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奇襲と迎撃

ジャンヌ達の指示により、大成は彗星と名乗り、オタクの格好をして獣人の国の姫であるリリーの護衛役として、獣人の国に向かった。


そして、バニー・シロップで有名なチャルダ国に着いた大成は、大浴場でリリーに命懸けで助けると誓うのであった。

【チャルダ城・3階・夜】


お風呂からあがった大成は、コーリアから3階にあるリリーの部屋の隣の部屋に案内されていた。


「ここよ、この部屋を自由に使ってね。足りない物があったら気軽に言って頂戴。この部屋は彗星君の部屋にするから」

コーリアは、部屋の扉を開ける。


案内された部屋は、高級ホテルの様に部屋は広く、大きなシャンデリアや広いリビング、大きなベッドなどがあった。


「こんな豪華な部屋を貸して頂けるのですか?」


「何を言っているの。当たり前でしょう。彗星君は、今は違うけど元魔王様だったのよ。本当は、この部屋じゃなく、リリーちゃんと同じ部屋で寝泊まりして貰いたかったのだけど。リリーちゃんに話したらリリーちゃんが「絶対に嫌です!」って言うものだから、ごめんね彗星君」


「いえ、どちらかと言えば助かりました」


「あら?彗星君、それでも男の子なの?普通の男の子なら跳び跳ねて喜ぶと思うのだけど。もしかして、リリーちゃんに魅力がないの?それとも、獣人が嫌いとか?」


「違います!リリーは、とても魅力的ですよ。ただ、一緒の部屋で過ごしたら、僕の正体がバレる可能性がありますし、一番恐ろしいのは、何も問題が起きなくても魔人の国に戻った時が…その…」

大成は、あたふたしながら答え、最後にジャンヌ達を思い出して背筋がゾッとし体が震える。


「あら?別に、わざわざ魔人の国に戻らなくっても良いでしょう?彗星君は、今は魔王様じゃないのだから。今度は、この国の王、獣王になってみない?彗星君ならなれるわ。私が保証するわよ。獣王になれば、リリーちゃんと結婚できて幸せな人生を送るのも良いと思うけど?リリーちゃんが、彗星の正体を知ったら喜んで結婚するわよ。それにきっと、獣王様やネイ様も大喜びして祝福してくれるわ」


「いえ、僕はジャンヌ達によって、召喚されたので、魔人の国に恩を返していこうと思っているので…」


「それは、とても残念ね。そうだ、良いこと教えてあげるわ」


「何ですか?」


「さっき、彗星君がリリーちゃんはとても魅力的って言った台詞、リリーちゃんに直接伝えたら、もしかしたら正体バラさなくってもイチコロかもしれないわよ」

コーリアはウィンクし、大成は困った表情になった。


「フフフ…困った顔も可愛いわね。私も本気になっちゃおうかしら」

口元に手を当てて笑顔を浮かべるコーリア。


「もう、勘弁して下さい。コーリアさん」


「ごめんなさいね。じゃあ、私はこれで失礼するわね」

コーリアは、笑顔で手を振りながら部屋から退出する。


「はぁ、今日は疲れた。特にコーリアさんとの会話が1番疲れた…。もう、寝よう」

大成は、ベッドに倒れ込む様に倒れて溜め息を零した。




【ネーブルの森・チャルダ国側・深夜】


大きな雲が流れて月や星を覆い隠し、ネーブルの森とチャルダ国は、闇に飲み込まれるかの様に暗くなっていく。


チャルダ国は、所々に設置している松明の灯火以外、闇に飲まれて真っ暗になった。


「グハハハ…月も星も隠れたな。まるで、天が俺達の味方をしているようだ」

元【セブンズ・ビースト】だったワニの獣人リゲインは、獰猛な笑みを浮かべて笑う。



リゲインの背後には、7人の姿があった。

「「ああ」」

「だな」

「「ハッ!」」

元【セブンズ・ビースト】だった闘牛の獣人バルト、フクロウの獣人ブロス、コウモリの獣人バッドの3人と、副隊長・カメレオンの獣人デメル、ゴリラの獣人ヘイケル、鹿の獣人レベラ、コウモリの獣人バッツの4人。



「まずは、バッド、バッツ。頼むぞ」

リゲインは、バッドとバッツに視線を向けて依頼する。


「任せろ」

「ハッ!」

バッドとバッツは、背中に生えた漆黒の翼を羽ばたかせて夜空を舞う。


「バッツ、お前は東から、俺は西側だ。把握次第、レゾナンスで皆に知らせろ」


「畏まりました。バッド様」

バッドとバッツは東西に分かれて飛び立つ。


「さぁ、リリーとコーリア、それにドルシャー達は何処にいるかな」

西側の上空に辿り着いたバッドは、口を開いて超音波を放つ。


「フフフ…見つけてぞ!」

不気味な笑顔を見せるバッド。


ほぼ同時にバッツも把握し、レゾナンスを唱えてリゲイン達に報告した。


「良くやってくれた。では、作戦を開始するぞ!」

「わかった」

「ハッ!」

バッドとバッツはリゲインの指示に従い、次の行動に移す。




【チャルダ城・3階・大成の部屋】


バッドとバッツの超音波よって目を覚ました大成は、起き上がった。


「来るな…。リリーとドルシャーさん達は、まだ気付いていない様だが、コーリアさんは気付いてドルシャーさん達を起こしに向かっているな。俺は、その間、敵の相手をしとくか」

