表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/130

【漆黒の魔女】リーエとラプラス

1人で魔王達と戦ったラプラスは、実力の差を見せつけて投降を促し、判断するための時間を与えようと撤退することを【時の勇者】のこと流星に提案し、了承を得られた。


しかし、撤退しようとした時、鷹虎兄弟が暴走してジャンヌとウルミラに襲い掛かる。


だが、ジャンヌの影から乱入者が現れ、鷹虎兄弟は吹っ飛ばされた。

【パルシアの荒野・中央】


突如、ジャンヌの影から少女が現れ、鷹虎兄弟を蹴り飛ばしたことで、誰もが驚愕して静寂が訪れていた。



少女が羽織っているローブは、ほぼ全体が真っ黒で背中に金の刺繍でラーバスの紋章が描かれている魔王しか羽織れないローブを何故か羽織っており、ローブの下の上下の服も黒色で下はミニスカートという服装をしていた。


だが、発している威圧感と魔力は決して少女とは思えないほど膨大で濃密であった。


「あのローブは、大成やお父様など魔王様なった者しか渡されていないはず…」

ジャンヌは、少女の背中を見ながら粒やいた。


「思ったよりも軽かったな」

少女は、蹴り飛ばした鷹虎兄弟を見て、口元に笑みを浮かべる。


「あなた、一体…」

呟くような声で尋ねるジャンヌ。


「久しいな。ジャンヌ、それにウルミラ」

少女は、フードを脱ぎながらジャンヌとウルミラに振り返り笑顔を浮かべた。



「「えっ!?」」

ジャンヌとウルミラは、見覚えがない少女の顔を見て驚愕する。


なぜなら、少女はジャンヌと双子と思えるほど似ていたのだ。


ただ違うのは、声と髪の毛色だけであった。

ジャンヌは金髪だが、少女は銀髪をしていた。


「わ、私!?」

「え?え?」

ジャンヌは驚いた声を出し、ウルミラは戸惑いながら何度もジャンヌと少女を見比べる。


少女は、そんな2人を見て口元に手を当ててクスクスと笑った。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


「流星さん、あの方は誰なんですか?あんな方がいるなんて、僕は聞いていませんよ。もしかして、姫様と容姿がとても似ているので姫様のお姉様か妹様ですか?」

少女が襲って来る気配がなかったので、ラプラスは流星に歩み寄り尋ねた。


「わからない。俺も初めて会った。だが、確かに容姿は魔人の姫に似ているが、内に秘めている魔力が桁違いだ」

顎に手を当てながら流星は、真剣な面持ちで少女の力量を見計らう。


「そうですね。おそらくですが、僕と同等ぐらいの魔力はあるかと思います」

ラプラスは、迷いなく肯定したが、その声は弾んでいた。


「フッ、どうした?ラプラス。やけに嬉しそうだな」


「わかります?ですが、そう言う流星さんも、顔がにやけていますよ」

流星とラプラスは、お互いに小さく笑った。



そんな中、メルサは信じられない物を見たかの様な表情で体が震えていた。


「ま、まさか…そんな、ありえないわ…。でも、あの説話通りの容姿に、この圧倒的な魔力と威圧感、それに何よりあの魔法…。間違いないわ…」

恐る恐る呟くメルサ。


「メルサ、あの少女について何か知っているみたいだな。もし、知っていたら何でも良い。教えてくれないか?」


「もちろんよ。確証はないけど…。あの子を一目見た時、私が思い浮かんだのは、皆も知っているある有名なお伽話に出てくる人物なの」


「あるお伽話だと…。なるほどな。そういえば、【世界平和】や【聖なる戦線】に登場する人物に酷似しているな。確か、初代魔王の姉で【漆黒の魔女】と呼ばれいた。名前はリーエだったか?メルサは、そこの少女がリーエだと思っているのだな」

流星は顎に手を当て思考し、1つの可能性に辿り着いた。


「ええ、そうよ。信じてはもらえないとは思うけど…」

頷いて肯定するメルサ。


「いや、あの魔法に、この魔力と威圧感…。メルサの言っていることは、あながち間違ってはいないだろう」


「僕もメルサ様が正しいと思います。流石、異世界ですね」


「え?どういうこと?ラプラス」


「もし、お伽話の人物だとしたら、その年齢は千歳を超えていることになります。僕がいた世界は、長生きしても100歳ぐらいまでの寿命ですので…。あれ?…何で僕は異世界のことを知っているんだ?…わからない。それに、初めて会った筈なのに魔人の姫様達を見ていると、以前から知っている様な…。ぐっ、何だか、とても大切なことを忘れている様な気がする…」

ラプラスは、ウサギの仮面の上から額を押さえ込みながら悩みだす。




【パルシアの荒野・中央】


乱入した少女は、ジャンヌをジッと見つめていた。

「フフフ…。それにしても、ますます私に似たな、ジャンヌ」


「助けて頂いたことには感謝するわ。でも、あなたは一体誰なの?」


「私は、結構有名人だぞ。殆どの者が私を知っている。お前達も知っている筈だぞ。まぁ、人の目に出ないから文章でしか知らないもの無理ないか。私の名はリーエ。昔は【漆黒の魔女】と言われた女さ」


「あの、リーエ様ですか!?まさか、あ、あの【世界平和】や【聖なる戦線】のお伽話に登場する人物ですよね?」


「ああ、そうだ。あっているよ、ウルミラ」

リーエは、笑みを浮かべながら頷く。


ジャンヌとウルミラは、お互いの顔を合わせて驚いていた。


「フフフ…」

2人の反応見て、リーエは口元に手を当てて笑った。


「ところで、何故、今回は助太刀に来て下さったのですか?」

ジャンヌは、気になっていたので尋ねた。


「ああ、お前達が気になるのも仕方ないか。まず、魔王の事件の時は、相手が勇者1人だったから大丈夫だろうと思い見過ごしてしまった。銀河の(シルバー・スカイ)と言われるようになった事件は、私はボルダ国で開催された魔王決定戦を千里眼水晶を通して遠くから観戦していた。魔王修羅の実力は、この私を凌駕していたから大丈夫だろうと思い、再び見過ごしてしまった。そして、今回は安全を配慮して開戦前から千里眼水晶を通してずっと見ていた。相手が【時の勇者】以外の聖剣だけならば助太刀するつもりはなかった。だが、途中でラプラスが現れ、その姿を見た時、私と同等の実力の持ち主と判断して慌てて助太刀に来たということだ」


「何故、始めから助太刀に来て下さらなかったのですか?」


「それはな、同等の実力者と戦えば、更なる高みに近づくことができるかもしれん。そんな、大切な機会を潰す様な無粋なマネはしたくなかった。これから先、お前達が魔人の国を背負って支えていくために必要なことだと、私は思っている」


「厳しい人ね」


「そうですね姫様。ですか、私達のことを思ってのことですので」


「ええ、わかっているわ。ウルミラ」

目を瞑りながら頷くジャンヌ。


「しかし、2人共…。いや、マキネとイシリア、それにマーケンスだったか?お前達5人は、その歳でそれだけの実力があるとは大したものだ。魔法にしても武術にしても、幼い頃の魔王達を超えている。頑張っているな…」

