知り合いが有名人な気がする
よく行く立ち呑み屋に、変な常連がいる。「石垣さん」という名前しか知らない。
出立ちは至って普通のおっさん(といっても多分同い年くらい)だが、会話が変だ。
「インカ的な」「ブランの航海が」「夏王朝末期が」など、重度の世界史オタクだということがわかる。
いや、ここまでなら普通なのかもしれない。
俺の勘違いかもしれなのだが、社会とのある規則性に気がついてしまってしまった。
ある大人気アプリゲームがある。
年に100億の売り上げをあげるとかなんとか言われている大人気アプリゲームだ。
まずあのおっさんは呑み屋に来る、そしてある歴史の登場人物について語っていく、その2ヶ月後にその関連キャラが登場する。
つまり、そういうことなのだ。
ちなみに俺はユーザーだったりする。
「明のマテオリッチは西洋と東洋を股にかけすぎてるところが、賢そうで難しいよね。いい文献しらないですか?」
「いやぁー知らないですが、たしか万暦帝の時代ですよね?専門が知り合いにいるので聞いてみますね」
「いつもあーざまーす。直接紹介してくれないかなー?」
「そこまで親しくないので無理だわ」
「そうですよねー」
何度か知り合いを紹介してくれと迫られているが、そいつにどんな役職で挨拶するのか怖過ぎて、知りたくなくて、紹介なんて出来るわけがない。
あの有名なメインシナリオの人だったらどうしょう。え、こんなに若いの怖くない?怖すぎてwikiも調べられない。顔写真とか出てきて特定しちゃうの恐ろしいわ。
「そろそろ錦田さんの専門教えてくれないかな」
「絶対嫌ですよ。恥ずかしい」
「多分東南アジアだと思うんだけど…」
「詮索やめろ」
「時代的には近代…」
しまった。石垣とは3年くらいの付き合いになるので、これくらいの予想はされてしまうらしい。しかも合っている。
(一応)論文とか出している立場なので、検索されたら特定されてしまう。
「……………別に特定されても問題ないか?」
「え、教えてくれるの?」
「それはお前もだからな!いや、何でもない。言うな、絶対」
「えー俺絶対当たらないと思うなー」
「はぁ?そんなわけないだろ。絶対当てられるわ。ってか知り合って1ヶ月で予測ついたわ」
「いやー学者様とは真逆の職業?というか、絶対分かんないと思うわ」
「だから分かるって。それと学者様って言うな」