2-1
「おい、お嬢」
「……なあに、それ。わたしのこと……?」
「お前、逃げてる身だろ。本名で呼ばない方が良い」
……ああ、そういうこと。
何だ。てっきりそういう関係が宜しいのかと思ってしまった。
「ちゃんと、考えてるんだね」
「当たり前だろ。俺だってこんな厄介事に巻き込まれて、見つかりたくねえんだからなァ」
「……その割には、さっき寄ったお茶屋さんで抹茶団子食べ尽くしたよね」
「うるせェ」
見つかりたくない割には目立つ行動をとってしまっている気がする。
まあ、彼もわたしも初めてのことだらけで、浮き足立ってしまうのは仕方の無いこと……だと思う。
「とりあえずこの辺からは離れるべきだなァ。すぐに捕まっちまうだろ」
「……うん。電車、に乗れば良いのかな」
「だろうなァ。乗ったことねェが」
「わたしも、無い」
一応、知識だけはある。外に憧れて本は沢山読んだし、テレビだって沢山観たのだから。
「……なァ、お嬢よォ。その髪、何とかしろ。目立ってしょうがねェや」
「あっ……」
……忘れてた。
確かに周りからジロジロ見られてる。わたしはアルビノで、ただでさえ目立つ外見をしているのだ。捜索願いなんか出されたらすぐにバレてしまうだろう。
「……でも、捜索願いは暫く大丈夫だと思う。お手伝いさん達はわたしが脱走したのをお父様にはバレたくない筈。捜索願いなんて出したら絶対にお父様の耳に入っちゃうから」
まあいつかはバレちゃうだろうけど。
でも最初は絶対にお父様にバレないように行動するだろうから、捜索願いは暫く出されないと考えても大丈夫だと思う。
「……それでも、ジロジロ見られるのは、とても不愉快なんだけど」
「はッ、言うじゃァねーか」
「実を言うと、このドレスも逃げるのに邪魔で不愉快だと思っていたの。だから、売ってお金に替えよう」
そうと決まれば急げ。髪を隠せるような地味めな黒い服……フードなんかが良いかも。
わたしと彼は適当に目に付いた洋服屋さんに入ることにした。