リーエは、母親の様な眼差しで優しくジャンヌとウルミラを見つめ、2人を抱き締めた。


同い年ぐらいにしか見えないリーエだったが、ジャンヌとウルミラは、まるで母親に包容されているかの様な優しさに包まれた。



少しの間、包容に身を任せていたジャンヌとウルミラだったが、ラプラスの異変に気付いた。


「あの、何だかラプラスさんの様子がおかしいです」

ウルミラは、ラプラスを指差す。


「大切な仮面に傷が入っていることに気付いて、発狂しているんじゃないの?」

ジャンヌ達は、背後からイシリアの冗談交じりの声が聞こえ、ジャンヌとウルミラは振り向いた。


「イシリアさん!」

「イシリア、無事だったのね」


「ええ、どうにかね…。あの時、爆風が一瞬で迫って来たから、慌てて残り僅かな魔力を全て費やして土魔法ホールを唱えて地面に穴を開け身を隠したの。回避はできたものの予想以上に深く掘りすぎてしまって、登るのに時間が掛かったわ。まだまだ未熟ね…」

イシリアは、自分が地面に穴を開けた場所を指で指しながら説明し、最後に溜め息を吐いた。


イシリアは、赤と黒が強調された着ている服と銀の胸板は砂埃で真っ白になっていたので叩いて埃を落としていたら、ミリーナ達や爆風に飲み込まれ目を覚ましたローケンス達も、ジャンヌ達の場所に集まった。



「お母様、皆様、この方は…」


「ええ、大丈夫。わかっているわ、ウルミラ」

ウルミラの説明をしようとしたが、母・ウルシアが止めた。


「お久しぶりです、リーエ様。此度、助けて頂きありがとうございます」

ミリーナが代表で挨拶をし、ミリーナ達は一斉に片膝を地面について敬礼をする。


後方にいたマーケンスは、ワンテンポ遅れて慌てて敬礼をした。



「最後に会ったのは11年前ぐらいか?」


「はい、ウルシアの娘ウルミラが誕生した時に、お会いしたのが最後です」


「そうか、もうそんなに経つのか」

リーエは、呟きながら1人思い耽た。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


「ラプラス、大丈夫?」

メルサは、心配した面持ちでラプラスの背中を優しく擦る。


「ハァハァ…。はい、大丈夫です。ありがとうございます、メルサ様。しかし、あの方が本当にリーエ様ご自身でしたら、完全なロリババ…。わぁっ」

乱れた呼吸を整えたラプラスは、フッと頭に過ったことを口にした瞬間、ナイフが飛んできてラプラスの仮面を掠った。


「おい!聞こえているぞ!坊やは、女性に対しての礼儀を知らん様だな。せっかくだ、この機会に教えてやろう」

リーエは、ドスの効いた声でラプラスを睨みつける。


殺気だったリーエの近くにいたジャンヌ達は、あまりにも濃密な殺気と威圧感に表情が強張らせる。


「アハハ…」

乾いた笑顔を見せるラプラス。




【パルシアの荒野・中央】


「おそらく、相手は撤退せずに再び戦が始まります。リーエ様は、一刻も早く、この場所からお逃げ下さい」

ミリーナは、これから始まる負け戦にリーエを巻き込みたくなかった。


「何故、逃げる必要があるのだ?」


「リーエ様は、この場にいる者達の中で最強だと私共は信じております。ですが、聖剣の【時の勇者】とウサギの仮面をつけているラプラスの2人は、とても危険です。失礼だと存じますが、流石のリーエ様でも、あの2人を同時に相手にするのは厳しいかと思います」


「その様だな。あの2人は、私と同等かそれ以上の化け物の様だな。まさか、この世代にあんな奴らが現れているとは…。だが、大丈夫だ。安心して見ているが良い」


「ですが、もし個別に倒そうと思いでしたら、大変、申し訳ないですが私達が束になっても【時の勇者】とラプラスのどちらか片方でも足止めはできません」


「わかっている。まぁ、安心して見ていろ。私が、全員まとめて倒して終わらせてやるさ」

リーエは、不気味な笑みを浮かべた。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


リーエに蹴り飛ばされた鷹虎兄弟は、流星達から少し離れた場所に倒れていた。


「ゴホッゴホッ…」

虎は、右拳に魔力を集中させて大技を繰り出そうとしている時、無防備になっている横腹をリーエに蹴られて肋骨が折れており吐血した。

必死に立ち上がろうとした虎だったが、足腰に力が入らずに立ち上がれなかった。


「無理するな、弟よ」

鷹は心配しながら、虎の背中に優しく手を置いた。


「すまねぇ、兄貴。俺様としたことが、ヘマしたぜ…。ゴホッゴホッ…」

虎は、苦笑いを浮かべながら手で口元を覆ったが、再び吐血する。


「気にするな。不意討ちだから仕方がない。流石、魔人だ。卑怯なことをする。お前は、ゆっくりと休め。あとは俺に任せろ!」

ゆっくりと虎を仰向けに寝かす鷹。


「ああ、そうさせて貰うぜ兄貴…」

虎は、手を前に出す。


「おう!任せろ!」

鷹は、虎の手をギュッと強く握り、虎は気を失った。


「おい!医療班。直ちに虎を癒せ」

「「は、ハイ!」」

鷹に指示された医療班は、慌てて虎の下へ行き、治療を始める。


鷹は、本当はこの戦場で優秀な回復魔法が使えるニルバーナやメルサに虎を診て貰いたかったが、流星とラプラスは撤退すると言っていたので、2人が戦わわない以上、ニルバーナは戦力として必要不可欠、メルサの場合は許嫁の流星の指示を何度も無視した自分達を助けてくれないと判断した。


「やれやれ、本当にどうしようもない兄弟だな。全く…。メルサ、虎を診てやれ」

溜め息しながら流星は、メルサに指示を出す。


「正直、気が進まないけど、わかったわ。流星、あなたの頼みなら仕方ないわね。でも、ラプラスはどうするの?」

仕方ないと言わんばかりな表情でメルサは、承諾したが、ラプラスのことも気になっていた。


「こいつは、手加減して痛い目にあったんだ。自業自得だ」


「そう言われるとそうね」


「アハハ…。お2人共、厳しいですね」

苦笑いをするラプラス。


「当たり前だろ」


「当然の判断よ」

流星とメルサは、ラプラスを一瞥した。



「どうして、俺達を助けるんだ?俺達は、お前に反発していたんだぞ」


「気にするな、ただ総隊長としての行動だ。それに、この機に制圧するのは戦略的に正しいからな。どうせ、お前達は俺の指示を無視して、このまま撤退せずに戦うつもりだろう?」


「良いのか?」


「俺、個人としては正々堂々と戦い、完膚なきまで叩き潰して完全な勝利を収めたかったが、これ以上、国王様を待たせる訳にもいかない。だが、ラプラスは両腕を負傷しているから戦えない。それに、俺はメルサの安全を考慮しないといけないから参戦できない。それでも、戦うのか?」


