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追放・獣人×女装ショタ  作者: 善信
第四章 ドワーフ国に迫る脅威
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03 俺はいい弟子を持った

「お祖母ちゃん!いったい、どういう事なのっ!」

「ふぇ?」

 プンスコと怒る僕を前にして、お祖母ちゃんは小首を傾げた。


「……どうしたの、あーちゃん?ギルドに行って、聞いてきたんでしょう?」

「そりゃあね、お祖母ちゃんがお祝いだって言うだけの事はあったよ?」

 言われた通りにギルドへ行ったら、確かにA級昇格という、おめでたい事があった。

 でも、その後にお祖母ちゃんがチームに参入するなんて話を聞かさせれたら、もうお祝いムードどころじゃないよ!


「ええ~、いいじゃないのぉ。あーちゃん達のチームに、お姉ちゃんも入れてぇ」

「あのね、お祖母ちゃん(・・・・・・)?自分の立場をわかっているの?」

 あえて、「お祖母ちゃん」という呼び方を強調して、僕はグッと詰め寄った。


「お祖母ちゃんは、世界で五指に入る魔法使い……ハンターのランクで言えば、A級の上、『G級』クラスの人でしょ!」

 G級のハンターは、例えるなら聖剣の勇者である、エルビオさんと同格といっていいくらいの人達で、世界に十人(二チーム)しかいないハンターの最高峰だ。

 お祖母ちゃんは正式にハンター登録していなかったから、正確にはG級とは言い難いけれど、同じく五指に数えられる魔法使いの人がG級ハンターとして活躍しているから、たぶんG級(それ)くらいの認識で合っているだろう。


「そんなお祖母ちゃんが、なんだって偽名まで使ってハンター登録してるの!」

「あーちゃんだって、名前と性別を偽ってるし……」

「追放されたばかりで、行く所もなかったボクとは、状況が違うでしょ!」

 怒られたお祖母ちゃんは、シュン……と小さくなって哀れみを誘うように、上目づかいで僕を見る。


「だって……地元にいても、退屈だし、面倒なんだもん。どっかの偉い人が近寄ってきたり、別の偉い人が排斥しようとしたりで、ヤになっちゃう……」

 ううん……そりゃ、お祖母ちゃんくらいの人物になれば、そういった人も寄ってくるだろう。

 実際、小さかった僕が修行していた頃も、ちょくちょく仕官のお誘いや、脅迫めいた事を言う連中を何度も見たりしたしね。

 でも、いい歳の大人なんだから、その辺は割り切ってほしい。


「私はねぇ……人生に疲れていたの。あーちゃんを探しに来たのは本当だけどぉ、半分は世間から身を隠したかったっていうのもあるのよぉ」

 なるほど……そんな風に言われると、ちょっと同情しちゃう所もあるなぁ。

 落ち込み方が若干、演技っぽいけど。


「でも、それなら別に偽名でハンターならなくても、この家でゆっくりすればいいのに」

 お祖母ちゃんは普段、身内以外の前では「若い姿」を魔法で「年相応の姿」に偽って過ごすという、ややこしい生活を送っている。

 だから、一般的にはカルノという大魔法使いと言えば、お婆さんという認識だ。

 そんな訳だから、若い姿のままならいくらでも世間の目は誤魔化せるだろう。


「だってぇ、あーちゃん達のチームに入れば、色々なしがらみ無しに各国を旅できるのよ?魔法使いとして見聞を広げるためにも、乗らない手はないでしょう!」

 何故かフフン!と、胸を張るお祖母ちゃんの姿に、僕は大きなため息をついた。

 でも、正直な所を言えばその言い分も理解できる。

 だって、僕も魔法使いだからね。

 こういった好奇心や探求心は、どうしたって魔法使いと切り離せない物だもん。


『まぁ、諦めろアムール。この手の人物は、他人にどうこう言われても止まりゃしねぇよ』

 人生経験が豊富なターミヤさんが、ポンと僕の肩に手をおいて諭してきた。

 うん……元より、本気でお祖母ちゃんがその気なら、絶対に止められないというのは、身内の僕が一番よくわかってる。

 僕は大きくため息を吐くと、せめてトラブルだけは起こさないでねと釘を刺しておいた。


「了解よぉ、リーダー(あーちゃん)!」

 元気よく返事をしたお祖母ちゃんは、ディセルさんやロロッサさんに「これからよろしくねぇ♥」と抱きつくようにして、改めて挨拶していた。

 あ、そういえば一つ気になる事が……。


「お祖母ちゃん……なんだって、『二十歳』だなんて年齢で登録してたの?」

 ディセルさんと同い年に設定するのは、いくらなんでもサバを読みすぎだよね?

