↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/131

増援と封印解除

裏切り者を退治し、マキネがヘルレウスに加わった。

【魔人の国・ラーバス国・屋敷・廊下】


集い間での作戦会議が終わり、ジャンヌ達と別れた大成はダビルド達【ノルダン】と作戦を綿密に打ち合うために1人で大広間に向かっていた。


その時、エターヌとユピアが息を切らせながら駆けつけてきた。


「あっ、お兄ちゃん、いたぁ…」

「良かったぁ…」

2人は、大成達が会議していた集いの間を訪れたが大成は居なかった。


しかも、大成はその頃ジャンヌとウルミラに追われていたので逃れるために気配と魔力を消しており、2人は大成が何処に居るのか補足できなかったためにレゾナンスの使用ができずに屋敷中を息を切らせながら走り回って大成を捜していたのだ。


「2人共、どうした?そんなに慌てて。少し落ち着いて」

「うん…」

「はい…」

2人は、1度、大きく深呼吸をした。


「レゾナンス使用すれば良かっ…。あ、そういえば、先まで僕は気配を消していたか。ごめん」

「お兄ちゃん、気にしないで」

「修羅様、気にしないで下さい。それより、大変なのです。今回の件を国中に発表したことで、一緒に戦わせてくれという人達が大勢集まってます」

「凄かったよね、ユピアちゃん」

「うん、エターヌちゃん」

「「ねぇ!」」

ユピアとエターヌは、お互いの顔を見合せて嬉しそうに笑顔で首を傾げた。


「それは、嬉しいことだな。それで、実力はどの程度だった?」

魔力感知した大成は集まった者達の大体の強さを把握していたが、わざとエターヌとユピアに尋ねたのは相手の力量を見極めさせるための特訓だった。


「う~ん、2人は強いけど。他の人達は、良くて学園の先生達ぐらいの強さかな?ねぇ、ユピアちゃん」

「うん、2人以外はユピア達より弱いよ。ねぇ、エターヌちゃん」

「「ねぇ」」

2人は、人差し指を口元に当てながら考えて意見をし合ってお互いの顔を見て首を傾げた。


「うん、正解だ。良くわかったね。2人共、偉いぞ」

大成は、笑みを浮かべて2人の頭を撫でた。


「「エヘヘ…」」

2人は、気持ち良さそうに目を瞑りながら笑みを浮かべた。




【大広間】


「……ということだ。だから、顔を出しに行こう」

「わかりました」

大成達は大広間に行き、ダビルドにこれからのことを話し合うために皆で屋敷の玄関へと向かった。




【屋敷の外】


屋敷の外では、300人を超えるほどの大勢が集まっていた。


「よう!お前も来ていたのか、ボルガ。一緒に魔人の国を死守しようじゃないか」

「久しぶりだな、カダル。それは、別に良いのだが。それよりも、噂では魔王修羅は人間の小僧だと聞いたのだが本当なのか?」

カダルとボルガは、お互いの拳を合わせて挨拶した。


ボルガは、男性で長身の長髪で左右の耳の上の辺りから角が生えている。

カダルは、背はそこまで高くなく坊主頭の中年太りした男性。


「ああ、そうだ合っているぞ。大会を観戦したが、見掛けは子供だが化け物染みた強さを持っている。それに、他国のことも真剣にお考え下さっている」

笑みを浮かべながら、カダルは満足そうに頷いた。


「強さは知らないが、俺の国も景気が良くなったのは確かだな。しかし、魔王の座に就く者は、やはり強さも必要だ。第一、人間の子供は魔力値1か2で良くて3程度だぞ。天才と言われている俺やお前、神童と言われているジャンヌ様とウルミラ様でも8だ。先代の魔王様と互角の戦いを繰り広げたエヴィンですら魔力値9だ。そのエヴィンが、人間の小僧を相手に負けるわけながない。考えられるのは、優勝候補のエヴィンを皆で狙い。運良く、たまたま生き残ったとしか思えない。それなら、納得できる」