大成は髪を黒に戻し、ラーバスの紋章が入ったローブを着てフードを深く被り、窓を開けて3階から飛び降りる。


音を立てずに着地した大成は、目を閉じて魔力感知の範囲を広範囲に広げ、精度も向上させて見逃しがないかを確かめた。


「敵は左右からと上空の3方向から、こっちに向かって来ているな…。ここで、待てば一網打尽にできるが、リリーに見つかると色々と面倒事が起きそうだな。仕方ない、近くから倒して行くか」

大成は、溜め息を零して姿を消した。




【チャルダ城・西側】


ドドドっと地鳴りが響き、西側の警備をしていたザニックは、騎士団達を連れて城壁の近くに移動していた。


地鳴りは次第に大きくなり、着実に近づいている。


「「な、何だ?」」

「な、何が迫って来ているぞ!?」

「知らないが、来るぞ!」

「そんなことは、どうでも良い。構えろ、お前達」

「「は、ハッ!」」

狼狽える騎士団達をザニックが一蹴し、全員が武器を握って構える。


そして、轟音と共に城壁が粉砕して埃が舞う中、2つの影が見えた。


「バハハハ…久しいな、ザニック。それにお前達」

埃の中から知った声音が聞こえ、バルトとヘイケルの姿が顕になる。


「あなた様はバルト様、それにヘイケル様…」

ザニック達は、2人の姿を見て呆然とする。


「戦闘を始める前に、お前達に一つ聞くが、今の獣王レオラルドが行っている皆できる限り平等という方針にお前達は納得できているのか?俺様達は命懸けで、この国を守ってきた。それなのに、他の者達より少ししか優遇されないのだぞ。不満はないのか?だが、それに比べ、アレックス様は違う。アレックス様は、完全な実力主義国家をお造りなろうとしている。実力がある者は好きにできる素晴らしい国家をだ。それだけではない、まず手始めに勇者1人に負ける弱小の魔人の国などを制圧して武力をかき集め、最終的には、この世界で最強と言われている竜人の国を支配し、俺様達、獣人がこの世界の頂点に立つ。もし、此方側に来たいのならば、今なら特別に俺様が推薦してやっても良いぞ」


「いえ、私達はお断りします。そんな国は、いずれ自らの欲望で滅びます。確かにバルト様が仰っている通り、不満がないと言ったら嘘になります。ですが、1人1人、自分ができることをして支え合って生きています。だからこそ、色んなことができているのです。それに、一番力のある獣王様が自ら掲げた方針だからこそ、私達は獣王様に忠誠を誓って自らの意思でついていっているのです」

ザニックの話に、騎士団達は力強く頷く。


「綺麗事だな。本当に馬鹿な奴らだ、お前達は。せっかく、俺様が推薦してやると言っているのに、そのチャンスを不意にするとはな」


「バルト様、こんな愚か者達を相手にするよりも早くリリーを確保した方が宜しいかと」


「そうだな。ザニック、先に言っておくが、大人しくそこを退くのなら、俺様達はお前達に危害を与えないことを約束してやろう。その代わり、歯向かうならば容赦はせんぞ。ザニック、お前は元俺様の部隊の順列第5位で働いていたから、俺様達の実力は知っているだろ?」


「はい、今の戦力では太刀打ちできないことは十分承知の上です。それでも、私達は抵抗します」


「仕方ない。この戦いで、その判断が間違っていたことを後悔するがいい。マグネット・アーマー」

バルトは雷魔法マグネット・アーマーを唱え、身体中から稲妻が迸り、全身に砂鉄が纏い黒色のメタリックになった。


「なっ!?全身だと!?そんな馬鹿な!前は両腕だけだったはず…」

バルトの姿を見たザニックは驚愕する。


「オルガノに負け、【セブンズ・ビースト】の称号を失った俺様は、血が滲むほど鍛練し、とうと極限に辿り着いた。どんな物理攻撃や魔法攻撃を受けても無傷の無敵な体になったのだ。喜べ、お前達は、この姿になった俺様の始めての実検体だ。身を持って味わえ」


