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レオ学園と大成

大成は、ジャンヌ達から世話をして貰っていた。

そこに、獣王レオラルド達が訪れ、魔王に大成をリリーの護衛役として来てもらいたいと頼む。


魔王は了承し、大成は獣人の国へと向かった。

【獣人の国・パールシヴァ国・レオ学園】


獣人の国は、自然の恵みが豊富で、危険な魔物も少なく豊かな国。


獣人達は優しく接してくれるので、様々な種族達が訪れ、中には移住する者達もいるほど大人気だった。


特に、パールシヴァ国にあるレオ学園は、獣王の娘であるリリーが通っているので学生達に人気があり、獣人の国の中ではパールシヴァ国が一番人気だった。


しかし、魔人と人間が争い、後にシルバー・スカイ事件と呼ばれる事件によって、獣王の弟が実力者をかき集めて武力国家を築き上げ、獣人の国は2つに分かれた。


国が2つに分かれたことにより秩序が乱れ、人々は獣人の国から離れていき、今のレオ学園には獣人しか在籍していなかった。



今日、レオ学園は休校だったが、休校の日でも開校している。


もちろん、教師達も最低人数勤務しており、学生達は登校しても構わないが教師達による授業はない。


学生達の殆どは登校しており、学園で友達と一緒に遊んだり、木製でできた色々な武器を自由に使用して訓練をしている。



普段、リリーは休校の日は学園に顔を出さないが、今日は登校していた。

勿論、それには理由があった。

それは、いち早く大成を皆に紹介がしたかったのだ。


「フフフ…。今日は、お父様と約束した日。そろそろ、ここに来るはずよね」

リリーは椅子に座り、机の上に両肘をついて両手で左右の頬に当て、笑顔を浮かべて大成の到着を待っていた。



そこに、猫耳の姉妹がリリーに歩み寄る。


「「おはようございます!リリー様」」


「おはよう、メアリー、メリア。相変わらず仲が良いのね」

姉妹は体型も顔も似ているが、姉のメアリーはおしとやかな性格で瞳が優しい感じだが、妹のメリアは好奇心旺盛な瞳をしておりワンパクな性格をしていた。


「はい」

「うん」


「ところで、リリー様。何か良いことでもありましたか?」

姉のメアリーは、笑顔で尋ねた。


「どうして?」


「笑顔だったので」


「だね。それに、リリー様は休校の時は絶対に学園に来ないしね」


「そんなことないわ。まぁ、今日はあの人がここに来るのよ」


「あの人ですか?」

「誰だろう?」

メアリーとメリアは、お互いの顔を見ながら頭を傾げる。


「ほら、この前に話したでしょう。私が助けて貰った話。その日に、お父様に私の護衛役として雇えないか頼んでみたの」


「ウフフ…。リリーも恋をしたのですね」

メアリーは、嬉しそうに両手を合わせる。


「だね。幼い頃から「恋なんて絶対にしないわ」と言っていたリリー様が、まさか、僕達よりも先に恋するとは思わなかったよ。隅に置けないな」


「ぶっ、か、勘違いしないで!べ、別に、こ、こ、恋なんてしてないわよ!た、ただ…そう、ただ、お礼がバニー・シロップだけというのは失礼だと思っただけよ。だから、護衛役という名目で、来て貰ってちゃんとしたお礼がしたかっただけよ」

リリーは、顔を真っ赤にして立ち上がり、必死に否定する。


そんなリリーの姿を見たメアリーは微笑み、メリアはニヤニヤと笑顔を浮かべていた。


「な、何よ!2人共!その顔は!もう、知らないんだから!」

真っ赤な顔を背けるリリー。



そんな時、廊下から生徒達がざわめきが聞こえてきた。


そして、教室のドアが開き、獣王のレオラルドと妃のネイ、そして、【セブンズ・ビースト】達が次々と教室に入ってきた。


「お疲れさまでしたお父様、お母様、それに皆さん」


「ん?どうした?リリー。やけに顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないのか?」


「い、いえ、大丈夫です。気にしないで下さい。と、ところで、あの人、いえ、護衛の件はどうでしたか?」


「そのことなんだが、残念だが、お前を助けた少年は人間の国へと帰国しているみたいだ」

魔王は、申し訳なさそうに話す。


「そうですか…」

誰が見ても、落ち込んだとわかるほど肩を落として落ち込むリリー。


「だが、代わりという訳ではないが、魔人との友好関係をより深めるために彗星に来て貰った」


「え!?」

リリーは、予想外なことに戸惑う。


「紹介しよう。彗星、此方に来てくれ」

レオラルドに呼ばれた大成は、紙袋とフィギュアを近くの机の上に置き、リリーの前に出る。


「おぉ!本物のリリー様なのだよ!今、念願の夢が叶ったのだよ。おっと、僕としたことが我を忘れて自己紹介まだだったのだよ。申し訳ないのだよ。僕は彗星なのだよ。趣味は、リリー様の情報集めなのだよ。よろしくなのだよ」

