表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/130

祝いの会と女の子~っ!

激闘の末、盗賊の頭領シュゲールを倒した大成。

【魔人の国・サンガ山】


「「……。」」

倒れているシュゲールを、盗賊達は未だに呆然と見ていた。


「「あっ!」」

一方、ジャンヌとウルミラは、大成に抱きついていることに気付いて顔を真っ赤にして慌てて離れる。


「ごめんなさい」

「すみません」

「ん?別に気にしてないから」

((少しは意識しなさいよ(して下さい)))

謝罪したジャンヌとウルミラだったが、大成が笑顔を浮かべて答えたことにジャンヌは少しムッとし、逆にウルミラはしょんぼりと落ち込んだ。


「どうかした?2人とも」

「何でもないわ」

「はい、何でもありません」

「…そうか。あのさ、これから先のこと僕が決めて良いかな?」

「ええ、今回はあなたが私達のリーダーだしシュゲールを倒したのもあなただから当然の権利よ。良いわよね?ウルミラ」

「はい、姫様」

「ありがとう。じゃあ、君達に選択権を与えようと思う。これから君達には2つの道のどちらかを選んで貰う。1つは、大人しく殺されるか?2つ目は、それとも…まだ、俺達と戦うか?」

大成は盗賊達に歩み寄り、笑みを浮かべて尋ねる。


それを聞いたジャンヌとウルミラは同時に選択肢に投降は?と思ったが、先程に任せると言ったばかりなので大成に尋ねるべきか悩んだ。


「「ひっ、う、嘘だろ!お、お頭~!」」

「で、どうする?」

「ま、ま、待ってくれ!と、投降する。だ、だから、命だけは助けてくれ」

盗賊達は、不機嫌になりつつあった大成に気付いて慌ててどうにか助かろうと思い武器を捨て両手を挙げ戦闘の意思は全くないことを示した。


「あのさ、君達は無抵抗の村の人達を襲い、命乞いをする村の人達を容赦なく殺したよね?自分が殺される側になると、命乞いするのは可笑しいと思わないかな?」

盗賊達の自分勝手な物言いに、大成は不機嫌になり威圧感を醸し出す。


「お、お頭の命令は絶対で、し、仕方なく殺…」

1人の盗賊が言いかけたが、大成の顔を見て震え出す。


「ひっ、た、た、助けてくれ頼む。お姫様、ウルミラ様、お願いだ。何でもする協力する。だから、助けてくれ。こ、このままだとコイツに殺される。まだ、俺は死にたくないんだ!だから、助けてくれ…」

腰が抜けて尻餅ついた盗賊達は、震えながら四つん這いになってジャンヌとウルミラに手を伸ばした。



「おい!そんな言い訳で、俺が許すとでも思うか?」

大成は、口調が変わり威圧感が増して一歩前に踏み出す。


「「ひっ、ひぃ~」」

盗賊達は脅える。


「ま、待って!大成、お願い。わ、私に良い提案があるわ。だから…」

「大成さん。お願いですから、少し落ち着いて下さい」

ジャンヌとウルミラが慌てて止めに入り、大成は止まった。

盗賊達はホッとしている者、中には失神している者もいた。


「で、ジャンヌ。提案ってのは?」

「拘束して、村の皆に判断を仰ぐというのは、ど、どうかしら?」

「それは、良い提案だと思います。流石です、姫様」

ジャンヌの提案にウルミラは賛同した。



顎に手を当てたまま大成は、暫く考え込んだ。


「わかった。それで、いこう」

大成は深呼吸をして威圧感が消えていき、ジャンヌとウルミラ、そして、盗賊達はホッと胸を撫で下ろした。


そのあと、ジャンヌとウルミラは盗賊達の両手に魔法で作った(かせ)をつけていった。




盗賊達、全員に枷をつけ終わり一段落した。

「大成さん、これを飲んで下さい」

「何これ?」

「ポーションよ。傷の治りが早くなるわ。その怪我を早く治しなさい。かすり傷でも早く治さないと傷跡が残るわよ」

ジャンヌとウルミラは、掠り傷とはいえ大成の心配をしていた。


「なるほど、ありがとう」

大成は、感謝しながらポーションを受けとり飲んだ。



ポーションと言っても、ジャンヌが言った通りで、傷がすぐに治るという品物ではなかった。


治りを早める代物で、種族や個人によって効果の度合いが違う。

ハイポーションなら掠り傷程度なら、すぐに完治するが今回は普通のポーションしか持ってきていなかった。



「うん。私達、魔人と違い治りが悪いわね。やはり、大成は人間なのね」

ジャンヌは、大成の傷の治りを見て頷いて納得する。


「え!?それは、どういう意味?ジャンヌ」


「そのままの意味よ、大成。だって、あなたの強さが非常識だから、普通、魔力が使えない人が正面から魔力を使える人に挑んだら絶対に勝てないもの。正直、本当は人間ではないのかと思ったわ」


