アドバイスと認められた大成
ランキング戦が始まり、初戦のルネルに勝利した大成。
【グランド】
大成は、ルネルとの対戦が終わり、それから、次々とクラスメイト達と闘かい、順調に勝利を納めていく。
大成は、対戦相手一人一人にアドバイスをしていった。
今のところ女子は皆は、大成のアドバイスの通りにしたら、強くなっていく感じがし、大成にお礼言った。
一方、男子の皆は、大成のアドバイスを無視していた。
そんな男子を見て大成は苦笑いした。
そして、皆が待ちかねたマーケンスとの闘いが始まる。
「おい、お前どっちが勝つと思うか?」
「当然、マーケンスだろ」
「俺も、そうだと思うけど…」
男子達は皆、マーケンスと言いながらも何気に大成を認めていた。
一方、女子はと言うと…。
「大和君、頑張って~!」
「大和君なら、マーケンス君に勝てるよ」
など、大成を応援していた。
ジャンヌ、ウルミラ、イシリアは、大成はどうやってマーケンスを相手にするのかを興味津々で見守っていた。
大成とマーケンスの2人は、グランドの中央に立ち試合開始を待っている。
2人は、木製の大剣を使用することにした。
「まさか、魔力値2のお前がここまで勝ち残るとは、思っていなかったぜ」
マーケンスは、大剣を片手で持ち肩に乗せ、殺気と威圧感が放った。
「僕もここまで、勝てるとは思っていなかったよ。マーケンス」
「気安く、俺の名前を呼ぶな!落ちこぼれが!」
「ハハハ…」
今にも飛び掛かりそうなマーケンスを見て、大成は苦笑いをした。
「はぁ。お前達、いい加減にしろ。では、試合開始!」
マミューラは溜め息をし、試合開始の合図をした。
マミューラの声と同時に、大成は身体強化してダッシュし接近しようと試みたが…。
「エア・スラッシュ」
マーケンスは身体強化をし、バックステップして一度距離をとり、風魔法、エア・スラシュ唱え発動して、風の刃で大成を攻撃しダッシュして接近する。
大成は、グリモアを使用すると魔王とバレてしまうので、魔法は使用しないと決めている。
大成は構わず歩を進め、風の刃をギリギリで回避する。
最後の回避で、バランスを崩したように見せ、大成はわざと隙を作った。
もちろん、相手を誘き寄せるためだった。
「馬鹿め!これで、終わりだ!」
バランスを崩した大成の真横から、マーケンスは笑いながら大剣を凪ぎ払った。
大成は、身体を回転させ大剣に遠心力をつけて迎撃する。
お互いの大剣がぶつかり合い、2人は踏ん張ったが威力に負け後ろにズリ下がった。
「嘘!?ウルミラちゃん何で?大和君がマーケンス君と互角の強さなの?」
「えっと、それはですね…」
ウルミラは、ルネルの質問に答えるのを躊躇った。
「それはね。大和君が遠心力で威力アップしたのとマーケンスが、まだ未熟で攻撃モーションと体重移動が下手だから同じ強さになったわけ。わかりやすく言えば、老人で大剣を使いこなす達人と力任せの大男みたいな感じかしら。重たい武器ほど、実力差が出るのよ。ウルミラも遠慮いらないわよ。別に、正直に言っても構わないから」
ウルミラの代わりにイシリアが答えた。
イシリアのあまりの言いように、ウルミラは苦笑いした。
「くそ!何で俺と互角の威力を出せるんだ?」
訳がわからず、マーケンスは苛立った。
「その構えはローケンスさんに似ているけど。似て非になるもの。今さっきの攻撃は、脇のしまり具合と体重移動が悪かった。あと、腕の力だけではなく体全体を使わないと」
大成は、助言をした。
なぜ、試合中に助言をしたかと言うと、マーケンスは才能がある。
マーケンスは、父・ローケンスの闘う姿を一生懸命見て、自己流で練習したと思わせるほどだった。
それほど、ローケンスに憧れを抱いていると大成は感じとった。
だが、クラスの男子を見ていたら、男子は皆ひねくれ者ばかりだった。
他の男子と同様に、マーケンスも試合が終わりアドバイスしても無視するだろうと思った。
だから、大成は試合中に鍛えてあげたかった。
「何を知った気でいるんだ!嘗めるな!」
大成の助言に、マーケンスは更に苛立った。
「ハァ、仕方ないな。マーケンス、お前のために俺は鬼になる。俺の助言を聞けよ」
大成は、言葉使いが変わり威圧感が増し、今までの構えをやめ、ローケンスの構えをとった。
「あ、あの構えは…」
イシリアは、大成の構えを見て驚いた。
「ローケンス様の構えですね」
真剣な表情のウルミラが答えた。
「たぶん、今からレッスンが始まるわ」
「えっ!?レッスン?」
ジャンヌは、大成が構えを変えた理由がなくとなくわかった。