大成はリリーの右手を取り、両手で握手をする。


「え、ええ…よろしく」

大成の姿を見たリリーは、ドン引きしていた。


「それにしても、予想通りの手の柔らかさなのだよ。温かくて柔らかいのだよ」


「~っ!?」

背筋がゾッとしたリリーは、すぐに手を引いた。


「と、ところで、さっき机に置いたのは何なの?」

リリーは、頬を引きつったまま話題を変える。


「これは、リリー様のフィギュアとポスターなのだよ。もちろん、僕の手作りなのだよ。我ながら良いデキだと思うのだよ」

大成はフィギュアをリリーに手渡し、紙袋に入っていた丸めたポスターを開いて見せる。


「「……。」」

リリーだけでなく、クラスメイト達はドン引きした。


「お父様、私はあの人以外の場合は護衛はいらないと伝えたはずです」

大成を魔人の国へと帰国させようとリリーは考える。


「わかっておる。彗星はお前の護衛役としてではない。交友のために来て貰ったのだ。文句はないだろ?」


「ま、まぁ、それなら良いですけど…。ところで、あなた強いの?どんな魔法を使うの?」

思い通りにいかなかったリリーは戸惑ったが、仕方ないことだと割り切ることにした。


「僕は、戦いは苦手なのだよ。リリー様に比べれば足元にも及ばないのだよ。僕は魔力値は2で、魔法はユニークだから基本の魔法が使えないのだよ。ただ、僕ができるのは魔法の解析だけなのだよ。だけど、リリー様のことなら何でも知っているのだよ」


