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お茶会

 3日後の夕方、私は王宮の庭園に来ていた。王妃様とのお茶会は、『百合の会』と呼ばれて貴族間では有名だった。名前の由来は、王妃様が百合の様に気高く美しいから──ということらしい。


 エリオット様に似ている王妃様は、子供を産んでもスタイルが変わらず、スラッとした体型のスタイル美人だ。エリオット様と同じく、緑色の瞳に綺麗なブロンドの髪をしている。


 王妃様への挨拶を終えると、私は席に着いた。今日のお茶会は、私的なもので王妃様の他にエリオット様、元王太子婚約者のアンナ様、私の4人だった。何となく気まずくて、俯きそうになる。


「アイリス、よく来てくれましたね。最近、どうですか?」


「はい。変わりなく、城では周りの方々に良くしていただいて、勉強を頑張っております」


 王妃様は、微笑みながら扇を開き、口元を隠していた。すると、アンナ様が話に割り込んでくる。


「勉強でしたら、私の方が出来ますのに……」


 アンナ様は、目に見えて落ち込んでいた。ヘンリー様の妻になれなかった事よりも、自分が王太子妃になれなかった事の方が、よほどショックなのだろう。エリオット様に色目を使っている。


 アンナ様は、プラチナブロンドのストレートヘアに水色の瞳をしている、可愛らしいご令嬢だ。公爵家として、幼い頃から王族や高貴な身分の人と結婚することこそが、公爵家の義務だと教わってきたのだろう。アンナ様は今、不安定で仕方がないのかもしれない──そう思うことにした。


 私の家は公爵家であるものの、その辺りの教育はあまりされず、ある意味放って置かれたのでハッキリ言ってそこまでの義務感は感じていなかった。かといって、育ててくれた公爵家に恩義を感じていない訳でもないので、いつかは恩返ししたいと思っている。


 エリオット様のいる方向から、微かに暗い影を感じた気がした。慌てて振り向いたが、笑顔を振りまかれた。どうやら、気のせいだったらしい。


 王妃様に危害を加えるつもりはなかったが、思い出したゲーム内容『王妃殺害』の事もある。何かある前に、今日は適当なところで話を切り上げて、帰りたいと思っていた。


「そうそう、貴方から頂いたパウンドケーキ、厨房で切り分けてもらってるのよ。今、持ってこさせるわ」


 王妃様が、私に微笑みながら言うと、近くにいたメイドに声を掛けてケーキを持ってこさせていた。


 私は目の前に置かれたお皿に驚かされた。食器のアンティークの素晴らしさもさることながら、パウンドケーキの切り分けも見事なものだった。色とりどりの旬のフルーツが盛り付けられており、チョコソースがかかっている。お皿の表面には、ベリーソースを使って綺麗な模様も描かかれていた。


「王妃様、素晴らしい盛り付けですわ。感動致しました」


「ふふっ、ありがとう。さぁ、いただきましょうか」


 王妃様の淑女としての動作に見惚れていると、どこからか緑の光が、一つ飛び出した。空間を浮遊していたかと思えば、その緑の光は王妃様が食べようとしているパウンドケーキに飛び込んだ。


「王妃様!!」


 叫んだ私は、慌てて王妃様の手をはたく。王妃様は、パウンドケーキを食べようとしてフォークをケーキに突き刺した所だったが、弾みでフォークが床に落ちて大きな音がした。私の挙動にみな驚いていたが、銀のフォークは黒ずんでいる。


「……毒ね」


 王妃様がそう言うと、周りの空気は緊張で張り詰めた。周りにいる侍従やメイドも狼狽えている。


「誰がこんなこと……」


 私が持ってきたパウンドケーキに毒が入っていた。でも、私は入れてないし、毒見も誰かがしたはずだ。もしかして──もしかしなくても、わたしが一番怪しいんじゃない?


 そう思ったら、だんだん血の気が引いてきた。眩暈がしてフラつくと、エリオット様が側に来て身体を支えてくれる。


「ジル、魔術師団長を呼んでくれ。母上とアンナ嬢、それからアイリスは隣室で待機してて欲しい」


 侍従のジルにエリオット様が指示を出すと、メイドのサラが人の間をぬって、飛び出してきた。


「ご案内いたします」


 私達は、近くの客室に案内されたのだった。




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