表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
出会い
23/56

キミはともだち2

 翼は小林から橘の計画を知る。


 その内容は橘が海を追い詰め騎神化した海に自分を襲わせるというもの。その結果たとえ負傷、最悪死亡したとしても、それで翼が考えを改めてくれれば海を危険視して登用を諦めるだろうという計画だった。 

『橘さん・・・どうしてそこまで・・・』翼は必死で走った・・・




 ・武道場


 息を切らし立ちすくむ翼

 その視界に映るのは息を切らし槍を振り抜いた海とずぶ濡れの橘

「何のつもりですか?」水を滴らせながら海に問う橘

「あんま格好格好うるせぇからよ、水ぶっかけてずぶ濡れにしてやった。これでお互い見窄らしい格好になったわけだ!」海は騎神化を解き、元の破れたツナギ姿に戻る。

「何故攻撃しない!?騎神の力を使えば私を殺すこともできただろうに・・・」珍しく激昂する橘

「あんたにはイラついてるが、憂さ晴らしするなら槍なんかじゃなくコイツで晴らしたい。

 まだ一発も喰らわしてねぇんだ・・・来いよ!」海は拳を構える。


「二人とも止めてください!」翼の叫びでようやく翼の存在に気付く二人、橘はすぐさま跪き頭を垂れた。

「橘さん・・・藤堂さんに何をさせる気だったんですか?」翼の問いに答えられない橘と状況が掴めず困惑する海

「橘さんは騎神化したあなたに攻撃させることで、僕にあなたを雇うことを諦めさせようとしてたんです。自身を犠牲にしてね。」海は妙に納得した表情で橘に言う。

「騎神でもないあんたをぶん殴ることはあっても騎神の力を使うことはない、白金も言ってたろ?「それは卑怯だから」と・・・それにコイツに従うのはおやっさんに借りを返すためだ。」海はおもむろに平伏し翼に嘆願する。


「頼みたいことがある。おやっさんたちの居場所であるあの公園をアンタの手で守ってくれ!」海の嘆願を聞き一瞬戸惑った翼は思い出したように答える。

「ああ〜、その件でしたらもう手は打ってありますよ!」「えっ!?」驚き顔を上げる海

「先日白金さんと山城さんを邸に招待した時、山城さんに頼まれていました。

 あの土地は北条院財閥で買取り、財閥の進める緑化プロジェクトの一部にしました。そこに住むホームレスの方々にも協力していただき順調に進んでいますよ・・・」

「じゃあ、ヤクザや地上げ屋の連中は?」

「今あの土地に財閥を敵に回してでも得る程の価値は無いでしょうから、以前のようなことは二度と起きないでしょう。ホームレスの方々は今や住み込みで働くボランティアのような扱いですから市長も手荒なことはできません。」海は安心した表情で翼に再度深く平伏する。

「とんでもない借りができた。

 改めてあんたの下で働かせてくれ!俺みたいなモンの命ならいくらでも使ってくれ!どんなことがあってもあんたは俺が守ってみせる!!」海の熱意に翼はそっと肩に手を当て「こちらこそ、よろしくお願いします。」そう言って橘の方に視線をやる翼

 橘はそれを見て「・・・・・かしこまりました。」と険しい表情のまま頭を下げた。


「藤堂さん、先程は申し訳ありませんでした。これから本当の新人研修を始めます。

 まずは・・・礼儀作法から・・・・・」


 この日から橘による地獄の新人研修が始まったのであった。


 