「その言い方は酷くない?ねぇ、ウルミラもそう思うだろ?」


「ふぇ、す、すみません。そ、その…正直に言いますと、私も姫様と同じことを思っていました…」

ウルミラは、大成から視線を外しながら申し訳なさそうな面持ちで答える。


「〜っ!」

ジャンヌとウルミラが、自分を化け物みたいに思われていたことに大成は心が傷ついた。



「とりあえず、傷が完全に治っていないから包帯を巻いてあげるわ」

頬を赤く染めながら、ジャンヌはポシェットから包帯を取り出した。


「姫様、私がします」

ウルミラは慌てて主張する。


「いいえ、今回は私がするわ」

「でも、姫様にさせる訳には…」

「それなら、2人でして欲しいな。その方が早いし」

「そうね」

「そ、そうですね…」

そういうことで、大成は包帯を巻いて貰うことになったのだがら、最後のウルミラの不安な声に大成は気付かなかった。


大成がソファーの真ん中に座り、ジャンヌとウルミラが大成の左右に座った。



「大成さん、痛くないですか?」

ウルミラは慣れた手つきで、大成の右手、右腕、腹回りなど包帯やさらしを巻いていく。

包帯を巻いた場所は、動きに支障がないように綺麗に巻かれていた。

流石、メイドだなと大成は感心する。



一方、ジャンヌは…。


「大成、痛くない?あれ…?これを…こうかしら?」

ジャンヌは不器用な手つきで、大成の左手、左腕を巻いていく。

包帯を巻いた箇所は、ギブスみたいになっており、関節が曲がらないほどだった。

一生懸命頑張ってるジャンヌを見て、大成は何も言わないことにした。



「二人とも、ありがとう」

「はい!」

「大成、ごめんなさい。ウルミラみたいに上手く出来ないで…」

「ん?気にしてないよ。気持ちが篭っているから」

「~っ、そう言ってくれると嬉しいわね。そ、その、ありがとう大成」

大成はお礼を言いながら左右の手で2人の頭を撫で、ジャンヌとウルミラは頬を赤く染め笑顔を浮かべる。



そんな中、完全に茅の外の盗賊達は、大成達を見て背中が(かゆ)くなっていた。

突っ込みたかったが、突っ込めば、せっかく助かった命が散ると本能が訴えかけていたので気持ちを抑えている。

ただ、一刻でも早く終わることを切に願いながら待つのであった。




そして、大成達は盗賊を連れて村に戻ろうと思った時だった。

「~っ!?50人ぐらいか?…誰か来るな」

すぐに気付いた大成は、ソファーから立ち上がり振り向く。


「そうね…」

「ですね…」

ジャンヌとウルミラも気付き、大成と同じく立ち上がった。


「「えっ?何だ?」」

未だに盗賊達は気付かないまま、大成達が急に立ち上がったことに驚きながら身を引く。


そして、徐々に足音が大きくなり50人近くの鎧を着た騎士団が大成達の前に現れた。


大成は警戒したが、ジャンヌとウルミラは騎士団を見てホッとする。

「大成、大丈夫よ。警戒する必要ないわ。ラーバスの騎士団よ」

ジャンヌは、大成に説明をした。



「姫様、ウルミラ様、ご無事で何よりです。ですが…」

先頭にいた騎士は、ジャンヌの前で片膝をついて敬礼する。


「ええ、わかっているわギヌル。今後、この様な危険な行動は控えるわ」


「ご了承頂き、感謝します。では、我々とご一緒に、ご帰還を…」


「いいえ、私達は一度ナイディカ村に戻るわ。あなた達は捕まえた盗賊達を連行して頂戴、それが終えたら食糧とテントなどの震災道具を持ってきなさい。それと、職人も一緒に連れて来なさい。村の復興の手伝いをするのよ。もちろん、あなた達もよ」

大成達が村から出た後、すぐに村のおばさんが慌てて町へ行き騎士団に連絡し騎士団達はすぐに山に向かったのだった。


「「ハッ!」」

騎士団と団長ギヌルは片膝を付き頭を下げて敬礼し、ジャンヌの命令を承諾した。

そして、ジャンヌ達は村に向かい、騎士団は盗賊達を連行した。




【魔人の国・ナイディカ村】


大成達は村に戻った時、村の入り口に村の皆が待っていた。


「姫様、ウルミラ様、大成君、ご無事で何よりです」

「「ありがとうございます」」

おばさんや村の皆はホッとした表情を浮かべており、辞儀して感謝した。


その後、ジャンヌは村の皆に食糧とテントの支給をすることや職人を手配して復興に力を入れること説明し、また、捕まえた盗賊達の判決は村の皆に任せることを話したら感謝された。



