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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
試練
32/56

炎のチャレンジャー2

 

 リング上で騎神同士の熱い対戦が繰り広げられる中、警部補 一条朱音は周囲を警邏していた。

 警察の騎神犯罪の情報網の中には顔が判明している容疑者も多数存在し、その中には火の騎神も居た。この闘技場内に全ての火の騎神が集結しているのなら、覚えている範囲でも容疑者を特定して情報を聞き出し帰還した後の捜査に役立てようと考えたのである。


 そんな中、呑気に闘技場を探索する竜馬を発見する。


 朱音にとって竜馬は忘れたくても忘れられない存在だった。カムイの事件の際、竜馬に狙撃を妨害されたことをいまだに引きずっていた朱音はその憤りをグッと堪え、竜馬を尾行した。


 尾行中、竜馬は観覧席から下へ降りる階段を発見し降りて行った。

 降りた先の闘技場内部には様々な施設が用意されていた。仮眠室やトレーニングルームに食堂、その厨房では火人達が料理を作っていた。

 小腹の空いていた様子の竜馬が入っていくと、朱音は食堂前に張り付き竜馬の様子を伺った。



 そして竜馬は食堂で一人の騎神と出会う…




 ーー3 炎の料理人 ーー


 食堂には一人先客が居た。

 頭にヘアバンドをかぶり、スマホ片手にたこ焼きを頬張るその男は竜馬を一瞬見るとすぐに視線をスマホに戻した。

 竜馬が男を真似て食堂のテーブルに座ると一体の火人が現れた。突然の火人の登場に驚く竜馬に対し、たこ焼きを頬張る男は一言

「食べたいモン何でも言ったら作ってくれんで。」関西弁で無愛想に教える男に、竜馬は軽く会釈した。

「えっとじゃあ、カレーライスを…」注文を受けた火人は厨房に移動し調理を始める。

「おいおいにーちゃん、カレーて!時間かかんで!」突然の男のツッコミに驚く竜馬

「あっそっか…変えた方がいいですかね?」

「いや別に自分が食べたかったらええんちゃう?でもカレーて!煮込み料理やん!火人あいつらたぶんじっくりコトコト煮込むで!美味しい美味しいカレー作んで!」男のツッコミに対し、純粋な竜馬は不安になり厨房を覗き込んだ。すると中では火人がレトルトカレーを湯煎していた。

「レトルトかーい!!」レトルトカレーにツッコミを入れ一人爆笑する男を見て竜馬もつられて笑い出す。

 笑う竜馬を見て男は追撃とばかりに

「でもライスは土鍋のふっくらご飯!!」と側で炊かれる土鍋を変顔で指差す男に竜馬も爆笑



 男の名前は明石隆之介あかしりゅうのすけ(18)

 陽気で人懐っこい性格の隆之介は竜馬と相性が良く、出会って数分も経たないうちに二人は意気投合する。


 そんな二人が和気藹々と食事をする様子を見て朱音は動く。


 竜馬に近付いて来る朱音に気付いた隆之介は朱音の身体を舐め回すように見て『おっ、いい女…』鼻の下を伸ばす隆之介には目もくれず一直線に竜馬に話しかける。

「すいません、警察の者ですが…」突然警察手帳を見せてきた朱音に驚く竜馬

 隆之介は『なんや、竜馬そっちかいな…』

「なんや竜馬くん、警察のご厄介になってんの?」竜馬は隆之介に困り顔で首を横に振る。

「以前、喜優市内〇〇銀行でおきた強盗立て籠り事件覚えてますね!

 その時あの現場に居ましたよね!」

「は、はい…」恐る恐る答える竜馬に朱音は詰め寄る。

「実は主犯格の騎神を取り逃してしまいまして、何か情報等お持ちでしたら教えていただけないでしょうか?」情報提供を求める朱音に対し、天然な竜馬は口を滑らせる。


「ああ、カムイくんのことですか…あっ!」口を滑らせてしまったことに気付き激しく動揺する竜馬


「何かご存じなんですね!?カムイ?それは被疑者の名前ですか!?」激しく詰め寄る朱音に竜馬は冷や汗が止まらない。

「いやっ、あの、えーと、知らないです。カムイくんがどこに居るとか知らないです…」狼狽のあまりほぼ全ての情報を言ってしまう竜馬、朱音がそれを聞き漏らす筈が無く、朱音の激しい追及が続く

「知っていることは全て教えてください!警察として犯罪者を野放しにしてはおけません。

 それにあなたはあの時捜査妨害をした。捜査官の進路を妨害した行動は、犯罪幇助もしくは公務執行妨害にあたります。

 それを踏まえた上で教えて下さい!カムイとは何者で、その居場所は?」ものすごい圧で詰め寄る朱音に今にも泣きそうになる竜馬。そこへ隆之介が助け舟?を出す。


「んなことよりおねーさん!この後俺と遊ばへん?」緊迫する二人の間に割って入り突然ナンパし始める隆之介、それを無視して竜馬に詰め寄る朱音に対し隆之介もナンパの手を緩めなかった。

「なーなー無視すんなや、おねーさんも警察のお仕事で色々溜まってんちゃう?

