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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
試練
30/56

導かれし七人

 全ての騎神を包んだ光の球体が天空に開いた裂け目に吸い込まれていった。全ての騎神を回収後、空に開いた裂け目はすぐに閉じ、空は元の姿へ戻った。


 日本全土、世界数カ所で見られたこの現象は大きなニュースとなり、メディアでは『超常現象』『神隠し』等の見出しで話題となり、この世界から騎神が消えた。


 


 ーー1 それぞれの邂逅 ーー


 騎神達は12の裂け目に分けられ、それぞれ火・水・風・雷・鉄・氷・光・土・木・速・毒・悪と属性ごとに選別され別の世界へ送られると同時に気を失った…


 そして、それぞれの世界で目を覚ます。


 


 ・竜馬


 目を覚ますとそこは闘技場の観覧席だった。真ん中に大きな石畳のリングがあって、それを覆うように客席が3〜4階席まであっていろんなところに大きな石像が飾られてる。

 なんか…天下一武道会みたい…


 周りにいる人達もボクと同じで周りをキョロキョロ見回してる。

 スマホも圏外で使えないし、何となく身体が重くて動きづらかった。

 でも、さっきまで榊くんと戦ってたはずなのにその時の傷が全部治ってたし、疲れも無くなってた……


 

 不思議がる竜馬をよそに闘技場の立像に火が灯り激しく燃え盛る。

 そして闘技場を一望できる高所には一際大きく派手に飾られた玉座

 次の瞬間、玉座から天を衝く程の火柱が上がる。

 激しい轟音と圧倒的な熱量に闘技場中の騎神が火柱に目を奪われ立ち尽くす。

 そして爆発と共に火柱は消滅し、残された玉座に鎮座する者がいた。


 石造りの荘厳な玉座に肘をつき脚を組んで鎮座するその存在は、全身に炎を纏った女性の姿をしていた。


「さぁ、試練の始まりだよ!!」


 そしてその声は竜馬が騎神に覚醒した際、火の玉が発した声と同じだった!


 


 ・海


 突然水をぶっかけられ無理やり起こされたその場所は20〜30mはある崖の底、切り立った険しい岩肌が俺達を囲む。

 上に見えるのは俺達を囲む崖の頂上、ポッカリと空いた空間からは暗い雲が見える。

 上から時折滴る水滴と所々に密生する苔、強い湿気に重苦しい空気…困惑する周りの連中

 警護のため翼を探すが見当たらない・・・恐らく別の場所へ飛ばされたんだろう。そして翼を探す中で気付く…


 ここには男しかいないことに……


 

 崖の頂上を歩く人影、その歩が進むのは頂上の岩場ではなく騎神達が見上げる崖の空間、何もない空中を歩いていた。


 清らかな水を羽衣のように纏い、妖艶な濡髪と透き通るような白い肌から雫を垂らし歩む女性の姿をした存在


 そして崖の隙間の中心で足を止めたその存在は羽衣をたなびかせ言い放つ

「下賎なるモノどもよ、死に晒せ!」

 次の瞬間、崖の頂上から大量の水が降り注いだ!!


 


 ・翼


 気付くとそこは地平線の先まで砂で覆われた世界でした。

 空に浮かぶ三つの太陽…それはこの場所が地球とは全く違う異世界であること証明しています。まるでSF小説の世界へ紛れ込んだような感覚になりましたが、そんな悠長な考えはすぐに吹き飛びました。

 空に浮かぶ三つの太陽が地表を炙り、乾いた熱風が焼けた砂を巻き上げる。

 その影響か、強烈な日光が急速に体内の水分を奪っていく…周囲の人々は水を求め歩き出す。でも目の前に果てしなく広がる砂の海に絶望し、膝を屈するのでした……


 

 砂漠をあてもなく彷徨う騎神達

 そんな中、ある方向の視界が霞み始めた。その正体は突風によって巻き上がった砂の群れ、視界全てを覆うような範囲の砂の群れが地平線の先から一直線に騎神達へ向かって迫っていた。

 騎神達は突風と砂に巻き込まれ全員が吹き飛ばされる。吹き飛ばされながら騎神達は鼓膜を揺らす風の轟音と共に「ガーーーーーハハハハハッッッ」と耳を劈くような豪快な笑い声を聞いた

 そして第二波三波と迫る突風の中、続く言葉を聞くのだった……


 


 ・明


 鼓膜を突き破りそうな破裂音と地表を穿つ落雷の衝撃波で目を覚ます。

 ここは一面に切り立つ岩肌が広がる岩場、遥か先には山脈が見えるが、曇天の暗い空ではそれが実際山なのかは分からない。空からは霧雨が降り岩場を濡らす、そして時折曇天に浮かぶ黒雲に稲妻が走り絶えず発光を繰り返している。

