5-7
「……ばァか」
黎一郎はようやく言葉を発したかと思うとため息をひとつついて、私の頭に何か乗せた。
「え、何これ……?」
見ようと首を動かすと、それが頭から落ちてくる。……それは、小さな箱だった。
「開けろ」
「う、うん……」
一体、彼はどういうつもりなのだろうか。黎一郎の意図が読めない。どうして彼がこんなものを持っているのか、私には分からなかった。
戸惑いながらも私は箱のラッピングを解く。
「……!」
箱を開けて、私は思わず言葉を失った。
そこに入っていたのは、アイスブルーの色をした、リボンだった。
「ど、どうしたの、これ……」
「やる」
「え、私に……?」
「俺ァお前以外に贈り物をするような奴はいねェ」
「贈り物……!?」
まさかこの前言ったことを本気にしたのだろうか。気が向いたから買ってくれた、とでも言うのだろうか。
「少し早い誕生日プレゼントってことに、しておけェ」
私は相当変な顔をしていたのだろうか、フォローするように彼が言った。
「これを、買いに行ってたの……?」
「何が喜ぶのか分からなかった。ただ、お前の瞳の色を思い出して、これが似合うなって思っただけだ」
「私の、ために……?」
「……ンだよ。気に入らないなら捨てても……」
「ううん。嬉しいの。本当に嬉しい。私、サプライズなんて初めて」
……だめ。また泣いちゃいそう。今度はさっきと違って嬉し涙だけど。
きっと、そんなに高いものじゃないと思う。だって、ただのリボンだもの。
でも黎一郎って変なところ真面目だから、これを選ぶだけで、すっごく悩んでくれたんだと思う。
そんな、彼の気持ちが優しくて。嬉しくて。
「……泣いちゃっても、良い……?」
「はァ!?たかがリボンだろ!?」
「たかが」じゃない。確かに私は今までお父様に、物凄く高いであろうプレゼントを沢山送って貰った。でも、そんなに嬉しくなかった。
そんなプレゼントよりも外に出して欲しかったし、自由にさせて欲しかった。
それに、お父様やお母様に直接お祝いされたかった。
でも、黎一郎は私と向き合ってくれて、私に似合うだろうプレゼントを一所懸命悩んでくれて……想いの大きさが違い過ぎるもの。
「今まで貰ったどんな贈り物よりも嬉しい。ありがとう、黎一郎」
私は素直にそう告げると、照れ隠しなのか黎一郎はぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた。