「ああ…。俺は1人でも戦うつもりだ」

力強く頷く鷹の瞳には強い意志が宿っていた。


「鷹、俺が手を貸してやる」

「私もご協力します」

ユナールとカトリアは、笑顔を笑顔を浮かべながら鷹の傍に歩み寄る。


「アエリカ婆さん達は、どうする?」

「私達は…」

ユナールから尋ねられたアエリカ、ヨーデル、ニルバーナの3人は、気まずい表情でチラッと流星とラプラスに視線を向けた。


「好きにしろ」

「やれやれ、私達も手伝ってあげるよ」

流星の言葉を聞いたアエリカは、首を左右に振りながら賛同した。


「感謝する」

鷹は、皆に頭を下げた。



「お前達に1つ条件を出す。戦うなら必ず勝て。俺は、お前達の実力は認めているし、期待している」


「無論だ!」

鷹は答え、アエリカ達も頷く。



「そういうことだ。それで、良いか?ラプラス」

流星は、ラプラスが反論はないとわかっていたが尋ねた。


「良いも何も、僕は副長で流星さんは総隊長ですよ」

苦笑いしながら、答えるラプラス。



「よし!行くぞ!」

「承知だよ」

「「おう」」

「わかりました」

流星に期待していると言われた鷹は、口元がニヤけながら指示を出して、一斉にリーエに向かった。




流星の隣にいるメルサは、クスクスと笑っていた。

「メルサ、何か面白かったか?」


「いえ、だって…。ねぇ、ラプラス」


「はい。失礼ですが、鷹様達が単純で…」


「ラプラス。お前、本当に失礼な奴だな」

流星は、白い目でラプラスを一瞥した。


「仕方ないわよ。だって、鷹達は貴方の思惑が、全く見抜けていないのだから」

メルサはクスクスと笑いながら、ラプラスを庇う。


「やはり、2人は気付いていたか」


「勿論です。【漆黒の女帝】と呼ばれたリーエ様の力量を計るための噛ませ犬役ですよね?そして、危なくなったら僕が介入すれば良いのでしょう?」


「ああ、その通りだ」

流星は頷いた。



「それより、メルサ。虎を診てやってくれ」

「わかったわ。あなた達は離れなさい。私が治すわ」

医療班を移動させたメルサは虎に歩み寄り、杖を地面に置いて両膝を地面につけた。


「ヒーリング・オール」

メルサは、両手を虎の胸元付近に伸ばし、光回復魔法ヒーリング・オールを唱えた。


虎の体が緑色の魔力に包まれた。

医療班が治療するよりも傷の治りが早く、苦悶していた虎の表情が和らぎ、傷が癒えていく。


「「おお!」」

「流石、メルサ様だ」

近くで見ていた医療班は、感嘆した。




【パルシアの荒野・中央】


鷹達が迫ってくる中、リーエは余裕の表情を浮かべていた。

「あの2人は、攻めて来ないのか?なるほど、私の力量を見極めるつもりだな。まぁ、良い。お前達は手を出すな。私、1人で十分だ」


「「ハッ」」

ジャンヌ達は了承し、マジック・ポーションやハイポーションなどを飲んで回復に専念する。


リーエは、皆を巻き込まないようにその場から離れ、鷹達はリーエを追いかけた。



そんな中、ニールの部隊の副隊長バックスが、メルサが虎を癒していることに気付いた。

「ん?メルサ姫が、聖剣の虎を癒しているぞ!。何としても阻止するのだ!」


「「了解!」」

バックスの指示によって、魔人の騎士団は一斉にメルサに向けて魔法攻撃を始める。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


魔人の騎士団が放った魔法は、まるで雨の様にメルサに降り注ぐ。


「お前達、メルサ姫を守るぞ!」

ボヤタニア国の聖剣候補だったイカルダは、剣を振りかざして騎士団に指示をした。


「「オオ!」」

「いえ、大丈夫よ。その必要ないわ。大体の治療は終わったから」

メルサを護ろうと人間の騎士団が動きだそうとしたが、メルサ本人が拒否した。


「「ですが…」」

戸惑う人間の騎士団は、流星を見る。


「では、僕が…」

「いや、お前も動かないで良い」

「……。わかりました」

ラプラスは騎士団と違い、流星の意見を素直に受け止めた。



「久しぶりに使うわね」

メルサは、地面に置いていた杖を持って立ち上がった。


「王宮の(ロイヤル・ガーデン)

メルサは両手で杖を掲げ、膨大な魔力を杖に込めながら複合魔法ロイヤル・ガーデンを唱えた。


メルサの周りに黄金の城壁がそり立ち、その中央には同じく黄金の城が現れた。



魔人の騎士団が放った魔法は、雨の様に城壁や城に降り注いだが、城壁と城には1つも傷がつかなかった。


まるで、何者も寄せ付けないと思わせるほど、神々しくそり立っていた。




【パルシアの荒野・中央】


初めて見るメルサのロイヤル・ガーデンを目の当たりしたジャンヌ達。


「な、何?あの城…」

ジャンヌは呟き、魔人達は、その強固で神々しい城に唖然とした。


「あれは、ロイヤル・ガーデン…。まさか、使える者が居たとは…」

ただ1人、リーエは驚きながら、鷹達を引き付けて走り回っていた。



「魔法が駄目なら、接近戦だ!俺に続け!」

「「オォ!」」

「止まりなさい」

ジャンヌ達から離れていたバックス達は、ミリーナの停止の声が聞こえず、勢いのまま気にせずに突撃する。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


「何ですか?あの眩しい、いえ、神々しいお城は…」

ラプラスは、額に手を当てながらロイヤル・ガーデンを見ていた。


「初めて見るだろう、ラプラス。全属性が使える者は、【マジック・マスター】と呼ばれ、魔人の国では魔王と妃の2人がいるが、俺達、人間の国にはメルサがいる。しかも、アレは少し特殊な魔法で魔王達には使えない。それに、使われると厄介な魔法だ」