深刻な表情でボルガは、腕を組んで己の予想を話しながら頷いた。


「あぁ!!見てない奴が、あ~だこ~だ言うんじゃねぇよ」

ボルガの話が聞こえた隣にいた男は、怒鳴りながらボルガに突っ掛かった。


「まぁ、落ち着けよ2人共。今回は、国の一大事だ。お互い味方同士、争いはせずに協力し合って人間達の侵攻を止めるぞ」

呆れた表情のカダルは、2人の肩に手を置いて宥めようとした。


だが…。

「フン、それには賛同するが、俺とカダルがいればお前達みたいな雑魚の助力などいらん。俺達が、人間ごときが束になって来ても負けるはずがないからな。それに、お前達がいると逆に足手纏いになって邪魔になるかもしれん」

「何だと!!そういうお前こそ、足手まといになるなよ」

「あぁ!貴様!この俺、焔のボルガを知らないのか?!」

「知るかっ!雑魚の名前なんて、いちいち覚えてねぇよ」

「なんだと!殺るかぁ!?」

「上等だ!」

怒りで顔を真っ赤にしたボルガと男は、お互いの胸ぐらを掴み合った。


「いい加減にしろ!2人共、落ち着け!」

カダルは、2人の胸元を強引に押して距離を離した。


屋敷の外では、こんな感じで大会を観戦した者、しなかった者で大成の評価に大きな差が生まれており、あちらこちらで騒動が始まっていた。




【屋敷・玄関】


一方、屋敷内は玄関の扉は閉まっているのだが争っている声が聞こえてくる。


(嫌になるな。自分の力に自信がある奴は我が強いというか、自己中というか、自意識過剰の奴らが多い。それにしても、一対一のタイマンならいざ知らず戦は協力が大切なのに…本当に面倒な奴らが集まってしまったもんだな…。はぁ、仕方ない)

「はぁ…とりあえず、挨拶でもするか…」

溜め息をした大成は、魔力と威圧感を醸し出す。


場の空気が張りつめ、大成の近くにいたダビルド達は身体が重くなった感じがした。


「流石、修羅様だな」

満足そうにダビルドは頷く。


「そうですね、ダビルド様。敵対した時は絶望しかなかったけど。今は、こうして味方になれて本当に心から良かったと思いますわ」

「そうだな」

ダビルドに肯定したミシナは口元に手を当て笑い、ドトールはフッと口元を歪めた。


他の【ノルダン】のメンバー全員は、大成のプレッシャーを受けて気圧されており冷や汗を流していた。


エターヌとユピアも大成のプレッシャーを受けたが、ダビルド達と同じで特に気圧されておらず普段通りだった。


「わかったよ、お兄ちゃん」

「わかりました、修羅様」

2人は、駆け足で玄関へ向かって左右の扉を押した。

扉は、重量感ある音を立てながらゆっくりと開く。




【屋敷の外】


一方、外では屋敷の閉ざされている扉から大成のプレッシャーを感じたことで騒動が一瞬で収まった。

そして、すぐに扉が開く音が響き、皆は扉に注目した。


「「~っ!!」」

開かれた扉から、今まで感じたこともない膨大な魔力と圧倒的な威圧感を感じて皆は体が震えて腰が引き気味になり固唾を呑んだ。


最初に扉から現れたのは、魔王直属暗部組織【ノルダン】の当主ダビルドだった。

ダビルドは、堂々と歩を進める。


そのダビルドの後ろから左右に別れて副官のミシナとドトールが続き、更に、その後ろには【ノルダン】の幹部9名が出てきた。

ダビルド達は、扉の前を空けて左右に別れて横一列に並んだ。


そして、最後に、この圧倒的なプレッシャーを放っている人物である大成が堂々と魔王のローブを靡きかせながらゆっくりと姿を現した。



大成は横一列に並んでいる【ノルダン】の前へと進み、立ち止まり目を細めてジッと周りを見渡す。


「「うっ」」

「「くっ」」

見渡された誰もが、誰にも言われていないのに自然と片膝を地面について敬礼をして頭を垂れる。


全員は口の中は渇いて生唾を飲み込み、大成と目を合わせれないほど畏縮した。


(な、何だ!?この圧倒的な威圧感は!?)