 ーー2 野生児との邂逅 ーー


 数日後、竜馬と闘気は翼邸に招待されていた。正式に翼のボディーガードに就任した海の慣れないスーツ姿をイジりながら、翼に連れられ邸の裏に広がる森を進んで行く4人

 高い木々に囲まれ鬱蒼とした獣道をしばらく進むと、焚き火の跡と動物の骨が積まれた場所に出た。

「カムイくん居ますか?」翼の声掛けに一本の木が揺れ、風を切る音とともにカムイの巨体がズシンと音を立て降り立った。

「翼、来た!」笑顔で翼と話すカムイ、だが他3人は突然現れた大男に驚き唖然とする。

「今日は僕の友人を紹介します。」カムイに竜馬たちを紹介する翼、だがカムイの顔を見た闘気は思い出す・・・数日前相対した騎神の顔を・・・


「離れろ!そいつは騎神だ!」闘気の言葉にすぐさま海は騎神化し前に出て槍を構える。

「翼!そいつから離れろ!」ボディーガードとして立ち向かおうとする海に対し、カムイは翼を護るため騎神化し翼の前に出る。

「翼、護る!翼、逃げろ!」牙を剥き出し斧を構えるカムイに対し、翼が優しく声をかける。

「大丈夫、彼らは敵ではありません。皆さんも武器を下ろして騎神化を解いてください。カムイ()は僕の友人です。」翼の言葉に困惑する3人だったが、闘気が反論する。

「ふざけるな、そいつは犯罪者だぞ!」切先を突き付け言い放つ闘気に対し

「それは誤解です!彼は騙されていただけ、利用されていたんです。」翼の訴えに対し警戒を解かない闘気、そこへ海が翼側へ立ち位置を変えた。

「何のつもりだ藤堂?」

「悪いが・・・俺は翼に雇われている身だ。主人の意向に従う義務がある。」海が翼側に着いたことで闘気は刀を納めた。


 一方竜馬はカムイが降りて来たであろう木を見つめていた。

「ねぇ、あそこから降りてきたの?」竜馬が見つめる先には10m程の高さにある枝にカムイが集めたであろう木の実の入った袋がぶら下がっていた。

 カムイはその巨体で軽々と木を登って行き袋を回収すると再度降りてきて木の実を竜馬に手渡した。

 竜馬も笑顔でそれを受け取り一嚙り、カムイも好意を受け取った竜馬を受け入れたのか一緒に木の実を食べ始める。

 そんな二人のやりとりを見て翼は微笑んだ。

 少し腑に落ちない様子の闘気に海が耳打ちする。

「俺も本気でカムイ(あいつ)を信用しているわけじゃない・・・立場上仕方なく翼の意見を尊重したが、何かあれば手を貸してくれ・・・」

「それはご主人様の為か?それとも厄介な敵を葬る為か?」闘気の問いに海は無言を返す。

「了解、ただ気を付けろアイツの能力は強力だ。」


 


 

 ・その日の夜 白金家


 次々と運ばれる麻美の料理の数々、所狭しと並ぶ見慣れぬ家庭料理の数々に翼は目を輝かせカムイは次々と手に取り頬張る。

 この日麻美の提案で懇親会が行われ、そこに翼・カムイ・海・橘が白金家に招待されていた。

 麻美は当初騎神である翼たちを警戒していた・・・だが、目の前に現れた翼が麻美好みの中性的且つハーフ特有の端正な顔立ちだったことや、それに追従する橘も麻美の理想そのものの執事でその見事な立ち居振る舞いに感動、さらに天真爛漫なカムイの見事な食べっぷりに喜びを覚え、最初の警戒心はすぐに消え嬉しそうに料理を作り続けていた。


 翼にとって麻美の作る庶民の家庭料理は新鮮に映り、一口食べればその味に感動

 台所で手伝う橘も麻美の調理法を興味津々に見つめていた。


「まさかりょうちゃんの新しいお友達があの北条院財閥の御曹司さんなんてね〜ビックリしちゃったわ。しかもこんな素敵な執事さんが居るなんて羨ましっ!」竜馬同様屈託の無い笑顔で話す麻美に対し橘は申し訳なさそうに答える。

「いえ私など・・・主人の意向も理解できない愚か者ですから・・・」麻美は橘の顔を見て言う

「よく親の心子知らずって言いますけど、子供の心だって親には理解できません。それを赤の他人(あなた)に理解されては、親の立場がありませんよ。」麻美に優しく諭された橘は心が洗われる思いだった。


 その後、カムイが麻美の料理を全て食べ尽くす頃、闘気のスマホに通知が届く。

『名楠駅前で騎神が戦闘中です。注意してください。』この通知を見て若者たちは麻美を残し出て行った。

 出て行く息子たちを見送る麻美の顔に先程までの笑顔は無かった・・・


 


 20時00分 名楠駅前ロータリー


 いつもなら駅前の広場には目的地へ向かうため忙しなく行き交う人々と夢見るストリートミュージシャンや大道芸人たち、そしてそれを見物する観客たちが居たはず・・・

 だが、今ここに居る・・・いや、あるのは複数の人型の氷の彫刻、そして彫刻の先には氷のステージとその上で踊る少女【氷虎鞭】だけだった。


 横ハネショートの髪に雪のようにフワフワとしたヘソ出しパーカー、腰には石のついたリング状のベルトを斜め掛けにし、それに氷の板を並べミニスカートのように着こなす。脚にはニーハイを履き脹ら脛をパーカーと同じフワフワの素材が包んでいる。


 


 ーー3 路上ダンサー ーー


 アップテンポな曲に合わせストリートダンスを踊る少女、その姿は可愛さの中にセクシーさも感じ、笑顔ながらも額に滲む汗と紅潮する頬からはダンスに対する熱意と高揚感が感じ取れる。


 だがその笑顔の周りにあるのは人型の氷の彫刻、ポーズはどれも少女を見つめ呆然と立ち尽くしている。

 音楽も終盤に差し掛かり少女のダンスも激しさを増しフィニッシュを迎える。

 少女が最後のステップを踏み終わると同時に衝撃波が拡散、周囲の氷の彫刻たちは次々と崩れ去りそこからオーブが出現し少女に吸い込まれていった。


 その様子を見ていた5人は唖然とする。

 一人の少女が触れることなく騎神数人を一度に撃破する瞬間を見たのだ。そのあっけなさに恐怖する海と闘気、それを尻目に竜馬と翼は少女のダンスに見惚れていた。

 そんな二人に援護を任せ少女に挑む海と闘気


 二人の存在に気付いた少女は周囲の水気を手元に吸収し8つの氷柱を繋いだ鞭を出現させ迎え討つ。


 だが次の瞬間・・・闘気と海の目の前に大きな鉄の刃が襲いかかった。

 咄嗟に後退した二人の前には怒りの形相で大斧を構えるカムイが居た。


「やっぱり・・・裏切りやがったか・・・」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