「流星さんは、メルサ様の魔法を知っていたのですね。そんなに厄介なのですか?」


「ああ。俺やお前なら、そんなに苦戦はしないが、アエリカや魔王は苦戦を強いられるだろうな」


「それは、楽しみです」

嬉々した声で見守るラプラスと、それでも不安を隠しきれない人間の騎士団。




魔人の騎士団が、波の様に押し寄せてくる中、メルサは特に気にした様子を見せず、ただ平然と様子を窺っていた。


「そろそろね。ここまで引きつければ、一網打尽できるわ」

メルサは、指を鳴らした瞬間、城壁のあちらこちらの壁が凹み、そこから砲台が現れる。


「な、何だ?」

砲台が見えて、魔人の騎士団は立ち止まる。


「エレメンタル・ファイヤー!」

メルサが呪文を唱えた瞬間、砲台から火、水、風、氷、雷属性の魔法攻撃が発射された。


「「うぁっ」」

「「ぐぁ」」

魔人の騎士団は炎に包まれたり、水圧で押し潰されたり、風の刃で切断されたり、凍りついたり、感電したりと次々に倒されていく。


「てっ、撤退だ!一度、撤退だ!」

バックスは、すぐに撤退命令を出す。


「逃げろ!」

魔人の騎士団は、悲鳴をあげながら我先にと逃げようとする。


しかし…。


「逃がさないわよ」

メルサは、杖を内側から外側に振った。


各砲台から勢いよく黒い弾が発射され、魔人の騎士団の行く手を塞ぐ。


地面に着弾した弾は破裂し、真っ黒い霧が発生して魔人の騎士団を飲み込んでいく。


「「うぁ」」

「な、何だこれは!?毒か?」

パニックに陥る魔人の騎士団。


「あれ?苦しくはないぞ」

「だが、何だか急に体が重くなったぞ!?まるで、自分の体ではないみたいだ」

黒い煙は闇魔法スローだったため、魔人の騎士団の動きが鈍くなる。


「これで、終わりよ」

メルサは、杖を上に掲げると、黄金の城の真上に光が物凄いスピードで収束していき、大きな光の球体が出来上がった。



黒い霧が消え、背後から膨大な魔力を感知した魔人の騎士団は振り返った。


「う、嘘だろ…」

「ま、まさか…」

目の前には、収束した巨大な光の球体があり、魔人の騎士団は息を呑んだ。



「終わりよ。シャイニング・ブラスト」

メルサは杖を振り下ろすと光の球体は、細いレーザーの様に魔人の騎士団に向かって放たれた。



「く、来るな!」

必死にその場から逃げようと試みる魔人の騎士団だったが、未だに闇魔法スロウの効果の影響下で動きが鈍かった。


「落ち着け!生き延びたいなら、俺の指示を聞け!このままだと間に合わない。全員で、あの球体を攻撃し、迎撃するぞ」

バックスの指示で、騎士団は逃げるのをやめて得意な魔法を放つ。


しかし、上位魔法を放つには魔力を集中する時間はなく、唱えれることができなかった。


そこで、仕方なく中級魔法で応戦するが、光のレーザーは全てを焼き付くして迫ってくる。


そして、レーザーは縦横無尽に動き、魔人の騎士団を飲み込み大爆発を起こした。


「「ぐぁ」」

「「うわぁ」」

爆発音は大きくなかったが、激しい発光と共に騎士団の悲鳴が響き渡り、砂埃が発生した。




【パルシアの荒野・中央】


メルサが放ったシャイニング・ブラストによって、砂埃が離れていたジャンヌ達を襲った。


「「くっ」」

ジャンヌ達は目元に腕を当て、迫ってくる砂埃を凌いだ。


そして、砂埃が落ち着き、ジャンヌ達は周りを見渡した。


目の前には、地面が縦横無尽に抉れてクレーターができており、そのクレーターの中に騎士団が倒れ、数えられるぐらいの騎士団しか生き残ってはいなかった。



「嘘…。たったの1発の魔法で、ほぼ全滅なんて…」

ジャンヌは呟き、ミリーナ達は固唾を飲んで言葉を失っていた。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


成り行きを見守っていた人間の騎士団は驚愕して言葉を失っており、ラプラスだけは感動していた。

「これはこれは、素晴らしい魔法ですね、流星さん。あの強度と攻撃力は驚異的です!」



黄金の城にいるメルサが大きく手を振っていたので、流星は小さく手を振り返した。


「ああ、そうだな。それより、そろそろ聖剣達(あいつら)の戦いが始まるぞ」

誘導していたリーエが立ち止まったので、流星はラプラスと一緒に鷹達とリーエの戦いに注目する。




【パルシアの荒野・北東側】



「はぁ、勢いだけ動くからこうなるんだ。仕方ない、ここの場所で良いだろう」

リーエは、ほぼ全滅した魔人の騎士団を見て溜め息をし立ち止まった。


立ち止まった場所は、流星達の場所からでも、かろうじて見える場所だった。



「やっと、戦う気になったみたいだな。ガイア・ジャイアント・ゴーレム」

ユナールは、ゴーレムと一体化した。


「どこからでも、掛かって来ていいぞ。坊や達」

リーエは、鷹達を前にしても落ち着いていた。


「よくも、弟を!」

陣形を取る前に、鷹は自身の【アクセラレータ】の能力で加速効果を付与した鎖鎌を振り回しながら、1人で自分の間合いまで一気にリーエに近づく。


「待って下さい!鷹さん」

カトリアは慌てて声を掛けるが、鷹は止まらなかった。


「糞!あの馬鹿、頭に血が上ってやがる」

「お前達、行くよ」

ユナールは舌打ちし、アエリカの指示でユナール達は鷹に続く。


「くらぇ!」

「遅いぞ」

鷹は鎖鎌を投擲しようとしたが、リーエは一瞬で鷹の懐に潜り込んでいた。


「な、何だと!?ぐぉ」

リーエは、鷹の鳩尾を殴って吹っ飛ばした。


「お前達、決して一瞬でもリーエから目を離すんじゃないよ」

アエリカ達の真横を吹っ飛ばされた鷹が地面を転がったが、アエリカの指示で、ユナール達はリーエから目を離さないで迫る。


「エア・スラッシュ」

カトリアは、剣を振って風の刃8本を放った。


リーエは、アエリカ達に向かって走りながら体を反らして風の刃を回避していく。


「そこだ!」

ゴーレムと一体化しているユナールは、巨大な右拳で叩きつけるようにリーエを殴り付ける。


リーエは左手を伸ばし、ユナールの右拳が触れた瞬間、掌から膨大な魔力が放ち、ユナールを弾き飛ばして体勢を崩す。



「ねぇ、アレって魔力発勁なの?」

虎の治療が終わったメルサは、ロイヤル・ガーデンを解除し虎を騎士団に任せて、流星とラプラスに歩み寄り尋ねた。


「似ているが、全く違うものだ」

「そうですね。あれは、魔力波と言った方が正しいですね」

流星とラプラスは否定した。


「同じじゃないの?」

「全く違う。魔力発勁は、相手に自身の魔力を一瞬で流し込み、内側からダメージを与える。魔力波は、魔力で相手を弾くために用いる」


「そうですね。それと、魔力発勁は一瞬で相手に自身の魔力を流し込まないといけません。もし、失敗した場合は魔力波になります」

メルサの疑問に流星が答え、ラプラスが付け足した。



「シャドウ・ジャッジメント・ソード」

リーエは、ゴーレムと一体化しているユナールの体勢を崩したので、ジャンプして右手を挙げ、闇魔法禁術シャドウ・ジャッジメント・ソードを唱え、頭上に全長10mもある巨大な真っ黒な剣を召喚し、右手を振り下ろして巨大な真っ黒な剣をユナールに投擲した。


「こ、これは…」

巨大な真っ黒な剣を目の当たりにしたユナールは、直感で防げないと頭に過り、慌ててゴーレムから脱出する。


「うぁ」

脱出に成功したユナールだったが、脱出した直後、巨大な真っ黒な剣がゴーレムに突き刺さり、間近でゴーレムが破壊されて爆発し、バラバラになったゴーレムの破片に巻き込まれた。