「何でもって?」


「例えば、リリー様のスリーサイズとかは、どうなのだよ」


「ぶっ、あ、あなたが、私のス、ス、スリーサイズを知っているはずがないわ」


「では、合っているか確かめて貰うのだよ。リリー様の胸は、外見では慎ましいと見えるが実際は違うのだよ」

大成は、反射している大きな丸渕眼鏡を少し持ち上げて右手の人差し指を立てて断言する。


「実際は、上から順に…」

「きゃぁぁ!」

リリーは顔を真っ赤に染めて、大声を出しながら慌てて右手で大成の頬を力一杯ビンタをし、教室に甲高い音が響く。


「ぐはっ」

ビンタされた大成は回転しながら宙を舞い、壁に激突して大きな音を立てながら壁が崩壊した。


「ハァハァ…」

呼吸が乱れたリリーは、肩を大きく上下に動かして呼吸を整える。


「お父様!」

ギロリっとリリーは、父・レオラルドを睨み付ける。


「な、何だ?リリー」

娘の気迫に押されたレオラルドは、少し身を引きながら聞き返す。


「言いたくはないのですが、性癖に問題があり危険な【アルティメット・バロン】と同じぐらいに、この人も危険です。身近にいるだけで、身の危険を感じます」


「まぁ、そう言わずに。彗星は、護衛役としてではない。獣人の国の魅力を、皆に伝えるために来て貰ったのだ」


「わかりました。ですが、もし彗星が怪しい行動を取った場合、その時は殺…いえ、取り押さえて国から追放しますので」

リリーから鬼気迫る迫力を醸し出していた。


「あ、ああ、それで構わない。彗星も、それで良いだろ?」


「りょ、了解したのだよ」

レオラルドと大成は、肯定するしかなかった。


「すまんがリリー。あとは任せたぞ」


「はぁ、わかりました」

父・レオラルドに頼まれたリリーは、一度、ため息を零して了承した。


獣王達は、教室から退室してパールシヴァ城へと戻る。



「彗星様、申し訳ありません。自己紹介まだでしたわ。私はメアリーと申します。私の隣に居られるのは妹のメリアです」

メアリーは笑顔で自分と妹の自己紹介をし、メリアは小さくお辞儀をする。


「様はいらないのだよ。2人、よろしくなのだよ」


「彗星、わかっているとは思うけど、リリー様に何かした場合、リリー様だけでなく、僕達も動くからね」

メリアは殺気を放ちながら宣告し、メアリーは笑顔を浮かべていたが目が笑っておらず威圧感を醸し出していた。


「りょ、了解したのだよ」

たじろぎながら大成は息を呑む。


次第にクラスの皆が集まり、次々に自己紹介をしていく。


そこに、ヒツジとタヌキの獣人の少年2人が大成達に歩み寄る。

2人はクラスの中で4位と5位の実力者だった。


「俺はヒース。こっちにいるのは相棒のダラスだ。ところで、1つ頼みがある」


「頼み?」


「俺達と戦え」


「戦えって言われても2対1なのだよ」


「勘違いするな。もちろん一対一でだ」


「僕は、戦うのは苦手なのだよ。おそらく、勝負にすらならないと思うのだよ」


「まぁ、そう言わずに俺達と戦おうぜ。交友を深めるためにも、まず、お互いの実力を知るのは大切なことだろ?」

ダラスは、笑顔で話す。


(そういえば、ここに来る途中、ドルジャーさん達が獣人は戦うのが好きな種族とか言っていたな…)

「わかったのだよ」


「よし、決まりだな。グランドで戦おうぜ」

ヒースの提案により、大成だけでなくクラスメイト達もグランドに移動する。




【獣人の国・パールシヴァ国・レオ学園・グランド】


グランドには大成達だけでなく、興味を持った他のクラスの生徒や低学年、上級生なども集まっており、それに気付いた教師達も集まった。


「ルールは簡単だ。そこに置いてある木製の武器を自由に使用していい。今回はハンデで魔法の使用は禁止。勝ち負けの判断は相手が降参、気絶した場合。まずは、ダラスが相手をする。何か他に聞きたいことあるか?」

ヒースがわかりやすく説明する。


「試合開始の合図は、どうするのだよ」


「それは、俺が…」


「いえ、私がするわ。良いでしょう?ヒース」


「わかりました。すみませんが、お願いします」

ヒースが自分がすると言おうとしたが、リリーが試合開始の合図をすることになった。


大成とダラスは木剣を選んで、2人は中央に移動した。


「2人共、良いわね?」

リリーは、大成とダラスの2人を見て尋ねる。


(普通に戦って勝っても良いけど、この中にスパイがいるかも知れないし、警戒されないように偶然に勝った様に見せた方が堅実かな)

「大丈夫なのだよ」

「はい」

大成とダラスは、両手で木剣を握り締めて頷く。


「では、彗星対ダラスの試合を行います。試合開始!」

リリーが試合開始の合図をした。


しかし、試合開始の合図が出ても大成もダラスもその場から動かなかった。


「あのさ彗星。お前、戦うのは初めてだよな。体が震えているし、剣の握り方が左右の手が反対だぞ」


「なるほど、こう握るのか。助かったのだよ」


「「ハハハ…」」

観戦していた者達は、盛大に笑う。


「はぁ、彗星、お前は本当に戦いが苦手なんだな。仕方ない、先手はくれてやるよ」

戦う気がなくなったダラスは、一度ため息を零した。


「では、参るのだよ!」

大成は、剣を頭上に掲げてダラスに向かって走る。


「ハッ!ハッ!」

わざと大成は、ダラスが躱すことができる様に剣速を抑え、更に大振りでの連撃を繰り出す。


大成の思惑通りにダラスは体を反らしたり、木剣で弾いたりして余裕で躱していく。


「そろそろ、決着をつけるか」

ダラスは、躱しながら木剣で横に振って反撃にでる。


木剣が大成に迫る中、大成は躓いて上半身が前に倒れてダラスの木剣を躱し、そのままカウンターで大成の頭がダラスの顎に直撃して2人は倒れた。


「痛かったのだよ」

大成は、頭を擦りながら起き上がった。


「ん?そういえば、ダラス氏は…あっ…」

大成の目の前には、ダラスが気絶していた。


「勝者、彗星」

リリーは、右手を挙げて宣言した。


観戦していた皆は、どよめいていた。

「何でダラスは起き上がらないんだ?」


「偶々、新入生が躓いたことでダラスの攻撃が当たらず、そのまま新入生の頭がダラスの顎に当たり、ダラスは脳が揺れて脳震盪が起きたのだろう。それで、気絶したみたいだな」

