プロローグ「世界の終わり、時代の始まり」
紀元前末期、漢の高祖が国を一つにまとめて、約二百年の月日が流れる。
やがて、動乱の時代に突入する漢王朝の滅亡間近の頃、三英雄の登場が、国を三分して三つの日輪を作り出す。
魏、呉、蜀。邪馬台国や大和朝廷にも影響を与える、三つの国の志は、日の本と呼ばれる国の群雄割拠の時代、戦国乱世にも、三英雄を生み出す。
そして、現代。2022年、地球全体を新型ウィルスの脅威が襲う。
世界が地球と一つの国にまとまることなく、未だ争いを続ける中。ゲームに夢中の高校生、火龍
姜助は、新年の明け明け早々、時空転移の嵐に巻き込まれることになる。
姜助は、友だちと神社参拝の後に別れ、寒波の跡が残る肌寒い道を、一人で雪を踏み歩きながら家に向かっていた。
姜助「ふぅ。寒〜。カイロ、カイロっと!」
姜助が暖かカイロをポケットから取り出すと、反対ポケットにある液晶携帯が、鳴り出す。
『緊急地震警報です。緊急地震警報です。震度7以上の地震が推定されます。緊急地震警報・・・』
南海トラフ地震が発生した。
巨大な地割れが、姜助の周囲を襲う。
新型ウィルスの脅威も収まらぬ中、恐れていた南海トラフ地震が日本を襲う。
地割れが半径数十キロメートルに及ぶ、活断層を粉々にする勢いで東京、大阪、青森、長崎まで巨大な地震が日本を崩壊まで追い込んだ。
地割れに巻き込まれ、必死に地上へ留まろうとする姜助。しかし、地震の余波が、姜助が掴んでいる尖った岩を揺らす。
尖った岩は、姜助の手ごと崩れ落ち、姜助は暗い地割れが作り出した闇の奥深くに落ちていった。
あれから、どのくらいの時間が経ったのだろう。
声が聞こえる。
老人「怪我の具合はどうだね」
女性「はい、先生。頭の傷はだいぶ治まりました」
目を開けると、ろうそくの灯りが見える。
天井は石造りのようだ。
女性「彼の意識が戻ったようです、盧植先生」
盧植と呼ばれる老人「大した怪我でなくて良かった。最近は世の中も荒々しくなってきておるしのう」
姜助「盧植? 先生?」
姜助はまた意識を失う。傷がまた開いたのか。
姜助はまだ、ここがどこだかまだ知る由もない。