(噂で聞いていたが、本当に子供なのか?いや…これは、もう子供の姿をした化け物だ。姿を見てみたいが、圧倒的な威圧感で目を合わせれない)

(やはり、この御方には敵わないな)

(間近でお会いできるとは、何という光栄なことだ)

魔王を決める大会を観戦していない者は驚愕し、観戦した者は歓喜に浸る。


ただ一人だけ、すぐに立ち上がった者がいた。


「俺の名はボルガ。周りからは、焔のボルガと呼ばれている。お前は俺が忠誠心を捧げられるほどの強さがあるのか知りたい。だから、俺と一戦交えてくれないか?」

立ち上がったボルガは、大成に向かって右手を前に出すと右手に炎が迸った。


「お、おい!止めろ、ボルガ…」

ボルガのすぐ隣にいたカダルは、小さい声で慌てて止める。


「なぁ、まさか魔王様という御方が逃げたりしないよな」

ボルガは、カダルの制止を振り切って笑みを浮かべながら挑発する。


周りは、興味津々になって場がざわつきだす。

ダビルド達【ノルダン】メンバーとエターヌ、ユピアは、大成に対してのボルガの態度と言葉使いに憤りを感じてキレそうになったが、大成の前だったので無言で殺気を込めてボルガを睨んだ。



