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異能者

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:ジン


僕たちはジョーの手下の襲撃を掻い潜るが、ジョーはビルを爆破して火災を起こし、陽動作戦を実行した。

ジョーの暴走で街は大惨事になり、街の大惨事を目にした僕たちは全てを終わらせる決意をする。

ビル火災でバンが足止めを食らい、別ルートを検索中に黒いジープの装甲車がバンに突っ込んで来た。


☆異能者☆


 その時、左の曲がり角からさっきの黒いジープの装甲車がエンジン音を響かせて猛スピードで飛び出し、僕たちのバンに衝突した。

 バンはアクション映画のように勢いよく横に激しく回転してひっくり返った。


 僕は窓ガラスに頭を強打し、頭を押さえて顔をしかめる。頭が痛い。

 焦げたような臭いと煙臭い。ガソリンが漏れてるんだ。鼻を手で押さえる。早く出ないと。

 運転席のモニターの液晶画面に罅が入り、ばちばちと火花が散っている。


 僕はシートベルトを外して、どさっと車の天井に落ちる。

「ルビナ姫、大丈夫?」

 僕は身体を起こして屈み込み、額を手で押さえて顔をしかめ、運転席のシートに手を突いてルビナ姫に呼びかける。

 ルビナ姫を覗き込むと、ルビナ姫はぐったりと気絶していた。

 僕は口許を手で覆いながら片手でルビナ姫の身体を必死に擦るが、ルビナ姫は目を覚まさない。


 運転席のモニターから火花が散っている。

 モニターから散った火花が僕の手に触れる。僕は熱くて思わず手を引っ込める。

 数秒後に運転席のモニターに火花が散って火が点き、小さく燃え始める。

 僕は一瞬、身体が固まる。こういうシーンを本で読んだことがあるけど、まさか実体験するとは。


 その時、駆けてくる靴音が近づいてくる。

「ルビナ姫! 大丈夫ですか!? 大変だ、応援を呼ばないと……」

 さっきの小太り中年男の声が聞こえる。

 罅割れたフロントガラスの向こうに黒いジープの装甲車が停まった。

 黒いジープの装甲車の運転席ドアが開閉し、一人の男が下りてきた。

 男は頭が禿げて黒いサングラスを掛け、黒いコートを羽織り、黒いスーツを着て黒い革手袋を嵌めて黒いブーツを履いている。がっちり引き締まった身体で額に不気味な十字架の入れ墨が彫ってあり、右の頬に斜めの刀傷がある。