「よく聞きな、お前達。リーエは【時の勇者】以上の強さがあると思いな。だから、全員がチームプレーを意識して縮こまった戦いじゃ勝てないよ。そこで、ニルバーナとヨーデルは積極的に攻撃、動きが素早い私とカトリアでフォローするよ。良いね?」


「「了解!」」

アエリカの指示で、ニルバーナとヨーデルが先陣を切る。



「流石の【漆黒の魔女】でも、光速の槍の攻撃は避けれないだろう。ホーリー・ランス」

ヨーデルは、ホーリー・ランスを唱えて、持っていた槍が光に包まれて輝く。


「ホーリー・ソード」

ニルバーナは持っていた杖を背中に背負い、ホーリー・ソードを唱えて召喚した光の剣を握り締めた。


「ほう。これほどの光魔法を使えるとは、聖剣だけのことはあるな」


「その余裕を消してやる!」

「ヤァァ」

ヨーデルは光速の突きを放とうとし、ニルバーナは剣を振り下ろそうとした。


更に、左右から左右の手にライトニング・ソードを持ったアエリカと剣に風を纏わしているカトリアがリーエに襲い掛かる。


「良い連携だ。しかし…」

リーエは、右手を内側から外側に大きく振り、魔力波を放った。


「「うぉっ」」

「「うっ」」

攻撃モーションに入っていたヨーデルとニルバーナは、踏ん張ることができず吹き飛ばされ、アエリカとカトリアは片腕を目の前に出して耐えた。


「なんという、とてつもない威力なの!?」

「何、呑気に驚いているんだい!」

カトリアに注意を促すアエリカ。


「そうだぞ」

「なっ」

カトリアは、声が聞こえた真横に振り返りながら剣を振ると、そこにはリーエがいた。


「ほう、硬直せずに攻撃をするとは流石だな」

リーエは感心しながら、カトリアが剣を握っている右手首を掴み、そのまま投げ飛ばした。


「きゃ」

投げ飛ばされたカトリアは、立ち上がろうとしていたヨーデルとニルバーナに衝突した。


「「うぁ」」

カトリア達は、縺れながら倒れた。



リーエがカトリアを投げた隙にアエリカは雷歩を使い、リーエの背後を取った。


「ハァッ!」

アエリカは回りながら遠心力をつけ、左右の手に握っているライトニング・ソードを横に平行に構えて横に凪ぎ払う。


「シャドウ・ドール」

リーエは闇魔法シャドウ・ドールを唱え、リーエの影が実体化し、影がアエリカの2本のライトニング・ソードを受け止めた。


「なんだい!?その魔法は?」

アエリカは、すぐにバックステップしようとしたが、右手をリーエの影に掴まれた。


「くっ」

アエリカは、左手のライトニング・ソードでリーエの影に攻撃をしようと思った時、リーエ本体に背後を取られた。


「なかなかやるみたいだが、まだまだだな。魔力波」

リーエは、アエリカの背中に掌を当てた瞬間、掌から魔力波を放った。


「うぐ」

吹き飛ばされたアエリカは、地面を転がる。


「ブラック・ジャック・ナイフ」

直ぐ様、リーエは闇魔法禁術ブラック・ジャック・ナイフを唱えて、自身の頭上に数十本の真っ黒なナイフを召喚した。


そして、リーエはアエリカ達に向けて右手を前に振りかざして、数十本の真っ黒なナイフをアエリカ達に向かって放った。


「くっ」

地面を転がっていたアエリカは、勢いが弱まった頃を見計らい、両手で地面を押して跳びはねて着地をした。


それと同時に、リーエが放った真っ黒なナイフが迫ってきていた。


「「はぁぁ」」

「「ヤァァ」」

アエリカはライトニング・ソードで、カトリアは剣、ニルバーナは杖、ヨーデルは槍、鷹は鎖鎌を回して、それぞれ防いでいく。



真っ黒なナイフはアエリカ達だけでなく、アエリカ達が吹っ飛ばされたことにより、近くなった流星、メルサ、ラプラスにも襲い掛かる。


「メルサ、その場から動くなよ」

「わかったわ」

直ぐ様、流星は左右の手に拳銃を持ち、自分とメルサに当たる真っ黒なナイフだけを狙い打ちして打ち落としていく。


「えっ!?あの流星さん、庇うのはメルサ様だけですか?重傷を負っている僕は?」


「甘えるな」

迷いなく即答える流星。


「ですよね…」

ラプラスは、溜め息をしながら左右の手を使い、真っ黒なナイフな弾いていく。



リーエが放った真っ黒なナイフは、アエリカ達や流星達に全て防がれた。

しかし、リーエの口元は薄ら笑っていた。



最初に自身の異変を感じたのは、流星とメルサ、ラプラスの3人だった。

「ん?」

「おや?」

「嘘でしょう!?」

流星とラプラス、メルサは、体が動かないことに気付いた。



そのあとから、遅れてアエリカ達が気付いて慌てる。


「どうなっているんだい!?」

「動けません!」

「動けぇ~!」

鷹達は、身体全体に力や魔力を込めるがビクともせず焦りだす。



「これで、終わりだ。デス・メテオ・ヘル」

リーエは空高くジャンプし、右手を上に挙げて闇魔法禁術デス・メテオ・ヘルを唱えた。


リーエの掌に闇が物凄い勢いで収束していき、直径30mぐらいの巨大な漆黒の球体ができ、その漆黒の球体の周りに稲妻がバチバチと迸っている。



「何て魔力だい…」

「動け、動け!」

デス・メテオ・ヘルを目の当たりにしたアエリカ達が驚愕して慌てる中、流星とラプラスは避けたはずのリーエのブラック・ジャック・ナイフが何故発動したか気になっていた。


2人は、ブラック・ジャック・ナイフが刺さっている場所を見て理解した。


ブラック・ジャック・ナイフが刺さっていた場所には、それぞれの影があった。


「なるほどな。先程のナイフは対象の影に刺さることで効果を発動する魔法か」


「その様ですね、流星さん。珍しい魔法ですね」


「ああ、そうだな」

流星とラプラスは、頷いていた。



「感心している場合じゃないだろ!そんなことよりも、この危機をどうにかしろ!」

鷹は、マイペースな流星とラプラスに怒鳴るように話し掛ける。


