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第25-5話(番外編・恋愛) 伊万里と瞬

※この番外編は主に伊万里の視点による瞬との出会いのお話です。

伊万里は諒くんという痺れ薬が詳しい友だちから瞬について聞いていた。



「瞬は背が高くてかっこいいんだ。見た目もかっこいいんだけど中身もかっこ良くってね⋯⋯」



諒くんはたくさんのことを教えてくれた。伊万里は諒から聞いた瞬のイメージを膨らませていた。

それを聞いた伊万里は言葉を溢した。



「瞬さまに会ってみたいわ。」



その時はついにやってきた。

いつものように里の端のほうの段々の薬草畑で作業をしていると遠くから諒の声が聞こえた。



「伊万里ちゃーん」

「諒くん」



伊万里は作業を止めて顔を上げる。

伊万里が声をかけると諒の隣にもう一人立っている。もう一人の人物が視界に入ると伊万里の胸が高まった。伊万里は思わずその人をじっと見入ってしまう。

背が高くて筋肉で身体がガッチリしている。そして背が高い割に顔は小さく目鼻立ちがはっきりしている。

この方が瞬さまだったらいいのにと伊万里は思わず両手を握って願った。

伊万里に顔を向けた諒がニコニコしながらその人を紹介する。



「伊万里ちゃんに話してた瞬だよ。」



伊万里は瞬を見て嬉しくなった。想像していたよりもとても素敵な方だわと思い声をかける。



「あなたが瞬さまなのね。」

「伊万里ちゃんか!可愛いな!!」


それを聞いた瞬は伊万里と目線が合うように屈んでくれて伊万里と目が合うと嬉しそうに言う。

伊万里の頬が紅葉のように高揚して、伊万里は思わず両手で隠した。

こんなに顔が熱くなるなんて⋯⋯瞬さまに気が付かれませんようにと願いながらそっと瞬の方を見てこうこぼした。



「諒くんの話していた瞬さまはこんなに素敵な殿方だったのですね。」



そっと瞬さまを見たはずなのに瞬さまがこちらをずっと見ているわ。

顔を赤くしているのを見つかってしまったかしらと伊万里は心配になって瞬を見続けた。

そうしているうちに諒が伊万里の荷物を見つけて助け舟を出した。



「瞬、見すぎ。伊万里ちゃんこれからそれ運ぶの?」

「えぇ、一度倉庫にしまって来るわ。諒くんはここで薬草を見ていてくれるかしら?」



伊万里は後ろをちらっと見ると伝える。早く戻ってきて瞬さまとお話したいわと伊万里は思っていた。

そうすると諒がニコッとしてこう提案した。



「それなら瞬も連れてって!荷物は持たせなくてもいいから話し相手くらいになると思う!」



まぁ、諒くんは素敵なお友だちだわと思った。瞬はこちらを見ていた。伊万里は張り切って荷物に手をかけた。



「じゃぁ瞬さま一緒に行きましょう」

「俺が持つよ!」



瞬は手伝いをかって出る。そこへ伊万里は瞬にしっかりしているところを見せたかったので大きな荷物を片手でひょいっと持つ。



「私の力は身体強化なんです。」



伊万里は胸を張って言ったのは良かったが、女の子なのに可愛くないところを見せてしまったとすぐに後悔した。



「こんな怪力女可愛くないですよね。」



そしてしょんぼりしながら瞬に言葉をこぼした。

いつも周りの人から言われてしまう。女の子なのにそんなに重たい物を持つの?と驚かれたり引かれたりする。伊万里は空回りしてしまったと心配になった。

瞬さまがこちらを見ているわ。さっきのことを無かったこと出来ればいいのにと願っていた時、瞬の真っすぐな目は伊万里を捉えてこう伝える。



