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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
出会い
3/56

The Beginning3

「ドシャッ」

 夜空に真っ赤な鮮血が吹き上がり、重たいハンマーが手首付きで地面に落ちる。

 騎神は絶叫し、すぐさま斬撃が飛んできた方へ振り返る

 そこにはタバコ片手に煙を吐く闘気がいた。


 その顔は冷静かつどこか余裕を感じるものだった。



  

ーー6 キレる闘気(ワカモノ)ーー


「・・・お前、今・・・いつの間に・・・」騎神の問いに闘気は一笑

「突然「君達にはこれから殺し合いをして貰います。」なんてバトルロワイヤルみたいなこと言われて、いきなり戦えると思うか?しかもこんな派手で目立つ竜馬(バカ)と・・・」闘気は顎で竜馬を指しながら皮肉交じりに言う。


「大方能力も使わずチャンバラやってる俺ら見て「能力の使い方を理解してない、騎神になりたての雑魚」とでも思ったんだろ?」闘気に図星を突かれ動揺する騎神


「まぁ、竜馬はその通りなんだが・・・

 つーか、よく考えろよ・・・『殺し合い』するのに端っから一対一でやると思うか?」


「相手の力量もわからないのに、ただ突っ込んでいってもリスクが大きすぎる・・・だったら、バカを使って他の騎神を誘い出して二対一の状況で戦った方が効率的だろ」


「現に・・・あんたの今の状況がそれを物語ってる。

 竜馬にボコられ怒り心頭、怒りで冷静さを欠いたあんたは、俺の存在を忘れた挙句両腕を失った。

 武器を持たなきゃ能力は使えず、竜馬に殴られすぎて身体が思うように動かない・・・『へっいいカモだぜっ!!』」闘気は直刀を騎神に向け突き出し、刃を下に向ける。

 それを見て騎神は一目散に逃げ出そうとするが、竜馬に殴られたダメージが脚にきておりその場で躓つまずいてしまう。

 それでも必死に逃げようと踠もがく騎神に、闘気が言い放つ。


「知ってるか?その昔20万人の大軍勢相手にたった数百人で挑んで大軍勢を撃退した男がいたことを・・・

 その男の名は・・・串刺し公(ヴラド・ツェペシュ)」下に向けた黒刃を地面に突き立てた。

 その瞬間地面から黒い棘が騎神に向かって次々と出現していく

 迫り来る黒い棘に、騎神は恐怖に(おののき)悲鳴を上げるが、最後には騎神を黒い棘が貫いき、その後も次々と地面から棘が飛び出し騎神を次々と刺し貫いていく。


 阿鼻叫喚の騎神を前に冷静にタバコを一服し、ゆっくり煙を吐く闘気

「安心しろ、今楽にしてやる・・・」と言って地面に刺した黒刀を引き抜くと黒い棘が順に破裂していった。騎神は目の前に並ぶ棘が順番に次々と破裂して迫ってくる様に断末魔の声を上げる。

 直刀を引き抜いた闘気は騎神に背を向けて歩き出し、独り言のように言う

「そう言えばアルマゲドンにこんなセリフあったな。

『掌の上で爆竹を鳴らすとどうなる?

 手が火傷するだけだ。

 だが、握り締めた拳の中で鳴らすとどうなる?

 その手は二度と使えなくなる。』」


 そんなことを言い終わるころ、騎神の断末魔は破裂音とともに消えた。



 騎神の体は爆発四散し闘気は戦いに勝利した。

 それと同時に騎神の身体が一つの()()()に変わる。

 それに気付き振り返る闘気、するとオーブはゆっくり闘気に近づいていきベルトの石に吸い込まれていった。

 闘気は自分の中にある力が増幅しているのを感じていた・・・

「・・・なるほどね、、、」




ーー7 悪の能力ーー


 俺が騎神に覚醒したのは一週間程前のことだ。


 騎神に覚醒して最初に行ったのは武器の性能調査だった。

 幸いウチには鉄パイプやら廃材が山の様にあるから試し切りの道具には事欠かなかった。

 その結果わかったことは、俺の刀は刃を超速振動させることで物を切断する超音波カッターと同じ原理のようで、鉄パイプ・ブロック・木材なんでも簡単に切断できた。

 そのうちスナップを効かせて振ることで、斬撃を飛ばして離れた場所の物も切断できる様になった。

 竜馬が言っていた刀から出ている音・というのは超速振動時の音が聞こえていたのだろう。


『悪』の能力に関しては鋭意調査中だが、使いようによっては多岐にわたり応用可能と思われる・・・





ーー8 事後処理ーー


 騎神との戦いも決着し、その際発生した停電の対処に電力会社のトラックが到着

 作業員たちは破壊された電柱の有様に「またか・・・」とつぶやきながら修復作業に取り掛かる。


「おい起きろ!」闘気は気を失った竜馬の頬を数発叩きながら声をかける

「痛ててて・・・、あれ?何してたんだっけ?」竜馬は後頭部をさすりながら目を覚まし、辺りを見回しながらさっきまでのことを思い出す。

騎神(あいつ)は!?」思い出した竜馬が慌てて闘気に問うが、落ち着いた様子でタバコを吹かす闘気を見て状況を理解した。

「倒したんだ・・・・よかった〜・・・母さんは!?」竜馬の問いに顎で麻美の方を指す闘気

 竜馬はすぐに立ち上がり母親の元へ向かう。

「母さん!?大丈夫?」塀に力無くもたれかかる母親の姿に、泣きそうな顔で心配する竜馬

「安心しろ、頭打って気を失ってるだけだ。今起こしてもこんな状況見たら余計混乱するだけだし、今は寝かせとこう・・・」この言葉に竜馬は「そうだね」と麻美を抱え上げ家に連れていく・・・

 そのうちパトカーも到着し、一部始終を見ていた野次馬の一人が闘気と竜馬のことを伝え、警官が闘気に近づいてくる。


「すいません、確認したいんですが・・・あなた・・・いわゆる騎神?というやつでよろしいですか?」小声で話しかけてくる警官に『やっぱりな』と思った闘気

「はい、そうです。やっぱニュースとかでやってる事件や事故って騎神同士の戦いが影響してるんすか?」

「ええ、、、まぁ、、、お気付きの通り世間一般には伏せてはいますが、全国的に増えています・・・」警官の言葉から警察組織ひいては国が騎神の存在を容認しつつ国民にそのことを隠していることを知る。

「まぁ、騎神同士の戦闘は事件というより()()のようなものですから、今回のことであなた方を逮捕する様なことはありませんので安心してください。」やけに慣れた様子で聴取を進める警官に驚きながらも、聴取に答えていく闘気

警官は事情聴取を終えると何事もなかった様にパトカーに乗り込み去っていった。



「「事件というより現象」ねぇ〜・・・」闘気はスマホで都市伝説などのゴシップ記事を扱うサイトを検索、そこには【全国各地で謎の怪事件続発!犯人は超能力者によるものか、はたまた他国による破壊工作か!?】

 普段なら目もくれないような見出しだが、記事の内容を読んでいくと、どれも騎神による犯行であれば説明がつくものばかりだった。

「「警察は騎神の存在を把握していながら手をこまねいている。このままだと増長した騎神がいつか暴走するぞ・・・」」警官の言葉から今後起こりえる問題を思い、ため息混じりの煙りが春の夜風に吹かれていく。 


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