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処罰と大浴場再び

魔王候補3人同時に闘い、優勝した大成。

【選手待機室】


大成が優勝して無事に大会が終わりを告げた後。


大成は、応急手当てと着替えをするために、待機室に戻っていた。


「ふぅ~。昔の感覚が戻って、どうにか優勝できたけど。ハァ~、この後、すぐに次の行動しないとな」

大成は、誰もいない待機室の椅子に座って救急箱に手をかけた。


その時、部屋のドアが開いた。

「た、大成!」

「た、大成さん!」

ジャンヌとウルミラは、すぐに大成がいる待機室に駆けつけた。

2人は、感動して涙を溢しながら大成に抱きついた。



「お、おめでとう、大成。あなたが、ゆ、優勝するって、私は信じていたわ」

「わ、私も信じてました。おめでとうございます、大成さん」

2人は大成の胸に顔を埋めた。


「ありがとう。2人とも」

大成は、優しく2人を抱きしめた。



それから暫くの間、大成はジャンヌとウルミラが落ち着くのを待った。


「あっ、そうだ。急でごめんだけど頼みたいことがあるんだけど」

「わかったわ」

「はい、わかりました」

ジャンヌとウルミラは、大成の頼みごとを快く引き受けた。


そして、ジャンヌは式典の準備の指揮をとらないといけないので物足りなさそうな表情をして先に部屋を出ていき、ウルミラも大成の手当てを施して物足りなさそうな表情で式典の準備の手伝いに向かい、大成は次の目的を果たすため屋敷の裏庭に向かうことにした。




【屋敷・裏庭】


大成が中庭に着いた頃には、先程ジャンヌとウルミラに頼んで呼んで貰った人達が集まっていた。


「すみません。遅れました魔王様」

走って駆けつけたウルミラは、皆の前なので大成さんから魔王様に呼び方を変えた。


「構わないよ。僕が急に頼んだことだから。これで、全員揃ったかな」

大成は、周囲を見渡す。


大成の周囲には、ジャンヌ、ヘルレウス・メンバー全員に騎士団達、魔王候補達のせいで娘を失った夫婦3組、そして問題の魔王候補の3人。

大成と戦った魔王候補達は、かろうじて生きている状態でタンカーに横たわっており騎士団達に包囲されている。



「お忙しい中、わざわざ集まってくれてありがとう。説明を受けたとは思うが、ここに倒れている魔王候補3人の処罰をどうするかということ。その前に、何があったのか説明する。その後に皆の判断を仰ぎたいと思う」

居合わせていなかったローケンスや騎士団達のために、大成は今までのことを説明をした。


だが、皆は、処罰の件は大成の判断に任せることに一致した。



大成は魔王候補達に近づき、一度瞳を閉じて一息して開いた。

威圧感が増して冷酷な瞳に変わった大成は、魔王候補達を見下ろす。


大成が放つプレッシャーを受けた夫婦達と騎士団達は、緊張して息が詰まる。

ジャンヌとヘルレウス・メンバー達は、目を少し見開いた。


「おい、お前達に選択をさせてやる。お前達が襲った娘さん達の両親達に謝罪をすれば命だけ助けてやる。無論、その後は牢獄行きだけどな。それとも、今ここで死ぬか?どうする?」

大成は、人の命を軽んじるような冷酷な瞳と表情をしており、声音は冷たく低くなっていた。


皆は、周囲の温度が下がったように感じた。



暫くの間、無言だった魔王候補3人だったが。

「うっ…。しゃ、謝罪をする…。た…頼…む…。助けてくれ…。ほ、本当にすまな…かった…」

「わ、わしも…。す、すまな…いことを…した」

「ワ…ルカッタ…」

先にプライドよりも命を選んだグランベルクが答え、他の2人も同じ選択をして謝罪をした。



大成は普段通りに戻り、夫婦達を見た。

「「……。」」

夫婦達は無言で頷く。


「わかった。あとローケンスさん前に出て下さい。一緒に治療しますので」

「いや、俺は遠慮します。気持ちだけで十分です。あの闘いは、忘れたくないので自力で治して記憶に刻みたいと思っていますので」

「そうですか…。なら、グリモア・ブック、ワイド・ヒール」

大成は苦笑いしながら、ユニークスキルのグリモアを召喚して光魔法ワイド・ヒールを唱えた。


予選の時と同じ現象が起こる。

足元に魔法陣が出現して輝き、下から上へと蛍の光みたいな光が宙を舞って自分と魔王候補達の怪我を癒した。



その後、魔王候補達は素直に騎士団達に連れられ、大人しく牢獄へと向かった。

「う~、これで一件落着だな」

大成は、両手を伸ばし背伸びをする。



「「あ、ありがとうございます、魔王修羅様」」

大成の急激な変化に対応できていなかった夫婦達は、戸惑いながら頭を下げ感謝した。


「き、気にしないで良いですよ」

(魔王修羅って呼ばれるのは、流石に恥ずかしいな…)