「伊万里ちゃんは自分の使える力を正しく使ってる。それが何の悪いことなんだ?俺は伊万里ちゃんをすごいと思うよ。」



伊万里はあぁこんなに温かい方がいるんだと嬉しくなって瞬を見続けた。

そうすると瞬は慌てて目を下の方へ逸らして言葉をこぼした。



「それに伊万里ちゃんの笑顔はひまわりみたいで俺は⋯⋯好きだな。」



あっまずいわ。



今度は隠す暇もなく伊万里は顔を紅葉のように赤らめてしまった。手に持っていた荷物は地面にバササと落ちた。



その音で我に返った。



いけないわ、早く荷物を集めないとと思い焦って膝を地面に付けると伊万里は荷物を集め始めた。



「顔赤いけど荷物当たった?」



瞬は伊万里を心配した。伊万里は横にブンブン顔をふる。

恥ずかしいわ、瞬さまこちらを見ないでと伊万里は願うばかりだった。

あちらの荷物を、と伊万里が手を伸ばしかけた時スッと瞬は荷物に手をかけた。

危ない、そのまま手を伸ばしたら瞬さまの手をつかむところだったとすんでのところで伊万里は手を止めた。



その後はまるでスローモーションのようだった。

伊万里が止めたはずの手に瞬の手が近づいた。そして伊万里の小さな手は瞬の大きな手に包まれた。

伊万里は混乱して瞬を見るとすごく真剣な目が伊万里を見ていた。伊万里の心は焼けるように熱い。このままでは心が持たない。伊万里は慌てて瞬から顔を逸らすと瞬に苦しそうに伝えた。



「瞬さま、お手をお外しになって下さい⋯⋯。このままでは心臓が爆発してしまいます⋯⋯」



瞬と触れている手の感覚だけが伊万里を支配する。

しばらくして瞬はパッと手を離すとがバッっと頭を下げた。



「本当にごめん!!」



瞬は伊万里に何度も謝ってくれた。

その後は荷物を半分ずつ持つ提案を諒がしてくれたので伊万里と瞬は伊万里は半分ずつ持って倉庫にしまった。倉庫に入ると瞬は積極的に高い場所に置くのを手伝ってくれた。



「伊万里ちゃん、この荷物はこれの横でいいか?」



瞬が聞く。瞬の大きな背中を見てドキドキしていた伊万里は瞬に生返事をしていたのだった。

薬草の研究室に行くと諒が先に入って待っていてくれた。諒と今までの薬草の生育について話した後、今後の薬草の交配について話すと伊万里は近くの紙に書き留めた。瞬は少し離れて邪魔にならないように見ていたがすぐに瑛真が飛んでくると瞬は急いで薬草室から出ていった。

諒くんはとても気を配ってくれるお友だちで気遣ってくれた。



「瞬は大丈夫だった?」

「想像以上に素敵な方でびっくりしてしまいました。とても温かで優しい人で⋯⋯たまに積極的で伊万里の心は瞬さまで埋め尽くされてしまいました。」



伊万里は嬉しかったので思ったことをありのまま諒に話してしまった。そうすると諒はニコリとしてこう返した。



「不器用なところはあるけど、すごく真っすぐな人だよ。」

「諒くんのおっしゃることわかる気がします。」



伊万里は嬉しそうに頷いて答えた。

その後、しばらく諒と二人で薬草の種類や効果・効能、使い方などで新しく発見したものをお互い話していると瞬が戻ってきた。

瞬は嬉しそうに言った。



「諒!伊万里ちゃん!今日は緑龍の里に泊まっていくって緑龍殿と霜月さんが言ってたぞ。夕方に緑龍殿の家に集まるようにだって!」

「それは良かった。僕は緑龍殿と霜月さんに話すことがあるんだ。伊万里ちゃんこの後、薬草畑に水やりとかするよね?瞬をこき使ってね。今日はまだ訓練してないから身体がなまってるでしょ?」



