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「……仕方ねェ。こうなったら最期まで面倒見てやるから……もう絶対にするな」
「うん……もうしない。約束するから……」
もうしないと約束しても、わたしの罪が消えないことは分かっている。
でも、後2週間の命だ。何したって怖くない。
「……ありがとう、黎一郎」
絶対に離してやらないから、という意志を込めて、思い切り腕に抱きついてやる。
「やめろ」と言われて、すぐに引き剥がされてしまったが。
「……頬、大丈夫かよ」
「大丈夫……じゃない。お詫びに何かちょうだい」
「おいコラ」
冗談だけど。
でも死ぬ時に黎一郎から贈られた物を持って死にたいという願望が、今出来た。だからあながち冗談ではないかもしれない。
「……だめ?」
「はァ……気が向いたらな」
「うん。気が向くことを祈ってるね。わたし、後2週間しかないから」
その事実を告げると、黎一郎は何故か不機嫌そうな顔を見せた。……本当のことなのに。
「期待してるね」
「気が向いたらって言ってンだろ」
「ふふ」
……良かった。仲直り出来て。
うん。充分に休めた。体力もしっかり回復している。
……いや、わたしはずっと黎一郎に抱えられているだけだから疲れないか。それよりもわたしを抱えて全力疾走した黎一郎の方が危なそう。
「黎一郎、もう平気なの……?」
「あァ。普通のホテルじゃねェとは言え、ここもいつバレるか分からないからなァ」
もう電車は使えないかもしれない。わたしたちは結局、歩いていく選択をするしかなかった。
だから朝早く……どころかまだ辺りが暗い今から、目的地に向かうことにしたのだ。
「……ねえ。本当に大丈夫?わたし、海諦めても良いよ……?」
「黙りなァ。お前の為じゃない。俺が食いたいモンがあるから行くんだ」
……ああ。一応黎一郎の目的はそっちだったっけ。それでも歩いて行くなんて、正気の沙汰じゃないけれど。
「良いか。お前の海はついでだ。感謝なんかするんじゃねェ」
「はいはい」
わたしたちは(一応)動きやすい格好に変装をし、今度こそ海へ向かう。……徒歩で。