「それも、そうだな。良い機会かもしれんな。集まってくれた者達にも理解して貰えるな。良いだろう。ついて来い」

苦笑いしながら大成は前へと進み、ボルガの横を通りすぎた。

大成は、庭にあるリングへと向かった。


「あ、ああ…」

ボルガと周りの皆は、大成の威圧感を受けたことで体が硬直して大成の後を追うのが遅れる。




【中庭・リング】


大成達は、リングに上がって勝敗を考えていた。

「そうだな…勝敗は敗けを認めさせるか、気絶または死んだら敗けで良いか?」

「ああ、それで構わない」

「開始の合図はダビルドに任せて良いか?」

「ああ、問題ない」

ボルガは、了承して頷いた。


「では、このコインが地面に落ちたら開始ということで」

ポケットからコインを1枚取り出したダビルドは、人差し指と親指でコインを挟んで大成とボルガが見えるように左右に動かして説明した。


「「わかった」」

大成とボルガは、お互い15mぐらい離れる。


「それでは、コイントスします」

2人が無言で頷いたのを確認したダビルドは、コイントスした。


周りが息を飲む中、ゆっくりとコインが落下していく。


そして、コインがリングに落ちた瞬間、大成とボルガは身体強化をした。


大成はその場から動かず、一方、ボルガはバックステップして大きく後退した。


ボルガは、魔力を一気に高めて両手を空に向けて挙げた。

そして、腰を落として両手をリングについた。


「くらえ!インフェルノ」

ボルガは、炎大魔法インフェルノを唱える。

ボルガの手元のリングの下から高さ5mぐらいの炎が吹き荒れ、まるで炎の壁が大成に迫るように見えるほどに横にも広かった。


「なるほど、自惚れるだけの力はあるな。グリモア・ブック、フリーズ」

大成は、一冊の本グリモアを召喚して左手で持ったまま右手を地面につけて氷魔法フリーズを唱えると大成を中心にリングが凍っていく。


「ふざけているのか!?俺の大魔法インフェルノを初級魔法のフリーズで防げると思っているのか!馬鹿は焼け死ね!オォォ…」

馬鹿にされたと思ったボルガは激怒し、魔力を全力で放出して炎の勢いが上がる。


そして、大成のフリーズとボルガのインフェルノが衝突した。


水蒸爆発が起きて大爆発し、轟音と共に高熱の水蒸気が発生する。



「うぉぉ…な、なぜだ!?」

水蒸気の湯気で真っ白に染まったリングから驚愕したボルガの声と何かが落下する音が聞こえた。


「ウィンド」

大成は、左手を前に出して風魔法ウィンドを唱えて湯気を吹き飛ばした。


リングには、無傷の大成と足から膝にかけて凍りつき水蒸気で火傷を負ったボルガの姿が現れた。


先程の落下音は、ボルガが放ったインフェルノで舞い上がったリングの破片が落ちた音だった。



「これで、満足したか?ボルガ」

大成は、興味無さげな表情でボルガを見ながら指を鳴らし氷を解除した。


「く、糞!これしきのことで認めるかぁ!ファイア・アロー!」

ボルガは、怒りを込めて叫びながら腰にかけていた剣を抜いて炎魔法ファイア・アローを唱える。


しかし…。

「う、嘘だろ…」

ボルガの周りに炎の矢25本召喚した瞬間に首筋に大成の冷たい指先が当てられて血が少し流れた。


「どうする?」

大成は一瞬でボルガの後ろに回わり、ボルガの首元に村雨を発動した右手を当てて左手は剣を握っているボルガの手首を掴んで顔を覗き込んで尋ねた。


「い、いつの間に…」

(それに、何だ…。その瞳は…まるで…)

大成を目を離さず見ていたボルガだったが、一瞬で見失ってしまった。


そして、覗き込んでいる大成の瞳を見た瞬間に怒りが一瞬で消えるほどの恐怖が襲った。


まだ、姿は子供だが、その瞳はまるでベテランの騎士。

いや、どちらかというと暗殺者のように殺すことを躊躇しないとわかるほど冷たく冷酷で人を殺すことに慣れていると伝わるほどだった。


「で、どうする?ボルガ」

「ま、参りました、降参です。今までの御無礼、御許し下さい」

ボルガは周囲に展開していた炎の矢を消して、その場ですぐに片膝をリングについて頭を下げて敬礼した。


「わかった。だが、これからは場の空気を乱さないように。そして、全力で助力を頼む。勿論、俺の指示が間違っていたり、もっと良い案があれば話を聞く」

「ハッ!」

「ボルガ、そこから動くなよ。ヒール」

大成は、ボルガに手を向けて光魔法ヒールを唱えると白色の優しい光がボルガを包んで傷を癒していった。


「あ、ありがとうごさいます」

ボルガは大成に感謝し、リングの端で観戦していたカダルはボルガが無事だったのでホッと胸を下ろした。



こうして、大成を認めていた者、認めていなかった者で別れていた皆の思いが1つになり、全員が敬意を込めてその場で片膝をついて敬礼をする。


((この御方と共に…))

大成とボルガの戦いを観戦したことで、誰もが大成を魔王と認めて共に戦いたい、この命を懸けても大成と一緒に魔人の国を守りたいと心から思った。


そして、皆は期待をしながら大成の言葉を黙って静観していた。



「他に、意見がある者は居るか?」

大成は見渡したが、誰も無言で敬礼したまま静寂が訪れる。


「居ないようだな。では…自らの意思で集まってくれた勇気のある諸君、心から感謝し、歓迎する。諸君らの役割は、先陣を切るの役割と民の防衛の役割がある。おそらく、諸君らは防衛は地味で嫌っているだろうと思う。だが、実際は防衛も十分に有名になれる。いや、有名になった場合は、防衛の方が名声が凄いことになるだろう。何故ならば、大勢の民が目撃者となるからだ。情報だけの目に見えない実績よりも、目の前で活躍をした者の方が称えられるのは常識だろう。どちらを選択するかは、諸君らに任せる。先陣を選ぶも良し、防衛を選ぶも良し。どちらにせよ、【ヘル・レウス】のリーダーであるローケンスに指示を仰ぎ。終わり次第、パルシアの森へ行って貰いたい。今、森に罠を設置している最中だ。ぜひ、手伝って欲しい」

