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追放・獣人×女装ショタ  作者: 善信
第二章 邪神教団の罠
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04 温泉!?

 バートの街から、南の森の奥にある『狩人の村』までは、だいたい三日ほどの距離である。

 ただ、森の中ではモンスター等に襲われる事も多く、もう少し日数もかかる事を計算して準備を進めた。

 そうして、勇者一行と顔合わせをしてから二日後に、僕達はバートの街を出立したのである。


            ◆


追跡型ホーミング・電撃魔法ライトニング!」


 僕の杖から放たれた電撃が、樹木の影に隠れた猿型のモンスターを追って弧を画く!

 自動追尾する雷に貫かれ、数匹のモンスターが絶命したけれど、木を盾にして逃れた残りの連中が、僕にめがけて殺到してきた!


「はあっ!」

 しかし、ディセルさんの気合いの声が響き渡り、僕に襲いかかってきたモンスター達をまとめて切り伏せる!

 断末魔の悲鳴をあげ、地に落ちるモンスター達。

 この森に入ってから、何度目かになる光景だった。


「やりましたね、ディセルさん!」

 血を払い、剣を納めた彼女に、僕が駆け寄ろうとしたその時!

 致命傷を負いながらも、最後の力を振り絞ったモンスターが、僕に鋭い爪を突き立てくる! 

 だが、堅い金属音と共に、モンスターの爪が斬り飛ばされ、そのまま返す刀で首を落とされた!


「危ない所だったね」

 僕を救ってくれたエルビオさんが、爽やかな笑顔を浮かべて手を差し出してきた。

「あ、ありがとうございます……」

「いやいや、礼には及ばないさ」

 僕もなるべく朗らかな笑顔を作って、彼の手を取り立たせてもらう。

 でも、なんだろう?

 エルビオさんが、僕を見ながらバチバチと片目で瞬きしてるけど……埃でも目に入ったのかな?


「討ち漏らしてしまってすまない、アムール!」

 大丈夫だったかい?と尋ねてくるディセルさんに、僕は笑顔で平気ですと返した。

 ホッと安堵した様子の彼女だったけど、ふと表情が曇っていく。

「……君を守ると決めたのに、私はまだまだだな」

 肩を落とすディセルさん。

 たまたま生き延びた奴がいただけなのに、そんなにがっかりしないでほしい。

 そんな事はないですよと励まそうとしたけれど、それより先に横からグリウスさんが声をかけてきた。


「いや、あれだけの数を一瞬で切り捨てたんだ、さすがと言っていいだろう。少なくとも、剣速だけなら俺より上かもしれん」

 おお!勇者一行の重戦士であるグリウスさんから誉められるなんて、やっぱりディセルさんはすごいんだ!

 僕は、まるで自分が誉められたみたいに誇らしい気持ちになった所に、ヴァイエルさんとルキスさんも参戦してくる。


「いやー、ディセルの剣技もたいした物だけど、アムールの魔法もすごいと思うよ」

「そうですね。あそこまで自在に魔法を操るなんて、A級のハンターでも難しいんじゃないでしょうか」

 そ、そんなに手放しで誉められると、照れちゃうな……。

「いや、アムールの魔法の腕は、本当に素晴らしいよ。なんなら、僕らのパーティにスカウトしたいくらいだ」

「い、いえいえ!そんな……」

 エルビオさんまで、そんに持ち上げてくるなんて……。

 前に迷惑をかけてしまっていた皆から、ここまで言ってもらえると、素直にとても嬉しい!

 まぁ、女装して正体を隠してる今の状態じゃあ、勇者のパーティに戻る選択肢はないけどね。


「さぁ、目指す村まではもう少し……だよね?元気を出して、案内を頼むよ、お二人さん!」

 わずかにボケた発言で場を和ませながら、エルビオさんは僕達に案内を促した。

「はい!」

「ああ……」

 元気よく答えた僕と、静かに頷くディセルさん。

 んん……やっぱり、彼女の元気が無さそうで、ちょっと心配だなぁ。

 後で、どこか調子がよくないのか、聞いてみるとしよう。


 そうして、気を取り直した僕達は、さらに森の奥へと向かう。

 それからも何度かモンスターの襲撃を受け、それらを撃退しつつ進んでいった僕達は、二日後にようやく目的の『狩人の村』へと到着した。


            ◆


「いや、まさか噂に名高い『聖剣の勇者』様の一行が立ち寄ってくださるとは、なんとも名誉な事ですな」

 村に到着した僕達の素性を聞いて、村長を名乗る中年の男性がニコニコと笑みを浮かべながら出迎えてくれた。

 あれ……でも、前にこの村に来た時は、もっと厳ついおじいさんが村長だったはずだけど……。


「ああ、それは私の親父ですな。つい二月ほど前に、病でポックリ逝ってしまいまして、代替わりをしたんです」

 少し気になったので尋ねてみると、そんな答えが返ってきた。

 そ、そうだったのか。

 知らなかったとはいえ、なんだか繊細な所に触れちゃって、申し訳ないな……。


「ハハハ、そんなに気にする事はありませんよ、アムールさん(・・・・・)

 ん?

