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そして、エルサニア王国へ。
予定通り、エルサニア東街道に合流出来ましたので、
途中にあるアネスの町を目指しております。
ではそろそろ、レミュさんに連絡しておきましょうか。
それではモルガナさん、『Gふなずし』お願いしますね。
「……やっぱり出ないねえ」
「イオタさんが私たちの居場所を捕捉してくれているはずだけど、連絡が来ないし」
「とりあえず、先にアネッサさんに会いに行っちゃう?」
……ですね、アマツさんたちの都合もあるでしょうし、
レミュさんの件もエルサニア王都に着いてからじっくり、かな。
それでは、まずはアネスの町へ。
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アネスの町は、あの頃と変わらず。
町の人たちからお帰りなさいと言ってもらえるのが、
俺たちのぶらり旅の何よりの成果ですね。
「ご無沙汰してます、シジマさん、皆さん」
「家族も増えて、ますますのご健勝ですね」
ごぶさたです、ケイト町長。
あれから何か、変わったことはありましたか。
「実は……『アネス干し』が大変なことに」
おっと、俺が変な名前を付けちゃったせいで売れ行きに問題でも。
「確かに問題かも」
「これまでよりも名前が覚えやすくなったおかげで、冒険者さんたちの間で『アネス干し』が凄い勢いで広まったのです」
「この飽きない美味しさの保存食なら長旅のお供に最適だし、保存食をメインに出来れば食に関する荷物を減らせてこれまで以上に冒険の旅が捗ると大評判に」
「今では、各地の冒険者ギルドや大手商会からの注文が殺到して、町民一同てんてこまいで……」
あらま、それは良い知らせ。
元々、他の保存食とはひと味違う、美味しさ自慢の名産品でしたし、
みんなからちゃんと認知されれば人気爆発も当然ですよね。
俺も少しはこの町のお役に立てたようで何よりです。
「いえいえ、少しどころではないのです」
「ギルドカードの口座は確認していないのですか?」
口座って……
そういえば、命名に関する権利関係がどうとかで、
あの時、冒険者ギルドで本登録したんだっけ。
確か、確実な本人確認が出来るようになったので、
全ギルド共通の口座が開設されたんですよね。
俺って、お金関係は『創造』で何とか出来ちゃうから、
口座とか全く見てなかったよ。
「せっかくですしそのお金で、ご家族で美味しいものでも」
「でもあれだけの収入ですと、王都の有名料理店を貸し切りどころか買い取り出来ますよね」
……口座を確認するのが怖いんですけど。
もしやこれも異世界モノのお約束、
チートな臨時収入っていうイベント……