諒は間髪入れずに忙しそうに伊万里と瞬を見ていった。



「えぇ。」

「おう!」



伊万里と瞬は同時に返事した。伊万里は後で諒くんによくお礼を言わないとですわと心に刻んだ。



「瞬さま、水を汲みに行ってもいいかしら?」

「あぁ、もちろんだ。行こう。」



伊万里は瞬に聞くと快諾してくれた。伊万里は倉庫から大きな桶を持ってくると瞬がそれを見ていた。



「山の湧き水まで汲みに行きますわ。」



大きい桶を山の湧き水まで自分持っていくのは大変だと思っていたので、瞬が持っていくことをかってでてくれたのでお願いすることにした。

そして二人は山道に入った。小さい伊万里には少し大変だったが大きな瞬は軽々とついてきた。



「ここは自然がきれいだな。空気が澄んでいて穏やかな空気が流れている。」

「えぇ、私もそう思います。」



二人は景色を見ながら会話を楽しんでいるうちに水場に着くと大きな桶で伊万里は水を汲み始めた。伊万里は瞬に良いところを見せたかったのだ。



「伊万里ちゃん足元に気をつけて。」



瞬は声をかけた。

伊万里は答える前に濡れた岩場に足を滑らせて水場に落ちていった。瞬はすぐに足を踏み込んで伊万里の方へ飛ぶと伊万里の腕を掴んで自分の方へ抱き寄せると瞬は背中から水場に落ちた。



ドポン!!水場は存外深かった。



瞬も伊万里もぐっしょり濡れてしまった。

ポタポタ、二人は乾いた岩場まで移動した。瞬は濡れた髪をかきあげてしょんぼり言った。



「ごめん、結局伊万里ちゃんも濡れちゃったね。」

「いえ、私の不注意で瞬さままで濡れてしまって申し訳ございません。」



それを聞くと伊万里ちゃんは髪を横で絞っていた手を止めて言った。

しかし先ほど瞬に守られるようにガシッと腕に抱かれた感触に喜んでいる自分を呪った。

伊万里はなんてずるい子なんでしょう!と心の中で自分に悪態をついた。

瞬はがばっと上半身の服を脱ぐとぎゅっと絞っていた。それを見ていた伊万里と瞬の目があった。瞬が慌てて後ろに下がり始めた。



「伊万里ちゃんも風邪を引くと行けないからここで出来るだけ服の水を絞っておいて。」



そう告げると瞬は見えない場所まで移動した。伊万里はなんとか絞れるだけ服を絞ると瞬に声をかけた。すると瞬は上半身裸のまま戻ってきた。伊万里はあらわになった瞬の上半身の筋肉に釘付けになった。想像以上に鍛え上げられた筋肉に伊万里は固まってしまった。瞬は伊万里が固まっているのに気がつくと困ったような顔をして首を傾げた。



「濡れてるほうが嫌かなと思ったんだけど、こっちの方が嫌かな?」

「嫌なんてことありません!」



伊万里は何のことか分からなかったが全然嫌ではなかったたので勢いよく言った。それを聞いた瞬はホッとして伊万里に背中を見せると伊万里の前でしゃがんだ。

ちらりと振り返った瞬が口を開く。



「そんなに濡れた姿で山道は歩かせられない。それに足元もぬれていると滑りやすいから、俺の背中に乗ってくれるか?」



瞬が聞いていたのは自分をおんぶするためだったのかとこの時ようやく伊万里は気がついた。それは伊万里にとっては嬉しすぎる試練だった。こんなに逞しい背中に、しかも生肌に密着するの?

