ボディーガード4
超速振動する黒刃で地面を削りながら向かっていく闘気
時折砂利や石に当たって不快な音に明が気付かないわけがなく、闘気の奇襲を竜馬・海の相手をしながらでも余裕で躱す明
三人相手に対峙しても余裕の表情を崩さない明に闘気は話しかける。
「なーあんた、気付いてるか?」三人の攻撃をいなしながらも闘気の言葉に耳を傾ける明
「あんたと殺り合うのも今日で3回目だ!」話しながら刀を振るう闘気の声を聞きながら、明は竜馬と海の波状攻撃をすり抜け闘気に迫る。
「ここに居るのはあんたが仕留めきれなかった奴らだ・・・」明は電撃を乗せた拳を闘気に向け振りかざす。
「いい加減・・・俺にも動きが読めてきたぜ!」闘気は迫る明に対し後ろに倒れ込み攻撃を避ける。
空を切る明の拳、意表をつく闘気の動きに一瞬驚いた瞬間、目の前に鉄の刃が迫る。腰を反って体勢を崩しながらギリギリで回避するも、空かさず竜馬・海が襲いかかる。
竜馬・海・カムイによる波状攻撃に防戦一方の明、額には汗が滲み始め表情にも余裕がなくなっていた。一旦距離をとるために隙をつき下がった瞬間、闘気の串刺し公が襲いかかる。
次の瞬間、黄昏の空に一筋の閃光が走り、遅れて雷鳴が轟く。
ーー7 本気 ーー
衝撃で吹き飛ばされる四人、落雷の跡に居たのは周囲に稲妻を走らせ直立する明
静寂の中ゆっくりと深呼吸して落ち着いた表情で構えると一瞬で海に接近
海は反応する間も無くみぞおちの一撃に沈む。
海を守ろうと切りかかってくる竜馬に対して、最低限の動きで避けるとそのまま頭を掴み地面に叩きつけた。
次の瞬間、鉄の刃が明を薙ぎ払ったがそこには明の姿は無かった。
カムイが薙ぎ払われた鉄の刃に乗る明に気付いた時には懐に入り込まれ、勢いと電撃を乗せた鉄山靠で吹き飛ばされた。
一瞬で三人を圧倒した明は残る闘気と対峙する。
「で?動きは読めたか?」惨状を前に顔を顰め明を睨む闘気
「あんたらが今まで生き残ってこれたのは白金とあっちのカムイに守られてきたからだ、闘気一人じゃ何も出来やしない・・・所詮は守られてたに過ぎない・・・」明の言葉に闘気はニヤリと笑みを浮かべる。
「だったらヤるか?俺と・・・」闘気は刀の切先を明に突きつけるように構え挑発する。
それを一笑に付す明、一瞬で闘気に接近「だったら殺るさ、あんたを・・・」目の前に現れた明に対し特に驚くでも無い闘気、自分の命が奪われようかという瞬間、闘気は明と目を合わせ指をさす。
明が闘気の指し示す方向を見るとそこには自分に向かって飛んでくる大剣
それを避け飛んできた方を見ると、今度は丸腰の竜馬が殴りかかってきて取っ組み合いになる。
「誰が一対一でヤるなんて言った?」闘気は明の背後を取り斬りかかるが寸でで真剣白刃取り、そこへ竜馬の拳が明の頬を抉った。
竜馬の渾身の一撃に少しよろけた明、口元から垂れる血を拭い、標的を竜馬にかえる。
その隙に闘気は川縁に突き刺さった大剣を引き抜き竜馬に投げ渡す。
大剣を受け取り明の拳を受け止める竜馬、衝撃で大剣が大きく揺れその威力に驚く
今までに無い明の殺気と衝撃に気圧され一瞬次の動きが遅れる竜馬、明の次の蹴撃を大剣で受け止めるも踏ん張りが足らずそのまま蹴り飛ばされ体勢を崩す
その隙を逃さず容赦なくトドメの一撃を繰り出すが、そこに巨影が割って入っる
拳の一撃に込めた強力な電撃が大きな肉の塊を貫き、肉を焦がし治りかけの傷から血を吹き出しながら膝から崩れ落ちるカムイ
目を見開いたまま全身を痙攣させ力無く横たわるカムイに、離れた場所で見ていた美樹の断末魔がこだまする。
必死に美樹を宥め引き止めようとする翼、だが美樹は抵抗して翼の手を振り解きカムイのもとへ駆け出す。
駆けて行く美樹を追いかける翼だったが、その時美樹の激情が周囲の環境を一変させていることに気付く。
白い吐息はもちろん周囲一面に霜が降り、少し前まで青々と茂っていた雑草たちも冷気の影響で茶色に変色、川の浅瀬にも氷が張り始めていた。
動かないカムイを尻目に竜馬・闘気を圧倒する明、背後から迫る氷の鞭も看破し素早く対応
地面を打った鞭の先端を踏みつけ力任せに引き寄せると、鞭の持ち手を持つ美樹が宙に浮き上がり体勢を崩した美樹へ雷吼砲が放たれる。
我を忘れ我武者羅に突っ込んできた美樹にそれを躱す術は無い・・・雷の塊が美樹を呑み込む寸前、翼が飛び込み美樹を救う。
