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急ぐ旅ではありますが、シジマ家らしさは忘れずに。
1日3食しっかり食べて、
10時と3時のおやつも忘れずに。
もちろん、やりたいことがあれば遠慮せずにガンガン楽しむ。
そして、今のシジマ家の主役はペルネさん。
興味のあることは、みんなが積極的にサポートしてあげるのです。
あんな風に、全力で。
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「ツェリアママ、つよーい!」
「ペルネさんも、鍛錬を頑張ってきたのですね」
ツェリアさんとペルネさん、旅の合間に組み手のマジ稽古。
近接無双同士の立ち合いは、見ていて心配になるほどの激しさですよ。
あれって、俺程度のレベルでは、
双方一歩も譲らずのマジバトルにしか見えんのですが。
ヴァンパイアと獣人の超絶身体能力、誠に侮り難し……
「達人同士ならではのギリギリの攻防」
「正直、私でも手合わせしたくないレベル」
サイノさんがそう感じるくらいなのですか……
でも、ふたりとも本当に真剣に取り組んでおりますし、
ちょっとうらやましいくらいに楽しんでますよね。
「まさに母娘水入らず」
「あれもまた、溢れんばかりの愛情の発露」
俺たちは俺たちなりのやり方で、
ペルネさんに愛情しちゃいましょ。
「シジマさんがそういうことを言うと、何だかえっちっちな意味に聞こえる」
「つまりは、普段の行いがいかに大事かってこと」
サイノさんは、もし少し普段から優しくしてほしいです……
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そんな感じでリグラルト王国縦断中。
いつも通り、野盗や魔物は極力スルーで進みたいのですが、
ペルネさんが積極的にバトルしたがるのは少々困りもの。
ツェリアさんには、おしとやか乙女方面の教育もお願いせねば。
「このまま一気にエルサニアへ?」
そうですが、モルガナさんはどこか立ち寄りたい所とかあります?
「オリベラの街に寄って、ムリアーノさんやオーシェさんに会わないの?」
……やっぱり、出来る限り急いでエルサニア王都を目指したいです。
もちろん、ペルネさんとはしっかりと交流を重ねながら、ですが。
実は、王都に着いたら一度きちんと腰を据えて、
シジマ家の旅の在り方を見つめ直したいのです。
家族が増えたことによる諸々って、俺にとって思っていた以上で……
そういうのも全部、この機会にスッキリさせたいな、なんて。
「……了解」
「まあ、相談ごとがあるなら、いつでも"導き"するから」
「それが家族、でしょ」
……ありがとうございます。
おんぶの方も、いつでも言ってくださいね。
家族の健やかな成長を直に確認するのも、家長の大切な務めなのです。
「何でシリアスを貫けないのかね、この人……」
これからのヤツタカ シジマの更なる成長にご期待ください……