「あ~あ、バルト隊長がこうなった以上、もう、この国にいる者達では、誰にも手に負えないぞ。例え、ドルシャーやコーリアだとしてもな」

ヘイケルは同情する。


「そうだな、せっかくだ。先手はくれてやる」


「「……。」」

予想外な出来事に呆然と立ち尽くす騎士団達。


「ん?どうした?来ないのなら此方から行くぞ?時間がないからな」


「エア・スラッシュ!」

「ウォーター・カッター!」

騎士団の2人が剣を振り、風の刃と水の刃を放つ。


風の刃と水の刃は、立ち止まっているバルトに直撃した。


「何だ?その攻撃は」

バルトは、獰猛な笑みを浮かべて攻撃した騎士団2人に接近し、左右の手で2人の顔を鷲掴みして地面に叩きつける。


「「がはっ」」

顔から地面に叩きつけられた騎士団2人は、地面にめり込み気絶した。


「呆気ないな。次だ、次!もっと、俺様にこの力を試させろ」

獰猛な笑みを浮かべたままバルトは、ザニック達を見て立ち上がる。


「「よくも!」」

「待て!お前達」

騎士団3人は怒りに燃えており、ザニックの指示を聞かず、バルトに斬り掛かった。


「良いぞ、そう来なくてはな!」


「「ハッ!」」

左側の騎士団は剣を振り下ろしてバルトの頭、右側の騎士団は剣を横になぎはらってバルトの首、中央の騎士団は突きでバルトの心臓部を攻撃した。


バルトは動かず、場が静まり返る。

「殺ったか?」

「おそらく」

理性では通じてないとわかっていたが、騎士団達は希望に期待を寄せる。


「愚か者達が…」

「はぁ~」

ザニックは舌打ちをし、ヘイケルは深い溜め息を吐いた。


「バハハハ…効かん!効かんぞ!」

バルトは盛大に笑いながら、その場で回転して騎士団3人を吹き飛ばす。


「「ぐぁっ」」

吹き飛ばされた騎士団3人は転がります、ザニックの手前で止まった。



「ザニック様、ここは我々が少しでも時間を稼ぎますので、リリー様達を連れて逃げて下さい。この国のために」


「くっ、わかった。すまない」

ザニックは、リリーのもとへと行こうとする。


しかし…。

「逃がすわけないだろ!」

バルトの後ろにいたヘイケルが、足元に落ちてあった大きさ3mぐらいある分厚い城壁を右手で軽々と持ち上げてザニック達に投げつける。


「「うぁ~」」

物凄いスピードで迫る巨大な城壁を前にした騎士団達は、対応できずに狼狽えた。


「くっ、エア・スラッシュ」

騎士団達は狼狽える中、ザニックは両手で剣を握り振り下ろして風の刃を放ち迎撃しようとする。


しかし、城壁に深い切れ目が入ったが切断までには至らず、そのまま城壁がザニック達に迫る。


「くっ、大きすぎて無理だったか…」

ザニックは顔をしかめながら騎士団達の前に出て、無理だと知りつつも剣で受け止めようする。


避けることは間に合わないと悟った騎士団達は、絶望の表情を浮かべた。


その時、空からローブを着た大成が音を立てずにザニックの前に着地し、迫って来ている城壁を右足で高く蹴りあげた。


蹴りあげられた城壁は、空中でザニックの風の刃によって亀裂が入った場所から真っ二つに割れ、それぞれがバルトとヘイケルの頭上に落下する。


「……。」

「フン!」

バルトは何もせず棒立ちしたまま城壁が直撃し、ヘイケルは大きな右拳で城壁を殴って粉砕した。


「誰だ?」

「さぁ?」

「でも、助かった」

「ああ」

「ありがとうございます。助かりました」

大成のことを知らない騎士団達はざわつく中、ザニックは駆け足で大成の前に出て感謝した。


「ここは、僕に任せて貰えませんか?敵は他に反対側からと上空から迫ってきていますので、すみませんが、ザニックさん達はリリーの護衛を頼みます」


「わかりました。ですが、気を付けて下さい。闘牛の獣人はバルトと言いまして元【セブンズ・ビースト】なのですが、以前より強くなっています。もう片方のゴリラの獣人ヘイケルも副隊長を努めていたほどの実力者です」