それから、大成達は片付けなど復興の手伝った。




少し前…。


「姫様やウルミラ様に片付けを手伝って貰うのは、流石に…」

「気にしないで下さい。そんなことよりも、復興が最優先です」

そんな、おばさんとジャンヌのやり取りがあった。


(あれ?僕は含まれてない)

会話を聞いていた大成は、気付いて苦笑いを浮かべながら聞いていた。




村の様子はというと、火事になっていた家は全て鎮火し亡くなった人のお墓も出来ていた。


手伝っていた大成達は、気が付いたら既に日が落ち夕焼けだった。


「ふぅ~、ちょっと休憩しようか」

「ええ、そうね」

「そうですね」

大成の申し出に2人は賛成し、3人は近くのベンチに座る。


「あっ!お兄ちゃん、見~つけた~!」

帽子をかぶった子供が大成を指差し、笑顔でトコトコと大成に駆けつけて大成の膝の上に座った。


「約束通り、仇はとったよ」

大成は、子供の頭を優しく撫でる。


「ありがとう、お兄ちゃん」

気持ち良さそうに子供は笑顔を浮かべてお礼を言ったが、その瞳から涙が流れていた。


大成は暫く間、優しくギュッと後ろから抱き締めた。



「それと、ごめん。借りたナイフなんだけど、戦いでナイフが刃こぼれしたから、今度、新品のナイフを渡すよ。もちろん借りたこのナイフも修復して返すから安心して。それで、その…ジャンヌにお願いがあるんだけど、修理費を貸して欲しい。もちろん、稼いで必ず返すから」

大成は子供に理由を説明して謝り、気まずい面持ちでジャンヌにお金を貸してくれないか尋ねる。


「それくらい、別に構わないわよ。それに、盗賊団【ブルー・スコーピオン】の頭主であるシュゲールは賞金首だったから、大成、あなたは賞金が貰えるわよ」

ジャンヌは、大成に教える。


「なるほど、良かった。それで、良いかな?」

「うん」

大成は尋ねると子供は笑顔で頷いた。


「ここに居られましたか姫様、ウルミラ様、大成君。あら、エターヌも居たのね。今日は、本当にありがとうございました。これから、復興を手伝って頂いた方のおもてなしと、亡くなった人の追悼(ついとう)しますので、もし宜しければご参加して頂ければと」

おばさんは提案した。


今回の騒動で村長が亡くなり、おばさんが村の復興のため指示していたら村の皆から村長になってくれということで村長に主任することになった。


「どうする?」

「私は姫様に従います」

大成は、2人に尋ねながら視線を向ける。


「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」

ジャンヌは笑顔で頷いた。




【魔人の国・ナイディカ村・広場】


村の広場の中央でキャンプファイアの準備が出来ており、皆が集まっていた。


「黙祷!」

「「……。」」

おばさんの言葉で、皆は目を閉じて3分ぐらいの静寂が訪れる。


「黙祷やめ!」

おばさんの掛け声で、皆はゆっくりと目を開く。



「今回の騒動で沢山の被害がでましたが、命を落とした方の分まで私達は精一杯に生きていきましょう!そして、命を落とした方が心配しないように、皆で助け合っていきましょう!」