静寂の中、ローブを靡きかせながら大成は右手を前に出して横に大きく振って大声で話す。


「た、確かに…」

「言われてみたら、そうだよな…」

「ああ」

徐々に納得する者が増えていく。


「最後に諸君らの活躍、そして、健闘を祈る」

「「ウォォ」」

皆は、一斉に立ち上がって武器を空に掲げながら雄叫びをあげる。



「フ〜、どうにかなりそうだな…」

集まった同胞達に気付かれないように、大成は溜め息をして呟いた。

「見事です。流石、修羅様」

笑顔を浮かべたダビルドは、小さく拍手した。


「それより、俺達はこれから作戦会議をするぞ」

大成は、ローブを大きく靡きかせながら後ろに振り返り屋敷へと戻った。


「「ハッ!」」

【ノルダン】メンバー全員は、右手を胸に当てて頭を下げた後に大成の後を追った。



エターヌとユピアが前に出たことで、皆は静まり返り注目した。


「ローケンス様は、間もなく此方に参りますので」

「「屋敷の前で、お待ち下さい」」

最後にユピアとエターヌは、ニッコリ笑顔を見せながら説明をしてお辞儀をして大成達を追う。




【屋敷の外・玄関前】


屋敷の玄関の前に大成達は着いて扉を開けようとした時、先に扉が開いた。


扉から出てきたのは、大成の魔力を感じたジャンヌ達だった。

ジャンヌ達は、慌てて大成の傍へと駆けつけた。


「いったい、どうなされましたか?修羅様」

先頭を走って来たローケンスが尋ねる。


「あとは、任せた。ローケンス」

大成は、笑顔でローケンスの肩を軽く叩き屋敷に入った。


「畏まりました!って、な、何をですか?」

つい、流れで返事をしてしまったローケンスは、大成の笑顔を見て嫌な予感がしてこの場にいる誰もが同じだった。


「あれを見たらわかる」

「ちょっ、お待ち下さい。修羅様」

ローケンスは大成に説明を求めようとしたが、大成は手を振りながらそのまま歩を進めて立ち去った。


「はぁ、いったい何だ?」

仕方なく、ローケンスは振り返った。


「あっ、ローケンス様!俺、先陣を切りたいです」

「私は、護衛に回りたいです」

雪崩のように押し寄せてくる人込みに、ローケンスは飲まれた。


ジャンヌ達は、慌てて扉を閉めた。

「なっ!?と、扉が!?うぉ、とりあえず、お、落ち着け、お前達!」

人込みに飲まれたローケンスは揉みくちゃにされ、その後、忙しくなった。




【隠し部屋】


ミリーナとウルシアの封印を解除する日が訪れた。


大成、ジャンヌ、イシリア、マーケンス、マミューラ、それに【ヘル・レウス】メンバーは、ミリーナとウルシアの2人が封印されている隠し部屋に集まっていた。


大成以外の皆はテンション上がっていて興奮気味になっており、特にジャンヌとウルミラは自分の母親を救い出せるが皆の前なので落ち着こうと頭では考えているが体はソワソワしていた。


