表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
出会い
15/56

その男、凶暴につき1

 某アパートの一室

 

 数名の刑事・警察官が被疑者の部屋に強制捜査に入る。

 

 この被疑者はとある町で起きた一家惨殺事件の容疑者

 事件の内容は一戸建てに住む5人家族の内長女を除く4人を鈍器で気絶させて動けなくした後、家に放火して焼殺したというもの

 当初は失踪していた長女が容疑者として挙げられていたが、その長女が騎神であったことが取調べで判明

 そのためこの一家は騎神の戦いに巻き込まれて殺されたものと考えられたが、一人の刑事室井正臣(むろいまさおみ)(24)が異を唱えた。

 

「犯人が騎神であった場合、家族を焼殺することに意味が無く、仮に快楽殺人鬼であった場合でも、焼殺するなら人体自体を焼けばいいところをわざわざ外に出て家ごと焼く行動には疑問が残る」と提言し捜査を再開、騎神による犯行と見せかけた殺人事件として捜査した結果、この被疑者にたどり着いた。

 

 

 被疑者の男は警官達の強制捜査に対し怒り包丁を振り回して暴れた。

「チキショウ!全部騎神のせいにすればこれから楽しく焼けたのに・・・・・来るな!来るな!」男の目的は放火だった。包丁を振り回す男に警官達は拳銃を構えるが、正臣がその拳銃を下ろさせ前に出る。

 

 正臣は犯人を睨みつけながら詰め寄る。

 犯人は正臣の迫力に恐怖するも、包丁片手にヤケクソで向かって行く。

 その瞬間、正臣は騎神化【光馬短鞭】同時に強烈な閃光を放ち、犯人を怯ませた隙に短鞭で包丁を持つ手を打ち払い、短鞭の先を犯人の喉に突き立てた。

「本物の騎神の恐ろしさを知りたいですか?」凄みのある表情で言い放つ正臣に対し、犯人は恐怖で失禁その場にへたり込む。その後、犯人は無事逮捕された。

 

 だが、事件を解決したことで本来賞賛を贈られるべき正臣を見る周りの目は賞賛とは程遠い冷ややかなものだった・・・

 

 

 

 ーー1 キャリアの失墜 ーー

 10時00分 警視庁本部庁舎

 

 小綺麗なスーツに身を包んだ刑事が入庁する正臣を見つけ、ほくそ笑みながら寄ってくる。

「いや〜同期の出世頭であるお前がまさか騎神だったとはな〜」刑事の言葉を無視し真っ直ぐエントランスを進む正臣

 刑事は無視し続ける正臣の前に出て話し続ける。

「騎神であることが発覚してすぐ上から御達しがあったんだって?」この言葉に正臣は足を止める。

「なぜそれを?」

「このご時世、大体わかんだろ?お前を騎神特別捜査班のトップに置く、それ以外ないだろ。

 苦労して史上最速で警視正まで上り詰めたエリートが、運悪く騎神だったために訳のわからん組織に組み込まれて出世コースから外れる。御愁傷様!

 俺も悲しいよ、良い競走相手が居なくなっちまって・・・おかげで俺の独走状態だっ!はっはっはっはっはっ・・・・」言いたいことだけ言って上機嫌にその場を去る刑事

 その後ろ姿に『誰だあいつ?』と呆然と眺める正臣だった。

 

 

 ・庁舎内会議室

 

 広い部屋の中心に設置された円卓、そこに一定の距離をとって座る数名の幹部達は大画面に映し出された人物を見ている。

 痩せ細り骨と皮だけになった身体を拘束され、目隠しと猿轡で自由を奪われた白い長髪の男

「これが・・・血砂の死神!?」

「ええ、中東の国々で国連軍・ゲリラ・民間人関係無く無差別に殺戮した張本人」

「まさか、騎神の仕業だったとは・・・」

「騎神=日本人、国際問題ですな〜」

「それで、何者なんですこの男?」その質問が出た瞬間、その場に居た幹部全員が一瞬口を閉ざし、その空気に質問した幹部は答えを導き出した。

「・・・まさか!生き残りがいたのか!!」ようやく気付いた幹部に他の幹部達は無言で頷く。

 

「この事態に関して中東の国々からは目を瞑ってもらう確約は得た。

 しかしこの男の処分については騎神意外に実行不能との結果が出た。」

「実行不能とは?」

「騎神には銃弾は愚か、刃物すら効かない。

 傷付くことや痛みは感じても致命傷には至らないとのことだ。」幹部の一人が大画面に違う動画を再生する。

 そこに映し出されたのは殺戮のあった町に残されたカメラの映像

 死神が次々と人々を大鎌で切り刻んでいく中、身体中に銃弾が命中し仰け反るも、すぐに次のターゲットに襲いかかる様子が映っていた。

 次の動画には神経ガスを使って動きを封じナイフで刺し殺そうとしたが刃が立たず、逆に腕の肉を食いちぎられる様子が映し出された。

「つまり、騎神を殺せるのは騎神だけということです。」この言葉に頭を抱える幹部一同

「で、今この男はどこに?」

「この建物の地下に・・・麻酔で眠らせていますが、早めに手を打つべきかと・・・」

「待て、神経ガスが効いたなら毒も効くのでは?」この質問に幹部は呆れた様子で答える

「神経ガス自体が毒であり、それで死ななかったからナイフで殺そうとした!

 映像を見て分かりませんでしたか!?

