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騎神伝  作者: 一一【ニノマエ ハジメ】
出会い
14/56

偶然にも最悪な少年4

 19時00分 繁華街 瓦礫の山

 

 かつて、天高く繁華街を彩っていたネオンが今では鉄筋コンクリートの残骸と一緒に地面に横たわり、ついたり消えたりを繰り返すだけのガラクタに成り果てていた。

 今ネオンがあった場所を彩るのは曇天を走る稲妻と時折落ちる落雷の閃光・・・そして点滅するネオンを踏み躙り、かすり傷から流れる血を拭う一人の騎神

 

 ーー 7 お気に入り ーー

 

「マジかよ・・・」まさかの騎神狩りの生存に仰天する闘気

「ダメージもほとんど無い・・・」所々傷を負いながらも平然と立ち尽くす騎神狩りに息を呑む翼

「バケモンが・・・」騎神狩りへの恐怖に戦慄する海

 すぐさま竜馬が前に出て構えるが、次の瞬間騎神狩りが竜馬に問いかける。

「あんた、名前は?」

「ボクは白金竜馬!あんたは?」

榊明さかきあきらだ。白金竜馬!あんた気に入った。次会う時は一対一サシでヤろう!」そう言い残すと明は足元に雷を落とし、その閃光と共に姿を消した。

 

 明の撤退に緊張の糸が切れたのか、その場にへたり込む4人

 生還の喜びを分かち合いたいところだが、見渡す限りの惨状に四人は沈黙のまま橘の待つ車へ急いだ。

 

 

 

 ・21時00分 翼邸

 

 翼は3人それぞれを送り届け帰宅した。

 車から降りて最初に目に飛び込んだのは黒炎弾の練習で無茶苦茶にされた庭を修復中の庭師達だった。

 庭師達は「「おかえりなさいませ」」とすぐに翼に頭を下げるが、翼は「すいませんでした」とペコペコと頭を下げながら家へ向かい橘が扉を開く。

 中に入るといつものように使用人たちが並んで迎え入れるが、そこには翼邸勤務の使用人の他に黒いスーツを着た二人の男性がいた。

「あなた方は確か・・・調査部の?」二人は翼の経営する会社に勤める者だった。

「はい、この度橘さんのご指示で翼様のご友人方の身辺調査を行いましたのでそのご報告に参りました。」

「橘さん!」橘の勝手な行動に腹を立てる翼

「申し訳ありません・・・ですが、やはり私にはどうしても彼らを信用する事はできないのです。私だけではありません、翼邸ここで働く全ての使用人が翼様の身を案じています。皆を安心させるためにもどうか・・・」深々と頭を下げ謝罪する橘に他の使用人達も次々と頭を下げる。その光景に気押される翼は調査部の二人の話を聞くことにした。

 

 

「まず調査対象①白金竜馬

 白金家長男16才 私立嬉優第一高等学校2年B組に在籍中 部活は剣道部に所属

 成績はお世辞にも良いとは言えず、考査の度に追試と補習を繰り返すとのこと・・・友人も多く交友関係には恵まれています。

 家族構成は母のみの母子家庭

 5年前に両親が離婚、原因は父親の浮気と言われています。

 祖父の故白金総三郎(そうざぶろう)は名楠町のきっての大地主だったそうで、多数の不動産を所有していましたが、10年前に他界した際、遺言により土地の権利書の多くを他者に譲渡したそうです。

 一人娘である白金麻美と孫である竜馬には家と名楠町内に建つ高層マンションのみ相続され、現在その家賃収入で生計をたてているようです。」

 

「次に調査対象②山城闘気 

 山城家長男16才 学校・クラス・部活共に白金竜馬同様

 成績は平均的ですが、少々素行不良が目立ちます。校内での喫煙や、教師や上級生に対する嘲笑的な態度、それによって引き起こる暴行事件等が原因で停学処分になることも多々あったようで、校内では問題児扱いされています。

 家族構成は父のみの父子家庭

 4年前に母の山城愛生が事故で他界、それ以来父の山城翔路は酒浸りになりほとんど仕事をしておらず、現在経営する山城工務店の仕事は社員に任せっきりのようで、家庭内のほうも少々難ありです。」

 

 

「ですが、この二人の調査結果は母子家庭父子家庭にはよくみられるものです。

 白金竜馬の母親と面談しましたが、騎神である息子達を心配する良い母親という印象でした。

 山城愛生が亡くなって以来、山城闘気も実の息子同様に養育してきたそうです。

 我々としては多少の素行不良や学業面での問題がある程度で別段問題は無いと思われますが・・・・・しかし、3人目の藤堂海については・・・看過し難いものがあります。」翼と橘は調査部が提示した海の資料を見て驚愕した。

 

 

 

 ・19時30分 白金家

 

