表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら俺は、フツーじゃない  作者: トトロボトル
1/3

人生、フツーが一番。



俺の名前は佐藤ヒロシ。


顔も普通、身長も普通、成績もスクールカーストも普通。

名前はまあ、親から授かったものだし置いといて。


そう、普通の高校生なのだ。

偏差値50の高校に通う、普通すぎる一年生だ。


勉強をしてもしなくても、テストの点数は学年の平均点ちょうどだ。


俺の50m走タイムが、同学年男子の平均タイムと小数点2ケタまでピッタリ一致したこともある。普段しかめっ面の体育教師までも、この時ばかりはクラスメートと一緒になって、逆に凄いと驚いていた。


何をどんなに頑張っても、普通の壁は超えられない。

だがなにをしても、平均値まではいけるのだと楽観的に考えている。


兎にも角にも....俺は普通なのだ。


だからこそ、今こんなにも落ち着いていられる。俺は今、普通じゃない状況にあるが、それがまったく現実味を帯びていないように感じるのだ。



「ごめん、よく聞こえなかったわ。....今なんて?」

ハッキリと聞こえていたが、一応訊き直した。


「佐藤くんのことが好きです!!私と付き合ってください」

如月香織はもう1度言った。


聞き間違えてない...今確かに告られた。学校のアイドル如月から。



俺はきっと、普通の女の子と結婚するんだろうな。

漠然とそう考えていた。


まず女子から告白されるようなことは、一切期待していなかった。.....妄想はしてたけど。


神はよほど暇だったのか、俺をおちょくることにしたらしい。


だが如月だ。なぜ如月なのだ。

せめてちょっとだけ可愛い位の女の子が良かった。


ちょっと背伸びすれば、どうにか釣り合える程度の女の子になら告白された瞬間、即恋に落ちる自信がある。


如月と同じクラスの男子、つまり1年1組の男子は呪われている。


1組以外の全男子生徒から、呪われているのだ。

俺も一緒になって呪った。


みんな同じことを考えていた。

あいつらさえいなければ、俺が1組だったはず....と。


とあるイケメンを中心に、2組から4組の男子は校庭のグランドに、1組男子への恨みを石灰で長々と綴った。


この一件は学校で大問題となった。

犯人を血眼で探す教師とビクつく生徒。


そんな中イケメンは、自分から全責任を背負い、2週間の停学処分を一人で受け止めた。


親指を立て職員室へ向かう、その後ろ姿は正真正銘の漢だった。


彼の背中からは哀愁など微塵も漂わず、ただ岩のように硬い覚悟だけが見て取れた。




「..........」

如月は顔を真っ赤にして返答をまっている。

上品にウェーブがかった銀髪までもが、赤く染まっていきそうだ。


「ごめんよく聞こえなーー」

「ーー本気なの!!! ふざけないで答えてよ...」


「嘘つけい! 罰ゲームか何かだろ、そういうのはひどいぞ! 傷つくぞ!」

とっさに言っちゃマズイやつを言ってしまった。


俺の知っている如月なら、まずそんなことしないだろうに。



「ひどいのは佐藤くんだよ!本気だって言ってるでしょ!!」


「じゃなんで俺なんかを...俺のどこがいいのさ!」

逆ギレのように口調を強めて言った。


如月は髪の先をもじもじと指で弄びながら、少し考える素振りをみせた。


「あなた並に普通な人は、きっと佐藤君だけだから」


...うん?


「今、さらりとバカにされた気がすんだけど!? 」


しかも答えにすらなっていないぞ....如月


「要するに....この人だ!って思ったの」


要するに? 一体何を要約したというのだ。


下を向いていた如月がふいに顔を上げ、俺を見つめる。

やばい!むっちゃ可愛い...


如月が何か言おうと息を吸う。

「ただ好きなの!! 好きに理屈なんてつけられないよ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