 ここやったら騎神の戦いも仕事も関係あらへんねやから思いっきり遊ぼうや!!色々揃てんで!」隆之介の軽口に徐々に苛立ち始めた朱音、そこへ隆之介がさらなる軽口を叩く。

「まー、女一人でこんなとこ連れてこられて色々不安やろ?俺がなんでも教えたる!いつまでも張り詰めとったらあかん!

 この俺、男・明石隆之介がおねーさんに女の幸せ思い出させたる!!」隆之介のこの言葉に朱音の目の色が変わった。


「今何つった?」「はっ!?」突然変わった朱音の声色に少し驚く隆之介…次の瞬間、胸ぐらを掴まれ力任せに引き寄せられる。

「餓鬼が!分かりもしないで『女の幸せ』とかほざいてんじゃねぇよ!!」あまりの口の悪さに驚き一瞬言葉を失う隆之介だったが、引き寄せられたことで朱音から漂う甘い匂いやタンクトップから覗く谷間に鼻の下が伸びる。

 その表情を見て我に帰った朱音はすぐに手を離す。

「いいから部外者はどっか行って、あなたに用はありません……てか、よくこの状況で呑気にナンパなんてできるわね…」呆れ顔の朱音に対し隆之介は朱音に近付きながら

「何言うてんねん、こんな状況やから出会いを大事にせんとあかんねやないか!

 ここではリング以外での戦闘は禁止されてんねやろ?

 と、いうことはつまり…襲っても抵抗でけへんいうことや!!


 まっ!なーーんてことは趣味やないからせぇへんけど……えっ!?」おどける隆之介の額に硬い金属が押し当てられた。

「えっ?ホンマッ!?嘘でしょ!?それ〜、モノホンのチャカですか……」両手を上げて怯える隆之介に朱音は無言で撃鉄を引く。

「冗談でもそんなこと言わないで……」朱音は無表情のまま引き金を引いた。銃声と共に隆之介の身体は大きく仰反り、その場に倒れ込む。目の前で行われたショッキングな出来事に身体が強張る竜馬

 それに対し朱音は落ち着いた口調で竜馬に声をかける。

「安心して、騎神は銃じゃ死なないわ、残念ながら……」この言葉に呆気に取られる竜馬、すると下からうめき声が聞こえ始める。

「うっ……いっっったーーーーー!何やこれ…え〜何でや……」激痛に額を押さえながら起き上がる隆之介、額から垂れる血を拭い朱音に詰め寄る。


「何してくれんねん!このアマァ!!」今度は隆之介が朱音の胸ぐらを掴むと朱音は冷静に答える。

「あなたの女を下に見た間違った考え方を訂正してあげたのよ。あなたみたいな人はこういうやり方でしか理解できないでしょ!

 それとも、これでもわからないくらいのお馬鹿さんなのかしら?だとしたら、お姉さん残念だなぁ…」朱音は冷笑し隆之介を煽る。

 この朱音の表情に激昂した隆之介はこめかみに血管を浮き上がらせ胸ぐらから手を離し騎神化【火亀槍】

「もうええ…ここで落とし前つけたる!来いや!!」槍を構える隆之介に対し冷静を装っていた朱音も騎神化しライフルを構える。



 穂先から石突きまで燃え盛る細身の槍を肩に抱え上げるように構え、腰から燕尾をたなびかせ胸当て・手甲・脛当てを身に付け、左肩には一本角の髑髏を模した肩当てに燃え盛る炎を纏わせたその姿は勇壮にして威風堂々

 ヘアバンドから覗く鋭い眼光からは隆之介の実力を押し測ることができる。



 対峙する二人…今にも槍を振り抜かんとする隆之介

 引き金に掛かる指に力が入る朱音


 そんな一触即発の直中

「ちょっと待って二人ともっ!!!!」竜馬の大音声が二人の耳に飛び込む。


 その声に二人が竜馬を見ると二人は気付く、自分達の周りを大量の火人が囲んでいることに……。

 一瞬で血の気が引く両者、武器を下ろし騎神化を解くと、火人達は消え去った。


 九死に一生を得た二人、竜馬に感謝しつつも二人は今だ睨み合う。


 だがそこへ、朱音に直接祝融の声が響く。


『今のはなかなかいい()だったねぇ〜、もっと見せとくれよ!』

「えっ!?」朱音が突然の声に驚いた瞬間、朱音は炎に包まれ消えた。

 それを見て驚く竜馬をよそに隆之介は呟く

「ほー、次はあのねーちゃんかいな…実力、見せてもらおうやないか……行くで!」そう言うと隆之介は竜馬を連れ観覧席へ向かう。

 

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