大成は、顔を引きつりながら苦笑いして思った。

そして、夫婦達は立ち去っていった。



「魔王修羅様?」

決勝戦を見ていないローケンスは、理解できないでいた。


「フフフ…。それわね、ローケンス」

「ちょっ、ジャンヌ。説明しなくっていいから」

大成はジャンヌを止めようとしたが、ジャンヌは笑いながら説明をした。


「ワハハハ、なるほど。納得です」

ローケンスは、顔を上げて手で顔を覆い隠して笑った。



それから、大成以外は式典の準備をしに行った。

大成は手伝うと言ったが、「魔王様に手伝わせるわけには、参りません」と皆から言われ断られた。


そういうことで、大成は正式に魔王になったので念願の魔王専用大浴場に堂々と入ることにした。




【魔王専用大浴場】


「フフン、フン、フフン、フフ~ン…」

大成は脱衣場で鼻歌を歌いながら服を脱ぎ、タオルを肩にかけてスキップしながら浴槽に向かう。


「白い湯煙に、この温泉特有の硫黄の香り!よし、誰もいない!待ちに待ちかねてました~この時、この湯!ハァ~幸せ~だ~」

掛け湯した大成は、冷水で濡らしたタオルを頭の上に乗せて湯に浸かり目を閉じて一息着いた。


湯は、サラサラしており肌がツルツルになっていた。



暫く経ち、湯を満喫した大成は、浴槽から出て身体を洗おうと風呂椅子に座り、手桶に湯を入れたその時だった。


脱衣場の扉がガラガラと空く音がした。


「っ!?」

嫌な予感がした大成は、音がした方に目をやり驚いた。


「お兄ちゃんっ!背中を流しに来たよ!」

「ダーリン!背中を流してあげる」

エターヌとマキネが、タオルを巻いて入ってきたのだ。


「えっ!?なんで、2人がここにいるんだ?」

「私はアサシンよ。忍び込むのは当たり前だよ。次いでにエターヌも連れてきたよ」

「ありがとう、マキネ姉ちゃん!」

2人は恥じらいもなく、大成に歩み寄る。



「あ、ありがとう2人とも。あっ、エターヌ、浴室は走ったら危ないからいけないよ!それに2人とも、先に湯に浸かって身体を温めると良いよ」

今回はエターヌもタオル巻いていたので、大成は頼むことにした。


「ごめんなさい、お兄ちゃん。先にお風呂に入ってくるよ」

「フフフ…。ダーリンは優しいのね」

2人はタオルを巻いまま、湯に浸かろうとした。



(わかっている、わかっているが…)

「2人とも湯に浸かる時は、湯にタオルを浸けたら駄目だ!」

温泉奉行の大成は、マナー違反をする2人を見て我慢ができず注意をした。


「「えっ!?」」

2人は訳がわからず、大成の言葉で固まった。



「あっ、いや、その…別に、そんな意味で言ったんじゃなく…って…」

大成は混乱し、どう言ったら良いか言い淀む。


「わかった。お兄ちゃん!」

「へぇ~大胆ね!ダーリンも男なんだね。別にダーリンならいいよ。エターヌちゃん、先にダーリンの背中を流そうよ」

「うん!わかったよ、マキネお姉ちゃん」

2人は大成に振り向き、巻いていたタオルを外して歩み寄る。



(マキネは胸が控えめでスレンダーで、エターヌは前より成長を…い、いかん)

「ぼ、僕は、先にあがるよ」

つい、大成は目を離すことができずに2人を凝視してしまった。


このままだと、ヤバイ結末になると本能が訴え掛けていたので回避しようとするが…。



「待って、お兄ちゃん!」

「逃がさないよ、ダーリン!」

エターヌとマキネは何も纏わずに後ろから大成に抱きつき、逃げようとする大成を離さなかった。


「ちょ、ちょっと、これは流石にヤバイって!」

「ん?何が?お兄ちゃん?」

「具体的に言わないと、わかんな~いダーリン!」

背中に柔らかい感触が直に伝わり、大成は顔を真っ赤にして叫んだ。


きょとんとしているエターヌは本当にわかってないが、笑みを浮かべているマキネはわかっていて知らないフリをしているのは明らかだった。



そんな時、再びガラガラと音をたてながら扉が開いた。


「た、大成。私があなたのせ、背中を流してあげるわ」

「わ、私も手伝います」

ジャンヌとウルミラが、頬を赤く染め入ってきた。


「「……。」」

ジャンヌとウルミラは、浴場の光景を見て口を開けたまま固まった。



「こ、これには、じ、事情があるんだ…」

さっきまで真っ赤に染まっていた大成の顔は、真っ青に染まる。


「これは、どういうことかしら?なぜ、3人とも、は、裸で抱き合っているのかしらね~?それに、この状況、どんな事情だと思う?ウルミラ」

「そうですね~。これは事情などないと思いますよ。大成さんが、2人を招き入れたとしか考えられません。姫様」

「そうよね。ねぇ、エターヌ。聞きたいことがあるのだけど?良いかしら?」

「ん?何?ジャンヌお姉ちゃん」

「床に落ちているタオルが2枚あるけど、何で2人とも裸なの?」

「ん?お兄ちゃんが取れって言われたからだよ。ジャンヌお姉ちゃん」

「「へぇ~」」

エターヌの言葉を聞いたジャンヌとウルミラは、ますます視線と声音が冷たくなり笑顔で大成に振り向いた。

だが、2人の目は居座っており、笑っていなかった。



マキネは、慌てて大成から離れてエターヌを担いで大浴場から避難する。



「あ、あの、これには…」

一人だけ残された大成は、恐る恐るジャンヌとウルミラに説明をしようとしたが既に遅かった。


ジャンヌとウルミラの片手に魔力が集中し、その手は大成に向けられていた。


「この変態!女たらし!女の敵!一度、死んで治してきなさいファイア・ボール!」

「ふ、不潔です!アイス・ボール!」

今まで静かだったジャンヌとウルミラだったが、怒りが一気に噴火した。


「何で、いつも、こうなるんだ~!」

大きな爆発音とともに大成の断末魔が響いたのだった。

申し訳ありません。昨日、用事があり投稿できず、しかも今回は書く時間が足らず、話が予定より進みませんでした。

今日、用事が終わり次第、もう一話投稿が可能でしたら投稿しますので、その時は、もし宜しければ御覧ください。


次回、式典です。

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