「き、貴様はレオン! ゾット教の異能者め!」

 罅割れたフロントガラス越しに小太り中年男が腰のホルスターから素早くオートマチック銃を抜いて、黒ずくめの男を撃つ。

 急に小太り中年男の動きが急激に遅くなる。まるでスローモーションのように。

 銃弾までもはっきり肉眼で見える。小太り中年男以外は時が正常に流れている。

 そういえば、運転席のモニターが燃えていたのに、何故か炎が止まっている。全然熱くない。

 ルビナ姫も人形の様に完全に動きが止まっている。

 ルビナ姫の腕を触ってみると、石のように硬かった。

 僕だけが動けるみたいだ。確認するように掌を返して見たり、足を動かしてみる。

 あの男の力なのか? 僕はフロントガラス越しに黒ずくめの男を見る。

 急に胸が締め付けられるように動悸が激しくなり、顔をしかめて胸を手で押さえる。


 レオンは黒いコートのポケットに両手を突っ込んで不気味に笑っていた。

「異能者はアルガスタの民に忌み嫌われる。だが、俺はお前らより優れていることを忘れてないか?」

 レオンが口をへの字に曲げて首を傾げて肩を竦める。

 レオンが人差指を突き出して小さく左右に振りながら、小太り中年男に歩み寄る。

 小太り中年男の傍に寄ると、レオンは小太り中年男が握っているオートマチック銃を奪い取る。

 レオンがオートマチック銃をまじまじと見て、首を傾げて口をへの字に曲げて何度も頷く。

「最近のデカはまともな銃を持ってるんだな。だが、俺にはこんなのガラクタに過ぎん」

 レオンが小太り中年男の胸に銃口を向けて、オートマチック銃を撃つ。

 一発の銃声の後、魔法が解けたように、フロントガラス越しに小太り中年男が道路に倒れる。

 レオンは小太り中年男の背中にオートマチック銃を放り投げ、黒いコートのポケットからシルバーの十字架のネックレスを取り出してキスし、小太り中年男の背中に放り投げる。

 レオンは黒いコートの襟を整えてコートを着直し、僕を見て不気味に笑う。

 小太り中年男の顔が僕に向いてて、眼が見開いている。

 僕の胸苦しさが直り、僕は瞼を閉じて首を横に振る。なんて惨いんだ。

 僕はレオンが許せず、瞼を開けて歯を食いしばってレオンを睨む。

 その時、レオンの黒いコートから携帯の着信音が鳴り、レオンは黒いジープの装甲車の運転席ドアに凭れて黒いコートのポケットから携帯を取り出し、片手を黒いコートのポケットに突っ込み、誰かと電話で話し始めた。


