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ジョーと麻里亜

☆前回のあらすじ☆


麻里亜は自らの命を犠牲に空間移動を展開させ、麻里亜は最期にジンとの淡い思い出を作る。

そして、麻里亜の空間移動により、なんとかジンたちは屋敷の外に脱出し、屋敷は大爆発を起こす。

爆風でジンは吹っ飛んで車のドアに激突し、ジンに近づく影。ジンはそこで気絶する。


☆ジョーと麻里亜☆


 次の瞬間、屋敷が大爆発を起こす。

 爆発の熱気が僕を襲い、爆発の熱気が僕の髪を撫でる。

 ガラスの破片、壁の破片が僕の腕を掠め、僕は麻里の胸に顔を埋めて痛みで顔をしかめる。

 爆風の強い力に押されて僕は麻里亜の身体から離れ、麻里亜に手を伸ばすが僕は爆風で吹っ飛ばされる。

 僕の身体がくの字に吹っ飛び、僕は噴水の傍に停めてあった白いバンのサイドドアに激突。

 僕は痛みで顔をしかめながらゆっくりと顔を上げる。

 振り向くとバンのサイドドアは爆風の衝撃で凹んでいた。

 顔を戻すと、誰かが僕に近づいてくる揺らいだ影が見える。

 僕はそこで気絶した。


『ジン様。起きてください。危険が迫っています』

 暗闇の中で、僕の頭に麻里亜の声が響く。


 麻里亜? どこなの?

