表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/130

村の奪還開始と潜入

エターヌの村から狼煙が騰がっているのを見た大成達は、最短な森を通るルートで向かった。


大成は、一人で先に森を抜けた。


そこには、村の人達を囲っている、見知らぬ鎧を着用した騎士団がいた。


騎士団は大成に魔法攻撃を仕掛けてきた。

大成が騎士団のリーダーぽい人の首を跳ねようとした時、イシリアの声が聞こえ、止まった。

リーダーぽい人は、ローケンスだった。

【ナイディカの森前・ナイディカ村側】


「村に行くメンバーは、俺とローケンスさん、ジャンヌ、ウルミラ、イシリア、マキネ以上だ」

大成は、エターヌの村を奪還しに行くメンバーを決め発表した。


大成は、ジャンヌ、ウルミラ、イシリアの3人は確かに強く戦力にはなるが、正直にいうと何か問題でも起き、怪我をさせると地位的に大変なことになるので連れて行きたくはなかった。


しかし、連れていかないと、もっと面倒になるのは火を見るより明らかだった。



「なぜ、魔力値4のマキネが選ばれているの?」

納得のいかないジャンヌは、顔を訝しげな表情で大成に訊ねた。


「マキネは情報収集だけでなく、複数戦にも役に立つようになっているはずだ。マキネ、大会の時に武器と練習方法を書いた本を渡したが、出来るようなったか?」

大成は、皆に説明をし、マキネに聞いた。


「もちろん、バッチリよ!ダーリン。愛の力は不可能を可能にするのよ」

マキネは、大成に向けてウィンクをした。


「「へぇ~…」」

大成を睨むジャンヌ、ウルミラ、イシリア。

大成は、たじろぎローケンスに助けを求めて視線を送ったが、ローケンスは目だけではなく顔をごと逸らした。


「ア、アハハハ…」

仕方なく、大成は苦笑いをし誤魔化した。

そんな、やり取りをしながらは進み村が見えてきた。



【ナイディカ村付近】


「おっ、結構いるな」

大成は木を登り、上から村の様子を見ていた。

鎧を着た兵士が、東西南北のゲートに分かれて見張りをしていた。


「修羅様。これから、どうしますか?」

ローケンスは、大成を見上げながら指示を尋ねる。

ローケンスの周りにいるジャンヌ達も、真剣な面持ちで大成を見上げていた。


「ん?ああ。よっと…」

大成は音をたてず、木から飛び降りた。


「東口はローケンス、西口はジャンヌ、南口はウルミラ、北口はマキネとイシリアだ。各自そこから攻撃し取り押さえろ」

腰を落とした大成は、木の枝を拾って地面に絵を書き説明をした。


「大成、あなたは?まさか…」

ジャンヌは、大成本人が説明に出てきてないので不審に思ったがすぐにわかった。


「ああ…俺は一人で潜入し先に暴れる。騒ぎの音がしたら作戦開始の合図だ。もちろん、殺しはしないから安心して良い。あと、俺一人でも大丈夫だ。心配は無用だ」

不適な笑みを浮かべながら大成は頷いた。


「別に大成、あなたの心配はしてないわ。心配するとしたら、相手だわ。あなたと戦うことになって不敏で仕方ないわ」

ジャンヌは溜め息をしながら話すと大成以外の皆は頷いた。



「なら、問題ないな。この作戦で行く。他に質問はないか?」

大成は、話を強制的に終わらし、周りを見渡したが、誰も何も言わなかった。


「よし!皆頼む。各自配置につけ。作戦開始!」

「「了解!」」

皆は一斉に敬礼し、各自行動に移した。




【ナイディカ村】


大成は気配を消たまま助走をつけ、一瞬だけ身体強化をしてジャンプし高く聳え立つ城壁に跳び移った。

誰も気付いておらず、ナイディカ村に潜入した。


村の中は、意外に静かだった。

大成は、罠や異変がないか辺りを探っていたが、特に罠や荒らされた痕跡はなかった。


そんな中、中央辺りから賑やかな声が聞こえた大成は足音を消して屋根から屋根と移動し向かった。




【ナイディカ村・中央】


「ダハハハ…。ここは最高だな!美味しい酒や食べ物があり、防壁もある。ダハハハ…そう思わないか?お前ら、ダハハハ…」

ラゴゥバルサ国の騎士団長バルダーは任務中なのだが、簡単に任務成功して上機嫌に酒を飲み酔っていた。


