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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
試練
34/56

Shout At The Devil 1

第30話 導かれし七人・闘気の続きのお話です。

 漆黒の闇の中、視覚と声を奪われ周囲に感じる気配にも翻弄され精神的に追い詰められていく騎神達…そこへ直接頭に下品な笑い声が響く。


「HAーーーッHAHAHAッHIHIッOHOHッHAHAッ……」その不気味で不快な声は視界を奪われた騎神達の恐怖心を煽り、冷静な判断力を奪う。

 得体の知れない恐怖に怯え、騎神達は武器を一斉に構える。

 ある騎神の構えた武器の先端が近くの騎神に僅かに触れた瞬間、張り詰めた騎神の精神が暴発

 同時に封じられていた声が解放された。


 叫び声と共に生暖かい液体が周囲に飛び散る。肌に付着した粘り気のある液体からは生臭さの中に僅かに鉄の臭いがした。

 液体の正体に気づいた騎神は発狂、武器を振り回し錯乱したことでその混乱は一気に拡散

 増える叫声と舞う血飛沫、次々と恐怖が感染していき、その場は阿鼻叫喚の宴へと変わる。


 その間も騎神たちの頭から不気味な笑い声が鳴り止むことはない……


 


 ーー1 悪魔 アモン ーー


 絶えず頭の中を掻き乱す笑い声と鼓膜を揺るがす絶叫と嗚咽、そして錯乱した者が口にする意味不明な文言

 不安と恐怖と不快感で騎神達の精神はすでに極限状態……

 そして、騎神達の精神を狂わせてきた不気味な笑い声が言葉に変わる。


「いやいやごめんごめん、思った以上にみんな面白い反応をするもんだから……HIHIHI、楽しくなっちゃってついつい


 さぁ、本題にはいろっか!

 ボクチンの名前はアモン!悪魔のアモン

 君たち悪の騎神の能力を司る者さ

 悪魔がどんな顔してるか見たい?

 こんなカオーーー!!」アモンのふざけた声と同時に離れた場所から聞こえる絶叫、それと同時に響くアモンの爆笑

 立て続けに至る所から聞こえてくる叫び声にアモンの下卑た笑いが続く。


 アモンは特定の騎神の前に姿を現しては消えを繰り返し、それに驚く騎神の反応を観て楽しんでいるようだ。


 そんな中、ついに精神が壊れた騎神が発狂、己に武器を突き立て自殺した。

 アモンはその死体を持って宙へ浮かび上がり、騎神達に死体を晒した。

「あ〜あっ死んじゃった……まだ試練の説明もしてないのに……ま、いっか!」アモンはそう言って死体をポイ捨てするかのように手放す。

 騎神達の目に映った悪魔の姿は闇に溶け込むかのような漆黒の体に、際立つ純白の仮面、描かれた顔は口角が仮面の端から端まで大きく笑うように裂け、まんまるに開かれた目から光を漏らす不気味な顔

 自分を見上げ怯える騎神達を見渡すアモンは首を真横に不気味に傾け、裂けた口を開く。


「みんなにはこれから悪の試練を受けてもらうよン!パッ!」合図と共に姿を消したアモン

 そしてアモンを探し周囲を見渡す騎神達の視覚が一部解放された。そこで騎神達の目に映ったのは闇の中目の前に立つ己の姿……


「試練の内容はいたってシンプル!自分自身と戦って勝つこと!

 人間はよく言うじゃない、『一番の敵は自分自身』とか『昨日の自分を超える』って!

 じゃ〜みんなにも過去の自分を越えてもらおう!ということで、みんなのコピーを用意しました〜!!」アモンの言葉に騎神達の前に立つコピーも驚き、騎神達と同じ反応をした。

「コピー達はついさっきまでのみんなをコピーしたモノだから!