 ルビナ姫が激しく咳き込んで僕は我に返ってレオンから目を逸らし、慌ててルビナ姫を見る。

「ちょ、ちょっと!? 燃えてるじゃない! ガソリン臭いし、早く出ないと爆発するわよ!?」

 ルビナ姫が慌ててシートベルトを外し、屋根に頭をぶつけて身体を起こして口許を手で押さえながら足で必死に罅割れた窓を蹴り始める。

 僕はルビナ姫に呆れて瞼を閉じて首を横に振る。

 そういえば、隊員が倒れてから僕の胸苦しさが直って、正常に時が流れてる。

 どうなってるんだ。まあいいか。そんなことより、早く脱出しないと。

「あのさ。足で蹴って割れるような窓じゃないだろ。ちょっと待ってて」

 僕は後部座席に振り返って口許を手で押さえ、天井の金属ベルトに目を落とすがロックは解除されていなかった。

 銃で窓ガラスを割って外に出るのは無理そうだな。

 危機的状況に生唾を飲み込み喉を鳴らした。

「ジン! 銃はどう!?」

 背後でルビナ姫の怒鳴り声が聞こえる。まだ足で窓を蹴っている音が聞こえる。

 僕は瞼を閉じて首を横に振って、ルビナ姫に呆れて嘆息を零す。

「ダメだ。ロックされてる……」

 拳で金属ベルトを叩いてみるが、ちっとも反応しない。

 僕は諦めてルビナ姫に振り返り、運転席に手を突いてルビナ姫に手を伸ばす。

「そこは危険だ。トランクに移動しよう」

 ルビナ姫は口許を手で押さえながら、片手で肩を竦める。

 ルビナ姫は僕と手を繋いで何故か顔が火照り、慌てて僕から手を離すが、僕の人差指を掴んだ。

 僕は不思議に思って眉根を寄せて首を傾げる。

「どうしたの?」

 僕はなんでルビナ姫が自分の人差指を掴んだのか不思議に思いルビナ姫に訊く。

 ルビナ姫が僕の人差指を掴んだまま慌てて顔を背ける。

「な、なんでもないわよ」

 ルビナ姫の顔が赤く、額に冷や汗が滲み、僕の人差指を掴んでいる手に汗を掻いている。

「あっそっ」と僕は呟き、瞼を閉じて嘆息を零す。

 僕はルビナ姫と手を繋いだまま顔を戻し、トランクに向かって歩き出す。

「それにしても緊急時に銃がロック解除されないなんて、ポンコツなのかしら。このバン旧式なんじゃない?」

 ルビナ姫の嘆息が聞こえた後、スカートの裾に火が点き、ルビナ姫は叫びながらスカートを叩いて、スカートの裾に点いた火を慌てて消す。

 僕はそんなルビナ姫に呆れて額に手を当て、瞼を閉じて首を横に振る。

 ルビナ姫を無視してルビナ姫の手を乱暴に取って、僕はルビナ姫と手を繋ぐ。


 僕はルビナ姫に振り向くと、ルビナ姫が片手でスカートの裾を持っている。

「ねぇ、ジン。敵さんが開けてくれないかしら。そしたら楽なのに」

 顔を戻すと背後でルビナ姫の嘆息が聞こえる。

 僕はルビナ姫に呆れて、ルビナ姫に振り向く。

「敵に捕まった元も子もないだろ。トランクを爆弾で開けるしかないんじゃない?」

 顔を戻し、結局敵に捕まるしか手はないと思い、僕は苦笑いする。

 バンの屋根を踏む度に乾いた靴音が響く。

 僕たちは屈んでバンのトランクに移動し、僕の隣にルビナ姫がいる。

 トランクのドアノブを弄るが、ドアはロックされていて開かない。

「なんで開かないのよ!?」 

 隣でルビナ姫がトランクのドアに体当たりしてトランクのドアを拳で何度も叩いている。


 その時、バイクのエンジン音が近づき、後部座席の窓ガラスに一台の黒いバイクが停まる。

 停まったバイクの横に一台、また一台停まり、バイクからライダーが下りた。

 ライダーは黒いライダースーツを着て黒いブーツを履いている。

 くそっ、ジョーの手下か。どうして僕たちを狙うんだ?

 僕は慌ててルビナ姫を抱き寄せ、ルビナ姫の口許を慌てて手で押さえる。

 ルビナ姫が何かもごもごと喋るが、何を言っているのかわからず、ルビナ姫が僕の腕を拳で叩く。

 僕は口許に人差指を突き立て、ルビナ姫は黙って頷き大人しくなった。

 僕とルビナ姫が至近距離で見つめ合い、お互い顔が火照る。

 ルビナ姫の眼がさざ波の様に揺れている。

 ルビナ姫の息が僕の耳に振り掛かり、僕は変な気分になり、思わず生唾を飲み込み喉を鳴らした。


 ブーツの乾いた靴音が響く。

「中を調べろ! ガキを殺すなよ?」

 リーダー格っぽい男の声が聞こえた。

 ライダーたちが駆けてトランクに回り込み、トランクに何か付ける重い音が聞こえ、高い機械音が鳴る。

「爆発するぞ! 離れろ!」

 男の怒鳴り声を聞いて、僕は慌ててルビナ姫を抱き寄せたまま伏せる。

 ルビナ姫の真っ赤な顔が心配そうに僕を見つめ、僕はルビナ姫を安心させるように頷いた。

 数秒後にトランクのドアが爆発して、僕は瞼を閉じた。

 爆風で吹っ飛んだトランクの重いドアが僕たちの上に被さる。

 ライダーがトランクのドアを取って投げ捨て、銃を構える乾いた音が聞こえた。

 僕は瞼を開け、顔を上げて奴らに振り向く。

 やっぱり奴らは黒いヘルメットを被り、黒いライダースーツを着て黒い革手袋を嵌めて黒いブーツを履いた二人のライダーが、マシンガンを構えてトランクのドアの前で立っていた。

 ルビナ姫は怖いのか瞼に力を入れて、瞼を閉じている。

「奴ら生きてるぞ! 出るんだ!」

 左の男が怒鳴ってトランクの縁を叩き、マシンガンを構えたまま僕たちを乱暴に手招きする。


 横から現れたレオンは、後ろ手を組んだ左手を左の男の肩にそっと手を置く。

「こいつらはジョー様のお気に入りだからな。身体能力が高く、異能者としての素質がある。異能者の研究所に連れて行く、生け捕りにしろ。手荒い歓迎だが、悪く思うなよ?」

 レオンは口をへの字に曲げて肩を竦めた。

 レオンは左の男の肩を軽く叩いて不気味に笑って踵を返し、ポケットから携帯を取り出してどこかに電話を掛けた。

 僕は左の男に腕を乱暴に掴まれて無理やり外に引っ張り出された。

「放せ!」

 必死に掴まれた腕を振ったり抵抗するも、男の方が力が強く無駄だった。

 右の男がルビナ姫の腕を乱暴に掴んで無理やり引っ張り出す。

「放しなさいよ!」

 ルビナ姫は必死に足で蹴ったり手足を動かして暴れているが、男の方が力が強く抵抗するも無駄だった。

「手を上げろ! 車まで歩け!」

 背後の男にマシンガンの銃口で背中を押され、僕たちは手を上げたまま、黒いジープの装甲車に連行される。

 ルビナ姫が左に見えるひっくり返ったバンに目配せして、背後でマシンガンを構えた男に顎をしゃくる。

 バンが爆発した隙に武器を奪えって? 僕は無茶ぶりな作戦に首を横に振った。

 ルビナ姫が諦めてがっくりと俯く。

 数秒後にバンが爆発して熱気が飛んで来て僕は顔の前を手で遮る。

 連中に隙ができるほど大した爆発じゃなく、僕たちはそのまま黒いジープの装甲車に連行された。


 その時、後ろから砲弾の様な物が飛んで来て、目の前にある黒いジープの装甲車のフロントバンパーに当たって爆発が起きた。

☆続く☆ 異能者終了後のおまけ ゲスト:ジン・カイト


カイト:それじゃ、今回もゲストを紹介するぜ!(クラッカーを鳴らす)

ジン:待ってくれよ。スタジオが違うだろ? 君は向こうのスタジオだろ?