「「そうだ!」」

「「そうだとも!」」

おばさんの言葉に皆のテンションが上がるが泣いて(うずくま)る人もいた


そんな中、涙を流すエターヌを見て大成は複雑な気持ちになっていた。


あの時、少し遅れて村を出ていれば被害を抑えられたかもしれない、エターヌの両親を助けられたかもしれないと後悔する。


そんな大成の姿を見たジャンヌとウルミラは、大成の肩に手をそっと優しく置いた。



宴は、いろんな料理や踊りや歌で盛大に盛り上がった。


大成達は、歌を聴きながら料理を食べていた。

本当は、可愛い踊り子を見ながら料理を食べていた大成なのたがジャンヌとウルミラに連行されたのだった。


今、流れている演奏はリズム良く奏でており賑わっていた。


しかし、中にはそのハイテンションについていけない人々は隅に移動して遠くから見守っていた。


そんな光景を見た大成は、演奏が終わったのでバイオリンの女性に歩み寄った。


「すみません、少し借りて良いですか?」

「ええ、良いわよ。その代わり優しく扱ってね」

「はい」

バイオリンを借りた大成は、ゆっくりと構えてワンテンポ置いて目を細めながらソロで演奏を始める。


大成の演奏が始まると賑わっていた雰囲気が一瞬に静まり返り、馴染めずに端にいた人達も大成の近くまで歩み寄り皆が大成の方に視線を向ける。


大成の演奏は、癒し系のバラード曲で聞く人達は疲れがとれていきリラックスして気持ちが軽くなりとても心地が良かった。


大成の演奏が終わり、大成はゆっくりと目を開いてお辞儀をした。

大成の演奏に浸っていた人達は盛大な拍手をする中、涙を溢す人達もいた。


「ありがとうございました」

「あなたに貸して良かったわ。とても素晴らしかったわよ。私、感動したわ」

大成は、お礼を言いながらバイオリンを返した。


「大成の演奏を聞いたら、何だか疲れがとれた気がするわ。ねぇ、ウルミラ」

「はい、私もそんな気がします」

「そう言ってくれると嬉しい…」

「おい、小僧!」

突然、後ろから大成は肩を叩かれて振り向くと大男がいた。


「良い演奏だったぞ!心が癒された。あと、ちょっと伝えたいことがある。盗賊と直接に戦わなくても、討伐しに行くとか度胸あるな!流石、男の子だな!」

大男やこの場にいる村の人は、魔力を感じない大成が盗賊を討伐したとは思っていなかった。

大男は大成の頭を手荒に撫でて、大成の帽子が地面に落ちる。



「ん?おい!お前、人間か!」

大男の大きな声が広場に響く。


「人間だと!?」

「人間!?」

皆がざわつき出し、ジャンヌとウルミラは緊張が走る。


「そうだけど。あと、シュゲールを倒したのは僕だ」

皆が静まり返りジャンヌとウルミラが緊張した面持ちで息を呑む中、大成は相変わらずマイペースな態度で答えた。



「魔人同士の争い事に人間が止めただと!?小僧、お前良い奴だな!しかも、今も魔力を全く感じないのにシュゲールを倒すとか本当に凄いな!ガハハハ…」

大男は嬉しそうに笑い、大成の背中を何度も叩く。


「ウォォォ!スゲーな。どうやって倒したんだ?詳しく教えてくれ!」

「大成君、カッコいい!」

「仇をとってくれて、ありがとう」

皆の注目の的になった大成は、皆に囲まれた。


「た、助けて、ジャンヌ、ウルミラ~!」

「「……」」

大成は揉みくちゃになりながらジャンヌとウルミラに助けを求めたが、ジャンヌとウルミラは予想外のことで目をパチパチさせて呆然としている。


結局、おばさんが皆を止めて大成はどうにか助かった。




それから、大成は村人達からいろいろ聞かれたので答えたり乾杯したりした。

時間はあっという間に過ぎさり、気が付けば周りの殆どの人はその場で寝落ちしていた。


「姫様、ウルミラ様、大成君。もし宜しければ、散らかったままですが今日は私の家で泊まっていきませんか?」

おばさんが提案する。


「そうですね。では、お言葉に甘えさせて頂きます」

ジャンヌは感謝し、笑顔でお辞儀をした。

おばさんも笑顔で頷き、寝ているエターヌをおんぶして自宅に向かった。




【魔人の国・ナイディカ村・おばさんの家】


大成達は、おばさんの家に着いた。

おばさんの家は、あちらこちらの壁や窓が破壊されてボロボロになっていた。


「散らかったままですみませんが、ご自由に寛いで下さい。私は、お風呂を入れてきますので」

おばさんは、エターヌをソファーに寝かせて部屋を出て行った。


大成達は、床に座り込む。

「はぁ、今日は本当に疲れた」

「そうね」

「そうですね」

大成達は疲労しており、溜め息をする。




部屋のドアが開き、おばさんが戻ってきた。

「お風呂はいつでも入れます。姫様、お先にどうですか?」

「ありがとうございます。そうですね。せっかくなので、では…」

