表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/82

王妃様とのお茶会

 数日後。私が私室で開いたお茶会に、王妃様が護衛を引き連れてやって来た。挨拶もそこそこに、サラがお茶を運んでくる。


「アイリス、息災でしたか? 私は、あなたが事件に巻き込まれたとエリオットから聞いて、気が気じゃなかったわ。元気そうな姿が見られて何よりです」


「ご心配おかけして、すみません」


「それで、エリオットから相談があると、聞いたのだけれど‥‥‥」


「はい。来週の婚約披露パーティーについてですが‥‥‥。王命とはいえ、こんな状況下で行うのはあまり気が進まなくて‥‥‥。ヘンリー殿下のこともありますし」


「そうねぇ。私もヘンリーのことは、心配で仕方がないのだけれど、それとこれとは話が別だわ」


「別ですか?」


 王妃様は扇を広げると口元を隠しつつ、話始めた。


「そう。私達は自分自身のことはあるけれど、第一に国民のことを考えなければならないの。エリオットの王太子任命の件もあるし‥‥‥」


「王太子任命?」


「エリオットから聞いてないかしら?」


「‥‥‥初耳です」


「あらあら。エリオットは、貴方をビックリさせるつもりだったのかしら?」


 私も扇を広げると、口元を隠しつつ喋った。そんな噂を聞いた気もするが、正式決定になったとは聞いていなかった。


「そのようですわね」


「婚約パーティーもそうなのだけれど、王太子任命の発表も大事なのよ。国民を不安にさせてはならないわ。そのためにも、発表は早めにした方がいいと思うの。この国は安泰ですっていう‥‥‥」


 王妃様の声は少し震えて聞こえた。きっと精神的に参っているのだろう。


「王妃様。エリオット様がいれば、この国はこの先も、ずっと安泰だと私は思っております。きっと、ヘンリー殿下も見つかりますわ」


「そうだと良いのだけれど‥‥‥あの子、変にアーリヤ国に肩入れしてたから」


(ヘンリー様が、アーリヤ国に肩入れ?! そんな風には見えなかったけれど?!)


「母上。それ以上、アイリスに兄上の話をするのはご勘弁を。まだ話していないこともありますので」


 いつの間にか、エリオット様が部屋に入ってきていた。


「あら、エリオット。早かったのね」


 エリオット様の急な登場に驚いた私は、思わず聞いていた。


「エリオット様、執務はよろしいんですの?」


「アイリスとお茶をするために、頑張って今日の分を終わらせて来たよ」


「‥‥‥」


 エリオット様の物凄い良い笑顔に、私は何も言えなくなってしまっていた。


「まあまあ‥‥‥。2人で積もる話もあるでしょうから、私はこの辺で失礼するわ」


 王妃様は、私に流し目で合図を送ると、護衛を引き連れて帰っていった。


(どういうこと?? 2人で話し合いなさいってこと??)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