「呪縛を解くのは簡単だ。お前達の場合は、一気に魔力を最大まで上げれば解けるはずだ」

流星は、解き方を教えてあげた。


「1度、見ただけで見破るとは流石だな。だが、もう遅い」

リーエは右手を振り下ろし、巨大な漆黒の球体を投下させた。


「「ハッ!」」

アエリカ達は、流星から言われた通りに一気に魔力を最大限まで上げ、呪縛から逃れることができた。


しかし、リーエが放った巨大な漆黒の球体は目の前まで迫っており、回避が間に合わなかった。



「仕方ないな、シール・ファルコン」

流星はゴッド・エンチャントを発動し、右手の拳銃に封印効果を付与して、魔力を集中し引き金を引いた。


拳銃から封印効果を宿した巨大な紫色の鷹が、巨大な漆黒の球体に向かって羽ばたく。


そして、巨大な漆黒の球体と巨大な紫色の鷹が衝突して衝撃波が生まれ、まるで空間が歪んで両方共に消滅した。


「ま、まさか、あれはゴッド・エンチャントか?」

リーエは、初めて見る流星の予想外なユニーク・スキルに驚愕した。


その隙にラプラスは、気配を消したままリーエの背後に回り、背後からジャンプして頭上まで跳び上がり、片足を上げて踵落としをする。


「チィ」

ラプラスの姿がないことに気付くのが少し遅れたリーエは体を捻り、ラプラスに振り向きながら両腕をクロスにして防いだ。


「ハァァ!」

「ぐっ」

強烈なラプラスの踵落としによって、リーエは物凄い勢いで地面に叩きつけられた。



「「リーエ様!」」

リーエの身を案じるジャンヌ達、魔人達の声が響く。




音を立てずに着地したラプラスは、リーエが落下して砂埃が舞っている場所を見ている。


「容赦がない一撃だな」

砂埃からリーエが姿を現した。


「ん?おや?両腕をへし折った感覚があったのですが、無傷みたいですね」

リーエの両腕を見たラプラスは、疑問に思い頭を傾げる。


「アレくらいの攻撃では、この私に致命的なダメージを負わせることはできないぞ。しかし、まさかゴッド・エンチャントの使い手が現れているとは、正直驚いた」


「そうですね。僕も流星さんの能力を聞いた時、チートだと思いましたよ」


「そういえば、坊やは魔法を使っていないが、どんな魔法を使うのだ?」


「いえ、僕は魔法が使えませんので」


「フッ、教える気はないみたいだな。だったら、使わせてやろう」


「いえ、本当にそう意味じゃないんですけど…」


「強情だな。まぁ、良い。ブラック・ジャッジメント・ソード」

長さ10mの闇の剣を召喚したリーエは、闇の剣を1mぐらいの長さにまで圧縮して魔力密度と強度を向上させ、剣を握り締めてラプラスに迫る。


「ハッ!」

リーエは、闇の剣を振り下ろす。


「これは、手加減する必要はないですね」

ラプラスは右手に魔力を集中させて村雨を発動し、闇の剣を受け止めた。


リーエとラプラスは、鍔迫り合いになり、衝撃波が生まれて、お互いの魔力剣から黒と白色の魔力が火花の様に飛び散る。


「ハァァ!」

「くっ」

両腕を負傷しているラプラスは、力負けをしてジリジリと押されていく。


「そこだ」

リーエは、闇の剣でラプラスの村雨を弾き、突きを放った。


「くっ」

ラプラスは、頭を傾けながら右足でリーエの頭を目掛け蹴りを放つ。


リーエの突きをギリギリで躱したラプラスだったが、ウサギの仮面に掠り切り傷が入り、その切り傷から頬が薄らと見えた。


それと同時に、ラプラスの右足がリーエの側頭を目掛けてきたが、リーエは左腕を挙げて受け止めた。


リーエとラプラスは、お互いに笑みを浮かべた。


「あの状態で避けるだけでなく、反撃までするとはな。ブラック・ジャック・ナイフ」

リーエは、左腕を力一杯外側に押してラプラスを跳ね退け、右手の剣を横に振ることで、召喚した真っ黒なナイフ5本を放った。


「こういう戦いがあるから、戦いは楽しいですね」

跳ね飛ばされたラプラスは、空中で身体を捻りながらナイフを避けて、フワッと音を立てずに着地した。


「幻歩」

ラプラスは、着地したと同時に30人に分身してリーエに接近する。


「面倒だな。シャドウ・ドール」

リーエは、シャドウ・ドールを唱えて、自身の影を実体化させ、影と一緒に何度も剣を振って魔力波を放ったり、剣で切り裂いたりしてラプラスの分身を次々に消していく。


しかし、途中でリーエの影が分身に紛れていたラプラス本体の村雨によって切り裂かれて消滅した。


「チッ」

自身の影を消されたリーエは、その代償として魔力を大きく消費し、舌打ちをしながら一旦バックステップをして距離をとる。


残り5人なったラプラスの分身は、リーエの周りを囲み、グルグルと時計回りに周囲を回る。


「ええい!鬱陶しい!」

リーエは、ラプラスに主導権を握らせないため、迷わずに自ら目の前のラプラスの分身に迫り剣で凪ぎ払った。



「チィ、これも空振りか」

剣で凪ぎ払ったリーエは、ラプラスに感触がなく舌打ちをし、回し蹴りをして背後から迫って来ていたラプラスの分身を消す。


「残りは3体」

リーエは、背後から飛び掛かってきた2体のラプラスに左手を向けて魔力波放った。


「2体」

1体は魔力波が直撃して消滅したが、もう1体は躱してリーエに迫る。


「シャドウ・ニードル」

リーエは、ラプラスが間近まで迫っていたが、落ち着いて闇魔法シャドウ・ニードルを唱えた。


ラプラスの真横にあるリーエの影が、突如、針の様に突き出てラプラスの横鳩尾につき刺さり消滅した。


「残り1体。最後まで本体を見つけれなかったが、これで終わりだ!」

ラプラスの眉間に鋭い突きを放ったリーエだったが、最後のラプラスも本体ではなく分身で突き刺した感触はなく、突きが通り抜ける。


「なっ!?」

(これも、分身(ダミー)だと!?なら、坊やは一体何処だ?)

