まずそうに聞いた。



「⋯⋯このまま真っすぐ行くんだよな?」

「そうだよ。」

「シシ爺のところ⋯⋯だよな?」



瞬は以前霜月の探りを入れるのにシシ爺に影屋敷の事を聞いていたのを思い出した。

まずい、これは霜月さんにバレる。

霜月は瞬の目の前に立つと腰に手を当てた。小さい子が親に叱られているようだった。瞬が恐る恐る顔を上げる。霜月は黒い笑顔を貼り付けている。

瞬は霜月にバレているとこを悟った。



「瞬、貸しだよ。」

「⋯⋯はい。」



霜月はそう言うと、瞬はがっくりと肩を落として観念した。

その後、瞬たちはシシの情報屋にやってきた。

霜月は声をかける。



「旦那、特注を頼みたい。奥で物を見せたい。特注だから誰にも見られたくないんだ。急ぎで頼むよ。」

「入れ」



部屋の奥からシシの声がした。

霜月たちが入るとシシはニヤリとした。



「なんだ、面白い組み合わせだな。それで用件は?」

「何か変わったことはあるか?」

五百蔵いおろいと阿道の全面戦争だ。五百蔵はかなり準備してるみたいだぞ。時期は半年以内だ。それ以外は何かあるか?」



瞬が口を開いた。



「あのさ、シシ爺⋯⋯」

「瞬、どうした?」

「⋯⋯あんたは誰だ?」

「誰って⋯⋯」



シシが口を開いたのを瞬は邪魔した。

それを聞いた霜月はぎょっとした。諒は目を見開いている。



「シシ爺は滅獅子の大戦の時に黄龍殿に看取られたんだろ?俺の目の前にいるのは誰なんだ?」



しばしの沈黙が流れる。



シシは片方の口角をグイッと上げてにやりとするとこう話し始めた。



「瞬、お前はすげえな。よく分かったな。そしたらこれが俺からは最後になる。手土産に教えてやろう。」



シシは瑛真を見ると言った。



「瑛真、赤龍の里出身。赤龍の弟の血を引く。」

「そんなこと里で聞いたことないぞ。」



瑛真は目を丸くして動揺する。



「弟と言っても母親が違う。腹違いの弟だ。身内でも限られた者しか知らない。赤龍に確認してみろ。それにこの前暗器の力を解放させただろう。血が濃ければ濃いほど強い力を持つ。その証拠が炎風獅子だ。この前使っただろう?」



シシはそう答えると瑛真は口をつぐんだ。次に諒を見る。



「諒、白龍の里出身。青獅子の里長の息子で現白龍の里長の孫。諒は全身が刃になる暗器。」



諒はコクリと頷いた。シシは目線を瞬に移す。



「瞬、通り名は暗鬼、暗殺の瞬。影無しの里出身。先代陽炎・秋実の孫。暗器はそうだな、まだ不明ってところか。」

「えっ?瞬ってあの暗殺の瞬なのか?」



瑛真が驚いている。

瞬は固まっていた。



「⋯⋯じいちゃんは里長の陽炎だったのか?でも皆じいちゃんのこと、陽炎って呼んでなかったぞ?」

「陽炎だ。両親は滅獅子の時に死んだが先代陽炎とは血が繋がっている。」

「そうなのか⋯⋯」



瞬は言葉をこぼした。シシの目が霜月を捉えた。



霜月はまずいと思った。



目の前の机を飛び越してシシの喉元に短剣の刃をつけた。しかし遅かった。



「霜月。本名は霜月白狼しもつきはくろう。滅獅子の大戦で出身の里が壊滅。色々あって先代陽炎・秋実の世話になる。

⋯⋯霜月、俺には脅しは効かないぞ。」



霜月は刃をシシに食い込ませる。

シシは霜月の短剣を握った。血は出ていない。霜月は大声で聞く。



「お前は何者だ?」

「俺はむくろだ。霜月についてはまだ話す項目があるがお前たちに話していないこともあるだろう。

これで以上だ。」



霜月は頭に手を持っていった。明らかに動揺している。シシは瞬を見た。



「瞬は俺の後ろにある扉から出ろ。他のやつは前からお帰りだ。じゃあな。」



瞬はシシを見るとそのまま後ろの扉を開けて出ていった。霜月はシシを睨みつける。



「俺に睨んだってしょうがねーよ。あの方は瞬の方が気に入った。それだけだ。」



瞬は扉から外に出ると奥が崖になっていて崖の近くに一本の桜の木が生えていた。幹からは横に長く突き出た枝があり小柄な少年が背を向けて座っていた。諒よりは背が高い。160センチと言ったところか。華奢な身体をしていた。少し大きめの羽織をかけている。瞬はその少年の方へ歩いていった。



