人間の味をせしめたぜ!
俺は最後の女に舌を伸ばす。
それ盾でカバーしてくる、剣士の男。
重力魔法で、剣士の男の盾を重くする。
「クソッ、俺らじゃなく防具を狙ってきやがる! おい、バルカ! 目を覚ませ! 今はがむしゃらにやって勝てる相手じゃない!」
「うるせぇ! こいつがメリーを! 絶対許さねぇ!」
俺は奴らが口論している間に女に舌を伸ばす。
「ファイアウォール!」
炎の壁が出て来て、俺の舌は炎の壁に突っ込む。
「ボエエエエエエエエエエエエ(あっつぅううううううううう!!)」
さらにそこにカバーしていた剣士が俺の舌を地面に縫い止めるように剣を刺す。
「ボエエエエエエエエエエエエ(いたいっつのぉおおおおおお!)」
もう一回跳ねるか。
よいしょっとな。
「跳ねるぞ、気を付けろ!」
くそ、予備動作が長いから見抜かれたか。
俺が地面に着地しても、倒れる奴はいなかった。
畜生が!
「バルカ、皆! ここは一旦引くぞ! 俺らじゃ奴に致命傷を与えられない!」
「そんなの耐えられるか! 俺がこいつを仕留める!」
「わざと無視されているのが分かんないのか! お前の攻撃は効いてないんだよ!」
激高するバルカと逃げようとする四人。
逃がすか! 俺が全員食べてやるんじゃ!
重力魔法を木にかけて奴らの行く手に倒れるようにする。
奴らはそれに気が付いたのか、いち早く逃げようとしている。
「バルカ! 早く来い!」
しかし男は関係ないとばかりに俺を切りつけている。
いい加減痛いんだがな。
まず、バルカから食べるか。
俺はぎゅるんとバルカの方へ口を向ける。
バクンと口を閉じるが食べた感触がない。
避けられたか。
バルカは転がり、俺の攻撃を躱していた。
逆に俺を切りつけている。
俺は奴の剣に重力をかける。
奴が重さに耐えられずに剣を手放す。
今だ! 舌をバルカに伸ばす。
さらにそれをバルカは躱す。
だが、剣は失った。
俺は舌で剣を跳ねて遠くに吹き飛ばす。
これで切られることは無くなった。
「こいつ、武器を的確に! くそっ、逃げるしかないってのか!」
奴が背を向ける。
その瞬間に舌で奴の足を絡めとる。
「うぉおおおおおああああああああ!」
いただきまーす!
俺はバクンとバルカを一口で食べた。
うまい! やっぱ人間が一番いい味してるな!
『レベルが上がりました』
『グラビティホエール
レベル10/10
高さ3.8メートル
横幅3.8メートル
長さ11.4メートル
強さC+
進化が可能です』
俺がバルカを食べている間に他の四人は結構遠く逃げていた。
俺は追って食べようかと思ったが、傷が痛い。
俺は進化して傷を治すことにした。
進化しろと念じると、急激に眠くなってくる。
次に目を覚ました時には辺りは朝だった。
視界の端を見る。
『グラビティホールホエール
レベル1/15
高さ5メートル
横幅5メートル
長さ15メートル
強さB』
グラビティホール? 重力穴? なんのこっちゃ。
とにかく傷は癒えた。
傷がいえて俺は全回復!
さてどうするか。
人間美味しかったなぁ。
狙うか、人間!
俺はそう思うと、昨夜逃げた人間を追うために足跡を探す。
あった!
俺は足跡を順に追っていく。
途中で遭遇する敵はいなかった。
俺がでかすぎて、木を倒さないと真直ぐ進めないからだ。
木を倒して、それを食べる。
ここで俺の新技が炸裂!
特技吸い込む。
口に重力場を発生させてまるで掃除機の様に吸い込めるのだ!
俺は足跡を追いつつ、倒した木を吸い込んで食べていく。
そうこうしている内にレベルが一つ上がった。
『レベルが上がりました』
『グラビティホールホエール
レベル2/15
高さ5.3メートル
横幅5.3メートル
長さ15.9メートル
強さB』
そして夕方。
俺は森を抜けた。
そこは草原だった。
遠くを見ると石造りの壁が見えた。
おそらく……町だ!