間話『ウツメさんに聞きました』
突発コーナー『ウツメさんに聞きました』
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今日お越しいただいたのは、器を作って早5年、器の女ことウツメさんです。
「よろしくおねがいします。ところで、ここはどこでしょうか?」
まずは自己紹介をお願いします。
「あなたは誰ですか? 体調もよくありませんし、帰らせてください」
・・・自己紹介をお願いします。出番増やしますから。
「え、ええ、そうですか、では。紹介に預かりましたウツメです。ですが、この呼び名は名前ではありません。元々私には名前はなく、器作りを任されるようになって器の女と呼ばれるようになりました。以前は男親の子、トキの子と呼ばれていました」
父親は世紀末覇者の弟さんですか、病弱だったりしたのですか?
「せい・・・? 父親は私と違い体は丈夫でした。普段は力仕事をすることが多く、山に入り器作りに適した土を探す仕事をしていた事もあったそうです。ただ、少し前、大水が出た時に流されてしまい、今はおりません」
それはご愁傷様です。ところで、いま何歳ですか?
「よくわかりませんが、子を産めるようになってから5つ年が過ぎたと思います」
子を・・・。お子さんはいらっしゃるんですか?
「私が産んだ子はおりません。ツチオとツチメを子として生活しています」
複雑な家庭のようですね。ツチオの名前が出ましたが、ツチオの母親とは友達でしたか?
「ともだち、というのがよくわかりませんが、よく話をしていました。食事の作り方、衣類の洗い方、天気の読み方。たくさんの事を教えてくれました。最後はあんなに弱ってしまい、何かの呪いかと思ったくらいです。人が死ぬのは自然なことですが、あんな死に方は見たことがありません」
話が暗くなってしまいました。ズバリ、カマオとの関係は?
「カマオですか? しっかりしているようで気が弱い人です。先代の教えを守り器つくりに励んでいますが、毎年『先代のようにはうまくいかない』と悩んでいるようです。なんでも、昔ここは地域で一番盛んな窯処だったのですが、長い年月が過ぎ廃れてしまったとか・・・」
それは残念です。カマオと結婚するつもりはありますか?
「けっこ・・・? カマオの子を作るという事でしたら、彼に聞いてください。女は受け入れるだけですので。そもそも夜の・・・」
これ以上は何かのレートに引っかかってしまいそうなので質問を変えましょう。
カタメをどう思っていますか?
「あぁ、あの目落ちの子供のことですか? しぶとく生きていますね。どこから来たのかもわかりませんし、捨てられた子なのでしょう。気は弱そうだし、時々意味の分からない言葉を話すし、他人の顔色を伺って媚びるようにヘラヘラ笑うし、それに・・・」
はい、そこまでで結構です。
ちなみに良い所とかはありましたか?
「・・・・・・・・・。そういえば、口ごたえをした事はなかったように思います」
わかりました。
そう言えば、ツチメとカタメは仲が良いようですが、それについては・・・。
「ツチメはあの子供を玩具にしているだけです」
おもちゃ、ですか。
「ツチメは働ける子の中で一番若いので、いつも用事を押し付けられていたりしました。そんな時にあの子供がやってきたのです。カマオから『好きに使え』と言われたので、その通りにしているだけかと。元々わがままな所がある子ですから、自分の好きに使える道具があるのが嬉しいのかもしれません」
わ、わかりました。
時間も少なくなってきたので、最後に何かあればどうぞ。
「特に何も」
ありがとうございました!
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以上、突発コーナー『ウツメさんに聞きました』でした。