「ローケンス様」

「何だ?ニール」

ニールは、ローケンスに近付いて耳打ちをした。


「そうか、わかった。修羅様、部隊の配置、罠の設置が完了致しました」

「わかった。よし、では封印の解除に移る。周りの者は、2人から少し離れろ。……良し、グリモア・ブック、聖なる光よ呪を浄化せよ!サンライズ」

皆がミリーナとウルシアから離れたのを確認した大成は、グリモアを召喚して膨大な魔力を込めて光魔法サンライズを唱えるとグリモアから眩しい光が解き放たれる。


光りは次々に色が七色に変わり、その光はミリーナとウルシアを優しく包み込んでいき部屋全体を包み込んだ。


「「うっ」」

「「くっ」」

光に飲まれたジャンヌ達は、手を目元の前に出し光を遮った。


「何だか、この光を浴びていると疲れがとれていって気持ちいいわ…」

「はい。それに、とても暖かくて…幼い頃、お母様から抱かれている様な…いえ、包まれているような居心地でホッとします…」

ジャンヌ達は、初めは手を目元の前に出して光を遮っていたが光を浴びると心地よくなり自然と手を下げて全身の力を抜いて身を委ねた。


サンライズの効果は、傷を治すことが出来ないが状態異常(魔法で掛けられた)を治すことできる。

更に、魔力を多目に消費することで疲労回復が可能という魔法なのだ。


そして、光は次第に弱まっていった。



「ここは…?」

「確か…私達、勇者の攻撃を受けたはず…」

「それに、何故か戦ってた時よりも身体が軽いわ…」

「そうね…」

光の中、ジャンヌとウルミラは懐かしく、ずっと前から聞きたかった母親の声が聞こえて声がする方へと一歩ずつゆっくりと歩を進めた。


光が収まり、ジャンヌ達の目の前にはミリーナとウルシアの姿が見えた。

2人は、自身の体を見ながら首を傾げていた。



「「お母様…」」

ジャンヌとウルミラは呟きながら、ゆっくりと歩いていた足が次第に速くなり駆け足で母親の元へと近づく。


「「お母様っ!!」」

2人は大きな声を出して、母親に飛び付き抱きしめた。


「ジャンヌ!?」

「ウルミラ!?」

封印されていたミリーナとウルシアの2人は、急成長した我が娘達の姿を見て驚いた。


「ゴホン、驚くのも無理はない。だが、今は時間の猶予がない。大雑把だが俺が説明しよう」

わざとらしく咳をしたローケンスは、ジャンヌ達の前に出た。


そして、今までの出来事を大雑把だが説明をした。



説明を聞いた2人はそれぞれ表情が変わり、その表情は違った。


「あの時の男の子がねぇ…」

「そんなことがあったの。ううん…今は、落ち込んでいる場合ではないわね。まず、お礼を言わせて貰うわ。皆と国を守ってくれてありがとう。大変だったでしょう?」

ウルシアは興味深げな表情になり、一方、ミリーナは暗い表情だったが頭を左右に振って笑顔で頭を下げお礼を言った。


「無事で何よりです」

「頭を上げて下さい、ミリーナ様」

「そうです、お礼を言われることはしてませんわ。だって、国を守るのは当たり前ですから」

ローケンスは笑顔を見せ、ニールとシリーダは慌てた。


「フフフ…ところで、ジャンヌ。あなた達の王子さまは何処なの?お礼を言いたいのだけど」

「「お、王子さま!?」」

ミリーナの言葉で、ジャンヌとウルミラは顔を真っ赤にして声が裏返った。


「そういえば、ダーリンは?」

「あれ?居ないわね」

マキネとイシリアは周りを見渡して首を傾げ、他の皆も周りを見渡したが大成の姿は見当たらなかった。




【隠し部屋前付近・廊下】


その頃、大成は部屋の外に移動してマジックポーションを飲んで魔力の回復に専念しながら壁に寄りかかっていた。


皆がサンライズの光に身を委ねている間に、大成は気配を消して退出したのだ。


今回は、3年間も封印されていたミリーナとウルシアの2人に後遺症が残らないように必要以上の魔力を消費したので目眩がしていた。


(皆、心配しているな。でも、今の姿を見せたら戦に参戦できなくなりそうだ。申し訳ないけど、少し休んでから…。しかし、思った以上にしんどいな…)

