表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最愛なる殺人鬼さまへ  作者: 有氏ゆず
第一話 殺人鬼との出逢い
6/83

1-5





「……まァ、家が居心地が良い場所なんて、決まってねェからなァ」


男は何かを考えるように空を見上げた後、言った。


「助けてやるよ。だがこれだけじゃ足りねェ」

「……ちゃっかりしてるんだね。良いよ。助けてくれたら美味しい物いっぱい食べさせてあげるから」

「……言ったな?撤回は許さねェぞ」

「く、来るな!!」


お手伝いさんが叫んでも、男は止まらなかった。

というか叫ぶだけで何も出来ないんだね。……まあ、その方が助かるけれど。





「ほら、助けてやったから約束通り美味いモン食わせろよ」

「くっ!その人を返せ!」

「くそ!何とか取り返さないと旦那様に何を言われるか……!!」


気づけばわたしは男の腕に抱えられていた。

……それにしても、もっと普通に抱えて欲しい。俵担ぎって。


「……まだダメ」

「あァ?約束が違ェだろ」

「ここから逃がしてくれないと、食べさせてあげられないもの」

「成程なァ。ならとっととずらかるか」


カラン、と男が履いている下駄の音がひとつ響いた。

その瞬間、周りの景色が見えなくなる。


あまりにも男の足が速過ぎて、周りの景色が上手く映らないのだ。……下駄なのに。




「速い。酔いそう」

「黙ってなァ。喋ってると舌噛むぞ」


……それは痛そうだ。

わたしは黙って男に掴まっておくことにする。


「ま、待て!逃がすな!」

「ダメだ!速すぎる!」


お手伝いさん達の姿がどんどん遠ざかっていく。そんなに速いんだ、この人。しかも全くスピードが落ちる気配も無し。





……それより、わたしはいつまでこのままで居れば良いんだろう。


まあ、捕まるよりはマシだろうから、暫くは我慢しよう。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