「情報ありがとうございます」


「では、ご武運を。お前達、リリー様のもとへ行くぞ!」


「「ハッ!」」

ザニックは、部下に指示を出して一緒にリリーの所へと向かった。



「で、お前は誰だ?」

バルトは、大成を睨みつけながら尋ねる。


「通りすがりの者だ」


「ふざけた野郎だ。サンドバッグにして、愉快なオブジェクトにしてやる」


「落ち着いて下さい、バルト様。ここは、俺に任せて貰えませんか?あの者の全身の骨を砕いて見せます」


「フッ、それも良いな。わかった、お前に任せる」


「あの者の絶望の表情を見せて差し上げます」


「御託は良いから、早く掛かって来い。こっちは時間がないんだ」


「貴様~っ!フン、オラッ!」

激怒したヘイケルは、額に青筋を立てながら足元に落ちてある大きな城壁持ち上げて浮かし、殴り付けた。


城壁は、無数の頭サイズに砕けながら大成を襲う。


大成は、左右の拳で砕いて迎撃していく。


目の前まで、ヘイケルが接近していた。


「貰った!アース・ナックル!」

振りかぶったヘイケルの右拳に土や岩石などがまとわりつき巨大な岩の拳になった。


「潰れろ!」

ヘイケルは、巨大になった岩の拳で大成を殴りにいく。


「ハッ!」

大成も右拳で迎え撃った。


両者の拳はぶつかり合い、轟音と共に衝撃波が発生し、2人の中心から大地がヒビが入った。



「うがぁぁ、お、俺の右手がぁぁ」

ヘイケルは、右拳から肘にかけて骨が折れて内出血しており、あまりにもの激痛に右腕ごと左手で抱える様に踞って呻く。


無表情のまま大成は、ヘイケルに歩み寄る。


「うっ」

大成は、踞っているヘイケルの首筋に手刀をして気絶させた。



「次はお前だな」


「ほう、ヘイケルを倒すとは、なかなかやるな。だが、俺はヘイケルの様にはいかんぞ、この(はがね)の肉体どんな攻撃も…ぐぉっ」

バルトが会話している中、大成は素早くバルトに接近して右拳でバルトの鳩尾を殴った。


「ぐっ、うっ…」

バルトは、両手で鳩尾を押さえながら数歩よろめきながら後ろに下がる。


「そんな馬鹿な…。き、貴様~!許さん!これでも食らえ!俺様の最強の技、アトミック・ハリケーン」

息を整えたバルトは体を捻ってジャンプをし、駒の様に高速回転をして空気摩擦によって全身が熱を帯び熱風を纏った赤い竜巻が発生した。


竜巻は周囲の城壁の破片を吹き飛ばし、木々が弓の玄の様に靡く。


「もう誰にも、俺を止めることはできない。吹き飛べ!」

赤い竜巻となったバルトは、大成を襲う。


「城が壊れるだろ!」

大成は左手で高速回転しているバルトの腕を掴み、回転を止めた。


「嘘だろ…」

回転を止められたバルトは唖然としており、間抜けな声で呟く。


「ハァァァ!だぁっ!」

大成は、左右の拳を連打してバルトを殴り続け、ボロボロ姿になったバルトにトドメを刺す様に、最後、右足のジャンプキックでバルトの側頭部を蹴り飛ばした。


「がはっ」

蹴り飛ばされたバルトは城壁にぶつかり、城壁を粉砕して、そのまま転がって倒れた。




【チャルダ城・東側】


チャルダ城東側は、何度も大きな破壊音が鳴り響き砂埃が舞う。


砂埃の中から、片手に杖を持ったコーリアが走って出てきた。


上空には、全身炎を纏っている元【セブンズ・ビースト】のフクロウの獣人ブロスと複数の氷の矢を放っているコウモリの獣人の副隊長バッツが背中から生えた大きな翼を羽ばたかせて飛んでいる。


「しぶといな」


「はい。種族は違いますが、流石、ネイの親戚だけなことはありますね」


「だな。伝説の九尾ではなくとも、同じ絶滅危惧種の幻の銀狐と言ったところか」


「はい。ですが、逃げ回ることしかできないみたいですので、このまま追いつめて終わらせましょう」


「だな。この程度なら俺1人でも倒せた」


「ブロス様、それは…」


「わかっている。元だが、あの絶対的な強さを誇っている獣王の右手と謡われた【灼熱のアリゲーター】のことリゲインに逆らうものか。だから、こうして不本意ながらでも、お前と共闘している」

ブロスは不服だったが、リゲインの実力は認めているので指示に従っていた。


「私は、ブロス様と共闘できて本望です。アイス・ミサイル」

バッツは、自身の周囲に氷の矢を召喚して氷の矢を連続で放つ。


「くっ」

コーリアは左右にジグザグに走って、バッツの氷の矢を回避する。


そのコーリアの背後から、ブロスが低空飛行して接近して左拳で殴りにいくがコーリアは杖で攻撃を受け流し、カウンターで杖を振り下ろしてブロスに攻撃するが、ブロスは空中で体を傾けて避けた。


「危ない危ない」

ブロスは空高く飛び、一度コーリアから距離を取った。


「あの攻撃を避けることができるなんて、元とは言え【セブンズ・ビースト】ということかしらね」

(あれを避けられると、普通の攻撃は当たりそうにないわね…)