大成は、衰弱しきった姿を皆に見せないためだった。


「フフフ、流石の修羅様もお疲れのようですね。大丈夫ですか?」

口元に手を当てながらミシナは、笑顔を浮かべて尋ねる。


「ふ〜、大丈夫だ」

大成は、一度、息を吐いて壁から離れた。


「修羅様、言われていた物を持って参りました」

ミシナとドトールは、大成から持ってきてくれと頼まれた品物を複数持っていた。

品物は黒い布で覆われおり、いろんな形状をしている。


「すまない。2人共、ありがとう。良し、行こうか」

「「ハッ!」」

ドトールとミシナに感謝した大成は、後ろに振り返ってジャンヌ達のいる部屋の扉の前まで移動した。

2人は、大成についていった。




【隠し部屋】


部屋の中では、大成の姿がないことで混乱が巻き起こっていた。


「もう、戦場に行かれたのでは?」

顎に手を当てながらニールは、訝しげな表情をした。


「フン、ニール。流石に、それはないぞ」

「そうね、流石の修羅様でもそれはないと思うわ」

ローケンスは鼻で笑い、シリーダも首を傾げながら肯定した。


「でも、ダーリンならあり得るかも…」

マキネは、手を口元に当てて深刻な表情で呟く。


「「そうね…」」

「ありそうですね…」

ジャンヌ、イシリア、ウルミラの3人もマキネと同じ深刻な表情で肯定した。


皆はざわめき出したが、その時、手を叩く音が部屋中に響いた。


ざわめきが一瞬で静まり、音を立てたミリーナに視線が集まる。


「落ち着きなさい。第一、悩むより先にレゾナンスで連絡をとればすぐにわかるわよ」

1度手を叩いたミリーナは、提案した。


「あと、今すぐに戦闘準備の支度をしなさい。もしもの場合に備えなさい」

ウルシアは、左手を前に出して指示をした。



「フッ、流石ミリーナとウルシアだ。的確な判断と指示だな。そう思わないか?マリーナ」

学生だった頃を思い出していたマミューラは、懐かしい雰囲気に口元が弛んだ。


「ウフフ…そうね、ミューちゃん。あの頃を思い出すわね」

「そのミューちゃんと呼ぶのは、昔から止めろと言っているだろ。マリーナ」

不機嫌な表情でマミューラはマリーナに注意したが、マリーナはニコニコ笑顔のままだったので溜め息をした。


「では、私が連絡をとりますね。レゾナ…」

ウルミラが精神干渉魔法レゾナンスで大成に連絡をとろうとした時、部屋の扉が開いたので皆は注目した。


開いた扉から大成が現れた。

「皆、心配をかけてすまない。武器を取りに行っていた」

「武器ですか?」

首を傾げながら、ウルミラは尋ねた。


「ああ、ジャンヌ、ウルミラ、イシリア、マーケンスにだ。預かっていた武器だ。やはり、修復は無理だった。すまない」

大成は謝り、後ろに居たドトールとミシナが大成の左右に移動して片膝を床につけて持っている黒色の布に包まれている武器を掲げた。



「き、気にしないで下さい、大成さん。もともと、この国で有名な鍛冶屋さんから修復は不可能って言われていたのですから」

「「そ、そうよ」」

「そ、そうだぜ」

慌ててウルミラが慰め、ジャンヌ達も慰めた。


「そう、言って貰えると助かる。一応、見掛けと重量は同じにして強化を施した」

大成は、各武器を順番にジャンヌ達に手渡していく。


「「ありがとう」」

「「ありがとうございます」」

ジャンヌ達は、笑顔でお礼を言いながら武器を受け取った。


「それぞれの武器の説明をするから覚えてくれ」

大成は、武器の説明を始めた。


武器の刀身には魔鉱石を混ぜており、魔力を込めるとその属性が発生する。

武器屋で販売している武器との違いは、強度の他に持ち主の属性の強化。


わかりやすく説明をすると、武器屋が販売しているのは持ち主が炎属性の人の場合は剣が炎を纏い対象に火傷を負わすだけだが、大成が作製した剣は対象を火傷を負わすだけではなく、燃やしたり溶かすのだ。


大成が作製した武器の属性効果は以下の通りになる。


炎属性→対象を燃やしたり溶かす。

氷属性→対象を凍らす。

風属性→武器の重さを軽減、切れ味強化。

土属性→武器の強度アップ、もしくは重量を加重する。両立可能。

雷属性→神速の速さで武器を振れたり、武器に触れなくても他の属性よりも攻撃範囲が広く当たると感電する。

光属性→光の速さで武器を振れたり、当てた対象を回復する。

闇属性→相手の魔法攻撃を闇で飲み込み無力化したり、当てた箇所の感覚を鈍くする。


あと、各武器に魔法陣が刻んでいるので魔力を込めて魔法陣の魔法も発動もできる。


武器とは刀身が代われば、切れ味や重さ、重心などの感覚などが変わり、切れ味や重さ、見た目は同じでも感覚がやはり変わるので鍛冶屋や大成は別の武器と思っている。



「はぁ、相変わらず本当に凄いわね、大成。あなたが造った武器は…」

説明を聞いたジャンヌは呆れた表情で溜め息したが、前から欲しいと思っていた大成が造った手作りの武器を初めて貰って口元がにやけており大切そうに両手でギュッと武器を抱きしめていた。


