エピローグ
1週間後。朝の身支度をしながら、結婚式の衣装合わせが始まるという話をサラから聞かされていた。
「南塔3階の応接間で、来週から行われるそうです。同時刻にエリオット殿下も、隣室で試着されるそうですよ」
「ああ、あの──ものすごく時間が掛かるという試着ね」
他国の王族も招待する結婚式は、国の威信をかけて行うため、王族が結婚式に衣装を着飾るのは、もはや伝統行事でもあり、何十着も試着するのは今から考えても憂鬱だった。
「今回のお針子達は、正確に素早く作業が出来ると聞いておりますから、それほどではないかもしれませんよ」
「そう願うわ。ねぇ、サラ。マリッジ・ブルーって、聞いたことあるかしら?」
「確か──結婚前に憂鬱になるとか、そう言った意味ではありませんでしたか?」
「今から衣装合わせを考えるだけで、かなり憂鬱だわ。だって着た後は胃が痛くなって、大したものは何も食べられないし……」
「食いしん坊なだけなのでは?」
「そんなことないわ。本当に大変なのよ。苦しいまま動かないでいるのは──そう言えば、招待するのは、アーリヤ国とメイソン国の王族で合っていたかしら?」
国の伝統行事ではあるが、大規模な結婚式にすると、かなり予算が掛かってしまうため、最近は隣国の王族だけを招待をしている。といっても、それだけで十分に大規模な結婚式になってしまうのだが。
「ええ。トラスト国にも招待状を出しましたが、来られないそうですよ。噂では城内で何か揉め事が起こっているとか……」
(まさか、私と同じで断罪イベントが起こっているとかじゃないわよね)
「そう。トラスト国の方には、まだ会ったことがないけれど、残念ね」
数日後──また新たな事件に巻き込まれるとは、このときの私は、微塵も思っていなかったのである。
♢♢♢2巻へ続く♢♢♢
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※ここからは『お知らせ』になります。
この作品は、コミックシーモア様にてコミカライズ連載中です。小説とは少し違う展開になっている部分もあり、既に原作を知っている方も楽しめる内容になっております。
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追記:誤字脱字報告ありがとうございます(^^)
♢♢♢次ページからは『番外編①』です♢♢♢
エリオット殿下の幼少期のお話になります。