長い袖を掠めた雷吼砲が袖の一部を消失させ、その影響で翼は半身を感電させながらも弓矢で明を牽制、加えて突風で地面についた霜を巻き上げ強烈な冷気を明の顔面にぶつけ一瞬の隙を作った。
翼の行動で我に返った美樹、感電して震える翼を見て己の過ちに気付く。
「ホーちゃん、ごめん!あたしなんかの為に・・・」翼の手を握りしめ泣く美樹に明が迫る。
散々に打ちのめされた竜馬と闘気は河原に突っ伏したまま動けない、そこへ駆け出す足が横切って行く。
翼と美樹に迫る拳を受け止める三叉槍、満身創痍で呼吸も絶え絶えにもかかわらず明に立ち塞がる海
拳の衝撃に半歩仰反るも石突きを地面に突き立て杖代わりに持ち堪える。
これまで何度も打ちのめされてきた海、すでに満身創痍の状態で立つ海など明にとって相手にもならないはずだった。
渾身の力で突き立てた槍は簡単に絡め取られ、再び海の腹を明の拳が抉る。
ゆっくり手が離れ地面に落ちる三叉槍・・・腹を突く拳を明が抜こうとすると、海はその腕を掴んだ。
渾身の力で腕を掴んで離さない海、至近距離で明を睨み付け頭突きを繰り出す。
突然の頭突きに一瞬怯むも、明も頭突き返す。その衝撃で海の髪留めが外れ長い髪が海の顔にかかる。しかしそれでも明の腕を離さない海、顔にかかる髪のすき間から覗く眼光は変わらず鋭いままだった。
明は掴まれた腕から電撃を放ち海を吹き飛ばした。
再び翼と美樹に迫る明、しかしまた海が割って入る。
武器も無く素手で立ち向かってくる海に対し、明は攻撃を避けつつカウンター、一撃で膝を屈する海を尻目に翼・美樹に迫る
だが、再び海が腰に組み付き明を止める。
何度打ちのめしても向かってくる海の執念に、明は内心既視感を感じていた。
何だコイツ・・・何で沈まない・・・コイツを見てると・・・コイツの眼は、拳は、あの頃の俺と・・・同じじゃないか!!
・・・兄貴、・・・・・
過去の自分を思い返し一瞬動きが止まる明、しかしすぐに我に返り組み付く海を引き剥がしそのまま投げ飛ばした。
トドメの雷吼砲を放とうと掌をかざすが、その瞬間、明の周囲を無数の竜巻が取り囲む。
「やめてください・・・」声の方へ振り向くとそこには震える手で弓を構える翼が居た。
「やめましょうよ、もうこんな事・・・」大粒の涙を流しながら訴える翼に対し、闘気が「無駄だ!」と一蹴
竜馬に肩を借り立ち上がる闘気
「言ったろ!そいつにお前の言葉は響かない
何言ったって時間の無駄だ!」
闘気の叱責に翼は悔しさを滲ませゆっくりと弓を下げる。明を囲っていた竜巻も消え静まり返る河川敷
そこにか細い声で訴える者が居た。
「わかんねぇぞ、山城・・・・・」それは散々に打ちのめされ河原に蹲る海の声だった。
「アンタも・・・いい加減、・・・・頭も冷えただろ・・・・・・少しは・・・話を聞く気にも・・・・・なったんじゃねぇのか?」震える声で明に語りかける海に明はかざした手を下ろした。
明のこの行動に呆気にとられる闘気、あまりに予想外な動きに力が抜け竜馬の肩からずり落ちてその場に尻餅をつく。
ーー8 再交渉 ーー
翼は再び明との交渉を試みる。
最初と違い今度は簡潔かつ手短に、そして内容は合理性や利害についての話しは一切無し、ただ翼自身の正直な気持ちと思いを正直に打ち明けた。
明もそんな翼の話しを集中して聞いていた。
夕陽も沈み街中の街灯に明かりが灯る頃、翼の話しを聞き終えた明は腕を組み考え込む。
その様子を傷の手当てをしながら眺める一同・・・闘気は軽くなったタバコの箱から一本抜き取り、口に咥えライターを擦る。
次の瞬間、明は答えを出す。
「俺は・・・・・」固唾を飲んで答えを待つ一同に緊張が走る・・・そして、次に明が口を開いた瞬間!全員の身体が光に包まれた。
5月25日 18時20分・・・天空に巨大な12の裂け目が現れた・・・それと同時に全ての騎神の身体を光の球体が包み込んだ。
光る球体に包まれた騎神たちは宙に舞い上がっていく。
球体を破ろうと抵抗しても全ての攻撃は不思議な力に吸収され、抵抗虚しく全ての球体は真っ直ぐ裂け目に吸い込まれて行くのだった。
同時刻、河川敷の近くで犬の散歩に出ていたマナミは偶然裂け目に吸い込まれる球体の中に竜馬と闘気の姿を発見した。
「えっ!?ウソ!!白金君・・・山城君・・・・・なんで、、、、」