 周囲に白金達の姿は無く、周りを見渡す見知らぬ連中がいるのみ


 ただ人混みの中、一人俺を睨み付ける奴が居た……


 

 不安の中佇む騎神達を他所に、徐々に黒雲の放電現象が活発化、『ゴロゴロ』と大きくなる雷鳴と黒雲から漏れる強い閃光…そして蓄積されたエネルギーが地表に降り注ぐ。


 巨大な落雷が騎神達の中心に落ち、衝撃で近くに居た騎神達は消滅……そして穿たれた地表には一人の老人がいた。


 


 ・カムイ


 どこ?、ここ?、部屋?……翼?美樹?どこ?、出せ!出せ!!出せ!!!


 

 カムイは一人、鉄の壁に覆われた部屋に閉じ込められていた。

 その部屋は扉も窓も無い密室、あるのはただの無機質な鉄の壁と床と天井のみ

 自然の中で生きてきたカムイにとってこの閉鎖空間は耐え難く、閉じ込められたことへの強いストレスと翼や美樹と切り離されたことへの不安から、カムイは素手で鉄の壁を殴りつけ破壊しようとする。当然ビクともしない壁にカムイは騎神化、大斧と能力で破壊を試みるもやはり効き目無し、それでも諦めず壁を攻撃し続ける。


 すると突然、カムイが攻撃していた壁とは逆の壁が外れた。

 急いでそこから脱出を試みようとするカムイだが…そこには何も無かった。外へ続く道も地面も、部屋を支える柱も吊るす紐も糸も無かった。


 カムイの居る部屋は何も無い空間に浮いていた。壁の無いところから下を覗き込むと何も無い空間が永遠に続く深い闇が広がっているのみ、落ちれば奈落に飲み込まれ二度と戻ってこれないことがわかる。


 そしてこの空間にはカムイと同様の部屋と思われる鉄の部屋らしき六面体が無数に浮いており、壁を攻撃する音が中から漏れ出していた。そのうち一つまた一つと壁が一枚剥がれ落ち、鉄の壁が深い闇の底へ消えていく。もちろん外れた鉄の壁が底へ落ちる音は聞こえてこない。

 文字通りそこ知れぬこの空間に足を竦ませ脱出を諦めるカムイ…


 しばらくすると壁が外れていない無数の部屋が浮くことを辞め、ゆっくりと落下していった。

 中にいるであろう騎神にも落ちていることはわかるらしく、六面体からくぐもった断末魔を漏らしながら奈落の闇に呑まれていった。


 


 ・美樹


 さっむっ!てかどこここ?

 ちょっ、閉じ込められてんだけど!!

 なんなんこれ?氷!?マジふざけんなし!

 意味わかんないんだけど……てか狭いし寒いししんどいんですけど〜

 無いわ〜マジで〜


 

 目覚めた先は氷と雪に覆われた極寒の世界

 美樹が閉じ込められていたのは縦にした状態で地面に立てられた氷の棺の中、美樹の他にも無数の棺が乱雑に並び、中では騎神たちが美樹同様凍えていた。

 一人の騎神が脱出のため棺の破壊を試みる。

 だがそこは極寒の世界、破損した先から再度氷結し一瞬で分厚い氷を形成し穴を塞ぐ。


 ある騎神は能力を駆使し棺を粉々に破壊して外へ出た。だが次の瞬間、騎神は動きを止めた…いや、『止めた』のではなく『止まった』騎神は外の冷気によって凍結『止まった』のは動きではなく命の方だった。


 そして天空より女神が顕現する。

 凍結した騎神の上に降り騎神を粉微塵にしたその存在は、オーロラのような羽衣を靡かせ氷の棺に埋め尽くされた雪原に静かに降り立つ。


 


 ・闘気


 騎神に覚醒した段階である程度超常的な出来事には耐性がついた気になっていたが…こうなるか……


 見渡す限りが漆黒の闇に覆われ、視界はゼロ…というか、失明状態に近い

 近くに人の気配を感じるが、目を凝らしても何も見えない。

 声を掛けようとしても声が出せない、恐らく気配の主も同じ状況なんだろう。わずかな息遣いと勘で気配を探るが、なかなか核心には届かない…だが手探りに探す中で微かに何かに触れた感覚はあった。それも何度も…


 仮にその僅かな感覚が他者の存在証明になるのなら、、、

 この闇の中には俺以外の存在が複数、いや、かなりの数の騎神がここには居る!


 


 

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