 翼の車で家の前まで送ってもらった竜馬は闘気と帰宅する。

 扉を開けるとそこにはかつての優しい母の笑顔があった。

「お帰りなさい、りょうちゃん・とうくん」久々に見たその笑顔に少し驚く二人

「今日ね〜、二人が遊びに行ってた北条院翼くんとこの人が来てね。りょうちゃんととうくんのことを教えて欲しいって言うから教えてあげたの」夕食の支度をしながら楽しそうに語る麻美の声を真剣な面持ちで聞く二人

「「で?」」

「その人達は二人が翼くんのお友達に相応しいかどうか見極めに来たんだって・・・結果はよくわからないけど、私がりょうちゃんのお母さんで良かったって言ってくれて、なんか妙に嬉しくなっちゃってね〜、今日の晩御飯ちょっと奮発しちゃった!」今朝までの暗く静かな麻美はどこへやら、以前のように食卓には麻美の元気な声がこだまする。

 

 元の日常が戻り二人の表情も綻ぶ、食後の一服に換気扇に向かう闘気にも「とうくん!タバコやめなさいって言ってるでしょ!」と麻美の叱責に対しても嬉しそうに笑いながらタバコに火をつける。

「もーーー」とため息を吐く麻美もどこか嬉しそうに見え、そんな懐かしいやり取りを見ながら竜馬はソファーに寝転び気持ちよさそうに背伸びをする。

 

 

 

「ここで臨時ニュースです。

 本日、防衛省警視庁警察庁共同の発表があり、騎神犯罪特別組織委員会の発足と騎神犯罪を取り締まる特別部隊の編成を決定

 近日中に部隊を編成し騎神犯罪に対応させるとのことです。」このニュースを冷静に見つめる闘気、タバコを深く吸いたまった灰を流しに落としながら煙を吐き出した。

 

 

 

 

 

 ーー 死神 ーー

 中東 砂漠の紛争地域

 

 一人の戦場カメラマンがガイドと共に町に向かっていた。

 車で砂漠を走る途中、戦場カメラマンは遠くに渦巻く砂嵐を見つける。しかしその砂嵐に違和感を感じたカメラマンは、望遠レンズを覗き込む。

 そこに写っていたのはただの砂嵐ではなく赤い・・・真紅の砂嵐

 この現象をガイドに伝えると、ガイドは慌てて車を反転させた。

「おいっ、何やってんだ戻れ!」現地の言葉でガイドを叱るカメラマンだったが、ガイドはそれを無視した。

 よく見るとその表情は恐怖に震え、額からは大量の脂汗を流し、逃げるのに必死の様子だった。

 

 

 ・戦場カメラマン目的の町

 

 町中を飛び交う銃弾と人々の悲鳴

 この日、平穏だった町が一発の銃声と共に地獄に変わった。武装組織が突然町を襲撃したのだ。

 

 逃げ惑う人々を後ろから撃ち殺す者・・・

 

 必死に子供を守ろうとする母親を引き離し、子供を連れ去る者・・・

 

 家に侵入し略奪を働く者・・・

 

 人々を閉じ込めた部屋に手榴弾を投げ込む者・・・

 

 抵抗できない市民に対し、残虐行為を繰り返す武装組織

 そのリーダーが略奪した戦利品を眺め悦に浸っていると、外の銃声の中から仲間の悲鳴が混じる。

「しっ死神だーーーーーワーーーーーッ」その断末魔に武器を取るリーダー、広い家を進み玄関に向かうまでに先程まで鳴り続けていた銃声が断末魔と共に少しずつ確実に減っていく。

 そして玄関のドアノブを握る頃には銃声は止み、静寂の中で自分の呼吸と心臓の鼓動だけが聞こえる。

 

 意を決して扉を開き銃を構える。

 そこには眼下を埋め尽くす無数の肉塊と真っ赤に染まった街並み、そして・・・肉塊の一つを貪るボロ切れに身を包んだ()()()()()()()・・・

 このおぞましい光景を前にリーダーは身を震わせながらも銃の引き金を引こうとするが、リーダーの身につけている装飾品の音に男は反応、目があった瞬間引き金を引くリーダーだったが、銃声は虚しく止んだ・・・・・

 

 

 

 しばらくして戦場カメラマンがガイドに尋ねるとガイドは答えた。

血砂の死神(けっさのしにがみ)が出た!深紅の砂嵐はその証だ。

 死神が出た町の人間は皆一人残らず惨殺され町中が血に染まる。その血がついた砂が舞い上がってできるのがあの砂嵐だ・・・悪いがこの仕事は他のガイドに頼め!俺はまだ死にたくない・・・」



 後日その町に出向いた現地メディアのニュースによると町にいた武装組織と町の住民女子供含め全ての人間が人の形を残さず惨殺されていたことがわかった。

 現地メディアによると同様の殺戮はこのひと月の間に数件起こっているらしい・・・


 

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