真実の愛 変身
「……アレ。……夢?」
瞬間、彼女は思った。睡眠薬か何かで眠らされ、ひどい事されたのではないか!?
急いで身体や部屋の確認をする。 変わった様子は特に無い。本当に夢だったのか?
泥棒や強盗は現場に隠れている事があるという事を知っていた彼女は武器になるかはわからないがドライヤーやら何やらを持ち、洗面台の方へ向かう。
何もない……。かな。
「キャ…キャアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!」
洗面台に知らない人が立っている!!
誰からも相手にされようもないひどい顔!!
目の前のぶさいくなヤツも面食らって叫んでいる!!!
私の服を着て……。
「…………。 え?」
私だ。 恐らく。 多分。
目の前の醜悪な人間の正体は鏡だった。
いや、彼女だった。
信じられない事だが、男とも女ともつかない酷いでくのぼうになっていた。
こんな姿じゃ外に出られない。
出たくもない。 これは夢。
と彼女はその日は出かけなかった。
しかし気にかけてくれる人の多い彼女の事、ひっきり無しに電話がなる。
「これが愛? ……多分違うよね……」
ピンポーン
1日閉じこもったマンションの空気に来訪を知らせる機械音が鳴る。