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旗の色

 私達はアーリヤ国との境目にある国境付近へ向かった──偵察部隊と補給部隊、それから近衛騎士の精鋭部隊、合わせて30人弱で編成された部隊の中心には、私とエリオット様、それからオーベル様がいた。戦争を止めるのに、最速で目的地に向かうため、大勢で行くのは中止になったのだ。


 私や皆が乗っている馬は、オーベル様の魔術で馬の脚力を最大限に引き上げてもらっていたので、あと3時間ほどで城壁に到着する予定だ。


「アイリス。旗は城壁右の監視塔1階の倉庫に置いてある。一緒に旗をあげてくれるか?」


「承知致しました。一緒に旗をあげましょう」



*****



 城壁の手前まで来ると、先に着いていた偵察部隊の騎士の1人が、こちらへ駆けてくるのが見えた。


「報告!! まだ城壁の扉は破られてはおりません。城壁内部に異常なし!! 監視塔にある旗も確認致しました。ですが‥‥‥」


「どうした?」


「城壁の上から敵の部隊を確認致しました。その数、5000!!」


「5000‥‥‥」


(嘘でしょう? なぜ、そんなに多くの兵士がいるのかしら)


「攻撃は、まだされていないのだな?」


「はい。もう間もなく向こうの首尾も整うかと思われます。アーリヤ国の魔術師は殲滅されたと聞いておりますが、敵兵のうち何人かは『爆裂火炎魔法(インフェルノ)』を使える者がいると、聞いております」


「アイリス、先を急ぐが大丈夫か?」


「はい。参りましょう」


 私は馬から降りると、足をフラつかせながら、必死に城壁へと駆けていった。



*****



 監視塔に着いてからは、騎士に案内してもらい、旗のある場所へと連れて行ってもらった。部屋の角にある木箱から、黄色い旗を取り出すと近くにある掲揚台へと走った。


「急ぎましょう」


 門から少し離れた位置にある掲揚台へ到着すると、旗を台の部分へセットした。掲揚台から離れると、エリオット様が旗をあげる合図をし、騎士がロープを引っ張った。


 風に(なび)いてはためきながら、旗は少しずつ上がっていった──もう少しで敵側に、旗の色が見えるというところまできて、旗の近くで『緑の光』が光るのが見えた。


 おかしい‥‥‥。そう思った時は、もう遅かった。光は旗へ吸収され、旗の色は『赤』へと変わっていた。


 赤色の旗の意味──『開戦を受け入れる』という合図だった。




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