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地方で痴呆と暮らす

作者: 外天ハク

私は、今年で75歳になる。現役時代は東京


都心の企業に務め3人の子供を育て上げた。


ずっと力添えをしてくれてた愛妻には、


昨年旅立たれたばかり。子供達は独立し


都会の住処を処分さ今は、地方の小さな家で


1人暮らしている。それなりに近所付き合いを


したり元同僚と酒を酌み交わしたり、そんな


日々を送っていた。


ある日の事だ。置いた記憶の無い財布がポツン


とタンスの上に鎮座していた。気のせいかと


済ましたもののそれから似た様な出来事が続き


いよいよ不気味になってきたので、ある事を試


す事に決めた。使い古したビデオカメラで私自


身の行動を撮る試み。起きてる時間の間ずっと


録画するのだ。


朝にセットしたカメラを就寝前にチェックして


みる。そこには覚えてる行動が多々ある反面、


ついつい忘れてしまっていた自分がいた。全く


覚えていない、財布をタンスの上に置く自分の


姿に唖然とした。それは自分なんだが自分では


無い様に見える不思議な体験だった。今後もこ


の様な事が続くのか、いや多くなっていくのか


と思った瞬間今までに無い不安に襲われた。


かといってこれから子供達に世話になる気も無


いし、迷惑をかける気もない。ならばどうする。


このまま地方でこの痴呆と暮らすしかないのか。


それも人生か。


不安と布団に包まれ眠りにつく。夢の中で死んだ


女房が語りかけてくる。


「大丈夫、自分を見失わないで生きてください。


あなたは、痴呆なんかに絶対負けない。」



胸を熱くさせる口調口癖は妻そのもの、涙が込


み上げてくる衝動に駆られ私は目覚める。

日本の何処かにはこんな方が居てもおかしく無いのかな?

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