ラプラスは魔力も気配も消しており、感じとれないので、リーエは目で探すしかなった。


顔を左に向けた瞬間、正面の分身の背後にラプラス本体がいた。


「~っ!?」

ラプラスの出現に驚愕したリーエは、少し遅れて剣を横に振り、放った突きから凪ぎ払いに繋ぐ。


ラプラスの首元にリーエの剣が迫る。


「もらいました!」

ラプラスは、一歩前に出て身を屈めてリーエの剣を避けながら右手に村雨を発動し、リーエの右腕を斬り飛ばした。


そして、ラプラスは更に追い打ちを掛けようとする。


しかし…。


「なっ!?」

失った筈のリーエの右腕が一瞬で復活しており、ラプラスは驚愕した。


リーエは、笑みを浮かべながら右拳でラプラスの左頬を殴る。


「ぐぁ」

吹っ飛ばされたラプラスは、バウンドしながら地面を転がり、途中で左手を地面に付ながら両足で踏ん張り、勢いを弱まらさせて止まった。



「流石の坊やも驚いたら、体が硬直するだろう?」


「そうですね。それにしても、自己回復ではなく、自己再生とは本当に驚きました。そういえば、リーエ様は一般のヴァンパイアでなく、真祖でいらしゃっいましたね」

思い出したラプラスは、一息吐いた。


リーエは、絶滅まで追い込まれたヴァンパイアの生き残りで、その中でも弟・初代魔王とリーエは、唯一先祖帰りをして真祖となった最強のヴァンパイアだった。


先祖帰りした真祖のヴァンパイアは、一般のヴァンパイアと比べて魔力や回復力などは桁違いに強い。


一般のヴァンパイアは自己回復が高く、体の半身を失っても時間は掛かるが回復し復元ができる。

しかし、真祖のヴァンパイアは体の大半を失っても自己回復を超えた自己再生で一瞬で傷が癒え復元する。



「そうだとも」

会心の一撃を入れることに成功したリーエは、世間に知れ渡っているので、満足そうな笑みを浮かべて肯定した。


その時だった。

ラプラスのウサギの仮面の左頬からミシミシと割れる音が聞こえパラパラと砕け落ちた。


ラプラスは、恐る恐る左手で自身のウサギの仮面の左頬部分を触って確認する。


触れた瞬間、ウサギの仮面の左頬が砕けて割れていた。



「……。よ…も…」

ラプラスは、体を小さく震えながら呟く。


「どうした?」

ラプラスの声を聞き取れなかったリーエ。


「よくも…。よくも~!」

今まで、気配を完全に消し、魔力は最小限しか使用していなかったラプラスから、殺気と威圧感、魔力が一気に増大して混ざり合い、攻撃的な圧力(プレッシャー)となり衝撃波として放たれた。


「くっ」

腕を顔の部分まで上げて衝撃波に耐えるリーエだったが、体の芯から凍てつく様な悪寒が走り、一瞬でバックステップをしてラプラスから距離をとった。


(これは、予想外だ…)

リーエは冷や汗を掻き、大きく肩を上下させるほど呼吸が乱れていた。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


ラプラスから放たれた攻撃的な圧力(プレッシャー)が衝撃波と変化したのが、流星達も襲い掛かる。


「「ぐっ」」

流星の前にいたアエリカ達は、身を屈めて耐える。


強烈な攻撃的な圧力を受けたアエリカ達は、足掻くこともできずに殺される幻影を見えてしまい、血の気が引き顔が青ざめて体の芯から震え出す。


「な、何なんだい…。この殺気、いや、殺気という表現では鈍るいほど、死を実感させるこの圧力(プレッシャー)は…」

アエリカは恐る恐る呟く。



そんな中、アエリカ達の後方にいた流星は無言でメルサの前に立つ。


「フン!」

流星は、腰に掛けてある剣を抜刀して魔力波を放ち、迫ってくる衝撃波を相殺させた。


「ありがとう。流星」

メルサは、流星の腕にしがみつく。


「当然のことをしただけだ。それよりも、始まるぞ」


「何が始ま…。こ、この感じは、まさかオーバー・ロードなの?」

口元に手を当て驚くメルサ。


「ああ、そうだ。これからは、伝説の【漆黒の魔女】といえ、一方的な戦いになるだろう」


「えっ!?一方的になるの?」


「ああ、俺はそう思う。今までの戦いを観戦して、ラプラスと【漆黒の魔女】の魔力はほぼ互角。リーエは魔法の発動する時間が短く、使い方が上手い。だが、接近戦だとラプラスに分がある。そして、更にラプラスはオーバー・ロードを使う。そうなった時点で、戦いにならないだろう」

ラプラスの戦いに更に興味をもった流星は、笑みを浮かべた。




【パルシアの荒野・中央】


「何ていう殺気なの!?ここは、リーエ様を信じて、一先ず、私達はここから離れましょう」

ラプラスが放っている攻撃的な圧力(プレッシャー)を感じたミリーナは、命の危険を感じて指示を出し、皆は動き出す。


「姫様…」

不安そうな表情で声を掛けるウルミラ。


「ええ、この禍々しい感じは、あの時の大成が放っていたのと同じだわ」

同じく不安な表情を浮かべているジャンヌは、胸元に当てていた手を強く握り締める。


ボルダ国で開催された魔王決定戦を観戦していた者達は皆、緊張した面持ちで無言で頷きながらジャンヌの意見に肯定した。


(まさか、オーバー・ロードまで使えるなんて…。もしかして、ラプラスの正体は大成なの?いえ、そんな筈がないわ。だって、失った腕が治ることはないのだから)

一瞬、ラプラスは大成ではないかと思ったジャンヌだったが、すぐに否定して頭を左右に振った。


「ジャンヌ?」

「はい、お母様。すぐに行きます」

ジャンヌは、ミリーナに返事をして避難する。




【パルシアの荒野・中央】


ラプラスの間近にいるリーエは、目の前の光景が信じられずにいた。


「おいおい…。この禍々しい魔力は何なんだ?本当に、坊やは人間なのか?」

ラプラスが発している禍々しさに唖然とするリーエ。


だが、一瞬でラプラスから圧力(プレッシャー)が消えた瞬間、ラプラスはリーエの懐に潜り込んでいた。



周囲の者達はラプラスの姿が消えた様に見えたが、リーエはどうにか目で追えていた。


しかし、反応が遅れラプラスの右拳が、リーエの脇腹にめり込んだ。


「ぐっ」

くの字になり吐血したリーエは、咄嗟に右腕を振り反撃に転じながら、すぐに魔力を脇腹に集中させて自己再生を促す。


ラプラスは、上半身を反りリーエの攻撃を避けながら左足でリーエの頭を狙い蹴りを放った。


リーエは、右腕を挙げて防いだが、力負けをして後ろにズリ下がる。


「自己再生は強力ですが、それなりに魔力を消費するようですね」

ラプラスは、攻撃の手を緩めずにリーエを襲う。


「チィ、このスピードは厄介だ」

リーエは、舌打ちをしながらラプラスの猛攻を凌ぐ。


しかし、ラプラスのスピードとパワーは、どんどん増していく。


リーエは、ラプラスの攻撃を防ぐ度、ラプラスのパワーに押されて受ける度に、骨にヒビが入り弾き飛ばされるが、すぐに自己再生をして反応が遅くなるのを回避していた。


だが、リーエは弾き飛ばされているのに、常に間近にラプラスが張り付いており、防戦一方に追い詰められる。


「くっ、まだ上がるのか!?」

リーエは、ラプラスの姿をかろうじて目で追えていたが、怪我とは関係なしに体が反応しきれなくなっていき、とうと横腹にラプラスの拳がめり込み、骨が折れる音と共に吐血し、息が詰まって体が硬直して無防備になった。