バルダーは、ラゴゥバルサ国の王様の次男坊。

兄と違い、頭脳は駄目だが代わりに武術に長けていた。


ラゴゥバルサ国の中で1番強く、総隊長の地位に登り詰めている。



そんな、バルダーの周りには各隊長が集まっており、これからの作戦を会議していた。


「バルダー総隊長…。任務中ですので、お酒は控て下さい」

副総隊長タストは、隊長達を代表して注意を促した。


「オイ!タスト貴様、俺に意見をするのか?」

一気に機嫌が悪くなったバルダーは殺気を放つ。


「い、いえ…。大変、申し訳ありません。バルダー総隊長」

タストは冷や汗をかきながら謝った。



「お前らは、何をそんなに脅えている?相手は地に堕ちたラーバスだぞ」

バルダーはタメ息をつき、殺気を消して隊長達に聞いた。


「ですが…。あのローケンスを倒し、新しい魔王が誕生したと情報が入っています」

理由を話したタスト。

周りの隊長も無言で頷いた。


「お前らは馬鹿か?新しい魔王は人間の子供だぞ。普通に考えればわかるだろう、ローケンスが負けるわけがないと。ただ、ローケンスは魔王になれなかったんだ。勇者に大敗した奴が魔王になっても、民は不安になるだろう?そこで、魔人よりも人間、しかも、子供がローケンスを倒したという偽情報を流し魔王にすることで、化け物の子供という設定となり、勇者と同じ人間の化け物だから、互角の強さを持っていると思わせ、民を安心させるために魔王にした。そして、ただ魔王と名乗るだけではなく、修羅をつけることで、さらにアピールしたと考えられる」

バルダーは、自信に満ちた顔をして説明をした。



「「な、なるほど!」」

隊長達は、納得し頷いた。

「凄いです、流石です。バルダー総隊長」

「地に堕ちたラーバスが、やりそうなことですな」

「その、思考は正しいと思います」

「ですな」

など、隊長達は決めつけた。


「まぁ、兄貴の考えだけどな!ワハハハ…」

盛大に笑うバルダー。

「「流石、我らの王」」

隊長達も笑いながら、酒に手を出そうとした。



これから、賑やかになろうとしていた時…


「へぇ~、なるほど。確かに、そんな考え方もできるな。だから、攻めて来たのか?」

隊長達の頭上から声が聞こえバルダー達は、一斉に声がした方に振り向いた。

声を発したのは大成だった。



バルダー含む隊長達は立ち上がり、自分達の武器に手を伸ばし、屋根の上にいる大成に向けて殺気を放った。


大成は、片足を前に出して立っている状態で、そのまま屋根から飛び降りた。


「「~っ!?」」

目の前で大成が、屋根から飛び降りたのを見ていたはずなのに、着地した音が聞こえなかったことや目の前に居ても気配が全く感じない。

まるで幽霊の様に感じた隊長達は驚愕した。



「ん?どうした?」

大成は首を傾げ尋ねる。


「お、お前、新しく魔王になった人間か?」

我に返ったバルダーは、大成を人差し指で指し確認した。


「そうだが。魔王修羅といえばわかるか?」

「ダハハハ…。見ろよ、お前ら!魔力が全く感じられない。ただの子供だぞ!」

大成が肯定した瞬間、バルダーは笑い出した。


「そ、その様ですね、ハハハ…」

「お、俺達が魔王修羅という名前だけで、ビビると思うなよ。ククク…」

など、隊長達も笑っていたが、ただ一人タストだけは冷や汗をかき震えていた。


タストは大成を見た瞬間、早くこの者から逃げろと本能が警告を最大限に鳴らし訴えていた。



「お前は、馬鹿だな。俺様達が情報だけでビビるとでも思っていたのか?馬鹿は、この場で死ね!」

大成が近く降りたので、バルダーは叫びながら身体強化をして背中に掛けていた斧を取り、両手で持って大成に突っ込んだ。


隊長達も身体強化をし、バルダーに続く。

タストは一人だけ、その場から逃げた。


「グリモア・ブック、レゾナンス」

大成はグリモアを召喚して、精神干渉魔法レゾナンスを唱え発動した。


(マキネ、イシリア、そっちに副隊長が向かった。取り押さえろ)

(わかったわダーリン)

(わかったわ大成君。あと、少し聞きたいことがあるの)

(ん?何?)

(大浴場で、マキネとエターヌちゃんを、ぬ、脱がして、は、裸を見たのは本当なの?)