教師が説明する。


「こんなこともあるんだな…」


「だな…」

観戦していた皆は、大成が狙ってしたとは思わなかった。


しかし、リリー、メアリー、メリアの3人は怪しんでいた。



「次は俺の番だな」

ヒースは、木の槍を握って中央へと向かう。


「俺はダラスとは違い、お前が初心者でも容赦はしないからな」

ヒースは、槍先を大成に向けて断言する。


「わかったのだよ」

苦笑いを浮かべる大成。


「では、2試合目。彗星対ヒースの試合を行います。試合開始!」

リリーの試合開始の合図と共に、ヒースは戸惑っている大成に一気に接近する。


「オラ、オラ、オラ!」

ヒースは、大成の間合いの外から突きを連打する。


「お、お、お」

大成は後ろに下がりながら、大袈裟に左右に体を動かして避ける。


「糞!ハッ!オラ!」

「わぁ、うぉ」

ヒースは突きの連打を止め、槍を上から振り下ろしたり横に凪ぎ払ったが、大成に掠りもしなかった。


「ハァハァ…。どうなっているんだ。糞、なぜ当たらないんだ」

ずっと休まずに攻撃をしていたヒースは、一度、攻撃を中断して乱れた呼吸を整える。


「糞ぉぉ!」

呼吸を整えたヒースは、再び全速力で大成に迫り渾身の突きを放つ。


しかし、ヒースは焦りと疲労が溜まっており、体勢が前屈みになっていた。


(ここだな)

「うぁ」

大成は体を後ろに反り、ギリギリでヒースの突きを回避しながら後ろに倒れる。


大成は倒れながら右足でヒースの顎を蹴りあげた。


「がはっ、うっ…」

顎を蹴られたヒースは後ろに数歩よろめき、ゆっくりと後ろに倒れて気絶した。


「勝者、彗星!」

リリーの勝利宣言が響き渡る。


「おいおい、あのヒースまでやられたぞ」


「嘘だろ!?2度続けて偶然に勝つとか、あり得ないだろ」

皆がざわつく中、メリアが姉のメアリーに歩み寄る。


「メアリー、見た?」


「ええ、2試合とも偶然ではないわね。どちらの試合も彗星君は攻撃した際、相手を見ていたわ」

いつも笑顔が絶えないメアリーだったが、今は真剣な顔をしていた。


「だね。それに、彗星は大袈裟に避けていたけど、あれは相手を油断を誘うためにわざとだよね。本当に何者なのかな」


「そうね。なぜ、そんな戦い方をしたのかはわからないわ。獣王様が自ら連れてきたお方だから、味方だと思うけど、彗星君は人間だし完全に信用するのは危険よ。敵の可能性も捨てきれないわ。だから、油断せずに気を付けましょう。メリア」


「うん。もちろんだよ」

メリアは、真面目な表情で頷いた。


戦いが終わった大成達は、ヒースとダラスを保健室へ運び、教室に戻ることにした。




【獣人の国・パールシヴァ国・レオ学園・教室】


大成の周りには、クラスメイト達が集まっていた。


「凄いな彗星。まぐれでも、あのヒースとダラスを倒すなんてな。2人はクラスで4位と5位の実力があるんだぞ」


「そうだよ、あの2人に勝てるのはリリー様とメアリー、メリアの姉妹だけなんだよ。私達は、一度も勝ったことがないのよ」


「いや、僕は何もしていないのだよ」


「確かに、彗星は転んだだけだったな」

クラスメイト達は、盛大に笑った。


リリーは、大成に歩み寄って話しかける。

「彗星、私は帰るけど、あなたはどうする?」


「デートに誘ってくれて、とても嬉しいのだよ。もちろん、一緒に帰るのだよ」


「ぶっ、か、勘違いしないでよ!誰が、あなたみたいな人に恋心を抱くもんですか!」


「本人から、直接にはっきりと言われると傷付くのだよ」


「あなたが勘違いするからでしょう」


「あのリリー様、私達もついて行きましょうか?」


「大丈夫よ。それに、あなた達はこれから行くところがあるでしょう」


「「で、ですが…」」


「私のことは良いから、2人共早く行きなさい。それと彗星、私達も早く帰るわよ」

リリーは、強引に大成の手を取って教室から退出した。




【獣人の国・パールシヴァ国・パールシヴァ城・大広間】


大成とリリーは、城に帰りついていた。


大広間には、大成とリリー以外に獣王のレオラルド、妃のネイ、それに【セブンズ・ビースト】達とその副隊長が集まっていた。


「彗星、あなたに聞きたいことがあるの」


「何かなのだよ?」


「なぜ、ヒースとダラスの戦いで、わざと手を抜いたの?最低よ」


「手を抜いてはいないのだよ。魔力も運動神経も劣る僕が勝つには、相手の油断を誘うしかないのだよ」


((どこがだよ!))