近くにいるウルミラ、イシリア、マーケンス達も自分の武器を嬉しそうに抱きしめたり、見たり、触ったり、振るったり感覚を試している。


「「ありがとう」」

「ありがとうごさいます」

「気に入ったみたいで良かった」

ジャンヌ達に感謝された大成は、表情には出さなかったが嬉しかった。


お礼を言った後、ウルミラは自分の武器の布を外した。

「あの…これは?」

自分の矛を見たウルミラは、困惑した。

なぜなら、ウルミラの矛には工夫が施されていた。


「何なの?これは?」

ジャンヌはウルミラの武器を見て訝しげな表情になり、皆もウルミラの武器に注目した。


「フッ、説明をしよう」

大成は、不敵な笑みを浮かべた。




【人間の国・バルビスタ国・バルビスタ城・大広間】


その頃、人間の国バルビスタでは大広間に国王、妃、流星、カナリーダ、鷹虎兄弟が集まっており、流星は自分が施した封印が解けたことを国王達に報告した。


「ゆ、勇者よ。その話しは誠か?」

「はい、誠です。今、先ほど2人の封印が解除されました」

「うむ…そうか…。ついに、この日が来たか。これで、魔人の国は我の物になるか。待ち遠しかったぞ…」

流星の報告を聞いた国王は、目を瞑り感情に浸った。


「そうですね。あと、なぜ此処に鷹虎兄弟が?」

話を知らないはずの鷹虎兄弟が居たので、流星は気になった。


「あの後、鷹虎兄弟が訪れて…いや、あれは、もう問い詰めに来たという方が正しいな。兄弟の威圧感が強くってな。とりあえず、カナリーダに聞いてくれと伝えたのだ。その結果、今回の件に参戦することになったみたいだな」

鷹虎兄弟の威圧感を思い出した国王は、身を震わした。


あの後、鷹虎兄弟が訪れた。

しかし、鷹虎兄弟は興奮しており魔力と威圧感を抑えておらず猛獣の様に迫ってきたのだ。


「……なるほど」

想像できた流星は、溜め息をして視線だけカナリーダに向けた。


「し、仕方ないだろ!彼氏の頼みを断る女が何処に居る?居るわけないだろが!」

頬赤く染めたカナリーダは立ち上がり、人差し指で流星を指差して大声をあげる。


「いや、どうでもいいが。それより、国王様の御前だということを忘れてないか?」

「あっ、も、申し訳ありません」

呆れた表情で流星が冷静に突っ込みを入れるとカナリーダは、慌てて片膝を床について敬礼して頭を下げて謝罪をした。


「良い。それより、カナリーダが此処まで取り乱すとはな」

「~っ!」

国王の言葉で、カナリーダの顔が一気に赤く染まっていった。


「流星、俺達鷹虎兄弟も出陣するからお前が出ることはない」

「だな、兄貴」

「「ワハハハ」」

鷹虎兄弟は盛大に笑い、カナリーダは笑い声は出さなかったが口元に笑みを浮かべた。


「では、カナリーダ、勇者、鷹虎兄弟よ。あとは頼んだぞ」

「「ハッ!」」

こうして、流星達は部屋から退出した。




【王宮の門・前】


流星、メルサ、ツカサの3人は戦の準備をし、カナリーダ達と出陣するために王宮の門の前に集まった。


「これで、揃ったな。では、行くぞ!出陣だ!」

「「ウォォ!!」」

カナリーダが号令を掛けると皆は気合いを入れて出陣した。

あけまして、おめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。


次回は、戦争が始まります。


投稿遅れ、ご迷惑をお掛けして、大変申し訳ありません。

31日まで仕事で、どうにか無事に間に合いました。


忘年会が終わりましたので、帰宅して少し睡眠とってから、次回作を書きますので、今日中に投稿できたら良いなと思ってます。

もし、宜しければ御覧ください。


では、失礼します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。