ろくのに
「やーい、悪魔!とっとと死ねー!」
バケツで水をぶっ掛けられる。
こんなことはもう、日常茶飯事だった。
家よりもマシならば何処だって良いと願って入った施設は……家よりももっと劣悪な環境だった。
家では罵られることや、存在を無視されることは何度もあったが、手を上げられることだけは無かった。ここではそれが普通に存在しているのだ。
俺は何もしていない。ただ瞳の色が皆と違うだけ。瞳の色が不気味なだけ。
たったそれだけのことで俺は同級生にも、年上にも年下にも、あろうことか教師にさえも暴力を振るわれ続けていたのだ。
例えば鉛筆を落とす行為。他の奴らがこれをしたところで咎められすらしない。
だが俺がすると、罰と称して全員から吊し上げられるのだ。本当に、全員だった。
俺を助けてくれる奴なんて、一人も居なかった。
最初こそ俺は抵抗して泣き叫んでいたが、そんなことをしても無駄に奴らを喜ばせるばかりだし、何より疲れる。
いつしか、俺は全てがどうでもいいと思うようになり、一切抵抗もせず、されるがままになった。
「つまんねえ」「反抗しろよ」などと言うなら、やめて欲しい。どれだけやったって、俺はもうお前らが望む反応なんて、見せてやる気は無い。
それでも虐めは無くならなかった。
奴らによると俺は悪魔らしいから、どんな罰でも受け入れないといけないらしい。
だから黙って受け入れてやってるのに、黙っていたら文句を言ってくるなんておかしいだろ。
結局コイツらは虐めが楽しいだけ。コイツらの正義なんてありはしない。
縄跳びで顔身体問わず散々鞭打ちにされ、その日の地獄はようやく終わりを迎えた。