余裕の表情を見せるコーリアだったが、内心、そんな余裕はなかった。


そんな時、反対側からバルトの必殺技アトミック・ハリケーンによって大きな赤い竜巻が発生した。


「向こうは、派手にバルトが暴れているな」

バルトのアトミック・ハリケーンを見たブロスは不適に笑う。


「ですね。あの技が出た以上、相手は戦闘不能か死んでいますね」


バルトのアトミック・ハリケーンが消えた。


「だな。向こうは終わった様だ」

バッツに肯定するブロス。


「フフフ…その様ね。あなた達の仲間が倒れたみたいわよ」

(流石、彗星君ね)

コーリアは、口元に手を当てて笑顔を浮かべる。


「「なっ!?」」

「そんな、馬鹿な…」

「一体誰が…?あのバルト様を…」

コーリアに言われて魔力感知したブロスとバッツだったが、コーリアの言う通りバルトとヘイケルの魔力が感じることができず信じられなかった。


(このまま、ここで戦うと国民に被害が出てしまうわ。まずは、ここから離れないと)

コーリアは、2人の隙を見て城壁を飛び越えて国外に出た。


「ま、待ちやがれ!」

今回の作戦はリリーを連れ帰ることだったので、コーリアを追う必要はなかったブロスとバッツだったが、冷静な判断ができずにコーリアの後を追い国外に出た。




【チャルダ国付近・チャルダ草原】


(ここまで来れば、大丈夫ね)

コーリアは、チャルダ国から1キロほど離れたとこで走るスピードを落とした。


その時、ブロスが物凄いスピードでコーリアの上空を駆け抜けてコーリアの行く手を塞ぎ、背後には後を追っていたバッツが辿り着いた。

「逃げるのも、そこまでだ!」


「あら?奇遇ね、私も、ここであなた達と決着をつけるつもりだったの」

コーリアは膨大魔力を解放し、自身の周りに陽炎の様に魔力が揺らめく。


「「~っ!?」」

コーリアの膨大な魔力を目の当たりにしたブロスとバッツは、目を大きく開いて驚愕した表情で言葉を失う。


「何て魔力だ…。噂で聞いていたが、これほどとは…」

「この魔力は、まるで獣王やネイと同等…」


「あら?何を言っているの、私の魔力は獣王様やネイ様には及ばないわ。あの2人は、もっと上よ。それより、どうする?まだ戦う?あなた達がリリーちゃんを諦めてくれると言うなら、今回は見逃してあげるわよ」


「馬鹿を言うな。お前こそ、リリーを俺達に差し出して命乞いすれば助けてやる。もし、此方に来る気があるならば、俺が推薦してやる。それに、望むのならば、俺の女にしてやっても良いぞ」


「反吐がでるわね。そっち側につく訳がないでしょう。それに、あなたの女になるぐらいなら死んだ方がマシよ」


「言ってくれるな!殺してやる!」


「残念だけど、あなた達は、もう既に終わっているわよ」


「ハッ、何を馬鹿なことを言っている。この距離なら、どんな魔法攻撃も避けれる。例え、お前がどんなに素早く動けたとしても空を飛べる俺達には通用しない。もし、ダウン・ホースで叩き落とそうと考えているのならば、先に言っておくが、俺達は誰よりも風の変化に敏感だから余裕で回避できる」


「フフフ…」


「何が可笑しい!」


「その様子だと、私の能力は知らない様ね。それも、無理もないわね。もう、何十年も使っていないから」


「例え、お前がどんな力を有しても俺達には通用しないぞ」


「じゃあ、食らいなさい。グラビティ」

コーリアは、杖を掲げてユニーク・スキルグラビティを発動する。


コーリアの周囲の重力が強まり、木々はへし折れる。


「な、何だ!?」

「地面に引き付けられる…」

「「うぉぉぉ」」

上空にいるブロスとバッツは、必死に耐える。


「ハァァァ!」

コーリアは更に重力を強め、周囲の岩に軋む音を立てながらヒビが入り砕け、大地にクレーターができた。


「糞ォォ…」

「「ぐぁぁ」」

耐えきれなかったブロスとバッツは、地面に叩きつけられるかの様に勢いよく落下して地面にめり込み気を失った。


「終わったわね」

コーリアは、指を鳴らして強めた重力を解いた。


「それよりも、早くリリーちゃんの所へ行かないと。あのリゲインが来ているなんて…」

急いでリリーのもとへと向かうコーリア。




【チャルダ城・西側】


大成は、倒したバルトとヘイケルを縄で縛っていた。


そんな時、ザニック達から事情を聞いたドルシャーが慌てた表情で駆け寄って来る。

「大丈夫ですか?彗星殿」


「はい、大丈夫ですが、ところで、なぜドルシャーさんがここに?」


「ザニック達から、バルトが更に強力になってダメージを与えられることができなかったと報告受けましたので助太刀に参ったのですが、大丈夫だったようですね」


「はい、お気遣い、ありがとうございます」

(おいおい、何でドルシャーさんが、ここに来るのは予想外だった。リリーの所に敵が4人向かっていたから、ドルシャーさん1人では厳しいと思ってザニックさん達を増援に向かわせたのが仇となったか)