ラプラスは、更にスピードを上げて目に留まらないほどの俊足で、前後、左右から次々に攻撃する。


「うぐぁ」

リーエは無抵抗のまま、まるでピンポンボールの様に前後、左右に地面に対して平行に吹っ飛ばされた。


ラプラスは地面すれすれに跳んで、吹っ飛ばしているリーエの背中の下に潜り込み、地面に両手をつきながらリーエの背中を両足で蹴り上げた。


「ぐっ」

為す術もなく蹴り上げられたリーエは、空中で必死に身体を翻して、追い打ちをしにくるラプラスを迎え撃とうとする。


だが…。


「何処を見ているのですか?」

「~っ!」

上空からラプラスの声が聞こえ、リーエは驚愕しながら頭だけ動かして声がした方向を見た。


「こっちですよ」

ラプラスは、リーエが振り向いた瞬間、右足でリーエの背中に踵落としを入れた。


「がはっ」

リーエは、真っ逆さまに落下して地面に叩きつけられた。


リーエが落下したことにより、地面にクレーターができ砂埃が舞う。


踵落としをしたラプラスは、そのままリーエが落下した場所に目掛けて急降下する。


「くっ」

地面に叩きつけられたリーエは、意識が朦朧とする中、目の前にはラプラスが右拳を握って間近まで迫っていた。


リーエは唇を強く噛み、痛みで意識を取り戻して全力で左側にジャンプした。


ジャンプしたリーエは、砂埃を突き抜けながらクレーターから脱出に成功したが、上手く着地ができず倒れ込んだ。


その直後、ラプラスの右拳が地面を殴りつけたことにより爆音が鳴り響く。


「うっ」

起き上がろうとするリーエだったが、自己再生を使いすぎて魔力が殆ど残っておらず、身体に上手く力が入らず、すぐには立ち上がれないでいた。


そして、今までは怪我は一瞬で癒えていたリーエだったが、今は傷の癒えが遅くなっていた。



傷も完全に癒えて立ち上がったリーエは、砂埃が舞っている場所を睨み付けた。


砂埃の中から人影が現れ、徐々に人影が大きくなる。


そして、砂埃の中からラプラスが現れた。


「おや?あれだけ自己再生をしたはずなのに、まだ動けるのですね。流石、【漆黒の魔女】と言われた御方です。できれば、大人しく投降して頂けませんか?」


「誰に向かってものを言っている。うっ…」

軽い魔力枯渇に陥っているリーエは、目眩がしてフラつき、片手と片膝を地面についた。


「そうですか、とても残念です」

ラプラスは、右手を挙げて村雨を発動した。


「では、さようならです」

ラプラスは、振り上げていた右手を振り下ろそうとした。


その時だった。


ラプラスの背後から、ジャンヌとウルミラが武器を握り締めて接近していた。


ジャンヌとウルミラは、ラプラスのオーバー・ロードを見た瞬間、こうなることを予期していた。


なぜなら、大成は誰が相手でも負けないと2人は信じている。


もし仮に、ラプラスが大成と同等ぐらいの実力があるならば、如何に【漆黒の魔女】と呼ばれ伝説となっているリーエでも苦戦は免れないと判断していた。


ラプラスのオーバー・ロードに皆が唖然としている最中、気配を消してタイミング見計らっていたのだ。



だが、ラプラスはジャンヌとウルミラに気付いていた。


ラプラスは、標的をリーエからジャンヌとウルミラに変更し、後ろに振り返ろうとする。


「馬鹿っ!お前達、来るな!」

リーエも少し遅れて、ジャンヌとウルミラに気付いて叫んだ。


しかし、ジャンヌとウルミラは、リーエの停止の声を振り切り止まらなかった。


「チィ、ブラック・ジャック・ナイフ」

リーエは、残りの最後の魔力を振り絞り真っ黒なナイフを3本を召喚して投擲する。


ラプラスは、魔力感知を最大限まで高めていたので、リーエが唱えた魔法の種類、形状、本数、軌道など手に取るように把握できており、リーエの方を向いてなくても頭を傾けたり、身体を反らしながら鮮やかに避けた。


そして、ラプラスは、ジャンヌとウルミラ側に振り向きながら、ジャンヌとウルミラの攻撃範囲の外から攻撃するために、右手に魔力を高めて村雨を巨大化して凪ぎ払う。



「くっ」

一瞬で村雨がジャンヌの首筋に迫ったが、覚悟を決めていたジャンヌは怯まず、歯を食い縛りながら双剣の片方を両手で握り締めて臆せずに突進する。


ジャンヌとウルミラは、魔力が殆ど残っていなかったので、身体強化して己の武器で攻撃するしか手はなかった。



ジャンヌは、奇襲を仕掛ける前に、ウルミラに約束をしていた。


その約束とは、どちらか片方が殺されそうになっても助太刀せず、攻撃をすることに集中するという約束を強引にしたのだ。


その約束を果たすために、ウルミラはジャンヌに1度も視線を向けずラプラスの急所である心臓部の一点を凝視していた。


しかし、ウルミラの瞳には、涙が溢れていた。




【パルシアの荒野・中央】


「ジャンヌ!ウルミラ!」

「「ジャンヌ様!ウルミラ!」」

リーエとラプラスの戦いに釘付けだったミリーナ達は、ただ叫ぶしかできなかった。




【パルシアの荒野・東側・人間側】


誰もが、静まり返り静寂が訪れた。


ラプラスの心臓部にジャンヌの剣とウルミラの矛が突き刺さっていた。


「はぁはぁ…」

ジャンヌは、覚悟を決めていたとは言え、恐怖で冷や汗を掻き、肩を大きく上下させながら呼吸をしていた。


そして、遅れて自分が死んでいないことに疑問が浮かび、チラッと自分の首筋を見た。

ラプラスの村雨は、首筋のギリギリのところで止まっていた。

なぜ、止まったのかを確かめるため、ジャンヌは頭を上げてラプラスを見て驚いた。


「えっ!?」

ラプラスは、凪ぎ払おうとしていた右手首を自身の左手で掴んで止めていたのだ。


「ど…してなの…?」

嫌な予感が頭に過ったジャンヌは、心臓の鼓動が速くなり声が上手く出なかった。


そして、ボロボロになったラプラスのウサギの仮面が地面に落ちて砕け、ラプラスの素顔が公になった。


ラプラスの正体を予め知っていた流星とメルサ以外は、敵味方関係なしに驚愕した。


特に間近にいるジャンヌとウルミラは、信じられない現実を目の当たりにして自失していた。


「う、嘘…です。そんな…だって…」

ウルミラは、信じたくない現実を否定しようとしたが言葉が見つからなかった。


なぜなら、ラプラスの正体は大成だったからだ。


「た、た…い…せい…」

ジャンヌは、訳がわからずに震える声で大成の名前を呟いた。


大成の生暖かい血は、心臓部に突き刺さっている剣と矛を伝わり、ジャンヌとウルミラの両手に滴れた。


ジャンヌとウルミラは、震えている手を武器からゆっくりと離した時、大成が発動していた村雨は音を立てながら無数のヒビが入り粉々に砕けた。


「無事…で…よ…かっ…た…」

大成は吐血し、笑顔を浮かべながらジャンヌとウルミラに凭れ込む様に倒れた。


「「い、いや~っ!」」

2人は、血塗れになった両手を両頬に当てて叫んだ。


2人の叫びは、パルシアの荒野全土に響き渡った。

次回、禁忌と暴走です。


平成も今日が最後ですね。


色んなことがありましたが、良い時代でした。


明日からゴールデンウィークなので、短い期間で投稿したいと思っています。


もし、宜しければ次回作も、ご覧頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