 僕は暗闇の中で辺りを見回す。


『あの男が来ます。ワタシはジン様の心で生きています』

 麻里亜の声が聞こえなくなると、光が射した様に僕の視界が明るくなり、僕は顔の前を手で遮る。


「!? ぐっ」

 次の瞬間、急に誰かに首を絞められて息苦しくなり、僕は瞼を開ける。

 あの男がバンの傍で僕の首を絞め上げ、僕は大男の腕を拳で何度も叩く。

 大男の腕を爪先で蹴って必死に抵抗する。

 苦しくて言葉が喉に引っかかって出せない。


 大男は僕を睨み、不気味に喉の奥で笑っている。

「外の空気はどうだ? やはり、あの女の力か。あの女を甘く見ていた。言え、あの女は何者だ!?」

 大男は噴水の傍の石畳に横になって倒れている麻里亜を力強く指さす。


 僕は歯を食いしばって大男の手首を両手で押さえ、首を横に振る。

 麻里亜のことは何も知らない。父上なら、麻里亜のことを知っているはずだ。


 大男はつまらなそうに鼻で笑う。

「まあいい。オレの邪魔をする奴は容赦せん」

 大男は僕の首から手を放し、麻里亜に振り向いてバンのトランクに向かう。


 大男が自分の首から手を離した時に、僕はお尻を地面に打ち付けた。

 お尻を優しく擦り、首を押さえて咳き込む。

 あいつ、麻里亜になにする気だ。

 やめろ。麻里亜は僕が守る。

 僕はゆっくりと立ち上がり、よろけながらバンのサイドドアに凭れて咳き込む。

 大男の背中を睨み据え、バンのサイドドアに凭れながら、僕はバンのトランクに移動する。

 大男は鼻歌を歌いながらバンのトランク開け、トランクの中からポンプアクションショットガンを取り出す。

 ポンプアクションショットガンの銃身を見つめ、片目を瞑ってポンプアクションショットガンを構える。

 大男は麻里亜に振り向き、ポンプアクションショットガンに弾を装填してゆく。


 僕はバンのトランクに凭れて咳き込む。

「やめろ。麻里亜に手を出すな……」

 僕はポンプアクションショットガンに手を伸ばして、ポンプアクションショットガンの銃身を掴む。


 大男は僕の手を払いのけ、片手でポンプアクションショットガンの銃口を僕の顔に向ける。

「邪魔をするなら撃つぞ。顔に風穴を開けたいか?」


 僕は黙り込んで、大男から顔を背ける。

 大男は勝ち誇った様に喉の奥で笑い、ポンプアクションショットガンを肩に担いで麻里亜の元へと向かう。


 僕はバンのトランクに凭れて、大男の背中を睨み据える。

 あの男を止めないと。

 僕はバンのトランクを離れて、よろけながら大男の元へと向かう。


 大男は麻里亜の元に寄ると麻里亜の肩を片足の爪先で乱暴に蹴り、麻里亜をうつ伏せにさせる。

 大男は不気味に笑って麻里亜の肩を踏んづけ、ポンプアクションショットガンを肩に担いだまま、呻りながら麻里亜の顔を覗き込む。


 大男は訝しげに顎に手を当てて顎を擦る。

「まだこの女のコアは生きてるな。この女が動いたら厄介だ。オレがこの女のコアを破壊する。おっと、邪魔はするなよ?」

 大男はポンプアクションショットガンの銃口を麻里亜の胸に向けて僕に振り向き、人差指を僕に突き出して小さく左右に振る。


「くっ。やめろ……やめてくれ……」

 僕はやるせなくなり、地面に両膝を突いて俯く。


「それ以上近づくとこの女を撃つぞ。この女のコアを破壊してもいいのか?」

 大男の冷たい声が聞こえる。


 麻里亜を助けたい気持ちと僕の命が天秤に掛けられた気分だ。

 気持ちは僕の命にぐらつく。


 僕は生唾を飲み込み喉を鳴らす。

「わ、わかった。これ以上近づかない……」

 僕は俯いたまま、拳を握り締める。

 なんとなく顔を上げて、麻里亜の様子を見る。


 大男は顔を戻し、ショットガンを肩に担いで、麻里亜を見下ろして残念そうに首を横に振る。

「残念だよ。お前みたいな優秀な戦士が、うちの部下に欲しかった」

 大男は麻里亜の胸にポンプアクションショットガンの銃口を向け、引き金を引こうとしている。


 僕は悔しくて歯を食いしばって地面を拳で叩き、麻里亜に手を伸ばして叫ぶ。

「よせ! 話が違うだろ! 麻里亜ぁぁぁぁぁ!」


 その時、大男の背後に向かって剣を横に構えて靴音を響かせ、大男の背中に剣を振り上げるルビナ姫。

「ジョー! あなたの好きにはさせない!」


 次の瞬間、硬い金属音が鳴って火花が散り、ジョーが振り向きもせずにルビナ姫の剣を受け止め刀身を握り潰す。

 ルビナ姫の剣の刀身がガラスの様に砕け散った。

 ルビナ姫がジョーの背中で肩で息をしながら砕けた刀身を握った腕を垂らし、驚愕の表情を浮かべて後退る。


「ル、ルビナ姫!?」

 僕は驚いて腰が抜けて盛大に尻餅をつく。

 な、なにやってんだよ。キミは大人しくしてればよかったんだ。余計なことを。

 あの男を倒すのは、麻利亜しか無理だ。

 でも、どうすれば、麻里亜は目覚めるんだ。

 くそっ。僕たちじゃ敵わない。毒には毒を。

 僕はジョーを睨み据えて、歯を食いしばって拳を握りしめる。


 ジョーがルビナ姫に振り返って、ポンプアクションショットガンを肩に担ぎ、ルビナ姫に振り向いて掌を向けて喉の奥で笑う。

「余計な真似をしてくれる。姫にはしばらく眠ってもらおう」

 ルビナ姫に向けられたジョーの掌が紅く光り、ルビナ姫はジョーの掌から放たれた衝撃波で吹っ飛んだ。

 ルビナ姫は顔の前で腕をクロスさせてくの字に吹っ飛び、噴水に背中が激突して気絶した。

 ルビナ姫が握っていた剣がするりと落ちる。


 僕はルビナ姫を助けようと立ち上がり、よろけながらルビナ姫の元に向かう。

 ルビナ姫。キミの勇敢な行為は称賛に値するよ。僕がその目撃者だ。

 麻里亜、ごめん。後で助けるから待っててくれ。

 僕は麻利亜に振り向く。


 大男が麻利亜に振り返り、ショットガンの銃口を麻利亜の胸に向ける。

 えっ? 僕は嫌な予感がして鼓動が高まり、胸を手で押さえる。

 落ち着け。麻里亜は大丈夫だと言い聞かせて深呼吸する。


 大男の呼吸音が響き、不気味に笑う。

「手間取らせやがる。フハハハハッ。さらば、同胞よ!」

 一発の重たい銃声が響き、麻利亜の身体から衝撃波が放たれ、麻利亜の身体から火花が散る。


 僕はやるせなくなり、その場で両膝を床に突き俯く。

「そ、そんな……麻利亜……」

 両手の掌を地面に突き、俯いて拳で地面を何度も叩く。

 麻里亜を助けていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。

 なんで僕はルビナ姫を助けようとしたんだよ。くそっ。

 僕は悔しくて涙が滲んで、手の甲で涙を拭う。


 その時、門から車やバイクのエンジン音が近づき、やがて僕たちの前で急停止する。

 僕は驚いて顔を上げる。なんだ?

 パトロール隊のレスキュー車だ。エアバイクまである。

 エアバイクはタイヤがなくて、エンジンが掛かると宙に浮くバイク。水上も走れるから便利だ。

 でもエアバイクはパトロール隊の乗り物なんだよね。カッコイイけど。

 パトロール隊が来たってことは、僕たちは助かったのか?

 僕は緊張で生唾を飲み込み喉を鳴らし、固唾を呑んで見守る。 


今回、麻里亜が……な展開になりました。麻里亜ごめんよ。

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