驚いたイシリアは、ウルミラに尋ねようとして振り向いたら、ウルミラも頷き肯定していた。
とりあえず、イシリアは成り行きを見守ることにした。
「おい、嘗めてるのか!?」
馬鹿にされていると思ったマーケンスは激怒し、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「嘗めてないさ。その証拠を今から見せてやる」
大成は、ダッシュし接近する。
もちろん、魔力値2を維持しているので速さは変わらない。
大成は接近して、大剣を上から振り下ろした。
「…っ。」
マーケンスは防いだが、ローケンスみたいなモーションと魔力値2とは思えないほどの威力に驚愕する。
「ローケンスさんの凪ぎ払いってのは、脇を閉め体重と体全体を使い、こうだ!やってみろ」
大成は、説明しながら続けて攻撃をする。
いや、お手本を見せていると思わせる攻撃だった。
マーケンスは、再び防ぎ少し後ろにズリ下がった。
「くそ!」
反撃に出るマーケンスは、さっきと同じように凪ぎ払った。
大成は正面から受けとめ、後ろにズリ下がる。
流石の大成でも、魔力値2のまま闘わないといけないので、魔力値6の身体強化の攻撃を防いだら押される。
「まだ、体重移動ができてない。それと歩幅をもう少し広げろ」
次々と大成は、ダメ出しをしながら教えていく。
それから暫く続き、初めは苛立っていたマーケンスだったが、次第に自分が父・ローケンスに近づいていくのが実感していき、いつの間にかに文句も言わずに言われ通りに動いていた。
審判しているマミューラは面白くなさそうな表情で溜め息をし、2人の近くに歩み寄った。
「おい、お前ら今は試合だぞ。練習は、あとでしろ!」
マミューラは、呆れた顔をして注意をした。
「「すみません」」
大成とマーケンスは、謝罪をした。
「そういうことで、次で最後にしようマーケンス」
「ああ、構わないぜ。大和」
マーケンスから名前を呼ばれ、大成は驚いた。
「どうした?大和」
「今まで、気安く名前を呼ぶなとか言われ。しかも、お前と呼ばれていたから、いきなり名前を呼ばたから驚いたな」
「大和、お前を認めたからな」
マーケンスは笑った。
「それより、いくぞ!大和」
「ああ、来いマーケンス」
お互い接近し、マーケンスは横から凪ぎ払った。
もちろん、それには理由があった。
マーケンスは、レッスンを受けたとき、受け流されたのは振り下ろした剣筋だけだった。
横からの凪ぎ払いは、ガードされたが後方へと吹っ飛ばしていたからだ。
1度吹っ飛ばし体勢を崩させて、次で決めると考えていた。
だが大成は、マーケンスの凪ぎ払いをバックステップで、ギリギリ回避した。
大成は制服が切られたが、体は無傷だった。
そして、大成は1歩踏み出し、大剣を振り下ろした。
マーケンスの頭に当たる直前で止めた。
「俺の負けだ…」
マーケンスは負けたが、その顔は笑っていた。
「勝者大和!」
マミューラは、手を挙げ宣言した。
「お、おい、嘘だろう…。あのマーケンスが負けるなんて…」
「う、うそ…。本当に大和君が勝っちゃった…」
「「ウォォォ~!」」
「「きゃ~!」」
静寂から、一気に盛り上がった。
「やべぇ、俺、アドバイスを聞いとけば良かった…。アドバイスは、なんだったかな」
「俺、あとで謝りに行こう」
「俺も」
男子達は、マーケンスとの闘いを見て、大成を認めた。
「ねぇ、また教えて貰えるのか。一緒に聞きに行かない?」
「もちろん、行くわ」
「大和君、格好よかったね」
「だね」
女子達は、マーケンスとの闘いを見て、テンションと人気も上がっていた。
「どうやら、無事に勝ったようね。ウルミラ」
「そうですね」
「それにしても、相変わらず非常識な武術だわ」
「そうですね。一度しか戦ったことがないローケンス様の大剣術も取得されていたとは」
ジャンヌとウルミラが、やり取りしていた時、イシリアが尋ねてきた。
「ねぇ、ジャンヌ。グランドに出る前にも聞いたけど。大和君って何者なの?それに、今、お父様と戦ったことがあるとか言っていたわね」
「さぁ、何のことかしら?私が知るわけないでしょう?」
「そう…。まぁ、良いわ。どうせ、私が勝つから問題ないわ。それにしても、楽しめそうね」
イシリアはジャンヌに質問したが、ジャンヌは知らないフリを通したので話を終わらした。
ジャンヌの態度を見ると大成を知っているとは思うが、証拠がなく諦めたイシリアはグランドに向かった。
イシリアの表情は笑顔を浮かべていた。
次回、イシリアと闘います。