おばさんから勧められ、ジャンヌは先にお風呂に入ろうと思ったのだが、そこで、ふっと思った。


自分がお風呂に入った後に大成が入るのだ。

わかりやすく言えば、自分が入った湯を大成が浸かったり使うのだ。

そう思った瞬間、ジャンヌは顔から湯気が出そうなほど真っ赤になった。


ジャンヌは、ウルミラをチラリと見た。

ウルミラも考えが同じだったので、顔が真っ赤に染まっており両手で左右の頬を押さえ狼狽えていた。


「た、大成。あなたが、先に入りなさい」

「ん?ジャンヌは良いの?常識的に立場が上の人や女性が優先じゃない?」

「い、いいから」

「なら、ウルミラが先に入る?」

「い、いえ、私は最後でも構いませんので、先に入って下さい。大成さん」

「何だか悪いな2人共、ありがとう。なら、お言葉に甘えて先に湯を頂くよ」

ジャンヌとウルミラが顔を真っ赤にして、なぜ譲るのか知らない大成は先に入ることになったので部屋から出ていく。




「ん…。あれ、お兄ちゃんは何処?」

エターヌが目を擦りながら起きた。


「おはようエターヌ。大成は、お風呂に入っているわ」

「おはようございます、エターヌちゃん」

ジャンヌとウルミラは挨拶し、ジャンヌはエターヌに教えてあげた。


「じゃあ、エターヌも一緒にお風呂入ってくる~!あっ、お姉ちゃん達も一緒に入ろうよ!」

「「〜っ!?」」

「どうしたの?」

「い、いえ、何でもないわ。私達は遠慮するわ。ほら、私達まで入るとギュウギュウになるでしょ?」

想像したジャンヌは顔を真っ赤になりながら笑顔を取り繕い、ウルミラも顔を赤く染めて無言で勢いよく頷いて賛同する。


「ん〜、だね」

「気持ちだけでも嬉しいです。ほら、エターヌ君。早く行かないと大成さんがあがりますよ」

「じゃあ、今度お姉ちゃん達一緒に入ろうね!」

「わかったわ」

「入ってくるね!」

「「いってらしゃい」」

エターヌは、トコトコと走って部屋を出ていった。


「あらあら、エターヌって大胆ね」

おばさんは、口元に手を当てながら笑う。


「「えっ?」」

ジャンヌとウルミラは、意味がわからなかったが嫌な予感がした。


「どういうことですか?」

胸騒ぎをしたジャンヌは、恐る恐る頭を傾げながら尋ねる。


「ん?エターヌは女の子ですよ」

「「~っ!!」」

おばさんの言葉を聞いたジャンヌとウルミラは、慌てて走って部屋を出ていく。




その頃、大成はのんびりと湯に浸かって鼻歌を歌っていた。


「ふん、ふん、ふふ~ん…。」

浴槽の大きさは、ギリギリ足を伸ばすことができるぐらいの大きさで大きいとは言えないが満喫していた。


「ふぅ~」

大成は両手を伸ばし背伸びをしてリラックスしており、この癒しの時間が崩壊することになるとはこの時は知るはずもなかった。


「お兄ちゃん、一緒に入って良い?」

ドア越しの脱衣場からエターヌの声が聞こえてきた。


「ん?入ってきて良いよ、エターヌ」

両親が亡くなったので、出来ることなら何でもしてやりたいと思っていたのと浴槽は狭いが小さいエターヌぐらいなら大丈夫と大成は思ったので承諾した。


そして、ドアを開が開き、笑顔を浮かべて一糸纏わぬ姿で入ってくるエターヌ。


「お、お、女の子~っ!」

予想外のできごとで、大成の驚いた声が家中に響く。


大成の目の前には、帽子をぬいだエターヌは、銀色の癖毛があるロングヘアーで膨らみかけた…。


「大成!」

「大成さん!」

続けてジャンヌとウルミラが大きな声を出しながら、浴室に乱入してきた。

ジャンヌとウルミラの声で、大成は我に返る。


「ってか、頼むからもう出ていってくれ~!ゆっくりさせてくれ~!」

大成は叫んだ。




それから…。

ジャンヌとウルミラから説教され、今日は本当にヘトヘトになった大成だった。







【別話】


大成に説教を終えたジャンヌとウルミラは、相談した結果2人で一緒にお風呂に入ることにした。


そして、最大の悩みが目の前に起きていた。

それは…。


「ひ、姫様。お先にどうぞ」

「い、いいえ、ウルミラから先にどうかしら?」

浴槽の前で2人は譲り合っていた。


大成の浸かった湯に浸かろうとしたが恥ずかしく、30分近く2人は浴槽の前で悩んでいる。


結局、2人はシャワーで済ませたのだった。



お風呂から出てきた2人は、顔が真っ赤に染まっており、大成は心配して声を掛ける。


「2人とも、のぼせた?」

「大成、あなたのせいよ!」

「そうです!」

「え!?何で?何かした?わ、わからないけど。ごめん…」

あまりの理不尽だっただが、エターヌの件もあり、大成は意味がわからず謝った。

次回は、ジャンヌとウルミラと大成の本当の出会い…です。

もし宜しければ、次回もご覧頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