大成の実力を知っているレオラルド、【セブンズ・ビースト】達は心の中で叫んだ。


「獣王様!なぜ、こんな弱者を連れてきたのですか?しかも、怪しい服装しているし、第一少年は、今、我々と敵対している同じ人間ですよ」

【セブンズ・ビースト】のオルガノの部隊の副隊長を務めている猪の獣人ビームスが問い詰める様に尋ねる。


「それは、違うぞビームス。魔王から聞いたが、彗星は人間でも魔人の国で異世界から召喚された人間だ」

レオラルドの代わりにドルジャーが答えた。


「彗星、あなた異世界人だったの!?」


「そうなのだよ」


「彗星がいた世界は、どんな世界だったの?」

リリーは、両手を合わせて目をキラキラさせて尋ねる。


「リリー様、申し訳ありませんが、そろそろ我々はチャルダ国へ向かわないと。それとも、今回はリリー様は辞退しますか?」


「気遣いありがとうドルジャー。だけど、私も行きます」


「チャルダ国って、あのバニーシロップの生産地で有名な…」


「そうだけど?」


「是非、僕も行きたいのだよ」


「別に構わないわよ」


「ありがとうなのだよ」

こうして、大成とリリー、それにドルジャーの部隊と【セブンズ・ビースト】の各副隊長達がチャルダ国へと向かった。



【獣人の国・オルセー国・オルセー城・玉座の間】


玉座の間には、奥に豪華な椅子が3つあり、中央の席に獣王の弟であり反乱軍の総司令のライオンの獣人アレックスは、腕を組み豪華な椅子に座っており、左席にアレックスの妻・コーデが扇を仰ぎながら座っており、右側には息子のアルンガが肘掛けに肘をつき足を交差させていた。


その3人の前には、【セブンズ・ビースト】のナンバー2の鷹の獣人キルシュ、ナンバー3の狼の獣人フェガール、ナンバー4の熊の獣人ナイジェル、それに元【セブンズ・ビースト】ワニの獣人リゲイン、コウモリの獣人バッド、フクロウの獣人ブロス、闘牛の獣人バルトが床に片膝をついて敬礼していた。


【セブンズ・ビースト】は、4年1度、【セブンズ・ビースト】になりたい一般人の強者と戦う仕来たりがあり、負ければ一般人が【セブンズ・ビースト】となり、敗北した【セブンズ・ビースト】は外されるという本当に実力がある者しかなれないのだ。


特にナンバー1~3のドルジャー、キルシュ、フェガールの3人は、今のところ数十年間、負けなしで、ずっと【セブンズ・ビースト】に在籍していた。



「で、キルシュよ。今日なのだな?」


「はい、偵察の者からの情報では、本日リリー様がドルジャーと各副隊長を連れてチャルダ国へと向かうそうです」


「絶好の機会だな。できる限り無傷でリリーを拐って来い。リリーは俺の嫁にする。絶対にあの【アルティメット・バロン(へんたい)】にリリーを渡すものか!リリーは俺のものだ!絶対に何としてでも連れて帰れ!」

息子のアルンガは立ち上がり、邪悪な表情を浮かべながら右手を前に出して掌を広げ握り締めた。


「承知しました。ついでに、ドルジャーを始末できましたら始末します。今回の任務は、真夜中で隠密で動くのでメンバーを絞り、夜目が利くバッド、ブロス、それに強烈な一撃を所持しているリゲインと突破力のあるバルト。他に、その部隊の副隊長達を向かわせますが如何でしょう?」


「問題ない。キルシュ、お前に任せる。その代わり、必ず任務を全うせよ。期待しているぞ!お前達」


「「ハッ!お任せを!」」

バッド、ブロス、リゲイン、バルトの4人は獰猛な笑みを浮かべたまま深く頭を下げた。


「さぁ、行け!必ず息子のためにリリーを連れて来い!」

アレックスは立ち上がり、力強く右手を横に出してマントを翻した。


「「ハッ!」」

4人は、その場から姿を消して退出した。

遅れましたが、あけまして、おめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。


次回、不気味な視線です。


もし宜しければ、次回もご覧下さい。

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