断っても瞬さまは心配してしまうだろうし、どうしたらいいの?伊万里覚悟するのよ!と心を固めた。



「瞬さま失礼します。」



伊万里は先に断り、えいやっと乗った。そして瞬は伊万里を背中に乗せると歩き始めた。

伊万里の心臓はバクバク鳴っている。伊万里は目をぎゅっとつむると瞬さまどうか私の心音に気が付かないでと祈るばかりだった。

しかし瞬は伊万里を早く連れて帰らないといけないと言う使命感でいっぱいだった。

しばらく伊万里を背負っている歩いていると、はたと華奢で軽い伊万里が男とは違う女の子なのだと気が付き始めた。よく考えたら伊万里ちゃんの華奢な腕が自分の首に優しく絡んでいる。

あっ!瞬の首の後ろから背中に当たっている柔らかい感触は伊万里の頬だけではないことに気が付くと瞬は心臓がバクバクし始め伊万里に気づかれまいとしていた。



結局二人は自分の状況で精一杯になり相手の事は一切気が付かなかったのである。

森から抜けて里に戻ってくると瞬は伊万里を背中から下ろして、家に帰って早く着替えるように促した。



「俺は水場からここまで水を運んでおくから伊万里ちゃんが戻ったら続きを運ぼう。」



そして瞬はこう提案すると、伊万里もいっぱいいっぱいだったのでその提案を受けることにした。

伊万里は家に戻って着替えると、すぐに橘の家を訪ね状況を説明すると瞬の着替えを借りた。



そんなこんなで水やりはようやく終わりお茶を飲んで休憩していると薬草の段々畑がオレンジ色に変わり始めた。夕焼けが顔を出していたのだ。

もうすぐ終わってしまう。こんな日は二度と来ないと伊万里は感じていた。夢から覚める時間が迫ってきているのだった。



「夕焼けって綺麗なんだな。」



瞬は呟いたが伊万里から返答がないので隣に座る伊万里を見た。伊万里は瞬を真っすぐ見ていた。伊万里の大きな目には夕焼けが映っていた。

伊万里は瞬と目が合った。瞬の目の中に映る自分に気がついた。

今、瞬さまの目の中には私が映っているんだわと伊万里は思った。



伊万里は決意した。



伊万里は瞬にそっと近づく。伊万里は緊張して震えていた。次の瞬間伊万里は瞬の胸の中に飛び込んだのだ。

瞬さまに拒否されたらどうしようと伊万里は不安で仕方がなかった。伊万里は思わず顔を上げて瞬を見る。

多分私は不安そうな顔をしてるわ、心配して抱きとめてくれればいいのにと伊万里は欲を出した。



瞬は胸に飛び込んできた伊万里にびっくりして固まったが、顔を上げた伊万里を見て可愛らしいとしか思えなかった。

瞬は少し傾いていく夕日をちらりと見ると悔しそうに顔を歪めて力強く伊万里を腕の中に抱きとめた。

伊万里は嬉しいのと幸せで胸が苦しくて涙が出ないようにするので精一杯だった。



瞬はとても温かいものが胸いっぱいに広がったが、同時に胸を締めつけられる感覚があった。後になってこんな時間がもう一度訪れればいいのにと思ったことはなかった。

夕焼けは残酷にも姿を消して辺りは暗くなり始めた。



もう行かなくてはならない。



瞬の腕はスッと力が抜けた。二人は少し離れると見つめ合っていた。瞬は伊万里を見ると伊万里の目は少し潤んでいるように見えた。

伊万里はどうにでもなれと思っていた。



「瞬さま、お目を⋯⋯お閉じになって⋯⋯」



伊万里は震える声で言った。

瞬の胸は熱くなった。彼女のしたいことは何でも叶えてやりたい。その気持ちは大きくなった。



瞬は目を閉じる。

伊万里の心臓はバクバクとうるさく周りの音が聞こえなくなった。



瞬に再度近づくと立膝になり片手を瞬の肩に置くと瞬の頰にそっと口づけをした。



伊万里の唇が瞬から離れると、瞬は目をパチリと開けて伊万里を見た。伊万里は嬉しそうな顔で瞬を見つめた。

辺りは暗くなったていたので瞬の顔が赤くなったことには気が付かなかった。