 

「それはまぁ、あーちゃんのお姉ちゃんって事で違和感が無いようにするのと、あとは……乙女心?」

 んん……乙女心は置いといて、姉妹の年齢差に違和感が無いようにっていう、配慮は理解できた。

 見た目より少し若く申告したのも、お祖母ちゃんなりに気を使っての事なんだな。


「そんな訳だからぁ、ディセルちゃん達も、気楽に話すようにしてよね♥」

「わかりました、カル……マーシェリー様」

「んもう!まだお堅いし、『様』は無しよ、ディセルちゃん!」

「う……わ、わかったよ、マーシェリー」

「ウチは誰に対してもあんまり変わらないんで、そのままでいいッスかね、マーシェリー氏」

 友達のように語りかけるディセルさんとロロッサさんに、おはようは満足そうに笑みを浮かべた。

 お気に召したようで、なにより。


「それじゃあ、お祖母ちゃん……」

「ダメよ、あーちゃん!」

 そう言いながら、急にお祖母ちゃんは僕の口を手でふさいだ!

「私は、あーちゃんのお姉ちゃんのマーシェリー。これからは、しっかり呼び方も固定させる事!」

 た、確かに、今は僕だけでなくお祖母ちゃんの正体も隠さなくちゃならない。

 そう考えれば、ですねさん達だけでなく、僕も設定は徹底的に貫き通さなきゃ。

 僕は頭の中まで切り替えると、お姉ちゃん(・・・・・)に頷いて見せた。


「ごめんね、お姉ちゃん」

「んんっ!あーちゃん、もう一回、呼んでみてっ!」

「お、お姉ちゃん?」

「いいっ!もう一回!」

 お姉ちゃんって呼ばれる度に、恍惚の表情で「もう一回、もう一回」とおねだりしてくる。

 し、しつこい!


 そんな風なやり取りを僕達がしていると、ディセルさんがターミヤさんに声をかけていた。


「先生。実は先程アムールと相談していたのですが、私達の次の目的地はドワーフの国にしようと思うんです」

『なにっ?』

「『ニホントウ』を作るにあたって、ドワーフの協力は必要でしょうから、是非とも先生のお目にかなう職人を探しだしてください」

『お、お前ら……まさか、俺のために?』

「私が強くなれたのは、先生のお陰です。少しは恩返しさせてください」

『んんっ!おじさん感激っ!俺はいい弟子を持った!』

 ぶわっ!とどこから溢れたしたのかわからない量の涙を流しながら、ターミヤさんは感激に(むせ)び泣く。

 喜んでもらえたみたいで、よかったですね、ディセルさん。


            ◆


 そうして色々な準備をしつつ、いつも通りの修行や小さな依頼をこなしながらの一週間は、あっという間に過ぎ去った。

 いよいよ、僕達はいよいよA級ハンターの認識証を受け取る。


 ディセルさんの首輪タイプも新調したので、改めて彼女の首に僕がそれを巻いてあげた。

 今度は、僕もその意味(・・・・)をしっかり自覚しながらの行為だったので、ディセルさんはいつも以上にニコニコしながら、激しく尻尾を振っていた。

 ふふっ……彼女がすごく嬉しそうで、僕も幸せな気持ちになってくる。


「さて、それじゃあリズさん。留守の間、よろしくお願いしますね」

『かしこまりました。いってらっしゃいませ』

 頭の中に響くリズさんの声に頷き、僕達は意気揚々と出発する。


 目指すは、遥か北の山脈地帯にあるドワーフの国。

 まぁ、依頼ではなくて完全に私用なだから、ちょっとした旅行気分で、気楽に行くとしよう。

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