 ちなみに彼らは自分のことをコピーだと知らないし、自分こそが本物だと思ってるから!生き残るために必死になって戦うと思うんで、気を付けてね〜!HAHAHAHAHAHA〜

 あっ、ちなみのちなみに〜この世界では生きてるモノは見えないし触れないけど、そーじゃないモノは見えるし触れるから…みんなも死体につまずかないように気を付けてね〜!!HAHAHAHAHAHAッッ……」アモンの不快な笑い声が治まると暗闇が再び静まり返りしばらくの沈黙の後、どこからともなく気勢の声とともに武器がぶつかり合う音が聞こえ始める。

 それが試練開始の合図となった。


 そして闘気も目の前に立つ己のコピーと干戈を交えることとなった……


 


 ーー2 ストレスの塊 ーー


 直刀の切先を向けてくる自分に対し、自分に切先を突きつける自分……おかしな構図だ。


 真っ暗闇の中、見えるのは自分の複製のみ、しかも無駄にハッキリと見えるモンだから余計にメンド臭い。周りから聞こえてくる戦いの音は耳元を掠めていくクセに何も見えやしない……目の前に立つ俺の複製も集中できず攻めあぐねてやがる。

 奴も俺も出方を伺って動かない……

 本当に俺のコピーなんだとしたら奴は俺が動くまで動かない……いや、動いたら最後、その先を読まれて終わりだ!

 どうすりゃいい!?

 チクショウ、周りに雑音が多すぎて集中できない……


 つーか、俺は本当に俺なのか!?

 悪魔は言った。『コピーは自分こそが本物だと思っている』と……じゃぁ俺が偽物で奴が本物の可能性も……待て!そもそもそんなことが可能なのか?

 いや、可能か不可能なんて論争が成り立つならそもそも悪魔なんて存在自体があり得ないし、それなら騎神なんてモン自体の存在がおかしい!

 あーーーーーっクソうるせぇ!!

 いちいち癇に障る笑い声

 ピーピーギャーギャーうるせぇ悲鳴と絶叫

 ベタベタと飛んでくる血やら体液

 胸糞悪いハラワタの臭い!


 ヤバい、吐きそうだ……


 

 次の瞬間、苛立つ闘気の頬に血飛沫がかかる感覚が…ストレスと不快感がピークに達していた闘気はついにキレた。

 感情的になった闘気は勢いに任せ斬撃を飛ばしながら向かっていく

 迎え撃つ闘気は冷静に斬撃を捌きつつ振り下ろされる黒刃を己の黒刃で受け止める。

 鍔迫り合いの中睨み合う二人の闘気、血のついた頬で歯を食いしばり感情剥き出しの闘気と、綺麗な顔で冷静に様子を伺う闘気

 感情的になる自分を咥えタバコで冷静に見極めている自分を見て我に帰り距離をとる闘気、頬についた血を拭い冷静さを取り戻し再び睨み合い対峙する。


 再び読み合いの長考状態に入る二人の闘気

 そこへ再び悪魔の笑いが囁きに変わる。


 


 ーー3 悪魔の趣向 ーー


「HIHIHI〜、そろそろボクチンも混ざろっかな〜!HAーーーーHAHAHAHAHAッ

 どおおおおおおおおおおおん!!!」アモンの奇声に続く破裂音、それと同時に周囲に飛び散る肉塊……『死したモノは見えるし触れる』つまり、飛び散った肉塊は周囲の騎神達の目に映る。足下に散らばる人間の一部分を目の当たりにした騎神達は悲鳴を上げ発狂する者・あまりの悍ましさに吐き気を催し嘔吐する者・ショックで気を失う者も現れ、そうしてできた隙をコピーに突かれ脱落する者が多発した。

 そうして騎神達の視界には次々と死体が増えていき、そこから発せられる死臭が充満していった。


「AhーーーーHAHAHAHAHAHAッいいね〜次はキミ〜!!」響き渡る悲鳴と破裂音、そして飛んで来る肉塊と血飛沫、逃げようとする騎神も現れるが「ダメだよ、ダメダメ〜!そんなことする人はこーだ!!」アモンは逃げる騎神を捕まえそのまま宙に舞い上がり、捕えた騎神の姿を他の騎神達に晒すと次の瞬間、アモンの漆黒の体から細く長い4本の手が生えてきて騎神の四肢を掴み大の字に引っ張った。

 激痛に顔を歪ませ苦しむ騎神に対し、アモンは仮面の奥の目を強く輝かせながら徐々に引っ張る力を強めていく…「キミが逃げなければこんなことにはならなかったんだよ……さぁいつまで保つかな!?」アモンは苦しむ騎神を眺めながら徐々に徐々に力をかけていき、最後には大量の血飛沫を上げながら四肢が引き裂かれ騎神は絶命した。

 そして下にいた全ての騎神達にその血飛沫が浴びせかけられた。


 アモンはまるでゴミでも捨てるかのように残った騎神の頭と胴体を投げ捨て闇に溶けていった。


 


 

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