炎のチャレンジャー1
第30話 導かれし七人・竜馬の続きのお話です。
燃え盛る闘技場、高所の玉座から観覧席に犇めく騎神たちを見下ろすその存在はニヤリと笑う。
「あたしは火の神 祝融
火の騎神の能力を司る魔神様さ!全騎神の覚醒を確認した、これより試練を開始するよ!!」祝融の放つ威勢の良い声が闘技場中の炎を揺らし、その存在感に騎神達は圧倒される。
全ての騎神の視線を一身に受けながら祝融は説明を始める。
「まぁ、突然飛ばされて来たあんた達に分かりやすく説明すると…
あんた達にはちょいと殺し合いをしてもらう。」
ーー1 火の試練 ーー
「殺し合いっつっても、元の世界でやってた騎神同士の戦いとは違う、ここではリング上で正々堂々一対一で戦ってもらう。
そんで、勝った方は晴れて試練クリア、元の世界に帰してやる。
しかも、試練をクリアした者は火の奥義とそれぞれにあった固有技を習得させてやる。ちなみに他の属性の騎神達もそれぞれに試練を受け、それぞれの属性の奥義と固有技を習得して戻ることになる。
この試練の目的は騎神の数を半分以下に減らすこと…つまり、この先生き残ることができるのは実力のある騎神のみ!戦わなければ生き残れないってワケさ…
対戦カードはこっちで決める。それ以外の戦闘は御法度だ!
もしリング上以外で戦闘を行った場合……」祝融はおもむろに指を鳴らした。
するとそれを合図に燃え盛る立像から人型の炎が現れ一人の騎神に接近、騎神に触れた瞬間騎神もろとも爆発四散、周囲に焦げた肉塊が散らばった。
「今のは火人!あたしの創り出した精霊で、あんた達の身の回りの世話をする使用人であり警備員であり処刑人だ!あたしの指示で無限に生み出せるから
まぁ、やろうと思えばあんたら全員を始末できる!つまり、あんた達に逃げ場は無いってことさ…
ここでのことは全てあたしが決める。野暮なこと考えんじゃないよ……
まぁ説明はこんなとこだねぇ
そいじゃまぁ、身を焦がす熱い戦いを期待してるよ!」
「火の試練、開始!!」祝融の大音声と共に闘技場中の炎が勢いよく燃え盛り会場中が熱気に包まれた、それと同時に騎神達が感じていた倦怠感が消え去った。
ーー2 公開処刑 ーー
そこに一人の騎神が立ち上がり開会宣言する祝融に異を唱える。
「待って下さい!勝手にこんなところ連れてきといて、何を勝手なことを言ってるんですか!!人権侵害だ!!!
帰して下さい!元の世界に!」この騎神の訴えを祝融はため息混じりに嘲笑うと、煽るような表情で言い放つ。
「聞こえてなかったのかい?ここではあたしが全て…あんた風情の戯言が通用するワケ無いだろ?
まぁあんたなら文句言うと思ってたよ基村ユウタ……」騎神は自分の名前を言われ驚く
「どうしたんだい?あたしはあんたら火の騎神を司る火の神だよ?ここにいる全員の名前どころか、一人一人がどんな奴かも知ってるよ。
あんたはいつもそうやって面倒ごとから逃げてきた…本当は怖いんだろ。自分の無能を曝け出すことが、そのちっぽけなプライドを傷付けられんのが…
決めた!最初の対戦カードはアンタだ!」
祝融が指を鳴らすと一瞬で基村はリング上に瞬間移動し、目の前に他の騎神が立っていた。
「さぁ早く帰りたかったらそいつを倒してみな!
安心しな、あんたに合わせて対戦相手は昨日覚醒したばかりの新人をあてがってやったよ!戦いから・人生から逃げて引きこもり続けてきたあんたには丁度いい相手だろ!!」対戦相手の騎神は騎神化し、慣れない手付きで武器を構える。
その様子を見て基村は逃げ出す。
「嫌だ!こんなところで死にたくない!!なんで、何でこんなことしなきゃいけないんだ。僕はこんなとこで死んじゃいけない人間なんだ!!助けて、助けてママぁ〜〜〜、、、」情けない姿を晒しながらリングから飛び出す基村……その醜態に心底呆れた表情の祝融
目の前で命乞いをする基村に戸惑う対戦相手の騎神はどうすればいいかわからず戸惑う。
醜い命乞いばかりで戦おうとしない基村に業を煮やした祝融は基村の前へ瞬間移動した。
「もうあんたのみっともない命乞いは聞き飽きた。いいかげん自分が騎神であることを受け入れな!!」諭すように言う祝融に基村は泣きじゃくりながら訴える。
「ふざけるな!何で僕がこんなことしなきゃいけないんだ!僕が!僕が何をした!!
僕には生きる権利がある!僕はそこいらの庶民とは違う!お前らとは生きる世界が違うんだ!!」感情を剥き出し観覧席の騎神達へ暴言を吐き駄々をこねる基村
その見苦しい姿に、遂に堪忍袋の尾が切れた祝融、燃え盛る手が基村の首を掴み持ち上げる。祝融の手を覆う炎はみるみる内に基村の喉笛を焼き焦がし声帯が焼失、叫び声を上げることもできないままゆっくりと全身を炎が包んでいった。
「いいかい、確かにあんたには生きる権利がある。だが、生き続ける保証は誰にも、どこにも無い!
そもそも自分で道を拓こうともしないような奴に端から生きる資格なんて無いんだよ!!」祝融が言い終える頃には基村の身体は真っ黒な灰と化し祝融の掌から崩れ去っていった。
目の前で起こった出来事に基村同様戦いから逃げ続けてきた騎神達は恐怖し一斉に逃げ始めた…
だがその瞬間祝融の指が鳴り、逃げる騎神達の前に火人が立ち塞がり騎神諸共爆発していった。
闘技場の至る所で爆発の煙が上がる中、祝融は高所の玉座へ戻る。
「これで余計な連中はいなくなった。
やっと心置きなく対戦を楽しめるよ…」祝融は晴々とした表情で玉座へ腰掛ける。
この試練には『騎神の戦い』から逃げた者達への粛清と排除を行うという意味合いもあった。




