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話し合いに向けて

 城に戻ってからの日々は、ほとんど部屋の外に出してもらえず、いつの間にか通信機はオーベル様に回収されてしまっていた。妃教育の講義を受けていたが、アーリヤ国との休戦協定が気になって、正直それどころではなかった。


 エリオット様は忙しいのか、あれから会っていない‥‥‥。このまま結婚とか考えると、何だか漠然とした不安を感じていた。


「サラ、今日は特に何もないから散歩へ行きたいのだけれど‥‥‥。護衛がいれば、問題ないでしょう?」


 城へ戻って1週間。私は自分の部屋で、暇を持て余していた。


「お控えくださいませ。本当は、『部屋から一歩も出てはならない』と言われております」


(部屋から一歩も出るなって、誰がそんなこと言ってるのよ?!)


「エリオット様が、そう言ってるの?」


「‥‥‥戦争を回避出来たとはいえ、いつまた同じ様な状況に、陥らないとも限りません」


 それはそうだろう。サラの心配は分かるが、そんなことを言っても、状況はいつまでたっても変わらない──そろそろ限界だ。


「エリオット様に、お会いしたいのだけれど‥‥‥」


 物憂げに呟いてみれば、サラは眉をひそめつつ、何かに納得したのか頷いてくれた。


「分かりました。後で、お会いできるか聞いて参りましょう」


(うーん‥‥‥。外に出たかっただけなんだけど、これじゃエリオット様に会いたくて仕方のない女の子みたいじゃないの!! いや、女の子なんだけど‥‥‥)


 脳内で1人ノリツッコミをしていた私は、居ずまいを正して、再度サラへお願いをした。


「サラ、お願いできるかしら」



*****



 その日の午後。1人でお茶をしていた私の元へ、エリオット様が訪ねて来た。


「アイリス、元気だった? 何だか久しぶりだね」


「エリオット様、お久しぶりです」


 エリオット様は部屋へ入ってくると、私の隣に腰掛けていた。


「アイリス、なかなか会えなくて寂しい思いをさせてごめんね」


「あの‥‥‥。アーリヤ国との話し合いは進んでいますか?」


「我が国で何があったのか、旗色を変えたのは誰なのか‥‥‥。調査している所なんだが、なかなか難しくてね。正直なところ、あまり調査は進んでいないんだよ」


 エリオット様は、困ったように首を横に振っていた。ティーセット一式を持ってきたサラが、エリオット様へお茶を淹れている。


「‥‥‥ああ、美味しい。サラが淹れてくれたお茶は、本当に美味しいね」


「ありがとうございます」


 サラは丁寧にお辞儀をすると、一歩下がってから言った。


「隣の部屋を片付けてまいります。何かございましたら、ベルでお呼びください」


 サラは気を遣ったのか、私達を2人きりにしてくれた。気を遣わなくてもいいのに‥‥‥。と思っていると、エリオット様が言った。




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