表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/130

優勝と魔王修羅

大成VS魔王候補3人が始まった。

開始早々、優位に立った大成だったが、途中で相手が本気になる。

【リング】


本気を出したグランベルク、ルーニング、ガディザムの3人の魔力と威圧感は試合開始直後よりも比べ物にならないほど増大した。


3人は笑っているが、先程と違い隙がなくなっている。

「尺だが、あの金魚のふんのローケンスを倒したということは本当だということか」

「そうじゃのぅ」

「ダナ」

3人は、大成を睨みつけながら構えた。



「おい、戦ったこともない奴がローケンスを馬鹿にするな。だが、お前らも異世界の魔王を名乗るだけのことはあるな」

大成の予定では、試合開始に後衛のルーニングを倒すことだったが3人は予想以上に強かった。



「小僧、何様のつもりだ!」

グランベルクは、一瞬で大成に接近して剣を振り下ろす。

大成は魔剣を受け流したが、グランベルクの鎧が針みたいに変化して8本の針が大成を襲う。


「くっ」

大成は、グランベルクの鎧の針をバックステップで離れ避けたが、右肩と右腹に針が少し刺さり、魔力が少し吸いとられた。



大成がバックステップで下がった時、ガディザムは大成との距離を詰めていた。

ガディザムは、負傷した大成を右拳で殴りつける。


大成は屈んでガディザムの拳を避けながら懐に入って右拳で心臓部を殴り、続けてジャンプして左拳でガディザムの顎を下からアッパーして打ち抜いた。


ガディザムの顎が上を向いたが、何もなかったような顔で左拳で大成を殴る。


大成は、空中で両手をクロスにしてガディザムの拳をガードしたが、吹っ飛ばされリングの上を転がった。



「ホホホ…。冥土の土産に禁術をみせてやるわい。ボルト・ライトニング・サンダー・ドラゴン」

ルーニングは、雷魔法、禁術ボルト・ライトニング・サンダー・ドラゴンを唱えた。


バチバチとスパークしながら、眩しく光る真っ白な龍の形をした雷。

雷龍は、転がって倒れている大成に一直線に向かった。



「ああ、確かに見させて貰った。ボルト・ライトニング・サンダー・ドラゴン」

大成も雷龍を発動する。


大成のユニーク・スキル、【グリモア・ブック】は、ユニークスキル以外の魔法を実際に見たり、魔法書を読んだりした魔法を覚え、グリモアを出している時なら自由に使用できるという能力だ。


「な、何じゃと!?」

大成が自分と同じ魔法を使用したので、ルーニングは驚いた。



そして、お互いの雷龍が激突した。

お互いの雷龍は轟音をなり響かせ、あちらこちらに放電して会場全体が再び砂埃に覆われる。


「「キャ~!」」

激しい放電によって会場はパニックに陥った。


「た、大成!」

「た、大成さん!」

「お、お兄ちゃん!」

「だ、ダーリン!」

ジャンヌ、ウルミラ、エターヌ、マキネは心配して声を荒げる。




「アハハハ…」

煙の中から、大成の笑い声が聞こえてくる。

大成は苦戦を強いられているが、それが楽しくて仕方なかった。


死線を潜り抜けていった特殊部隊の頃を思い出し、懐かしい感覚がよみがえってくる。

そして、その感覚が高揚すると共に威圧感と魔力も上がっていく。



「あぁ!何が、そんなに可笑しいんだ小僧?」

大成の余裕の態度、笑顔、魔力、威圧感を見て感じたグランベルクはイラつき、他の2人もイラついていた。


「お前らが強くって、楽しいんだよ。さぁ…。俺を、もっと楽しませてくれ」

大成は、両手を上に挙げた。

獰猛な笑みを浮かべている大成の顔を見て、一瞬だが魔王候補達3人は恐怖して息を呑んだ。



会場の観客もジャンヌ達も、大成の変貌に戸惑い静まり返っていた。



「おい!どうした?掛かって来ないのか?じゃあ、こっちから行くぞ」

大成は、獰猛な笑みを浮かべたままジグザグに走り、3人に突っ込む。

先程より大成の動きは鋭く速くなっていた。



「エア・カッター」

我に返ったルーニングは、慌てて風魔法エア・カッターを唱えて風の刃14本を放って大成を迎え撃つ。


14本の風の刃は、リングを切り裂きながら大成を襲い掛かると共にグランベルク、ガディザムも、続くように大成に向かって走る。



「エア・カッター」

大成はジグザグに走りながら、ルーニングと同じ風魔法エア・カッターを唱えて同じ数の風の刃を放つ。


大成は、放った風の刃の速度を少し抑えていた。

大成が放った風の刃は先ほどと違い、全てルーニングの風の刃と接触せずに通り過ぎた。


大成は、触れたら致命傷になるルーニングが放った風の刃を前にしても、畏れるどころか逆に楽しそうに速度を落とさず前へ進んでギリギリで避けていき、速度を抑えて放った自分が放った風の刃に追い付く。