 薬で動きは封じれても命までは奪えない、つまりはそういうことです。」幹部の一人が半ばキレ気味に答えたところでノックの音が飛び込む。

 

 

「室井正臣警視正入ります。」力強い敬礼とともに入室した正臣に対し幹部達も敬礼を返す。

「室井警視正、君には本日付で騎神犯罪特別対策班所属対騎神部隊の隊長に就任し、実働部隊の指揮をとって欲しい。」

「了解しました。」再度敬礼する正臣は表情一つ変えることなく不満の色は一切無い。

 そんな正臣に対し、その場の幹部達は一瞬沈黙した。

「不満は無いかね?我々も君がこれまで築き上げてきた功績は知っている。それが騎神犯罪特別対策班所属対騎神部隊隊長では、正直言って降格以外の何者でも無い。それでも構わないと?」幹部の問いに振り向き、毅然とした態度で返答する。

「私に出世欲はありません。

 ただ目の前の事件を解決するために全力を尽くしてきたのみ、決してあなた方の座る椅子が欲しいわけではありませんし、会議室で事件の解決ができるとも思っていません。全ては善良なる市民のため、それだけです。」真っ直ぐ幹部達を見据えて話す正臣に、幹部の数名は眉をひそめるが、それを気にも止めず「失礼します。」と敬礼だけして会議室から出て行く正臣

 

 その胸中は『あなた方程度が座る椅子では小さすぎる。それだけだ・・・』

 

 

 その後、国家公務員の中で騎神と断定された人物を選抜し、後日警視庁への招集命令が下された。

 

 

 

 ーー2 組織の闇 ーー

 警視庁本部庁舎 大広間 騎神犯罪特別対策班招集日

 

 日本中の警察関係者や自衛官、消防士からお役所勤めの公務員まで、騎神と判明している国家公務員数十名が一堂に会した。

 しかし、大勢の騎神が一堂に会したことでそれぞれが周囲を警戒・牽制し合い、会場中が殺気立っている。そんな様子を隊長就任演説のため別室でモニター越しに見る正臣

 

 

 

 そりゃそうだ、この部屋に居る全員が騎神

 隣も後ろも前も自分の周りに居る者全てが騎神なんだ、そんな状況で平静でいられるわけがない。

 誰か一人でも騎神化したら最後・・・この部屋は地獄絵図となる。ここに居る騎神(連中)は皆それをわかっている。だから緊張し殺気立つ

 わかっていないのは人を並べる事しか能がない幹部達(能無し)だけだ!

 警視庁こんなところで殺し合いが始まれば警察の信用はガタ落ち、無能な警察と揶揄され立場が危うくなれば他の誰かに責任転嫁して逃げる。所詮はその程度・・・

 

 この殺伐とした状況に警視総監が登壇したところで、話を聞く者など一人もいない。

 所詮は上面だけの綺麗事と形式上の挨拶、聞くに耐えない中身の無い長い話であることは新米警官でもわかっている。

 

 

 

 警視総監の話が終わり全員の敬礼で総監が降壇する。

 その瞬間、一人の公務員が発狂し騎神化する。

「なんでっ、なんでこんなところに来なきゃいけないんだ!!僕は、僕は戦いたくない!死にたくない!僕は警察なんかじゃない!ただの公務員なのになんでこんな命懸けの事しないといけないんだ〜!」叫びながら警視総監に襲いかかる公務員だったが、間一髪総監は警備に守られ退場した。

警視総監あんたのせいだ!あんたのせいでぇ〜〜〜、この人手無しぃーーーあっ!!!」発狂して暴れる公務員に背後から攻撃を仕掛けた者がいた。

「戦う気が無いなら死ね、死んで俺の糧になれ!ここに居る全員な!!」この男の一言でそれまで疑心暗鬼の中迷っていた者たちも次々と騎神化、そこから騎神同士の殺し合いが始まった。

 


 正臣は事態の収拾のため会場に向かうが、途中で幹部達に止められる。

「何をする気ですか?室井隊長」正臣には幹部達の言葉の意味がわからなかった。

「私を隊長と呼ぶのなら、その任を果たします。どいてください。」強引に先へ進もうとする正臣だったが、幹部達は銃を取り出し銃口を正臣に向ける。

 正臣は騎神に銃が効かない事を知らない、そのためすぐさま両手を上げる。

「話を聞きなさい。こうなることは我々も予見していた。だからそれを国家のため利用する。来なさい。」正臣は言われるがままついていくと、そこで資料を手渡される。表紙には機密文書の判が押され、その中身は血砂の死神についての報告書だった。

 その内容に正臣は驚愕、幹部達の行動を理解し始める。

「まさか、あなた方はこの男を消すためだけにこの部署を立ち上げたのか!」怒りで感情を剥き出す正臣、それに対し幹部は答える。

「安心したまえ、騎神は死ねばオーブに変わり証拠も残らない。それに騎神犯罪特別対策班は死神を処分した後の生き残りで編成すればいい・・・大事なことはこのドサクサの中で死神を葬ること、それだけ終われば君は元の警視正、出世街道に戻れる。」そう言って正臣の肩を叩く幹部

 正臣は資料を握る手を震わせながら歯を食いしばる。

 そんな正臣を見て、平然と席に構える警視総監は冷静に諭す。

「自分を殺すこともできない者に、人の上に立つ資格は無い」警視総監のこの言葉で我に帰り冷静さを取り戻す正臣。

 

「始めよう・・・」警視総監の指示で大混乱の大広間に拘束された状態の死神が投入される。

 

 

 突然投入された衝撃で死神は麻酔から目覚めるが、身体中を拘束された状態のため身動きが取れずにいる。

 それに気付いた騎神の一人が死神を殺そうと武器を突き立てるが、死神は身を捩り回避

 それと同時に武器の切先で手を覆っていた拘束具を破壊し騎神化【風蛸鎌】

 大鎌を手に風の能力で周囲にかまいたちを発生させ全ての拘束具を破壊した。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