素直に返事をするマキネと声が変なトーンなるイシリア。


(ブッフー。い、今は話すことではないから…)

大成は狼狽してレゾナンスを切った。



「ワハハハ…。今更、焦っても、もう遅い!」

バルダーは、大成が狼狽したのは魔王修羅と名乗っても自分達が逃げなかったことだと勘違いしていた。


そして、バルダーは大成に接近し斧を横に凪ぎ払う。

大成はジャンプして回避し、バルダーと隊長達の後ろへ着地した。


斧は家の壁に激突し、大きな音を響きかせながら家は崩れ崩壊した。



「あっ……。お、おい!よ、よくも、おじさんの家を破壊してくれたな!お前達は許さん!」

大成は、バルダー達を指をさした。


「フン。許すも、許さんもない。貴様はここで死ぬのだからな。お前ら殺れ!」

「「死ねぇ~!」」

隊長達は雄叫びあげながら大成に接近する。

大成は身体強化もせず、その場から動かない。



「ビビって動けないのか?」

「魔王修羅の首。俺が貰った~!」

動かない大成に隊長達は襲いかかる。



先頭走っていた1人の隊長が剣で斬りにかかったが、大成は左手で隊長の手首を掴み、隊長の鳩尾に右の肘打ちをした。


隊長は、「く」の字になり剣を落とし両手で腹を抱えた。


「なるほど。やはり、身体強化されると気絶はしないか」

隊長の様子を見て大成は納得した。


そんな、大成を槍使いの隊長が鋭い突きを放ったが、大成は怯んでいる隊長を掴み、横に引っ張って盾にする。


「ぐぁっ」

盾にされた隊長は背中を刺され息絶えた。


「あっ、す、すまん」

つい、謝ってしまった大成。


「よくも、仲間を盾にしてくれたな!」

槍使いの隊長は、仲間を盾にされ怒った。


「なっ、ぐぁ」

「はぁぁ」

「ぐほっ」

大成は、刺された隊長の身体を足で蹴り飛ばし、槍を抜けにくくしたと同時に槍使いの隊長のバランスを崩した。

そして、その場で回転し遠心力をつけた回し蹴りで槍使いの隊長の顎を打ち抜いた。


「ぐぅっ…」

今度は、少し仰け反り、ふらつきながら尻餅をついた隊長。



大成は、追い討ちをしようとしたが殺気を感じ取り、すぐさま右に移動する。


「おっと…」

「がはっ」

大成が移動した直後、背後から分銅が飛んできた。

分銅は、尻餅をついた隊長の額を打ち抜き、血を流しながら隊長は倒れた。



「ほう。あれを避けるとは警戒に値するぞ」

鎖鎌使いは、分銅を自分の手元に戻し振り回しながら大成を見てニヤついた。


「へぇ~、鎖鎌か。珍しい武器だな」

大成も笑顔を浮かべながら、鎖鎌使いに接近する。


鎖鎌使いは、分銅を大成に向けて投げつける。

大成は、鎖鎌使いに向かって走りながら回避し、再び接近を試みた。


だが、鎖鎌使いは慌てる様子が全くなく、笑顔を浮かべたまま鎖を持っている手を動かした。

鎖は生き物の様に動き、大成を束縛しようと軌道を変えた。


大成はしゃがみ回避したが、待っていたかの様に鎖鎌使いは大成の目の前まで接近していた。


「信用していたぜ!ワハハハ…」

鎖鎌使いは右手の鎌を振り下ろす。

大成は、一歩前に出ながら鎌を持っている右手と胸ぐらを掴み、一本背負いをした。


だが、大成は鎖鎌使いを地面に叩きつけるのではなく、最後の1人バルダーに投げつけた。


「な、なんだと!?」

鎖鎌使いは、投げられたことに驚いた。


「うわわ~」

「邪魔だな」

槍使いが飛んできたので、バルダーは斧を構えた。


「た、頼む。バルダー総隊長。攻撃しないでくれ!」

鎖鎌使いは命乞いをしたが、バルダーは持っている斧で容赦なく叩きつけた。


「ぎゃ~」

鎖鎌使いは、血を飛び散らかしながら無惨に死んだ。



「おい、躊躇いもなく仲間を殺すのかよ」

「弱い部下はいらん」

バルダーは斧を振るい、斧についた血を飛ばした。


「お前とは気が合わないな」

大成は冷たい目でバルダーを睨んだ。

次回は、一時、大成の戦いから離れます。

今度はジャンヌ達の戦いです。


もし、宜しければ評価・ブックマをヨロシクお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