苦笑いを浮かべる大成。


魔力感知していた大成の表情が険しくなった。

「ん?」

(ヤバイな、ザニックさん達が倒されている。リリーが敵に近付いているけど、普段のリリーなら気付くはずなのに、何だか敵に気付いてない様子…)


「どうかされましたか?なっ!リリー様の近くに敵が」

大成の反応を見たドルシャーは、すぐに魔力感知をして深刻な状況に気づいた。


「ドルシャーさん、ここは任せます。僕は、リリーの所へ行ってきます」


「わかりました。頼みます、彗星殿。リリー様を」


「はい」

大成は、急いでリリーの下へと向かった。




【チャルダ城・3階・リリーの部屋・深夜】


バルトが城壁を破壊した時の大きな音でリリーは目を覚ました。


「な、何!?今の音」

リリーは起き上がり、音がした窓際の窓から外を覗いた。


「あれは、バルトとヘイケル!?ザニック達が危ないわ。早く、助けに行かないと!」

慌てて壁に掛けてある双剣に手に取るリリーだったが、大成が蹴りあげた城壁により、再び大きな音が聞こえたので窓から覗く。


「誰?あのローブは、まさか、あの人なの?」

大成を見つけたリリーは、大きく目を開く。


そして、大成がヘイケルとバルトを倒した。

「間違いないわ。ううん、見間違えるはずはないわ。また、会えたわ」

リリーは、急いで双剣を持って大成の所へと向かう。




【チャルダ城・1階の階段】


(会えた!会えたわ!)

階段を降りて1階に辿り着いたリリーは、大成に会えた喜びと、すぐに、また何処かに行ってしまうかもしれないという焦りと不安を抱いていた。


そんな焦燥を駆られる中、リリーは大成がバルトとヘイケルを倒したのを見ていたことによって、城内には敵がいないと安心して警戒を怠っていたため、背後の階段の影に息を潜めたリゲインがいることに気付かなかった。



リゲインは気配を消したまま、獰猛な笑みを浮かべながらリリーの背後から腕を伸ばす。


「ザニック!?それに皆!えっ!?」

リリーは、床に倒れているザニック達を見つけて驚愕すると共に背後から悪寒を感じて顔だけ後ろに振り返ると、そこには獰猛な笑みを浮かべたリゲインがおり、リゲインの大きな手が目の前まで迫っていた。


「そ、そんな…」

笑顔を浮かべていたリリーの表情が絶望へと変わる。


リリーは、自分でどうにかしないとと頭で考えるが、本能が逃げられないと告げていた。


「捕らえた!」

リゲインは、確実に捕らえたと思った。


(嫌、誰か助けて…助けて!お願い!)

涙を溢しながら目を瞑ったリリーは、強く願う。


「ん?何だと!?」

リリーを捕らえたと思ったリゲインの手は空を切った。




大成は、リゲインがリリーを捕まえようとする手よりも速く動き、リリーをお姫様抱っこをしてジャンプをし、2階の階段の上に着地した。


「え!?」

恐る恐る目を開いたリリーは、何がどうなったかわからず間抜けた声が出た。


「間に合って良かった。大丈夫?リリー」


「え、え!?う、嘘…」


「どうした?」


「ゆ、夢じゃないわよね?」


「ん?何が?」


「な、何でもないわ。それより、その、助けてくれてありがとう」

笑顔を見せるリリーは、嬉しくって涙が溢れた。


「貴様は、一体何者だ?」

リゲインは、大成を睨み付けながら殺気を放つ。


「名乗るほどの者じゃない。ただ通りすがっただけだ」


「ただの通りすがりが舐めたことしてくれるな。だが、その出歯亀根性が死を招くぞ」

リゲインが不適な笑みを浮かべた瞬間、副隊長・カメレオンの獣人デメルが魔力と気配を消したまま体を風景に合わせて溶け込ませて見えないようにして大成の右側から迫る。


「ビッグ・ホーン・プレス!」

更に副隊長・鹿の獣人レベラが自慢の角を魔力で強化して巨大化し、大成の背後にある部屋のドアを粉砕して襲い掛かる。


「レベラ!?えっ!?そっちは誰も居ないわ。それより、後ろからレベラが…」

リリーは、大成の視線が誰もいない右側に向いたので忠告する。


(何!?俺に気付いただと!?そんな馬鹿な…。だが…)

