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最愛なる殺人鬼さまへ  作者: 有氏ゆず
第六話 殺人鬼が生まれた日
36/83

ろくのいち





俺、神凪(かんなぎ)(しん)は神凪家の長男として、この世に生を受けた。

生まれたばかりの俺はそれはもう母親にそっくりな綺麗な藍色の瞳をしており、両親に愛されて育った。


……扱いが明らかにおかしくなったのは、俺が4歳くらいの時だっただろうか。

何故かもどういう原理で起こった現象なのかも未だに分からないが、4歳になった頃、藍色だった俺の瞳の色が変わった。……血のような、真紅色だった。


それが原因で、最初は両親が揉めた。

父親は他所の男の子供ではないかと喚いた。母親は名誉毀損だと喚いた。

両親の喧嘩が、日常になった。




そして、そのうち怒りの矛先が俺へと向かった。

何て穢らわしい瞳の色なんだと言われた。そんな汚い瞳の色のお前は悪魔の子だと言われた。

毎日毎日、俺は両親から罵られ続けた。


どうしてこんなことになってしまったのか、俺には訳が分からなかった。

確かに幸せだった筈なのに、その幸せはいとも簡単に崩れ去ってしまうものだったのかと絶望した。毎日、無気力なまま過ごした。




……そして、俺が7歳になった後のことだった。俺は小学校にすら行かせて貰えず、家で放置されていた。

勿論俺への誕生日プレゼントなんてものは何も無かったが……母親が第2子を身篭った。どうやら俺に弟が出来たらしい。

しかし、それと同時に俺が施設へ預けられることが決まった。俺は、弟に触れさせても貰えないようだ。


この子が俺達の第1子だとかいう父親の言葉をぼんやりと聞いた。

母親はあの子は悪魔の子で私達の子じゃないものとか、そんなことを言っていた。


正直、もうどうでも良かった。

ここに居ても辛いだけで、両親の態度が変わることは一生無いだろうと、7歳にして俺は悟ったのだ。




そして施設の人間が俺を引き取りに来る。

両親は悲しむ様子も無く、寧ろ早くそいつを何処かにやってくれと言いたげな視線を俺に向けていた。……クズな奴らだなあ、と思った。


俺も未練など無かった。……ひとつだけ、未練があるとするならば、弟の顔を見られなかったことだろうか。


施設の職員に手を引かれ、俺は最悪な実家を後にした。

何処でもいい。ここより最悪じゃなければ、何処だっていい。














その時の俺はこれが最低最悪の地獄だと思っていて。




だから、これ以上の地獄がこの世に存在するなんて、考えてもいなかったのだ……。





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