 僕達はまだ、名乗っていないけど……?

「フフフ……この辺りで、魔王四天王の一人を倒した、『レギーナ・レグルス』のお二人を知らぬ者はいないでしょう」

 噂にたがわぬ、美人コンビですな!と、村長は豪快に笑った。

 そ、そうか……僕達のチームも、けっこう知名度が高くなっていたんだと、実感が沸いてくる。


「まぁ、こんな所ではなんですし、『聖剣の勇者』様一行に有名なハンターの方々が、どのようなご用でこんの辺鄙な村に来られたのかは、あちらでうかがいましょう」

 そう言って、村長は僕達を自分の家へと案内してくれた。


            ◆


「──なるほど、この近くに『邪神にかかわる怪しい集団』がいないか、と……」

 僕達の話を聞き終えて、村長はしかめっ面で黙りこんでしまった。

 まぁ、急な話ではあるし、そんな反応にもなるかな。

 でも、そういった邪教の類いは普通だったら隠れてやってるものだから、情報は簡単に得られないと思う。


「……ひとつ、心当たりがあります」

 え?あるの?

「実はここ最近、森のさらに奥で、アンデッドの目撃情報が何度かありまして」

 ア、アンデッドが!?

 戦場跡や、打ち捨てられた墓地なんかでは自然発生する事もあるなんて聞くけど、生命力の溢れる森の中でそんな物が出てくるなんて考えづらい。

「つまり、死霊魔術を使う何者かが潜んでいるということか……」

 エルビオさんの言葉に、皆が頷いた。

 確かに、それは怪しい。

 基本的に死霊魔術なんて使うのは、邪悪な連中ばっかりだもんな。


「今のところ実害は出ていませんが、近々ハンターのギルドに調査を依頼しようかと思っていたんです」

「わかりました。僕らがそれを調査し、目的の敵であるなら排除します!」

「おお!それはありがたい!」

 依頼を出そうかと悩んでいたらしい村長にとって、僕達の訪問はラッキーだったようだ。

 調査を快諾したエルビオそんの手を取り、よろしくお願いしますと彼は頭を下げた。


「さて……そうなれば、ささやかながら歓迎の用意をせねばなりませんな。どうぞ、今夜は鋭気を養ってください」

「いえ、そんなお気になさらず……」

「いえいえ、何も無い村ではありますが、実は温泉が沸いておりましてな」

「温泉!?」

 村長の言葉を聞いた瞬間、女性陣の目がギラリと輝く!


「エルビオ!ここは村長の厚意に甘えよう!」

「そうですね、せっかく私達を労ってくだされるのですから、無下にはできません!」

「お前ら……」

 キラキラした目で言い寄る、ルキスさんとヴァイエルさんにため息を吐いて、エルビオさんは村長に「お世話になります」と一礼した。

 まぁ、確かに旅の道中は濡れた布で体を拭く程度だから、ちゃんとしたお風呂はありがたいよね。


「では、すぐに仕度をさせましょう。それまで、しばらくお待ちください」

 村長はそういって、席を外した。

 僕達だけが大広間に残されると、ルキスさんとヴァイエルさんが、ちょっと浮かれた様子でキャッキャッと話し込んでいる。

 ちらりと見れば、ディセルさんもどことなく嬉しそうだ。


「ボク達も、勇者様達の後に温泉にいきましょうか」

「うん、そうだね」

 さすがに一緒に入る訳にはいかないけど、一番最後には僕もゆっくりお湯に浸かって疲れを癒そう。

 そう思っていたら、僕達の会話をルキスさんが聞き付けていたようだ。


「もう~、二人とも何を言ってんのよ。もちろん、アタシ達と一緒に入るに決まってるじゃん!」

「女性同士、裸のお付き合いと参りましょう」

 …………ええっ!?

 ま、まずい!それはまずいですって!

 慌てて断ろうとしたけど、どこにそんな力があるのかと思うくらい、ガッチリとした力で押さえられてしまう!


「まぁまぁ、そう恥ずかしがらずに」

「そうですよ。色々と、お話したい事もあるありますし」

 いつになく強引な二人が、ちょっと怖い。

 そうして、逃げられない状況のまま、浴場の仕度ができましたと、村の人が告げにきた。


「よっしゃ、いくよ~!」

「温泉♥温泉♥」

 抵抗空しく、ズルズルと引きずられるようにして、僕とディセルさんは浴場へと連行されていった……。

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