デメルは、自分の間合いに入った稲妻を纏った長い舌を大成に向けて伸ばす。


しかし、大成はデメルに振り向きながら体を傾けてデメルの舌を避けると同時に左足のハイキックでデメルの側頭部を蹴り飛ばした。


「ぐぁ」

「な、何だと!?ぐぉ」

デメルはレベラの方に蹴り飛ばされ、レベラの角にぶつかり、大成はデメルに飛び付くようにジャンプをして右足のジャンプキックでデメルとレベラを纏めて蹴り飛ばす。


2人は共に縺れる様に、レベラが飛び出した部屋の窓を破壊しながら地面に落下して気を失った。



「す、凄い…。よく、デメルが居たなんてわかったわね」


「それより、嫌かもしれないけど、動くから落ちないようにしがみついて欲しい」


「気にしないで、嫌じゃないわ…。寧ろこのまま…」

リリーは、頬を赤く染めながらモジモジする。


「ん?」


「な、何でもないわ。あっ…」

誤魔化すように声を張り上げるリリーだったが、今の自分の姿を思い出して、自身を見るとベビードール姿で胸元が少しはだけていたので顔が更に赤く染まり、慌てて衣服を直してから大成に強くしがみつく。


「動くよ」

悪寒がした大成は、リリーを抱えたまま急いで廊下を走る。


先ほどまで、大成とリリーがいた場所の床が砕けた。


見えない力が、次々に大成を追いかける様に床や壁、部屋のドアを破壊をしていく。


「何だ?この攻撃は、目に見えないし魔力が感じ取れないけど」

大成は走りながら尋ねる。


「気を付けて、この攻撃は、おそらく元【セブンズ・ビースト】バッドの超音波攻撃よ」


「魔力も感じないし目に見えないとか、本当に厄介な攻撃だな。リリー、一先ず、ここは狭いから外に出るよ」


「え!?嘘、ここ2階だけど城だから一般の建物の高さに置き換えると4階か5階ぐらいの高さがあるのよ。それに…」


「大丈夫」


「大丈夫って、あなた魔力使えるの?あなたから魔力が全く感じ取れないのだけど…。って、待って、きゃっ」

大成は、戸惑うリリーをお姫様抱っこしたまま廊下の端にある大きな窓に向かって走り、リリーを傷つけない様に、勢いがついたまま身を翻して自分の背中で窓を破壊し2階から飛び降りる。


「きゃ~!!」

大成は気配と共に魔力を完全に消していたため、リリーは大成から魔力が感じとれず、大成を強く抱きつきながら悲鳴をあげた。


大成は、音を立てずに優しく着地した。




【チャルダ城・外】


「……。」

恐る恐るゆっくり目を開くリリー。


「良かっ…きゃっ」

リリーがホッとして落ち着いた瞬間、大成は再び走り出す。


大成達の近くにあった城の壁が大きな音を立てながら破壊されて破片が飛び散り、大きな穴が開いた城の壁から巨大な戦斧を右手担いだリゲインが現れた。


「逃がさねぇよ」

リゲインは、獰猛な笑みを浮かべた。


「あの男は何者だ?リゲイン」

大成達が飛び出した場所からバッドが飛び出して漆黒の翼を羽ばたかせながらリゲインの近くに舞い降りた。


「さぁな。だが、デメルとレベラが一瞬で倒された。油断するなよ。バッド」


「ああ、む?あのローブ、それに黒髪は…」


「バッド、あいつを知っているのか?」


「いや、初めて会う。だが、おそらく【アルティメット・バロン】の部下が話していた奴と特徴が一致する。その証拠に、服装や容姿だけでなく、今もこうして目の前にいるが、まるで幽霊の様に気配や魔力が全く感じれないのが決定的だ」


「ということは、アレックス様から注意しろと言われていた人物だったな。グハハハ…リリーの報酬に加え、そいつを倒せば更に報酬が出るな」


「ああ、そうだな」

リゲインとバッツは、獰猛な笑みを浮かべながら魔力を解放した。



「向こうは、やる気満々だな。下ろすよ」


「え…うん…」

(えっ!?この香りは…まさか…)

残念そうな表情で返事をするリリーだったが、大成から離れる時、知っている香りがした。


「あ、あの…」


「ここは、僕1人に任せて貰えないかな?」


「私も戦うわ」


「え?その格好で?」


「し、し、仕方ないじゃない!」

リリーの姿は薄着のベビードールで丈が短い姿だったので、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして、左右の手に双剣を握ったまま胸元や下を押さえる。