「そこで何をしてるんだ?」



瞬は声をかけた。

少年はじっと見た。



「俺は瞬。そんなところに座ってると危ないぞ。」

「瞬は優しいんだね。そんな仲間がいたらなぁ。僕は神無月終かんなづきしゅうだよ。瞬は僕の仲間になってくれるかい?」



終は瞬を見てにこりとすると首を傾げて聞いた。



「俺たちと一緒に来るなら考えてもいい。そうでないならお断りだ。」



終は手を顎に置いて考えた。そして笑顔で聞いてくる。



「ふむ、じゃあ僕を殺してって言ったら殺してくれる?暗殺の瞬は依頼すれば暗殺してくれるんでしょ?」

「なっんだそりゃ?突拍子もないやつだな。それも断る。」

「そっかぁ、残念。

そしたら一つだけ教えてあげる。滅獅子の大戦の発端となったのは青獅子と緑獅子の里長が殺されたからと言われている。果たして本当でしょうか?」



終は瞬に聞いた。

その時びゅっと風が吹いた。



「瞬、また会おうね。次は仲間になってね!」



風を腕で遮っているとすぐに風は止んだ。あの少年もいなくなっていた。






とある村人が言ったさ、

山道に迷ってたどり着いた丘の上には一軒の家があってさ、ごめんくださいと入ったのさ。そしたら誰もいないから奥の扉を開けてみた。そらぁびっくり机の奥に骸骨が座ってたんだとさ。

そんな話を噂しているのを霜月たちは知らない。






瞬は皆のところに戻らないといけないと思い来た道を戻る。そういえば霜月は白狼と言っていた。どこかで聞いたことがある。瞬は記憶を手繰り寄せた。じいちゃんと一緒にいたんだよな。でも思い出せない⋯⋯。瞬は情報屋の建物を過ぎるといきなり霜月、諒、瑛真の姿が見えた。諒と瑛真は同時に声を上げた。諒が駆け寄ってくる。

そのあと瑛真もかけよってきた。



「瞬、大丈夫?」

「大丈夫か?」

「あぁ、俺は大丈夫⋯⋯。そうだ、瑛真は俺が暗殺の瞬だって知らなかったんだな。」

「俺殺されなくて良かった。」

「悪いことしてると夜に暗殺されちゃうんだよ、ひひ。」



真面目な顔をしている瑛真を諒は脅している。瞬は霜月を見た。霜月はちらりと瞬を見る。



「あっ思い出した!白狼だ!なんで忘れてたんだろう。」



瞬は大きな口を開けると顔を崩して笑顔になった。



「なんで隠してたんだよ!じいちゃんの知り合いどころか俺とじいちゃんと一緒に住んでたじゃん!」



瞬はちょっと怒った口調で言った。

霜月は少し悲しい目をしていた。



「瞬、言えなくてごめんね。」

「⋯⋯霜月さんまだ隠していることあるんじゃないのか?」

「瞬や君たちには嘘はつけない。だから今はまだ何でもかんでもは聞かないでほしい。時が来れば全部話すつもりなんだ⋯⋯。」



霜月は瞬の目の前に立つと瞬の目を見た。

そして霜月はこうべを垂れた。



「だからどうか頼む⋯⋯」



それを見た瞬は動揺して霜月を見つめている。霜月が頭を垂れるなんて余程の事だと感じ、瞬は感じるままに霜月に伝えた。



「⋯⋯正直いい気はしない。何でもかんでも隠しててまだ隠してることもあるんだろ?ただ今何を言っても話してくれないなら待つから。俺は霜月さんが話してくれるの待つよ。

ただしあんまり遅いと俺だって怒るからな。」



霜月は顔を上げると瞬は霜月を見てニコッとして言った。

それを見て霜月の中の罪悪感は鉄のように重く身体の奥底に沈んでゆく。



(当たり前か。これは俺が背負うべき罪だ。)と霜月は思った。



「そうだ、霜月さん、白狼どっちの呼び名がいいか?」

「霜月のままでいいよ。」



(瞬に白狼なんて呼ばれれば罪の意識から身体が千切れそうだ。)と霜月は思った。



「それはそうと霜月さん、これからどこに向かうんだ?」

「これから向かうのは影屋敷だ。」


お読み頂きありがとうございます!

ようやく忍の里編は終わりになります。


もし「続きを読んでも良いよ」という方がいましたら、広告の下の

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星の数は皆さまのお心次第ですが

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どうぞよろしくお願いします!



次回より影屋敷登場編に移って行きます。

次回はようやく影屋敷とは何か、そして霜月の目的は何かが分かります!

次回の作者にすみイチオシの台詞↓

「それでようやく影屋敷にやってきたけど、霜月さん、俺たちはこれからドコを目指すんだ?」

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