カイト:細かいことはいいんだよ。お前はこの前、向こうのスタジオに間違えて来ただろ?

ジン:あれは僕がスタジオを間違えただけだろ? なにしに来たんだよ?

カイト:まあまあ、落ち着けって。お前にファンレターが届いているぞ?(ファンレターを見せびらかす)

ジン:ほ、ほんと!? よ、読んでくれよ。

カイト:お前って、ほんと単純だよな。まあいいか。ええと、ラジオネーム:キララさんから。キララさん、ありがとうな! ええっと、なになに? ジンさん、いつも楽しく物語を読んでいます。特におまけコーナーが毎回楽しみにしています。もう夏も終わりですね。ジンさんは、今年の夏はどこかに行きましたか? だってよ。(なんか、こいつにファンがいると思うと、腹が立ってきたぞ。つうか、これって作者に送るべきだろ・・・)

ジン:今年の夏は、どこにも行ってないね。そういえば、麻里亜と街に出掛けたくらいかな? プールとか、映画館とか、ショッピングとか。

カイト:普通に行ってるじゃねぇか。つうか、麻里亜とデートして楽しいのか?

ジン:で、デートじゃないよ。本当は、ルビナ姫とデートしたいけど・・・

カイト:じゃ、ルビナ姫とデートすりゃいいじゃないか。麻里亜に悪いってか?

ジン:そ、それもあるけど。ルビナ姫をデートに誘いにくいっていうか。

カイト:おいおい、そんなんじゃ。いつまでたっても、ルビナ姫とデートできないぞ?

ジン:君には関係ないだろ!? 次のファンレター読んでくれよ。

カイト:ったく。じゃ、次のファンレターな。ええっと、ラジオネーム:メロンパンさんから。メロンパンさん、ありがとうな! ええっと、なになに? ジンサンは、いつルビナ姫に告白するんですか? いつもドキドキしながら、ジンさんとルビナ姫のやり取りを読んでいます。だってよ。ほらみろ、読者からも言われてるぞ? お前は男らしくないからだろうが。

ジン:なんだよ!? じゃ、今度ルビナ姫をデートに誘えばいいんだろ!? プリクラ撮ってきてやるよ!

カイト:お、おう。なにムキになってんだよ。つうか、連絡先交換したのか?

ジン:い、いや、まだなんだ・・・なかなか言い出せなくて。

カイト:まずは、そこからだな。ったく、情けねぇな。

ジン:それより、君はどうなんだよ? 好きな人はいるのかよ?

カイト:オレか? いないねぇ。(ミサは可愛いけど、あいつは幼馴染だしな。って、なに考えんだ)

ジン:スタッフに聞いた話じゃ、幼馴染のミサに恋してるんじゃないかって聞いたけど?

カイト:ち、ちげぇよ。あいつは、ただの幼馴染だ!

ジン:ふーん。そうなんだ。怪しいもんだね。

カイト:(くそっ、立場が逆転しちまったな)

ジン:今度、君の幼馴染のミサって子に訊いてみようかな。君のこと好きかどうか。

カイト:や、やめてくれ、それだけは。なっ?

ジン:どうしようかな。僕の恋に協力してくれたら、考えるよ。どうだい?

カイト:協力すりゃいいんだろ。ったく。(なんか、うまく乗せられたな)

プロデューサー:はい、カットー。いやー、今回はよかったよ。まあ、ファンレターは俺が書いたんだけどね。

ジン・カイト:お前かよ! というか、プロデューサーって禿げ頭がジェイソンステイサムだろ!

プロデューサー:ジェイソンステイサムじゃねぇよ! オリジナルの禿げだよ!

作者:ダメだこりゃ・・・ ☆END☆

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