「僕1人で大丈夫だから、リリーはコーリアさんかドルシャーさんの所へ行って欲しいのだけど」


「嫌よ!」


「信じて貰えないかもしれないけど、僕の力を信じてくれないかな?」


「はぁ、仕方ないわね。ここは、あなたに任せるわ。でも、その代わり、少し離れた場所から見守らせて貰うわ」


「わかったよ」

苦笑いを浮かべる大成。


「言っておくけど、1つ訂正することがあるわ。私は、あなたの力じゃなく、あなた自身を信じているの。だから、ここで信じて見守ることにしたの」

リリーは足を止めて振り返り、笑顔を浮かべて訂正した。


「フッ、僕自身か…」

リリーの言葉を聞いた大成は、離れていくリリーの姿を見ながら体に力がみなぎる。



「リゲイン、悪いが俺が先に戦わせて貰う」


「ちっ、仕方ないな。今回は、お前が活躍したからな。ここは譲ろう」

リゲインは、舌打ちしながら了承した。


「行くぞ!少年」

バッドは、漆黒の翼を羽ばたいて砂埃を舞い上がらせる。


そして、バッドは夜空を舞い、砂埃の中にいる大成の周りをランダムで飛びながら超音波攻撃を連発する。


「~っ!」

リリーが両手を胸元で握り締めて心配した表情で見守る中、大成は砂埃によって視界を奪われているので、魔力を高めて魔力感知の性能を向上させてバッドとリゲインの位置を把握したが、魔力反応がない超音波攻撃に苦戦を強いられている。


「くっ」

大成は、バッドの位置から攻撃の範囲を大まかに予想して、大きく移動して回避をしていた。


(もっと、もっと集中しろ)

目を瞑って回避している大成の集中力は増して、研ぎ澄まされていき、大きく回避移動していた動きが、徐々に小さくなって無駄がなくなっていく。


「そんな、馬鹿な!?こんなことがあってたまるものか!」

一方的に攻撃しているバッドだったが、絶対的な自信がある超音波攻撃を大成は、まるで見えているかの様に避けるので焦りが見え始めた。


「もう、完全に慣れたな。ハッ!」

大成は落ちてある石を拾ってバッドに目掛けて投擲する。


「は、速い!くっ、惜しかったな。せっかくのチャンスを見逃したな」

大成が反撃して来なかったので、不意を衝かれたバッドだったが、何とか投擲された石を避けることに成功した。


大成はバッドの視線が自分から逸れた際、城の壁を使い、三角跳びでバッドの頭上に移動していた。


「バッド!上だ!」

全体を見ていたリゲインは、大きな声で忠告する。


「なっ!?う、上だと!?」

リゲインの忠告を聞いたバッドは、真上を見上げた瞬間、大成が居たので両腕でクロスして防ごうとしたが、大成はバッドの両腕を掴み、ガードをこじ開けて右膝をバッドの顔面にめり込ませた。


「ぐぁ」

バッドは、気絶をして空中でフラフラと落下する。


大成は、城を踏み台にして落下するバッドよりも先に地面に着地して、右手を挙げて落下してきたバッドを受け止めた。


「あのバッドまで倒すとはな。お前を殺すのは簡単だが、実に惜しい逸材だ。どうだ?俺達の仲間にならないか?お前ほどの実力があれば幹部になれる。幹部になれば好きな様に振る舞えるぞ。物や女もだ。実に魅力的だろ?」

欲望に満ちた笑みを浮かべて勧誘するリゲイン。


「……。」

リリーは、ただ大成を信じることしかできず、力一杯瞳を閉じて祈る。


「確かに魅力的なのは認める」


「~っ!」

大成の返事に息を呑むリリー。


「だろ?」

逆にリゲインは、嬉しそうに笑った。


「だが、くだらない。自分だけ良い思いをすれば、周りはどうなろうと関係ないと思うところが反吐が出る」

大成の言葉を聞いたリリーは、目を開いて笑顔を見せる。


「どうやら、死にたいらしいな」


「あんたを前にしても負ける気がしない」


「言ってくれるじゃないか!小僧が!そんな口を叩くならば、この一撃を受けて見ろ!」

「わかった」

激怒したリゲインは、巨大な戦斧を両手で握り締めて大成に接近する。


「避けて!」

リリーは悲鳴みたいな声で叫んだが、大成は避ける素振りすらしなかった。


「死ねぇ!ヘル・フレイム・スラッシュ!」

リゲインは、振り上げた巨大な戦斧に魔力を込めると戦斧に高熱の荒々しい真紅の炎が纏い、力一杯に振り下ろした。


「~っ!?」

大成は驚愕した表情に変わり、大爆発する。

大成がいた場所は巨大な炎柱が発生して夜空の雲を貫通し、周囲は炎の波が全てを飲み込むかの様に大地を駆け抜ける。


「きゃっ」

離れていたリリーの場所にも灼熱の熱風が襲い掛かり、悲鳴をあげるリリー。



炎の勢いが収まり、大成が居た場所は蒸気で見えないが、周りの城壁や城の壁、大地はドロドロに赤黒く溶けていた。


「そ、そんな…」

リリーは、手を口元に当てて涙を溢しながら崩れるようにへたり込む。

投稿が遅れたり、長文になってすみません。


もし宜しければ、次回作もご覧下さい。


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