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「おはよう……」
今日もいつも通りの景色。
いつも通りの天井。
傍らのお手伝いさんに声をかけても返事は無い。
……当たり前か。わたしと会話したら、この人消されちゃうもの。
わたしは生まれつき真っ白だった。
所謂、アルビノというやつ。
それだけで好奇の目に晒され、幼い頃わたしは誘拐されかけた。
お父様はわたしを守る為に、わたしを家へと閉じ込めた。
お母様は、何も言ってくれなかった。
それだけでも辛いのにわたしに追い打ちをかけるかのようなことをお医者様に告げられた。
わたしの寿命は、12歳らしい。
わたしは今11歳。
お医者様の言葉が本当なら、わたしは残りもう一年しか生きられないようだ。
それを聞いたお父様はなるべくわたしに負担をかけぬよう、少しでも長生きさせるよう、部屋へと閉じ込めた。
この時も、お母様は何も言ってくれなかった。
お父様は世界中を回ってわたしを延命させる方法を探していたのだが、わたしを閉じ込めた後すぐに元々病弱だったお母様は病気で亡くなってしまった。
それからお父様は「お前だけは失いたくない」と余計に必死になって、滅多に家に帰らなくなってしまった。
鎖に繋がれ、部屋に閉じ込められたわたしが会えるのは、お手伝いさんだけだった。
でも会話は出来ない。
先程も言ったけど、わたしと会話なんてしたらお父様に消される。
お父様がわたしを愛しているのは分かる。そんなこと、例え11歳だろうと理解出来る。
それでも、こんな状態で長生きすることに何の意味があるのだろうかと思ってしまう。
鎖で繋がれ、自分の部屋からすらも出られない一生を送るのなら。
早死にしても良いからわたしは部屋から出て、自由に暮らしたかった。
……どっちにしても、わたしは死ぬのだから。