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真実の愛 冴えない男
追放され、なけなしの金を持ち漫画喫茶や大学の空き教室で時間を潰す……。
この食堂で、いやこの大学で ……いや、この世界で最も醜いとも言える彼女は誰も見向きされなくなった。
自身が見下してきた存在以下がそこにあった。
「隣いいかな」
冴えない男が隣に座った、見覚えがあるような無いような気がする。
「僕は小学校の時から君と同級生なんだけどわかるかな?」
ああ、なるほどだから見覚えがあったのか、こんなヤツ眼中に無かったから名前すらわからないけど。
「……私が誰だかわかるの?」
「服装を見ればね」
本当に私だと認識しているようで、この姿になってからというもの、孤独であり続けた彼女は涙が出そうだった。
冴えない彼は、不器用ではあるものの、彼女にとても想いを寄せてくれた。直接的、物質的な愛情?
しか知らなかった彼女は最初こそ彼の行動の意味がわからずいたが、一週間立つ頃には彼の深い愛情や、想いに気付き始めた。
この醜い姿になってから誰も私を相手にしてくれなかった。
でも、彼は違った、ずっと想いを寄せてくれていた。
それはこのひどい姿の今も。