12
若くして武術の極意に目覚め、
その生涯を武の道に捧げた偉大なる武術家。
晩年は巡回司法省の特別武術師範として、
若手司法官の育成に心血を注いできた、最強にして最良の師範。
ノミネスコ老師の魂に安らぎあれ……
「心の安らぎには、あの触り心地の良いふたつの柔らかさがイチバンじゃっ」
「ペルネちゃんではまだまだ役不足じゃのう」
「言ったなっ、じっちゃん」
「本気でイクからね!」
……武の道に生涯を捧げ、多くの弟子たちから拳神と慕われた老師は、
今はもういないのです。
目の前にいるのは、ふさふさ黒髪を伸ばし放題な細マッチョの若者。
めっちゃ楽しそうにペルネさんと組み手しておられますよ。
見た目はにいさん、口調はじいさん、中身はおっさん。
ノミネスコ師範 (20代前半ver.)
えーと、ルーリシェラさん。
とりあえず経緯を教えてください。
「流石の老師も老いには勝てませんでした」
「惜しまれながらその生涯を終えようとしていた老師の枕元に、ひとりの若い女性が現れたそうです」
「"竜の使い"と名乗ったその女性が『エリクサー改』なる妙薬を、ベッドに伏したままの老師に口移しすると……」
……あんな風に若返っちゃった、と。
「若返った老師……師範は、すぐに目の前の女性を口説き始めたとか」
「『お祖母様の想い人が、こんなにも軽薄な男だったとは』と怒り心頭の女性は、師範をボコボコにして去っていったそうです……」
何やらかしてるんですか、師範……
「今でも武術師範としてご指導を続けてくださってはおりますが、その、何と言いますか、ムラっ気が……」
うん、見れば分かります、武術シロウトの俺でさえ。
アレはまさに、ヒャッハー魂に目覚めちゃったやんちゃボーイそのもの。
「フィニッシュ!」
さわさわ
「もー、じっちゃんのえっち!」
ダメだ、あの元老師……
---
いや、とてもじゃないけど、
あのヒャッハー師範にはペルネさんを任せておけないですって。
ってことで、早々に撤収しようとした俺たち。
「ジルマちゃん、元気しとったかの?」
「お母さん、すっごく元気!」
「故郷の村でデッカい盗賊団が暴れてるって聞いて、ワクワク顔で退治しに行ったよ」
「私がお父さんの生まれた国を見に行きたいって言ったら、修行ついでに行っといでって」
おっと……