その後は二人とも何も話さずに緑龍の家に向かった。話したいこともたくさんあったが二人はそんな余裕も無かった。

それに終わりが近づいていることもわかっていたけど終わりたくない。

無駄とは分かっていたが、何とかならないか考えるのに夢中だった。

二人は緑龍の家に着くと皆の元へ合流した。



翌日、別れの時はきた。せめてもの気持ちで伊万里はお昼の握り飯を瞬たちに用意したのでそれを渡した。

渡した時に瞬の手が少し触れた。長い時間に感じたが実際はほんの数秒だった。伊万里は潤んだ目で瞬を見た。



「瞬さま、伊万里はここでまた瞬さまがいらしてくださるのをずっと待っていますね。」



伊万里は出来るだけ笑顔で言った。瞬はそれを聞くと元気に言った。



「また会いに来るよ、伊万里ちゃん!」



別れ際に瞬は伊万里に振り返ると拳を突き出してニカッと笑った。






伊万里は瞬たちが見えなくなるまで立ち尽くしていた。






見えなくなると隣にいた緑龍に俯いたまま震える声で聞いた。



「緑龍さま、申し訳ございません。お胸をお借りしてもよろしいでしょうか?」



伊万里は顔を上げて緑龍を見れなかったのだ。緑龍はそれを聞くと両手を広げて伊万里に伝える。



「伊万里、よく頑張ったね。」



伊万里が緑龍の胸に飛び込んだ。

顔をうずめて肩を震えさせている。

次第に震えは大きくなり嗚咽が漏れ始めた。

緑龍は優しく伊万里の背中をさすった。

しばらくの間伊万里の嗚咽が途絶えることはなかった。



緑龍の里を離れてから瞬は元気が無いようだった。

諒は話しかけなかったが、それが伊万里のせいであることは分かっていた。



「よし、ここで昼餉をとっていこう。」



霜月は森の中で声をかけた。諒の後ろに立った瞬が声をかけた。



「諒、ちょっといいか?」



諒は瞬の後ろからついて森の奥に入っていった。瞬はどう切り出せばいいのか困っていた。瞬は頭の後ろを右手でポリポリと搔くと、諒の方へ振り返り痛そうに歪めたような顔をして諒に聞いた。



「こんな事聞くのも恥ずかしいんだけどさ⋯⋯俺、伊万里ちゃんのこと⋯⋯これって好きって言う感情なのか?」



諒は瞬は心を痛めているんだろうなと感じた。

それを見た諒は誠意を持って返そうと決意した。



「瞬、ちょっと来て。」



諒はそう言うと近くにあった川に連れてきた。流れの弱いところを見つけると諒は水面を指差して聞いた。



「瞬、自分の顔見える?」



瞬は水面を見ると頷いた。



「⋯⋯それが答えだよ。」



諒はそう言うと、瞬は水面を見つめていた。



「僕は霜月さんと瑛真とあっちでご飯を食べてくるよ。瞬はここでのんびりしたら?」



瞬ならその意味が掴めるだろうと思い、声をかけて二人の方へ向かって去った。

霜月と瑛真は戻ってきた諒を見ている。諒は霜月と瑛真を見ると真剣な顔で言った。



「瞬は川の近くにいる。今だけは絶対に邪魔しないで。」

霜月は諒が言わんとしていることを感じとると優しい顔をして諒に告げた。



「諒は良い子だね。」

「違う、瞬にとって一番の仲間でいたいだけなの。」



瞬は川に映る痛みで顔を歪めたような顔を見て、無理矢理口角を上げてみた。

なぜか緑龍の里で別れた時の伊万里の顔と重なった。

心の中は伊万里でいっぱいだった。川の近くにそっと座る。

手の中には伊万里が握ってくれた握り飯があった。

瞬は涙が溢れる顔で握り飯をむしゃぶりついた。



握り飯はしょっぱかった。

お読み頂きありがとうございます!

次回は⋯イチオシの台詞は一体誰の台詞なんでしょうね?

次回の作者にすみイチオシの台詞↓

「ふむ、じゃあ僕を殺してって言ったら殺してくれる?暗殺の瞬は依頼すれば暗殺してくれるんでしょ?」

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