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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
試練
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風来のシレン1

第30話 導かれし七人・翼の続きのお話です。

 嬉優市内鈴井川河川敷


 帰還した翼に闘気は驚愕する。

 何故なら戦いを嫌うあまり、これまで騎神を一人も倒してこなかった翼が試練をクリアして戻ってきたのだ……しかもこんなに早く。


 悪の試練の経験から試練を乗り越えるためには強い精神と能力が必須のはずで、そのどちらも持ち得ぬ翼には到底乗り越えられるものではないと思っていた矢先のことだった。


 翼も闘気に気付き声をかける。

「山城さん!戻られてたんですね!!」手を振る翼に闘気は急いで駆け寄り問い詰める。

「お前!どうやって?」翼は少し疲れた様子ではあったが、以前と変わらぬ丁寧な口調で話し始める。


 


 ーー1 風の試練 ーー


 果てなく続く砂漠、気を抜くと身体ごと吹き飛ばされそうな砂嵐の中、僕らは声を聞いたのです。

 風神の声を……大気を揺らす豪快で迫力のあるその声は僕らの鼓膜ではなく魂に語りかけました。

「「我が名は風神 風伯ふうはく

 風の騎神共よ!我が元へ来い!

 己が能力チカラを示し、我の元へいち早く辿り着きし者に風の奥義と固有技を進ぜ、元の世界への帰還を許そう!!

 辿り着けぬ者はこの砂漠(世界)の一部となることと心得よ!!

 さぁ、参られい!我は此処ぞ!!!」」暴風に乗って聞こえる風神の声に僕らは進まざるおえませんでした。暴風の源と思しき地平線の先の、巨大な竜巻に向かって……


 

 進行を妨げる暴風と身体に打ち付けられる熱砂が容赦なく体力と精神を削り、同じ位置から進み始めた人々は一人また一人と歩みを止め、中には力無く暴風に吹き飛ばされていく人もいました。

 手を差し伸べてもその手は届かず、僕は彼らに何も出来無いままただ見送ることしかできませんでした。

 そしてその先で彼らは後方から進んで来る騎神達の容赦無い攻撃に晒され撃破されていきました。

 それを見ていた僕らに気付いた騎神達はかまいたちなどの遠距離攻撃を僕らに向け放ってきたのでした。


 そこで気付きました。


 試練開始当初、周囲に騎神達がいたにも関わらず何故戦闘にならなかったのか…

 それは彼らが僕同様これまで戦闘を避けてきた人々だったから、戦闘を避け騎神を一人も撃破してこなかったため僕らの能力は他の騎神に比べ極端に劣る。

 そのため救済処置として先頭からのスタートだったのではないか、そして今後方から追いついてきた騎神達はこれまで幾多の戦いを勝ち抜いてきた騎神達だとしたら……

 僕らに勝ち目は無い……その時、

『戦う覚悟も無い奴が何しに来た?』

『だから、お前じゃダメなんだよ・・・』

 藤堂さんや山城さんの言葉が脳裏をよぎり、これまで護られるだけだった自分への決別と自分の意思で戦う決意を乗せた風見の一矢を放ち、全てのかまいたちの相殺に成功しましたが、それだけのこと…

 迫る騎神達を止めることは出来ず騎神の攻撃を弓で受け止めるので精一杯、組み敷かれ為す術もありませんでした。


 周囲で逃げ惑う騎神達は追いついてきた騎神達の餌食となり一方的に蹂躙されていくばかり、断末魔と血飛沫と同時に騎神の遺体が暴風に吹き飛ばされていく様に恐怖しました。


 その間も僕を組み敷く騎神が僕に止めを刺そうと力任せに体重を掛け迫りますが、次の瞬間目に砂が入ったようで、痛みで悶絶した隙を突き脱出した僕を騎神は逃すまいと武器を振り回し迫ります。

 そこへ更に後方から迫る騎神が追い付くなりその騎神を惨殺し、僕に目もくれることもなく前進していきました。

 そう、急がなければ『この砂漠の一部』になる。

 何としてでも風神の元へ……あの地平線の先へ向かわなければならない。


 僕には帰りを待っていてくれる人が…

 これまで僕を支えてくれた人達が…

 僕を見守ってくれていた人達がいるんだ!その人達の思いをこんなことで無駄にしていい筈が無い!!


 

 翼は進む、地平線の先にあるゴールに向かって一歩一歩確実に前へ・・・・・


 


 ーー2 Handicap ーー


 翼から遥か彼方、暴風すら届かぬ無風の砂漠・・・【風虎棒】の騎神がたった一人で佇む。


「「さぁ、試練を始めるぞ〇〇!」」突然の風伯の声に驚くことなく内容を確認する騎神、落ち着いた様子でゴールである遥か彼方の竜巻に狙いを定めると砂漠に棒を突き立て能力で自分の周囲に空気を集め始める。

「「気付いていると思うが、お前と他の騎神共の間にかなりの距離を取らせてもらった。

 そうでなくては面白く無いからな……強者故の措置と思ってくれ……〇〇」」


 集約されていく空気が風の流れとなり騎神の袖が棚引き始め、その動きは徐々に激しさを増していく。

 次の瞬間集約された空気を一気に解放、空気圧を利用し爆発的な加速を生み出し風の能力で方向をコントロールしつつ猛スピードで砂漠を突っ切って行く。

 暴風域に入るとその暴風すら利用し更に加速、前方を進む騎神達を次々と追い抜いていく。直進する騎神の目は一点、ゴールである巨大な竜巻だけを見つめていた。


 


 そして…別の場所からも強者が動き出す。


 暴風域のとある地点…砂嵐の色が変わる。


 道なりに散らばる人の身体の一部、真っ赤に染まった砂の道、暴風で巻き上がる紅い砂


 真紅の砂嵐が告げる強者の存在……血砂の死神がこの砂漠(世界)を朱に染める。


 

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