そのまま、大成は風の刃の後ろに付き添って走る。



大成は、接近してきたグランベルクとガディザムに狙いを定めた。


ジグザグに走りながらエア・カッターを発動したのは、大成とルーニングの直線上にグランベルク、ガディザムを間に入れて放つことでルーニングの援護を困難にしたのだ。



グランベルクとガディザムに、大成のエア・カッターが襲う。


「オラォァ…」

グランベルクは立ち止まり、魔剣で風の刃を弾いたり防ぐ。


「グオォォ…」

ガディザムも立ち止まり、魔力を両手に集中して両手で風の刃を弾いていたが目の前に大成が現れた。



「おいおい、何、引きつった顔をしてるんだよ。せっかく何だから楽しもうぜ。魔力発勁」

大成は、ガディザムの心臓部に手を当て発勁する。


「ドンナ、コウゲキヲシテモ、ムダダ!ン?グハッ…ナ…ンダト…」

発勁は体の内側から破壊する技で、どんな強靭な肉体の持ち主でも効く技だ。


ガディザムは血を吐きながら、その場で倒れた。

次に大成は、グランベルクに向かった。



「こんな魔法で、俺様が殺られると思うな!」

どうにか前から飛んできた大成のエア・カッターを全て凌いだグランベルク。

だが、最後の風の刃に圧されバランスを崩した際、目の前に大成が現れた。



「次は、あんただ。あと、何言ってんだ?魔力を弱めて発動した魔法だぞ」

大成は、バランス崩しているグランベルクの首を狙い定め、剣を振り下ろした。


普通は硬直して対応できず切断できるはずだったが、グランベルクの鎧が針状に変形して防ぐ。


そして、鎧が次々と針に変形して大成を攻撃する。

体勢を整えたグランベルク自身も攻撃に転じた。


「へぇ~、やはり面白い能力だな。でも、針の間合いさえわかれば避けるのは簡単だな」

大成は頭を傾けたり、体を左右に動かしたり、剣で防いだりして鮮やかに躱していく。


「チィッ!」

グランベルクは、舌打ちしながら剣を振り下ろして大成に追い討ちをする。


大成は、鎧が針に変形した隙間を狙って剣を振り下ろしてグランベルクを斬った。


「ぐっはっ…。な、何だとっ!?な、なぜ、ガードできなかったのだ…」

グランベルクは、肩から脇腹にかけて斜めに斬られ血が飛び散りながら倒れた。




「あとは、お前だけだな、じーさん。今度は確実に倒す」

「やるのぅ小僧。だが、まだ青いわい。ライトニング・シャワー」

ルーニングが雷魔法ライトニング・シャワーを唱えると、空に異次元の空間ができて広がった。


「避雷針」

大成は、土魔法避雷針を唱えると地面からタワーみたいなのが、あちらこちらに突き出る。


空にできた異次元の空間から、次々と落雷するが全て避雷針に落ち、大成は無傷でゆっくりとルーニングに歩み寄る。



「な、何じゃと!?これなら、どうじゃ…。アース・ニードル・スパイラル」

ルーニングは、土魔法、禁術アース・ニードル・スパイラルを唱える。


地面や会場の建物が削れていき、ルーニングの頭上に巨大な岩の針ができ高回転し始める。


「見せて貰った。アース・ニードル・スパイラル」

大成も唱えて、頭上に高速回転する巨大な針を作った。


「お、お主の属性の適性はワシと同等なのか?いや、まさか全属性?そんなことあるわけがない。水と炎みたいに正反対の属性両方を取得している者は滅多にいないはずじゃ。しかも、こうも平然と簡単に禁術を使えるとは一体何者なんじゃ」

ルーニングは、化け物を見るような目で大成を見た。


「簡単じゃない。魔力がガッポリ持っていかれている。そして、自分の属性の適性を教える馬鹿はいないぞ。あとで自分で考えな」

そして、お互いの巨大な針が激突した。


お互いの魔法は相殺し、大成とルーニングの頭上から石の塊が落下して砂埃が舞う。




「ああ、お前らの敗因を教えてやる。お前ら3人とも膨大な魔力を持っているが、それに頼り過ぎている。ルーニング、お前の様々な魔法は評価するが、それに頼りすぎて接近戦が素人並みだ。グランベルクは、魔剣に頼りすぎて肝心の剣術が疎かになっている。ガディザムは、自分の肉体に頼りすぎて武術の基本ができてない。ただの肉の的になっている」


「ウィンド」

大成の説明が終わり、砂埃はルーニングが巻き起こした風によって吹き飛ばされ大成の姿が見えた。


大成はルーニングの前に立ち止まっており、左手をルーニングに向けていた。



「そして、お前らの共通した敗因。それは、周囲の警戒を怠っていることだ。アイス・ソード」

大成は、氷魔法アイス・ソードを唱える。


アイス・ソードが出現した場所は、ルーニングの背後の斜めに上にある空中に浮かんでいるグリモアからだった。


宙を浮いているグリモアは、自動的にページが捲れて巨大な氷の剣を召喚して矢のごとく放つ。



「な、何じゃと!?」

ルーニングは大成の忠告が気になり、背後を振り向こうとした時、右胸に巨大な氷の剣が縦に突き刺さった。


「ぐはっ…」

ルーニングは、血を吐きながら前に倒れた。



会場は静まり返っていた。

「3人をまとめて倒す何て…人間じゃない。もう、あれは修羅だ。魔王修羅!」

一人の男が呟き、皆が我に返る。


「しょ、勝者は神崎大成!」

ジャンヌも呆然としていたが、慌てて宣言した。


「「ウォォォ…」」

「「修羅、修羅、修羅」」

会場が盛大に盛り上がり、修羅コールが巻き起こる。


「なお、神崎大成は、ゆ、優勝しましたので…本日をもって、この国ラーバス国の、ま、魔王は神崎大成に決まりました…。皆さん盛大な拍手を…」

嬉しくって涙が溢れたジャンヌは、上手く話せなかった。

しかし、ジャンヌの勝利宣言により会場の皆は大成を称える様に拍手をした。

その後、暫くの間、会場は拍手と修羅コールが響くのであった。


こうして、大成は無事に魔王になったが、魔王大成と呼ばれることなく、代わりに魔王修羅と呼ばれることになる。


大成本人は、修羅と言われるのが中二病くさくって恥ずかしった。

その後、大成は皆に相談したが皆は苦笑いしただけだった。

次回、式典です。

もし、宜しければ評価、ブックマよろしく、お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